Archive for category テーマ

Date: 8月 23rd, 2022
Cate: 老い

22年(コメントを読んで)

その3)へHiroshi Noguchiさんのコメントがあった。
残念ながら、ボザール・トリオはMQAではない。

ワーナー・クラッシクスでの録音はMQAになっているが、
私がボザール・トリオときいて、まず思い浮べるフィリップスへの録音は、
いまのところTIDALではMQAになっていない。

e-onkyoはどうかというと、
ベートーヴェンのピアノ三重奏曲がMQA(192kHz)になっている。
今年の6月に配信が開始になっている。
個人的には、デジタル録音なのだが、モーツァルトもぜひMQAにしてほしい。

Date: 8月 22nd, 2022
Cate: ステレオサウンド

奇妙な光景(その2)

そんなふうに立読みされなくなりつつあるオーディオ雑誌だけを、
なぜビニールで巻いているのか。

そんな手間を紀伊國屋書店がするようにしたとは思えない。
私の勘ぐりでしかないのはわかっているが、
ステレオサウンド、音楽之友社側からの要望なのではないのか。

HiViは別項で書いているように、
6月発売の号で月刊誌としては終りで、9月発売の号からは季刊誌になる。
隔月刊誌ではなく、いきなり月刊から季刊である。

それだけ売れていないのだろう。
売れていないのだから、紀伊國屋書店という大型書店で、
ビニールを巻いてもらい、立読みを防ぐ。
それで売行きを少しでも増えそうということなのか。

何ひとつ確かめているわけではない。
くり返すが、私の勘ぐりでしかない。

売行きが落ちていても、内容に自信があれば、こういう選択はしない。
むしろ書店で手にとってもらい、ぱらぱらと立読みしてもらうことで、
買ってもらえることだって生じるからだ。

事実はわからない。
でも、自信を失った雑誌の悪あがきのようにもうつる。

それともいま書店に並んでいる三誌には、附録でもついていて、
万引き防止のためのビニール巻きなのか。

Date: 8月 22nd, 2022
Cate: ステレオサウンド

奇妙な光景(その1)

今日の午後、ひさしぶりに新宿の紀伊國屋書店に行った。
以前はよく行っていたけれど、コロナ禍のせいで、
ここ三年弱は足が遠のいていた。

今年はまだ二回目のはず。
八階までエレベーターで行き、それから階段で下の階に移動しながら、
あれこれ見てまわっていた。

雑誌コーナーは一階。
以前とはレイアウトが変更になっている。
音楽関係、オーディオ関係の雑誌のコーナーはどこかなと探していたら、
ステレオサウンドの223号の表紙が目に留った。

けれど、ちょっと変な感じがする。
近づいてみたら、ステレオサウンドには透明のビニールが巻かれてあった。
隣りにあったステレオもそうだった。
さらに隣りのHiViもそうだった。

紀伊國屋書店が雑誌を立読みさせないように、こうしたのであれば、
他の雑誌も同じようにビニールで巻かれているはずなのに、
少なくとも今日、私が見た範囲では上記の三冊だけだった。

奇妙な光景だった。
ステレオサウンドもHiViもKindle Unlimitedで読める。
発売日に読めるわけではないが、少し待てば読めるわけで、
Kindle Unlimitedユーザーは立読みしようとは思っていないだろう。

ステレオはKindle Unlimitedでは読めない。
けれど、ここ十年以上、書店でオーディオ関係の雑誌を立読みしている人は、
あまりいない、というか、ほとんどみかけない。

私の行動範囲では、年に二人か三人ほどである。

Date: 8月 22nd, 2022
Cate: 真空管アンプ

五極管シングルアンプ製作は初心者向きなのか(50CA10単段アンプ・その6)

倍電圧整流にSiC SBDの採用。
これをやってみようと思ったのには、別の理由もある。

いま押入れで眠ったままのQUADのESL63proの存在だ。
いうまでもなくESL63proはコンデンサー型なのだから、高圧を必要とする。
そのための回路も倍電圧整流である。

50CA10のシングルアンプで、SiC SBDによる倍電圧整流が好結果をもたらしてくれたら、
ESL63proにも使えるはず、と考えているからだ。

SiC SBDを全面的に使用したコンデンサー型スピーカーの音も、
なかなかに興味深い。

もうどこかのメーカーが出しているのだろうか。
それとも、まだなのか。

Date: 8月 21st, 2022
Cate: ジャーナリズム, ステレオサウンド,

オーディオの殿堂(その7)

オーディオテクニカ独自のVM型。
この方式を開発したのは、普通に考えれば、
当時のオーディオテクニカの技術者ということになる。

私だって、オーディオに関心をもち、ステレオサウンドで働くようになるまでは、
そう思っていた。

けれど井上先生という人を知るにつれて、
もしかするとオーディオテクニカのVM型のアイディアは井上先生なのではないのか。
そんなふうに思うようになってきた。

だからといって、何らかの確証、
それがちっぽけなものであっても確証へとつながっていくことを知っているわけではない。

井上先生に訊ねたところで、うまくごまかされたであろう。
そのことを話題にしたこともない。

それでもオーディオテクニカの創業者、松下秀雄氏と井上先生のつきあい、
そのことから私が勝手に妄想しているだけにすぎないのは自覚している。

それでも私はVM型のアイディアは井上先生と確信している。

Date: 8月 21st, 2022
Cate: ジャーナリズム, ステレオサウンド,

オーディオの殿堂(感じていること)

三年前、別項「評論(ちいさな結論)」で、
いい悪いではなく、
好き嫌いさえ超えての
大切にしたい気持があってこその評論のはずだ、
と書いている。

ステレオサウンドの「オーディオの殿堂」を眺めて、
大切にしたい気持があってこその評論、とはまったく思えない。

Date: 8月 20th, 2022
Cate: 真空管アンプ

五極管シングルアンプ製作は初心者向きなのか(50CA10単段アンプ・その5)

たとえばジャディスのJA200やマイケルソン&オースチンのM200のような、
大規模な真空管アンプを手がけるとしたら、
整流管ではなく私でも整流ダイオードを選択するであろう。

けれど私が作りたい真空管アンプは、そんな大規模なモノではない。
数十Wクラス、それも50Wを切るくらいの出力のアンプだから、
いくつかの理由から整流管を選択するのだが、
今回の50CA10は、流用する電源トランスが倍電圧整流が前提ということもあって、
それに巻線の関係もあって、整流管をあきらめざるをえない。

ダイオードで整流するわけだが、
せっかくだから、それに実験的なアンプでもあることから、
ダイオードには、SiC SBDを使う。

SiC SBDとは、シリコンカーバイド・ショットキーバリアダイオードのこと。
自作に関心のある人ならば、数年前から使っているだろうし、
関心を寄せているとも思う。

整流ダイオードの種類と、その音については、
いろんな意見があるのは知っている。

SiC SBDは絶賛する人がけっこういる。
でも否定的な人もいるといえばいる。

でも、ダイオードとしては高価なほうだが、
絶対的な価格としてはさほど高いわけではない。

うまくいかなければ、一般的なダイオードにすればいいし、
私自身、SiC SBDを試してみたいのだから、
今回の50CA10の単段シングルアンプでは、まずはSiC SBDで作る。
すでに注文済み。

Date: 8月 20th, 2022
Cate: audio wednesday, High Resolution

MQAのこと、TIDALのこと(audio wednesdayのこと)

昨夏からソニー・ミュージック、ソニー・クラシカルのアルバムが、
すごいいきおいでTIDALでMQA Studioで聴けるようになっていった。

このアルバムも、あのアルバムもある。
昨年8月は、毎日TIDALにアクセスするのがほんとうにワクワクだった。

グレン・グールドのアルバムもMQA Studioで聴けるようになった。
これだけでも嬉しい限りなのだが、他にもここに書き切れないくらい、
MQAで聴きたかったアルバムの多くが聴けるようになっている。

そういうアルバムをMQAで聴くたびに、
いまaudio wednesdayをやっていたら、次回は、これをメインにかけるだろうな──、
そんなこともおもってもいた。

たとえばもし、いまもaudio wednesdayを続けていたら、
9月には“FRIDAY NIGHT IN SAN FRANCISCO”と“SATURDAY NIGHT IN SAN FRANCISCO”、
それから“ESCAPE”をかける。

いまはaudio wednesdayはやっていない(やれずにいる)から、
単なる妄想にしかすぎないのだが、
このことがaudio wednesday (next decade)を、
音なしではあるけれど始めるきっかけ(動機)の一つになっているのは確かなことだ。

TIDALで見つけた曲(アルバム)を、次の月のaudio wednesdayで鳴らす。
そういう日が来るのかどうかは、いまのところなんともいえないが、
そういう気持で音楽を聴けるというのも、楽しいことの一つである。

Date: 8月 19th, 2022
Cate: ディスク/ブック

ESCAPE

8月19日に日付が変った直後に、
e-onkyoのサイトにアクセスしたら、ジャーニーの“ESCAPE”がジャケットに目に入った。

2022年リマスター、とある。
TIDALでもあるかな、と思って見たが、まだなかった。
どうも時差の関係で少し遅れるようで、今日の午後、TIDALをチェックしたら、あった。

e-onkyoではflacで、48kHz、96kHz、192kHzがあるが、
MQAはなかった。

TIDALはMQA Studioで、192kHzのみである。
音がいい。
聴いていて楽しくなる音のよさである。

“ESCAPE”は1981年のアルバム。
当時の若者は(私もその一人なのだが、リアルタイムでは聴いていない)、
“ESCAPE”を聴いていたわけだ。

別項で「熱っぽく、とは」を書いているけれど、
“ESCAPE”を当時夢中になって聴いていた若者ならば、
買ったアンプをトートバッグに入れて持ち帰ることぐらいなんでもなかったのかもしれない。

そんな、こじつけめいたことも聴き終ってから思っていた。

Date: 8月 19th, 2022
Cate: 真空管アンプ

五極管シングルアンプ製作は初心者向きなのか(50CA10単段アンプ・その4)

50CA10単段シングルアンプのシャーシーには、鈴蘭堂のSL8を考えている。
鈴蘭堂といっても、いまでは会社がなくなっているが、
タカチがSLシリーズを引き継いで製造してくれている。

タカチの型番はSRDSL8である。
SRDは、鈴蘭堂の略。

できればもっと小さなシャーシーがほしいし、
伊藤先生のアンプに憧れてきた私にとっては、シャーシーの高さが50mmであれば、
もっといいのに、と思うのだが、それでもタカチはいまも製造してくれている。
このことは、ありがたい。

SRDSL8のサイズは、W350×H58.2×D224.5mm。
まだシャーシーは注文していないが、
トランス類はすべて自作アンプから取り外して、
SRDSL8の天板と同じサイズの紙の上に並べている。

こうやって全体のバランスをおおまかに決めていく。
そして次は発泡スチロールを用意して、真空管を挿せるようにして、
こまかく配置を決めていく。

こんな地味なことから、始まっていく。

Date: 8月 18th, 2022
Cate: 表現する

熱っぽく、とは(その2)

《熱っぽく》に関することで、思い出すことがある。
東京に来たばかりのころ、1981年ごろのことである。

このころ、ダイナミックオーディオにはトートバッグがあった。
並の大きさのトートバッグではなかった。
プリメインアンプがすんなり入る大きさのトートバッグである。

もちろんアンプ一台分の重量に耐えられるだけのしっかりしたつくりでもあった。
いまでは考えられない光景だろうが、
あのころの若者は、アンプを、このトートバッグに入れて持ち帰っていた。

頻繁に見掛けるわけではなかったけど、
秋葉原で何度か、そうやって持ち帰っている人がいた。

あのころはそれが当り前のように受け止められていた。
けれど、普通のことではないわけで、
そこには熱っぽさがあってことのはずだ。

しかもその熱っぽさは伝染していくのかもしれない。

Date: 8月 18th, 2022
Cate: 老い
1 msg

22年(その3)

昨晩、五味先生の、この文章も思い出した。
     *
 死のつらさを書かぬ作者は、要するに贋者だ。
 そいつは初めから死馬である。幾らだってだから書ける。狂うことも、自殺することもないわけで、死馬ほど安楽な状態はあるまい。シューマンはその点、所詮、死馬に耐えられなかった。彼の作品は、悉く若い時代に為したもので、私に言わせればシューマンは音楽家よりは文学者になるべき人だったとおもう。彼の作品活動は、その良いものは三十二歳までだ。音楽に向っては、若い裡にしか流露しないそういう才能なのであり、あとの十余年は、死馬になった己れとの闘いだったろうと思う。ライン川への投身はその意味では、潔い行為で、精神錯乱と呼ぶのは死馬の輩だ。しかもシューマンには、しっぺ返しを喰うほどの才能の結実さえ(作品四一の弦楽四重奏曲、同四四のピアノ五重奏曲、それにピアノ四重奏曲を除いては)なかったと、私なら言う。少なくとも作曲上不可欠な構成力といったものが、彼には欠けていたのではなかったかと。
(「音楽に在る死」より)
     *
思い出したから、シューマンのピアノ五重奏曲を聴いた。
ボザール・トリオの演奏で聴いた。

Date: 8月 18th, 2022
Cate: audio wednesday

第一回audio wednesday (next decade)

昨晩「audio wednesday (next decade)」を公開したあとに、
ふとおもったことがある。

何も音を出すことにこだわることもない、ということにだ。

audio wednesdayと呼ぶ前はaudio sharing例会といっていた。
そのころは集まって、テーマを決めて話すだけだった。
音を出すようになったのは、けっこう経ってからだった。

音を出して聴いてもらうことは楽しい。
だから、ついそのことにこだわってしまっていた。

またaudio wednesdayを始めて、続けていれば、いつかは音を出せる日が来るかもしれない。
そうおもったから、再開することにした。

9月7日が、audio wednesday (next decade)の一回目である。
一年半以上やっていなかったから、今回は集まることがテーマといえる。

場所は決めていない。
多くの人が来てくれるわけではないから、
数人でジャズ喫茶、名曲喫茶めぐりをする予定である。

Date: 8月 18th, 2022
Cate: 映画

MINAMATA

昨年9月にようやく公開された映画「MINAMATA」。
Netflixで、今日から配信が始まっている。

別項「いま、そしてこれから語るべきこと」で書いている。

映画「MINAMATA」の最後のシーン。
あの写真の撮影シーン。
あれもピエタである。

Date: 8月 17th, 2022
Cate: 単純(simple)

シンプルであるために(iPhoneとミニマルなシステム・その6)

LotooのPAW S1はバッテリーを搭載していない。
バスパワーで動作するモデルである。

ゆえに接続される機器の電源の状態でも、音は影響を受けているはずである。
私はiPhone 12 Proしか接いでいない。
他メーカーのスマートフォンに接続した音は聴いていない。

なのではっきりしたことは何もいえないのだが、
少なくともiPhone 12 Proと接続した音、
いいかえればiPhone 12 Proからのバスパワーで動作するPAW S1の音は、
けっこういい感じである。

ならばPAW S1にバッテリーが搭載されたら、もっといい音になるのか。
そんなことを想像するわけだが、
でも本当にそうだろうか、とも考えてしまう。

電源(ここではリチウムイオンバッテリー)が、
iPhone 12 ProとPAW S1とで共通である。

そのことによる音の良さということもある気がするからだ。
電源を独立させれば、そのことによる音の変化ははっきりと出る。

いい音になるといえば、そういえるところもけっこう多い。
でもそれだけだろうか。
メリットだけだろうか。

世の中のどんなことにも、メリットとデメリットがある。
ならば電源がトランスポート(iPhone 12 Pro)と、
D/Aコンバーター兼ヘッドフォンアンプ(PAW S1)で共通(一つ)、
そのことによるメリットが音の面であるような気がする。

といっても、それを確かめるのはけっこうやっかいなのだが。