井上卓也氏のこと(その32)
アセテートテープとは、電気絶縁用の布粘着テープのこと。
布粘着テープでも代用はできるのだが、短時間の試聴ではとくに問題はないけれど、長い時間貼っておくと、
接着面がベタベタになったり、パリパリに乾いたりして、適してはいない。
(よく布製粘着テープのことを、布製ガムテープと呼ぶが、ガムテープとは水をつけて使うもの。)
それに見栄えも、あまりよくない。
それで、布粘着テープのようなことの、ほとんどないアセテートテープを用意しろ、ということだった。
余談だけれど、国内メーカーのいくつかに、劣化のほとんどない布粘着テープを開発しろ、と言ったことがある、と、
井上先生からきいたことがある。
当時、アセテートテープがどういうものはまったく知らなかった。
井上先生にきけば、教えてくれることはわかっていたけれど、
少なくとも自分で探すだけ探して見つけ出せなかったときにたずねよう、と思い、
そのときは、とくに返事をしなかったように記憶している。
聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥、というが、なにもしないで、ただきけばいいというものでもないだろう。
アセテートテープは、わりと簡単に見つかった。
秋葉原に、私用で部品を買いにいった時、なにげなくのぞいてみたオヤイデ電気に置いてあった。
ステレオサウンドの試聴室用と自分用を購入した。