同軸型はトーラスなのか(その19)
こんなふうに人間の動作で考えていくと、フィードフォワードに必要な要素がはっきりしてくる。
予測と、その正確さ、である。
いいかげんな予測であれば、求める効果は望めない。
ただ、人間の動作と同じように、そこにフィードバックがかかっていれば、
即座に、予測の、そのズレを修正できる。
アンプにおいて、フィードフォワードがうまくいかなかったのは、
正確な予測が不可能であったためではないだろうか。
人間には脳がある。しかしアンプには、脳に相当するものは存在しない。
フィードフォワードがうまくかかっていない状態では、
出力段のパワートランジスターが過電流によってダメージを受けたり、
歪を打ち消すはずなのに、逆に歪が増えてしまうという現象が起こったりする、ときいている。
ならば人間と同じように、フィードフォワードとフィードバックを組み合わせれば、
うまく動作する可能性が出てくる、と考えるわけだが、
ここでもくり返しになるが、アンプには「脳」がない。
単に入力から出力、出力から入力に、
フィードフォワード、フィードバックをトータルループでかけてもうまくいくわけがない。
サンスイのスーパー・フィードフォワード・システムは、この点を見事に解決している。