Archive for 8月, 2019

Date: 8月 24th, 2019
Cate: audio wednesday

audio wednesday(今後の予定)

このタイトルで、もう何本か書いているけれど、実現しているのはわずか。
結局、モノの運搬がネックになって実現できていない。
なので、今回書くことも、そんな理由でたぶんできない、と思う。

それでも、ヤフオク!でKEFのModel 303を偶然見かけたのをきっかけに、
いくつかのオーディオ機器を落札した。

すべて1970年代の終りごろのオーディオ機器ばかりで、
つまりステレオサウンド 56号での瀬川先生の組合せがベースになっている。

当時、30万円ほどの組合せが、
八分の一から十分の一ぐらいで落札できた。

すべてを落札したわけではないが、
56号の組合せに必要なオーディオ機器が準備できるようになった。

303があり、AU-D607も手配ができている。
アナログプレーヤーは別項で書いているように、PL30LではなくテクニクスのSL01になった。
カートリッジのDL103Dも手配できる予定である(鳴るのかどうかのチェックは必要だが)。

ヤフオク!をあせらずに利用すれば、程度のよい、当時のオーディオ機器が、
こんな予算で……、と少々驚くほど安く揃えられる。

40年前の、組合せ価格が30万円ほどのシステムは、
いま聴くと、どんな感じなのか、どういう印象を抱くのか。

今回ヤフオク!で落札した予算内で、現在購入できる新品のオーディオ機器と比較すると、
どうなるのだろうか。

やっぱり40年前のオーディオでしかないよねぇ……、とはならないような気はしている。

できれば、今回揃えた(揃えられる)システムをaudio wednesdayで一度鳴らしたい。
そのうえで数ヵ月後に、それぞれに少し手を加えた音を聴いてもらいたい、と考えている。

とはいえ運搬の問題は残ったままだから、期待しないでほしい。

Date: 8月 24th, 2019
Cate: アナログディスク再生

ダイレクトドライヴへの疑問(その35)

ヤフオク!がすすめてきたSL01は、そこそこの値段で落札された。
定価80,000円のアナログプレーヤーといっても、もう40年が経っている。

最高のコンディションのSL01を探しているわけではない。
それでも、金額はここまで、という決めて入札する。

修理に出すことも考えて、つまりその費用も考えて総額として、
40年前のオーディオ機器として、ここまでという金額を設定する。

そこを超えたら、すっぱり諦めて次の機会を狙う。
今回三度目のSL01だった。

キャビネットの一部の塗装が剥げている。
そのせいか、入札数も多くはなかった。
上限金額よりも安く落札することができた(5,250円だった)。

塗装の剥げについては、落札する前から、こうやってみようとか、あれこれ考えいた。
同時に、ダイレクトドライヴ型プレーヤーに感じている疑問を、
いくつか試してみようという気にもなってきた。

ダイレクトドライヴ型に関しては、いくつかの大きな問題がある、と考えている。
とはいえ既製品に、私ができる範囲で手を加えることといえば、
聴感上のS/N比を劣化させている原因を、完全になくすことは無理なのだが、
それでもできるだけ抑えていきたい。

落札する前から、このことも考えていた。
SL01の写真をGoogleで画像検索して、内部写真を見ながら、そんなことを考えていた。

私がダイレクトドライヴ型プレーヤーを使っていたのは、高校生のころまでだ。
ステレオサウンドで働くようになってからは、ベルトドライヴ、アイドラードライヴ型だった。

手元にあるプレーヤーも、ベルトドライブ型が一台とアイドラードライヴ型一台である。
ここに、今回ダイレクトドライヴ型が一台加わった。

ひさしぶりのダイレクトドライヴ型であり、
ひさしぶりの分だけ、いろいろなことを学んできたし、
40年前には気づかなかったこともみえている。

そんなに大掛りなことをSL01に施そうとは考えていない。
それでも確実に聴感上のS/N比を向上させていく自信はある。

SL01に手を加えることで、
私のなかにあるダイレクトドライヴ型への疑問をいくつか解消できるかもしれない。

Date: 8月 24th, 2019
Cate: アナログディスク再生

ダイレクトドライヴへの疑問(その34)

ヤフオク!は、「お探しの商品からのおすすめ」をしてくれる。
PL30Lや50Lを眺めていたときに、そこにテクニクスのSL01が表示された。

SL01を検索してもいないのに、それまでの履歴からSL01を表示する。
なんなんだろう、この機能は? と感心するとともに、
少しばかり空恐ろしくなるところでもある。

そのことがあって、ひさしぶりにSL01の存在を意識するようになった。
SL01は、何度もいうようにコンパクトだ。

PL30Lの外形寸法がW49.0×H18.0×D41.0cm、
SL01はW42.9×H13.7×D34.7cmである。
横幅が約6cm違う。

たった6cmであっても、
SL01はPL30L(というより標準的なサイズ)より、
プレーヤーのサイズとして明らかにコンパクトに見える。
厚みの違うことから、SL01はスリムでもある。

ヤフオク!での写真を見ているうちに、
色調よりも、このコンパクトさの魅力が勝ってきた。

KEFの303、サンスイのAU-D607の組合せには、
PL30LよりもSL01のほうが、全体のまとまりがしっくりくる。
すべて黒になる。

そういえば、瀬川先生は「続コンポーネントステレオのすすめ」で、
UREIの813の組合せで、SL01を使われていることも思い出した。

ステレオサウンド 56号の時点でSL01は製造中止だった可能性は高い。
もし現行製品だったら、SL01を選ばれていたかも──、
そう思った瞬間からSL01が無性に欲しくなってきた。

Date: 8月 23rd, 2019
Cate: アナログディスク再生

ダイレクトドライヴへの疑問(その33)

SL01の明るい仕上げのモデルが登場しなかったばかりか、
製造中止になるのも早かったのは、
おそらくジャケットサイズのSL10の登場があったからではないだろうか。

コンパクトということでは、SL01はSL10にかなわない。
もしSL10の登場が二、三年遅かったら、明るい仕上げのSL01が出てきたのかもしれない。

いうまでもなくSL01はダイレクトドライヴである。
それもあって、SL01への関心はいつしか薄れていった。

なのに、いまごろ思い出したように取り上げているのは、
別項で書いているKEFのModel 303を入手したことが深く関係している。

別項では、ステレオサウンド 56号での瀬川先生の組合せについても触れている。
ここでのプレーヤーは、パイオニアのPL30Lである。
当時59,800円のプレーヤーであり、56号での組合せには価格的にもぴったりである。

56号は1980年秋号。
このころSL01はどうだったのだろうか。
現行製品だったのか、製造中止になっていたのか。
それにSL01は価格的にはちょっと高い。

とにかく56号での組合せのプレーヤーはPL30Lである。
ヤフオク!でPL30Lの相場を眺めていた。
PL30Lだけでなく、PL50L、PL70Lもけっこう出品されているし、II型も多い。

パイオニアの、このシリーズはよく売れていたんだろう、と改めて思う。
PL30Lは、なのでそれほど高値がつくわけではない。

手頃な価格だったら──、と思った。
入札したこともある。
けれと応札はしなかったのは、PL30Lの大きさと見た目だった。

個人的に木目の、あれだけのサイズのプレーヤーを欲しい、とは思わない。
もっと小さく、木目の部分がもっと小さかったら──、そんなことを思っていた。

Date: 8月 23rd, 2019
Cate: アナログディスク再生

ダイレクトドライヴへの疑問(その32)

テクニクスのSL01への興味はあった。
瀬川先生が43号で、
《もう一機種、明るい仕上げのモデルを併売してくれるとうれしい。またそれだけの価値は十分あると思う》、
47号では、《もっと明るい色なら自家用にしたい程》とまで書かれている。

SL01のカラー写真は何度も見ているにも関らず、
なぜかSL01の写真として浮ぶのは、43号の写真である。
ブランド名も型番もなしのSL01の写真であり、
たったこれだけの違いなのに、印象がずいぶん悪くなっていた。

実物を早くに見る機会があれば、そんな印象はすぐになくなってしまったのだろうが、
熊本ではSL01の実機を見ることはなかった。

なので瀬川先生のSL01への印象がそのまま残った。

1981年春、上京した。
SL01は、このころ製造中止になっていたのか、
東京のオーディオ店でもみかけなかった。
そんなに多くのオーディオ店を見てまわったわけではないから、
どこかにはあったのかもしれないが、縁がなかったのだろう。

とにかくSL01に関しては、43号の写真の印象が残ったままだった。
ながく残っていた。
明るい仕上げのモデルが併売してほしかった、と私も思っていた。

SL01はあまり売れなかったのか。
同じ価格ならば、同じ性能ならば、
この価格帯のプレーヤーを買う層には、大きいサイズのほうがよかったのか。

こんなことを書いている私だって、高校生のころは、
SL01のサイズの魅力をよくわかっていたわけではない。

Date: 8月 23rd, 2019
Cate: アナログディスク再生

ダイレクトドライヴへの疑問(その31)

私にとって最初ステレオサウンドは41号(1976年12月号)。
この41号といっしょに買った別冊「コンポーネントステレオの世界 ’77」は、
組合せだけ一冊である。

架空の読者とオーディオ評論家との対話によって組合せがつくられていくメインの記事、
その後に、「スピーカー第一主義の’77コンポーネント“ベスト30”」がある。
30の組合せが七人のオーディオ評論家によってつくられている。

そこにちょっと気になるプレーヤーがあった。
30の組合せ中五つの組合せに登場している。
テクニクスのSL01である。

SL01は41号の新製品紹介の記事にも登場している。
井上先生が担当されている。

でも、この時は、気になる程度であった。
半年後の43号、ベストバイで、SL01は、選者全員がベストバイとして選んでいる。
これを読んで、ちょっと気になる存在でしかなかったSL01は、
かなり気になる存在へと格上げになった。

気づかれている方もいると思うが、43号のベストバイで使われているSL01の写真は、
プロトタイプの写真なのか、プレーヤーベース右手前にあるはずのブランド名と型番の表記がない。

たったそれだけなのに、なんだかのっぺりして見えた。
SL01に関しては、「コンポーネントステレオの世界」でのカラーの方が、いい。
それでもSL01のコンパクトさを、みな高く評価されていた。

菅野先生は、
《これだけの性能が秘められていると思うと、奥ゆかしい魅力を覚える》とされていた。

それでもまだ中学生、オーディオに興味を持ったばかりの私は、
コンパクトさということは、二番目のプレーヤーに求めることのようにも考えていた。

SL01は80,000円だった。
学生には無理な価格だった。

Date: 8月 22nd, 2019
Cate: 会うこと・話すこと

会って話すと云うこと(オーディオ好きであれば、それでいい)

20代のころにもあった、30代のころにも40代になってからもあった。
ある人と親しくしていると、周りの誰かが「あの人とは関らない方がいいよ」といってくる。

そういってくる人は、忠告のつもりなんだろう。
素姓の良からぬ人とは付き合わぬのが賢明とでもいいたいのだろう。

そこには、こちらのことを心配してくれているのか、
それともその人が「あの人」という人のことを嫌っているからなのだろうか、
そのへんははっきりとしないこともあるが、
とにかく「あの人とは関らない方がいいよ」といってきた人が、これまで数人いる。

いってきた人はみな別の人たちであり、
その人たちが「あの人」というのも、また別の人のことである。

そういう人からみれば、あいつはよからぬヤツとつるんでいる、となるんだろう。
でも、これこそよけいなお世話である。

会って話せば、目の前にいる人が、ほんとうにオーディオ好きなのかどうかは、
はっきりとわかる。
それさえわかれば十分である。
その人の職業とか経歴とか、そんなことはどうでもいい。

ほんとうにオーディオ好きの人であれば、
周りの人たちが「あの人は……」といおうが、私にはどうでもいいことでしかない。

でも、周りの人の声のほうが気になって、
「あの人は……」といわれる人とのつきあいをやめていく人もいるみたいだ。

会って話しても、そういう人はわからないのだろうか。
誰がほんとうにオーディオ好きで、そうでないかが。

もしかするとほんとうにオーディオ好きの人を前にすると、
自分のオーディオの好きさ加減がバレてしまうから、それを怖れて、
ほんとうのオーディオ好きを遠ざけるのか。

Date: 8月 21st, 2019
Cate: アナログディスク再生

ダイレクトドライヴへの疑問(その30)

SMEの3012-R Specialについて書き始めたら、また横路に逸れそうになってしまった。
結局、いいたいことは、
ターンテーブルプラッターの直径とトーンアームの長さのあいだには、
ちょうどいいバランスがあって、
30cm前後のターンテーブルプラッターには、どうやってもロングアームは似合わない。

3012-R Specialに憧れて、東京に出て来て最初に買ったオーディオ機器は、
SMEの3012-R Specialだった私は、
ついにSMEの3012-R Specialに似合うターンテーブルシステムは、
市販品にはない、それにこれからにもまったく期待できない──、
という変らぬ結論になってしまう。

以前書いているけれど、
むしろマイクロの糸ドライヴのような、武骨なモノのほうが意外とうまくいく。

それに、もう大きなアナログプレーヤーは、以前ほどに欲しいとは思わなくなってしまった。
トーレンスの101 Limited(930st)から927Dstまで行ってしまい、
その音に納得しながらも、そのどちらも手離してしまい、いま思うのは、
927Dstは、やっぱり大きすぎた──。

いまはコンパクトにシステム化されたアナログプレーヤーがいい、と思っているし、
欲しい、とも思う。

927Dstが大きく感じられないような広い部屋に住めるようになったとしても、
あまり大きくない方がいい。

SMEのSeries Vもロングアーム版が登場してけっこう経つ。
ロングアーム版が出た時は、やっと出てきた、と思ったし、
Series Vでも、やっぱりロングでしょう、と強く思ってもいたのが、
いまでは通常のSeries Vがいい、と思うほどに変ってきている。

とはいっているものの、実際にそういう部屋に住めるようになって、
コンディションのいい927Dstがタイミングよくあらわれたりしたら、
やっぱり927Dstだな、と口走ったりするだろうけど。

とにかくいまは、大きくないと感じるアナログプレーヤーがいい、と感じている。

Date: 8月 20th, 2019
Cate: 598のスピーカー

598というスピーカーの存在(KEF Model 303・その15)

サンスイのプリメインアンプの出力は、
AU607が65W、AU707が85W、
Dがつくようになり、わずかだがパワーアップして、
AU-D607が70W、AU-D707が90W、AU-D907が100W。

出力トランジスターの数は、607は1ペア(片チャンネルあたり)、707は2ペア、
907は4ペアである。

607は俗にいうシングルプッシュプルである。
真空管アンプに馴染んでいる人にとっては変な表現であっても、
いまではこう書いたほうが通じやすいのも事実である。

ようするに607は出力トランジスターを並列接続していない。
していないから、それだけで素晴らしいアンプになるなんてことはないが、
それでも607について試聴記を読んでいると、
独特のプレゼンス感と、この出力段の構成は切り離せないようにも感じる。

ステレオサウンド 56号を読んだときには、手元にはKEFの303はなかった。
三ヵ月前に、ヤフオク!で手に入れた303がある。

56号のころ、私はサンスイのAU-D907 Limitedで、
国産のブックシェルフ型の3ウェイスピーカーを鳴らしていた。

AD907 Limitedはかなり前に、どうしても欲しいという人がいて譲った。
いま手元にあれば、303をAU-D907 Limitedを鳴らすかというと、どうだろうか。

どこかにAU-D607でやっぱり鳴らしてみたい、という気持がある。

303を中心としたシステムだけしかないのであれば、
アンプは、よりよいモノにしたい、という気持が強くなる。
AU-D907 Limitedがあれば、それで鳴らすだろう。

けれど303のシステムだけでは、ない。
そうなるとアンプ選びは変ってくる。

AU-D907ではなく、D707かD607かである。

Date: 8月 20th, 2019
Cate: 五味康祐

「音による自画像」(1965年8月19日)

昨晩書こうと思ったけれど、
あえて一日ずらして書くことにした。

音による自画像について考えていくうえで、
これも自画像なんだ、と思っているのがある。

ジャクリーヌ・デュ=プレのエルガーのチェロ協奏曲である。

1965年8月19日に、ジャクリーヌ・デュ=プレは、
バルビローリ指揮ロンドン交響楽団と、エルガーのチェロ協奏曲を録音している。

EMIは、ジャクリーヌ・デュ=プレのエルガーを一度も廃盤にしなかった、ときいている。
この録音が終って、プレイバックを聴き終ったデュ=プレがなんといったのかは有名な話である。

なので、このエルガーをジャクリーヌ・デュ=プレの自画像とするのは、
どうか、と思わないわけではない。

けれど宿命的に自画像になってゆく。

Date: 8月 20th, 2019
Cate: オーディオ観念論

抽象×抽象=(その2)

抽象×抽象は?

抽象を幾重にも掛け合わせていくのがオーディオではないのか──、
と(その1)で書いた。

抽象×虚構でもいいのかもしれない。
抽象×抽象、
抽象×虚構、
これらでしか描けない音楽がある、というだけのことなのか。

Date: 8月 19th, 2019
Cate: 598のスピーカー

598というスピーカーの存在(KEF Model 303・その14)

そういう菅野先生だから、ステレオサウンド 43号のベストバイでは、
AU707について《透明な抜け、しなやかさ、空気感の再現では607に一歩譲るようだ》
とされている。

あわせて井上先生の43号でのAU607についても読んでおきたい。
《このモデルの独特とでもいえるプレゼンス豊かな音は、素晴らしい魅力である。物理的な性能の高さをベースとした漂うような音場感と、クッキリと細やかな輪郭で浮上らせる音像は、ナチュラルであり、QS方式での音場再生技術が活かされている》
やはり、AU607には、菅野先生、井上先生が指摘されているように独特のプレゼンス感がある。

AU707について、井上先生も
《AU−607よりもパワーアップされているために、独特のプレゼンス感は力感の裏側にかくれている》
と書かれている。

AU607とAU707は、どちらも電源トランスを左右で独立させていた。
EIコアの電源トランスを二基搭載していた。

おもしろいのは、D607、D707になってからだ。
D607は607と同じで、Eiコアの電源トランスを左右独立にして二基、
D707は大型のEIコア型の電源トランス一基に変更になっている。

もちろん巻線は左右独立だが、電源トランスは一基である。
AU-D907は、というと、こちらは二基だが、左右独立ではない。
パワーアンプの出力段用にトロイダルコアの電源トランス、
プリ部、パワーアンプの増幅部用にEIコアの電源トランスという構成だ。

Dがつくようになって、このサンスイのプリメインアンプ・シリーズは、
単なる普及機(607)、中級機(707)、上級機(907)という括りではなくなっている。

サンスイのアンプづくりのノウハウが、一歩、もしくは二歩三歩進んでいるかのようでもある。

しかもあわせて注目したいところが、出力段のトランジスターの数である。

Date: 8月 19th, 2019
Cate: 598のスピーカー

598というスピーカーの存在(KEF Model 303・その13)

菅野先生のAU607の試聴記だ。
     *
 このアンプの音質は、音が空間に浮遊する様を感じさせる点では出色のものだ。空間感とか、プレゼンスとかいう表現に近いことになるのだが、それら音場を連想させるイメージに加えて、ここで感じられるのは、音像(音源でもよい)そのものの実在感に空芯のイメージがあるとでもいいたいのである。これは、決して数多くのアンプが可能にしてくれるものではないし、スピーカーでも、このイメージが出るものとそうではないものとがあると私は思っている。概して、この感覚が得られるオーディオ・コンポーネントは、かなり練りに練られた高級品にしか見当らないものなのだ。BCIIが、空気を一杯にはらんで鳴り響いているような素晴らしいソノリティが楽しめたし、4343による、ピアノやベース、そして、ドラムスの実感も相当なものであったが、欲をいえば、この空芯感と、さらに充実したソリッドな実感が調和すれば、理想的といえる。一線を超えたアンプだ。
(ステレオサウンド 42号より)
     *
41号からステレオサウンドを読みはじめた私にとって、
42号は初めての総テストのステレオサウンドであり、
そこでの試聴記に出てくる音の表現は、読んでいるだけでも楽しかった。

ほとんどが初めてであう音の表現だった。
そのなかでも、菅野先生の試聴記に出てきた空芯感は、なんだろう? が最初の印象だった。

空芯感は、試聴記を読めばわかるように、褒め言葉である。
とはいえ空芯である。

ネガティヴな表現と捉えることもできなくはない。
このころ、この空芯感と、
五味先生が「五味オーディオ教室」で、菅野先生の音について書かれていたことが、
結びついていくのではないのか、と考えたことがある。

実を言うと、いまも考え続けている。
これ以上は、大きくそれてしまうからこのへんにしておくが、
とにかく空芯感のあるアンプとして、AU607の存在が気になったし、
しかも菅野先生は自宅のJBLのシステムで、075用にAU607のパワーアンプを使われていたこともある。

Date: 8月 19th, 2019
Cate: 598のスピーカー

598というスピーカーの存在(KEF Model 303・その12)

サンスイのプリメインアンプ・シリーズ、
607、707、907は、最初から三機種だったわけではない。

AU607とAU707の二機種から始まった。
のちにダイアモンド差動回路を採用して、AU-D907が最上級機として登場、
すぐにAU-D607、AU-D707へと改良された。

AU607とAU707は、
ステレオサウンド 42号の特集「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」で、
取り上げられ、どちらも高い評価を得ている。

この時、607は69,800円、707は93,800円だった。
試聴記(岡俊雄、菅野沖彦、瀬川冬樹の三氏)を読めば、
AU707のほうが、上級機だけあって、AU607よりも優れたアンプのように感じた。

43号のベストバイでも、
瀬川先生は
《弟分のAU607は、7万円以下という価格を頭に置いた上で、という条件つきで優秀なアンプといえるわけだが、707あたりになると、これより高価格帯の製品と聴きくらべても、そう遜色のない充実感のある音に仕上がっている》
と書かれていただけに、誰もが707の方が上だと思っただろう。

私もそう思った。
AU607とAU707は聴く機会はなかったけれど、おそらくそうであろう。
707のほうが優れたアンプなのだろう……、と思いつつも、
そのころから気にかかっていたのは、42号での菅野先生の試聴記には《空芯感》とあったためだ。

Date: 8月 18th, 2019
Cate: 598のスピーカー

598というスピーカーの存在(KEF Model 303・その11)

「コンポーネントステレオの世界 ’80」に、KEFのModel 303は、
瀬川先生による組合せは登場していない。

「コンポーネントステレオの世界 ’81」という別冊が出ていれば、
そこに登場していたことだろう。
けれど「コンポーネントステレオの世界 ’81」そのものが出なかった。

「コンポーネントステレオの世界 ’82」は出た。
けれど、そこには瀬川先生はいなかった。

瀬川先生による303の組合せは、ステレオサウンド 56号のなかに出てくるだけである。
だからよけいに、56号での組合せが記憶に残っているのかもしれない。

「コンポーネントステレオの世界 ’80」に303が間に合っていれば、
JBLの4301のかわり、もしくはA案は4301で、B案は303となっていたであろう。

アンプは、4301も303ともに、ラックスのL58Aだった、と思う。
そんなことを想像していると、303をL58Aで鳴らしてみたい、,という気持がわいてくる。

L58Aは148,000円のプリメインアンプである。
サンスイのAU-D607の二倍の価格だ。

この組合せも聴いてみたい、と思いつつも、
サンスイのAU-D607は価格的なバランスを含めて、やっぱりいい組合せと思えてくる。

そのころのサンスイには、AU-D607の上にAU-D707が、
さらにその上にAU-D907もあった。

AU-D707もいいプリメインアンプだった。
AU-D607よりも、充実した音のプリメインアンプといえた。

そんなことを思い出していると、
303にAU-D707のほうが、607よりもいい音に鳴ってくれそうだし、
607と707の価格差は25,200円である。
それほどあるわけではない。

56号の組合せでも、組合せのトータルは30万円を超えるが、
大きく超えるわけではない。

このころの25,200円の価格差は、
現在の中古市場では、どの程度の差になるのか。

ヤフオク!を先月眺めていたところでは、小さくなっている。
こうなると、303にAU-D707の組合せはどうだろうか、と妄想が少しずつ加速しはじめる。