ダイレクトドライヴへの疑問(その31)
私にとって最初ステレオサウンドは41号(1976年12月号)。
この41号といっしょに買った別冊「コンポーネントステレオの世界 ’77」は、
組合せだけ一冊である。
架空の読者とオーディオ評論家との対話によって組合せがつくられていくメインの記事、
その後に、「スピーカー第一主義の’77コンポーネント“ベスト30”」がある。
30の組合せが七人のオーディオ評論家によってつくられている。
そこにちょっと気になるプレーヤーがあった。
30の組合せ中五つの組合せに登場している。
テクニクスのSL01である。
SL01は41号の新製品紹介の記事にも登場している。
井上先生が担当されている。
でも、この時は、気になる程度であった。
半年後の43号、ベストバイで、SL01は、選者全員がベストバイとして選んでいる。
これを読んで、ちょっと気になる存在でしかなかったSL01は、
かなり気になる存在へと格上げになった。
気づかれている方もいると思うが、43号のベストバイで使われているSL01の写真は、
プロトタイプの写真なのか、プレーヤーベース右手前にあるはずのブランド名と型番の表記がない。
たったそれだけなのに、なんだかのっぺりして見えた。
SL01に関しては、「コンポーネントステレオの世界」でのカラーの方が、いい。
それでもSL01のコンパクトさを、みな高く評価されていた。
菅野先生は、
《これだけの性能が秘められていると思うと、奥ゆかしい魅力を覚える》とされていた。
それでもまだ中学生、オーディオに興味を持ったばかりの私は、
コンパクトさということは、二番目のプレーヤーに求めることのようにも考えていた。
SL01は80,000円だった。
学生には無理な価格だった。