同軸型はトーラスなのか(その22)
以前にも書いているが、AU-D907 Limited を使っていたとき、サンスイ宛に手紙を書いたことがある。
スーパー・フィードフォワード・システムを搭載したAU-D907Fが登場したときに、だ。
AU-D907 Limited に手を加えて、スーパー・フィードフォワード・システムを搭載できないか、という、
いま思えば、かなり無謀なお願いの手紙だった。
当時は、その少し前にDCサーボが各社のアンプに採用されていたころで、
スーパー・フィードフォワード・システムも、DCサーボと同程度の規模の別の回路をつけ加えることで、
実現できるものだと、勝手に思っていたから、そんな手紙を書けた。
いまスーパー・フィードフォワード・システムの資料や実際の回路図をみると、
既存のアンプに手を加えて搭載することが、いかに困難なことか、というよりも、ほぼ無理なことはわかる。
それでも、AU-D907 Limited を母体としてスーパー・フィードフォワード・システムを世に問うていたならば、
と、どうしても思ってしまう。
最初からAU-X11で、問うべきレベルの回路だっただけに、
一連のFシリーズは、それまでのD607、D707、D907にくらべ、必ずしも評価が高かったわけではない。
特許の期限は20年だから、すでにサンスイのスーパー・フィードフォワード・システムの特許は切れている。
いま他社が、この方式を採用することはないだろう。
このまま埋もれてしまうには、もったいない回路技術である。
非反転アンプのNFBをトーラスと、反転アンプのNFBをメビウスの環としたら、
スーパー・フィードフォワード・システムは、クライン・ボトル、とまではいわないものの、
そこに通じるものが潜んでいるような気がしてならない。
クライン・ボトル的視点から、スーパー・フィードフォワード・システムを再検討してみたら、
先に進める予感がする。