「スピーカー」論(ピストニックモーションにまつわる幻想・その4)
古いアルテックのコンプレッションドライバーを持っている人は、
当時のアルテックのダイアフラムのリード線が断線しやすいことを知っている(体験している)。
あのリボン状のリード線は、見るからに断線しやすい形状だ。
実をいうと、私が持っている604-8Gのダイアフラムもこのタイプで、
片側+と−で二箇所、両チャンネルで四箇所、きっちりと断線している。
ダイアフラムを交換すれば済むことなのだが、
アルテックは実質的に存在しない。
いわゆる純正のダイアフラムは入手困難だし、
出てきたとしてもけっこうな値段がついている。
どうしてもオリジナルでなければならない、という強いこだわりを持っている人ならば、
かなり高額でもオリジナルのダイアフラムを買うことだろう。
でも、そうやってオリジナルのダイアフラムを買ったとしよう。
私の場合は、リボン状のリード線のダイアフラムとなる。
当然、断線しやすいのはそのままだ。
私は、オリジナルにこだわる気持とこだわらない気持との両方を持つ。
604-8Gの場合、オリジナルのダイアフラムをさがそうとはまったく考えていない。
そんな私が第一候補としているのが、アメリカのRADIANのダイアフラムである。
日本では、コージースタジオが輸入元になっている。
RADIANのダイアフラムをアルテックに取りつけると、
アルテックの良さが失われる、という意見が日本にはある。
何をアルテックの良さと捉えているかによって、このあたりの評価はわかれる。