Archive for 5月, 2010

Date: 5月 20th, 2010
Cate: Digital Integration

Digital Integration(デジタルについて・その3)

デジタルというものについては、オーディオの体験によってでき上がっていた。
それからすると、Macでのデジタルのふるまいは、やや不思議だった。

デジタルの概念からすると、Macの方が当り前であって、オーディオにおけるふるまいのほうが、
不思議ということになるわけだが、なぜデジタルで、こうも違うところがあるのか、と感じていた。

とくにインターネットを始めてからは、その不思議さは、頭の中ではなく、感覚的に残り、すこし強くなっていく。
1997年に、アナログモデムを買って、はじめた。
最初のうちは、それこそうれしくて、あちこちからフリーウェアやシェアウェアをダウンロードしていた。

アナログモデムだから、当然、デジタルをアナログに変換して電話回線を通り、またデジタルにもどる。
D/A、A/D変換を経由しているわけだ。
オーディオで、CDトランスポートとD/Aコンバーターのあいだに、D/A、A/Dコンバーターを挿入したら、
試したことはないけれど、明らかに音質は劣化するはずだ。
どんなに高性能・高音質と評判のモノをもってきても、劣化は避けられない。

なのにインターネットを通じてダウンロードしてきたソフトウェアが劣化している、ということはない。
それは、ときどきダウンロードに失敗することはあっても、きちんとダウンロードができれば、
元と同じソフトウェアが、自分のMacの中にコピーされている。

’98年頃から、Appleのサイトから映画の予告編をダウンロードできるようになった。
これとてクォリティが劣化しているということはなかった。

これが正常なのであって、なぜオーディオでは、音が変化するのか。

Date: 5月 20th, 2010
Cate: 井上卓也

井上卓也氏のこと(その33)

アセテートテープが、実際に長持ちするかについてだが、私の知るかぎりでは、けっこう持つ。

数ヵ月前に、マランツのコントロールアンプSC23の中を見る機会があった。
SC23は1992年に発売されたもの。私が見たものが何年製造なのかはわからないが、
少なくとも10数年は経過しているはず。
SC23では、ボリュウムや電解コンデンサーにアセテートテープが貼ってある。
布粘着テープであれば、これだけの日数が経過していれば、まったく用をなさなくなっているけれど、
アセテートテープには、劣化した感じはなかった。

たしかにかなり長持ちするテープのようだ。
絶縁テープでもビニール製だと、布粘着テープ同様、ダメになっているだろう。

アセテートテープは、井上先生のつぎの試聴までに用意することができたわけだ。

井上先生がアセテートテープをどう使われるのかは、
それまでの布粘着テープの使い方と基本は同じだから、先に自分で試してみた。
なぜ井上先生が、これを用意しておけ、といわれたのが、理解できる。

Date: 5月 19th, 2010
Cate: 井上卓也

井上卓也氏のこと(その32)

アセテートテープとは、電気絶縁用の布粘着テープのこと。
布粘着テープでも代用はできるのだが、短時間の試聴ではとくに問題はないけれど、長い時間貼っておくと、
接着面がベタベタになったり、パリパリに乾いたりして、適してはいない。
(よく布製粘着テープのことを、布製ガムテープと呼ぶが、ガムテープとは水をつけて使うもの。)
それに見栄えも、あまりよくない。

それで、布粘着テープのようなことの、ほとんどないアセテートテープを用意しろ、ということだった。

余談だけれど、国内メーカーのいくつかに、劣化のほとんどない布粘着テープを開発しろ、と言ったことがある、と、
井上先生からきいたことがある。

当時、アセテートテープがどういうものはまったく知らなかった。
井上先生にきけば、教えてくれることはわかっていたけれど、
少なくとも自分で探すだけ探して見つけ出せなかったときにたずねよう、と思い、
そのときは、とくに返事をしなかったように記憶している。

聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥、というが、なにもしないで、ただきけばいいというものでもないだろう。

アセテートテープは、わりと簡単に見つかった。
秋葉原に、私用で部品を買いにいった時、なにげなくのぞいてみたオヤイデ電気に置いてあった。
ステレオサウンドの試聴室用と自分用を購入した。

Date: 5月 19th, 2010
Cate: 欲する

何を欲しているのか(その2)

10万円で何を買うかとなると、現状の手持ちのオーディオ機器の鳴らす音に、そう不満のないときには、
憧れの、というよりも、オーディオをはじめたころ、憧れていたオーディオ機器を、中古で購入するという案もある。

そのころ欲しかったものは、当時としては高価だったとしても、
それから10年、20年、もしくはそれ以上の年月が経っていれば、たいていのモノは、もうそれほど高価でもない。
中古でも入手がきわめて難しいモノもあるが、昔憧れていた機種は、ひとつではない人ばかりだろうから、
そんななかのひとつぐらいは、これだけネットが普及して、検索も容易になった世の中だから、
あせらなければ見つけ出すことはできるだろう。

そういったスピーカーシステムなりアンプを手に入れて、手入れして鳴らす、
というよりも身近に置いておく、という楽しみはある。

基本性能のしっかりしたもので、程度のいいモノならば、いまのプログラムソースやアンプやスピーカーで鳴らすと、
こんなに古いモノが! とちょっとばかりの驚きをもって鳴ることもある。
とくにスピーカーシステムに関しては、現在の優れたアンプで鳴らしてみると、当時は抽き出せなかった、
気がつかなかった魅力に、聴き惚れることもあるかもしれない。

それでも、憧れだったモノは、ほんとうに、欲していたモノだったのか、という気持を消しされるだろうか。

Date: 5月 19th, 2010
Cate: Digital Integration

Digital Integration(デジタルについて・その2)

学生の時はコンピューターにふれる機会はなかった。
だから、デジタルというものを、ふれた、といえるのは、やはりオーディオにおいて、が最初だ。

1982年のCDの登場から、といってもいいだろう。
アナログディスクでも、デジタル録音であることを謳っているものが、いくつも出ていたし、
それらを聴いてはいたから、間接的にはデジタルなるものにふれてはいたけれど、
「これがデジタルか」と単純に、つよく印象づけられたのは、やはり最初に聴いたCDの音、
以前に書いたが、試作品というか、特別仕様といってもいいマランツのCD63の音。

1991年にMacのClassic II(まだ漢字Talk6だった)を手に入れるまで、
私の中でのデジタルに対する「印象」は、すべてオーディオにおいてつくられていた。

Date: 5月 18th, 2010
Cate: 欲する

何を欲しているのか(その1)

オーディオに関するもので、いま何を最も欲しているのだろうか。

たとえば宝くじで、思わぬ大金を手にしたとする。
億を超える金額を手にしたら、リスニングルームを建てることもできる。
欲しいと思ってきたオーディオ機器の大半を、見つけ出せれば手にすることもできる。

そんな大金ではなく、その10分の1ぐらいの1千万円の臨時収入があったとしたら、どう使うか、を考える。
1千万円も十分な大金だが、いまのオーディオ機器も、かなり高価なモノが多くなっている。
1千万円では、トップクラスのモノを集めての組合せには、足りない金額となることも多い。

億を超える金額から1千万円に減ることで、そのお金の使い手に求められることが、あるはずだ。
浮上してくる、といいかえていいだろう。

1千万円の10分の1の百万円の場合だったら、どう使うか。
オーディオを長年やってきて、ある程度の装置をそろえてしまっている人にとって、
百万円では、新規のアンプやスピーカーシステムを購入しても、
いま使っているモノよりも必ずしも優れていることにはならないだろう。
グレードアップにはならないこともあるはずだ。
そうなるとふだん手を出しにくい、非常に高価なものが増えすぎたケーブルに手を出すのか、
それともメインのオーディオとは傾向の異るサブシステムを揃えるために使うのか。

さらに10分の1の10万円になってしまったら、どうするか。
オーディオ機器を購入するには難しい金額になってしまった。
インシュレーターやケーブルなどの、いわゆるアクセサリーを試しに買ってみるのか。
それともコンサートに行くのか、CDをまとめて購入するのか。

Date: 5月 17th, 2010
Cate: 長島達夫
2 msgs

気づいたこと

ステレオサウンド 127号の「レコード演奏家訪問」の記事中の写真で気がついたことがある。
(ステレオサウンドのバックナンバーは、10冊程度しか手もとになかったけれど、
4月末、坂野さんから譲っていただき、目を通しているところ。127号のその中の1冊。)

長島先生が登場されている回で、マイクロのSX8000IIに、SMEの3012-Rがついていることだ。
SX8000IIを導入されたときに、SMEのSeries Vを取りつけておられた。
カートリッジはオルトフォンのSPU-A。
それがリンのArkivIIになっている。
それに合わせてSeries Vから、3012-Rに、トーンアームも変更されたのだろうか。

3012-Rもいいトーンアームだ。私も使っていた。
でも、Series Vは、トーンアームに関して、これ以上のモノは、その前もその後も登場していない、
あえて言うが、最高のトーンアームである。

長島先生の音楽の聴き方、望む音の方向からして、3012-RよりもSeries Vである。
Series Vが、ステレオサウンドの試聴室に届き、そのときの試聴は長島先生だった。

だからはっきりと憶えている、そのとき鳴ってきた音の素晴らしさ、長島先生の昂奮ぶりは。
なのに3012-Rへの変更。カートリッジが変っても、そのぐらいで、3012-Rにされるとも思えない。

なぜなのか。

Date: 5月 16th, 2010
Cate: 真空管アンプ

真空管アンプの存在(その63)

高級なノイズストレッチャー回路を通したような、とてもよく磨かれた汚れのないクリアーなイメージがある。
一種人工的な美しさといったらいいだろうか。

つづけて瀬川先生は、こんなふうに書かれている。あるパワーアンプについての記述である。
こういう音は、清潔感のある音、と表現されることも少なくない。

あるレベル以下の微小レベルの音をなくしてしまっているけれど、
ノイズはそれ以上になくしているから、ノイズという汚れのない、きれいな音であることはまちがいない。
この手の音のアンプは、気配を感じとりにくい。気配の再現力が弱かったりする。
だから、ときに、音楽が、いきなり唐突に鳴ってくる。
それを、静寂の中に音楽のみが現れた、とも表現することはできる。

けれど、私はそういう音に満足できない。
私だけではない、長島先生もそうだった。瀬川先生もそうであろう。

とにかくノイズを聴くのが嫌という人もいる。
ごくごく微小レベルの音が失われても、それ以上にノイズが減って、
耳につかなくなればそのほうが好ましい、とする人。

一方で、ノイズが多少出ていても、できるかぎりどんな微小レベルの音であろうと再現してほしい。
とにかく鳴ってくれれば、ノイズの中に埋もれがちであろうと、
耳を澄ますことで聴きとることができるから、という人。

ノイズの中から音を拾っていく。それは慣れていないと、しんどい。
理想は、ノイズのみがない音である。いっさい微小レベルの、どんなこまかな音も失われない音。
かなり近づきつつあるものの、それでもまだ、一部の高S/N比のアンプと評価をもらっているアンプの中には、
微小レベルの音を、きれいさっぱりなくしてしまっているものがあるように感じている。
もちろん、瀬川先生が書かれた時代からすると、「あるレベル」はずっと低いところにまできているけれど……。

Date: 5月 16th, 2010
Cate: 真空管アンプ

真空管アンプの存在(その62)

瀬川先生が、こんなことを書かれている。
     *
ドルビー(ただし一般的なBタイプでなくプロ用のAタイプ)をはじめとするノイズリダクションシステムを通すと、ヒスノイズを含めてそこにまつわりつく何かよごれっぽい雑音がきれいさっぱりと除かれると共に、極めてわずかながら音の余韻の最後のデリケートな響きをあるレベル以下できっぱり断ち切ってしまうようなところもある。
     *
長島先生も、表現は異るものの、同じことをよく言われていた。

アンプ内部には、ドルビーシステムのようなノイズリダクション回路は存在しないが、
トランジスターや真空管といった増幅素子の並列仕様によるノイズの打ち消しにも、こういう面がある。

真空管アンプの場合、S/N比を高めるために、安易にヒーターをDC点火する。
なかには三端子レギュレーターを使い、より低インピーダンス・低リップルの直流点火を行っているものがある。
たしかにハムやノイズは低下する。きれいさっぱりな音になり、S/N比は測定上も、一聴すると聴感上も、向上している。

なにもハムやノイズが盛大に出ているのがいい、と言いたい訳ではない。
もちろんハムは確実に、ノイズもできるかぎり減らしていくべきではある。
けれど安易にノイズを減らすことだけに集中してしまうと、なぜノイズを減らすのかを忘れてしまっている。
そんな印象を受けるアンプがある。

大事なのは微小レベルの音、
瀬川先生の言葉をかりると「音の余韻のデリケートな響き」のきわめてわずかなところを、
どこまでクリアーに聴きとれるようにするか、である。

Date: 5月 15th, 2010
Cate: Digital Integration

Digital Integration(デジタルについて・その1)

川崎先生の5月14日のブログ「信号と記号は光線上にあるかもしれない」において、
アナログ(信号)、デジタル(記号)と書かれている。

20数年前、井上先生が言われていた。
「CDに記録されているのはデジタルだけど、CDプレーヤー内部での振る舞い・伝達はアナログそのものである」

感覚的に、なんとなく理解はできた。
けれど、もうひとつ頭の中で明確化することはできずに、20年以上が過ぎていた。

アナログ(信号)、デジタル(記号)──、
これだけのことばで、はっきりした。すっきりした。

CDに刻まれているピットは、記号(デジタル)である。
その記号の純粋性が保たれているのは、いまのところCD上においてのみ、であって、
ピックアップで読みとられ、処理された時点で、それは信号へと変換されている。
波形はデジタル的であっても、電気信号として存在することになり、同時に時間軸も発生している。

井上先生の言葉に、こういうことも含まれていた、といま気がつく。

川崎先生は、こうも書かれている。

アナログ(信号)からデジタル(記号)へ=A/D ?
デジタル(記号)からアナログ(信号)へ=D/A ?

Date: 5月 14th, 2010
Cate: トーラス

同軸型はトーラスなのか(その22)

以前にも書いているが、AU-D907 Limited を使っていたとき、サンスイ宛に手紙を書いたことがある。
スーパー・フィードフォワード・システムを搭載したAU-D907Fが登場したときに、だ。

AU-D907 Limited に手を加えて、スーパー・フィードフォワード・システムを搭載できないか、という、
いま思えば、かなり無謀なお願いの手紙だった。

当時は、その少し前にDCサーボが各社のアンプに採用されていたころで、
スーパー・フィードフォワード・システムも、DCサーボと同程度の規模の別の回路をつけ加えることで、
実現できるものだと、勝手に思っていたから、そんな手紙を書けた。

いまスーパー・フィードフォワード・システムの資料や実際の回路図をみると、
既存のアンプに手を加えて搭載することが、いかに困難なことか、というよりも、ほぼ無理なことはわかる。

それでも、AU-D907 Limited を母体としてスーパー・フィードフォワード・システムを世に問うていたならば、
と、どうしても思ってしまう。
最初からAU-X11で、問うべきレベルの回路だっただけに、
一連のFシリーズは、それまでのD607、D707、D907にくらべ、必ずしも評価が高かったわけではない。

特許の期限は20年だから、すでにサンスイのスーパー・フィードフォワード・システムの特許は切れている。
いま他社が、この方式を採用することはないだろう。
このまま埋もれてしまうには、もったいない回路技術である。

非反転アンプのNFBをトーラスと、反転アンプのNFBをメビウスの環としたら、
スーパー・フィードフォワード・システムは、クライン・ボトル、とまではいわないものの、
そこに通じるものが潜んでいるような気がしてならない。

クライン・ボトル的視点から、スーパー・フィードフォワード・システムを再検討してみたら、
先に進める予感がする。

Date: 5月 13th, 2010
Cate: トーラス

同軸型はトーラスなのか(その21)

サンスイのスーパー・フィードフォワード・システムが、どういう回路になっているのか、その詳細は、
Google Patents で検索すれば、詳しい資料が見つかるし、
実際の製品ではどういう回路になっているのかは、海外のサイトを検索すれば、
当時のサンスイのアンプの回路図が見つかる。

当時のサンスイのカタログや広告に載っていた概略図では想像つきにくいが、
これらの資料をみればわかるように、スーパー・フィードフォワード・システムは、
サンスイの当時のアンプはすべて一般的なアンバランス出力だったが、
回路の規模は、バランスアンプとほぼ同程度のものを必要とする。

プリメインアンプのラインナップでも、上級機の907にはすぐに搭載せずに、
その下の707、607が早かったことからのイメージから、それほど規模の大きなものとは、当時は思いもしなかった。

本来ならば、スーパー・フィードフォワード・システムは、プリメインアンプならば最低でも907クラス、
できればセパレートアンプ(パワーアンプ)からさきに搭載すべきものである。

このへんは、サンスイだけの特殊なことではなく、国産メーカの多くは、新技術をまず売れ筋の価格帯に投入する。
海外メーカーならば、最上級機に投入するような新技術でも、なぜか最初は普及クラスから、となっていた。

もしスーパー・フィードフォワード・システムを、サンスイの威信を懸けたパワーアンプ、
もしくは907の上に位置するプリメインアンプに、まず投入していたら、
この方式への印象、そして評価ははずいぶん違ったものになっていたはずだ。

Date: 5月 13th, 2010
Cate: トーラス

同軸型はトーラスなのか(その20)

サンスイのスーパー・フィードフォワード・システムを、最初に搭載したのは、
プリメインアンプのAU-D607FとAU-D707Fのパワーアンプ部である。

パワーアンプ部はいうまでもなく電圧増幅部と電流増幅部の、大まかにいって2つのブロックから構成されている。
オーバーオール(アンプの出口から入り口まで)でかけているのはフィードバック(NFB)だけである。
電圧増幅部も電流増幅部も、ひとつの大きなフィードバック・ループのなかにおさまっている。

フィードフォワードは、というと、電流増幅部のみにかけられている。
簡単に説明すると、電流増幅部がふたつ存在し、片方はこれまでどおり信号増幅用として使われ、
もう片方がフィードフォワードのループを形成するのに使われている。

電圧増部からの信号は2つに分けられ、それぞれの電流増幅部にはいり、
どちらの出力にもサミングネットワークが設けられている。
NFBは、このサミングネットワークと電流増幅部のあいだから電圧増幅部の入力へと返される。

フィードフォワードによる歪の打ち消しは、サミングネットワークを通ったあとで行なわれる。
サミングネットワークはNFBのループからは外れている。

フィードフォワードが成立つために必要な予測とは、
正確な補正信号と、その補正信号の正確なタイミングである。

正確な補正信号を作り出しても、合成時のタイミングがズレてしまえば、
歪を打ち消すどころか、逆に新たな歪を作り出すことになる。
このタイミングを揃えるための回路が、サミングネットワークと呼ばれているものだ。

Date: 5月 13th, 2010
Cate: the Reviewの入力

the Review (in the past) についてのお知らせ

audio identity (designing) も the Review (in the past)
どちらのブログもMovable Typeで作り管理していますが、
すこし前から the  Review (in the past) の方だけ、ときどきエラーが出るようになり、
今日、さらに更新しようとしたところ、記事の作成・更新をしようとすると、エラーが出てしまい、
まったく新規記事や過去の記事の校正もできなくなりました。

思いつくかぎりあれこれ試してみましたが、いまのところ回復できていません。

昨年の6月1日に開始して、あとちょっと1年というところでしたが、しばらく更新が停止します。

もともとブログ形式で、こういう内容は、必ずしも適しているとは言い難い面もありましたので、
まだはっきりと決めていませんが、今後は、ファイルメーカーから発売されているBentoを使い、
きちんとしたデーターベースとして構築することも考えています。

Bentoは、iPhone用も用意されていますし、アメリカではすでにiPad用もありますから、
いずれ日本でもiPad用が出てくるでしょうから、
新たな手間がかかるけれど、Bentoに、けっこう心が傾いています。

Date: 5月 12th, 2010
Cate: トーラス

同軸型はトーラスなのか(その19)

こんなふうに人間の動作で考えていくと、フィードフォワードに必要な要素がはっきりしてくる。
予測と、その正確さ、である。

いいかげんな予測であれば、求める効果は望めない。
ただ、人間の動作と同じように、そこにフィードバックがかかっていれば、
即座に、予測の、そのズレを修正できる。

アンプにおいて、フィードフォワードがうまくいかなかったのは、
正確な予測が不可能であったためではないだろうか。
人間には脳がある。しかしアンプには、脳に相当するものは存在しない。

フィードフォワードがうまくかかっていない状態では、
出力段のパワートランジスターが過電流によってダメージを受けたり、
歪を打ち消すはずなのに、逆に歪が増えてしまうという現象が起こったりする、ときいている。

ならば人間と同じように、フィードフォワードとフィードバックを組み合わせれば、
うまく動作する可能性が出てくる、と考えるわけだが、
ここでもくり返しになるが、アンプには「脳」がない。

単に入力から出力、出力から入力に、
フィードフォワード、フィードバックをトータルループでかけてもうまくいくわけがない。

サンスイのスーパー・フィードフォワード・システムは、この点を見事に解決している。