2020年ショウ雑感(その20)
1984年にでたカルロス・クライバーの、
バイエルン国立管弦楽団とによるベートーヴェンの交響曲第四番は、
ライヴ録音ということもあって、最後に聴衆のブラボーもそのままおさめられている。
演奏が終って、すぐに発せられるブラボーではなく、
少し間があってのブラボーだった。
おそらく若い男性なのだろう、感極まってのブラボーであり、
だからということもあって叫び声でも掛け声という感じでもなかった。
好ましい印象のブラボーだった。
こういうブラボーは、実際の演奏会ではまずない。
いつのころからか、クラシックのコンサートでは、
誰よりも早くブラボーと叫びたい人が、必ずといっていいほどいる。
100m走のスタートダッシュを極めるかのような感じでのブラボーがある。
よくいわれているように、
最後の音の余韻が残っているのに、ひときわデカイ声でのブラボーには、
閉口している人は多かったから、何度となく、いろんなところで、
ブラボーについての否定的な意見が出てきていた。
すみだトリフォニーホールが、
7月開催予定の公演についてのお知らせを公開している。
新型コロナ感染予防として、いくつかのことが挙げられている。
そのうちの一つに、こうある。
*
「ブラボー」等の掛け声は禁止とさせていただきます。
*
英断だ。
私だけでなく、ブラボーにうんざりしていた人は、みなそう思うはずだ。
いまのところ7月の演奏会だけのようだが、
ぜひとも8月も9月も、ずっとずっとブラボー等の掛け声は、禁止のままであってほしい。
そしてすみだトリフォニーホールだけでなく、
ほかのホールにも波及してほしい。