598というスピーカーの存在(KEF Model 303・その12)
サンスイのプリメインアンプ・シリーズ、
607、707、907は、最初から三機種だったわけではない。
AU607とAU707の二機種から始まった。
のちにダイアモンド差動回路を採用して、AU-D907が最上級機として登場、
すぐにAU-D607、AU-D707へと改良された。
AU607とAU707は、
ステレオサウンド 42号の特集「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」で、
取り上げられ、どちらも高い評価を得ている。
この時、607は69,800円、707は93,800円だった。
試聴記(岡俊雄、菅野沖彦、瀬川冬樹の三氏)を読めば、
AU707のほうが、上級機だけあって、AU607よりも優れたアンプのように感じた。
43号のベストバイでも、
瀬川先生は
《弟分のAU607は、7万円以下という価格を頭に置いた上で、という条件つきで優秀なアンプといえるわけだが、707あたりになると、これより高価格帯の製品と聴きくらべても、そう遜色のない充実感のある音に仕上がっている》
と書かれていただけに、誰もが707の方が上だと思っただろう。
私もそう思った。
AU607とAU707は聴く機会はなかったけれど、おそらくそうであろう。
707のほうが優れたアンプなのだろう……、と思いつつも、
そのころから気にかかっていたのは、42号での菅野先生の試聴記には《空芯感》とあったためだ。