Archive for category テーマ

Date: 5月 7th, 2023
Cate: High Resolution

MQAのこれから(とTIDAL・その5)

ドイツ・グラモフォンは、TIDALでの配信でMQAをやめるのだろうか──、
そう思わせるほどけっこうな数のタイトルがMQAではなくなっているのだが、
5月5日に配信が始まったマリア・ドゥエニャスのアルバムはMQAなのだ。

MQA破綻のニュースが流れて一ヵ月が過ぎた。
TIDALでは、MQAの配信がいまも続いている。

e-onkyoは、Qobuzへのサービスの切り替えのためにMQAでの配信を終了した。
そのQobuzも、年内には日本でのサービスが開始される、といわれている。

始まるのかもしれないし、もしかすると来年以降になってしまうのかもしれない。
そんな気がしないでもないのは、TIDALがなかなか開始されないからだ。

おそらくなのだが、TIDAL、Qobuzにしてもサービス開始の障害となっているのは同じなのだろうから、
どちらかが先に始まるということは考えにくい。

始まるとしたらほぼ同時期になるのではないだろうか。

Date: 5月 4th, 2023
Cate: ディスク/ブック

花図鑑(その1)

薬師丸ひろ子の歌は、「セーラー服と機関銃」が最初だった。
けれどシングル盤、LPを買うことはなかったから、
薬師丸ひろ子の他の歌についてはほとんど知らなかった。

1986年に「花図鑑」が出た。
黒田先生がステレオサウンド 80号の連載「ぼくのディスク日記」で書かれている。
黒田先生が買われたのは、「花図鑑」のCD。

CDが登場して四年。
かなり普及していたから、LPよりもCDという時代だったから、
「ぼくのディスク日記」を読んで買ったのは、だからCDだった。

「花図鑑」が最初に買った薬師丸ひろ子のアルバムとなった。
それからぽつぽつ薬師丸ひろ子のCDを買うようになったけれど、LPを買うことはなかった。

昨日はaudio wednesday (next decade)だった。
参加されたHさんが、吉祥寺のハードオフに行ってみたい、ということだった。
ハードオフの店舗にはLPも置いてある。

吉祥寺の店舗ももちろんある。
これまで何度か吉祥寺のハードオフに行ってたけれど、
LPのコーナーを見ることは一度もなかった。

Hさんが歌謡曲のコーナーで、「花図鑑」を見つけてくれた。
ピンナップつきの初回プレス盤で、ジャケットの傷みもない。
かなりきれいなコンディションだった。

高いのかなぁ──、と思ったけれど、案外安かった。
非売品のソノシートもついている、とある。
盤面を確認することなく購入した。

帰宅して盤面をみると、そうとうにきれいだった。
新品に近いと感じるほどだった。

一人でハードオフに行っていても、たぶん出逢うことはなかった。
「花図鑑」ははじめて買った薬師丸ひろ子のアルバム(CD)であり、
初めて買った薬師丸ひろ子のLPとなった。

とはいえ「花図鑑」を聴くのはMQA(96kHz、24ビット)だったりする。

Date: 5月 4th, 2023
Cate: 老い

老いとオーディオ(とステレオサウンド・石岡瑛子氏の発言とBLUE GIANT)

4月30日、Oさんのところにうかがったときに、
映画「BLUE GIANT」が話題にのぼった。

この日、集まった五人のうち三人が観ている。
Oさんが観に行ったのは休日だったということで、
映画館は若い人が大勢いたとのこと。

平日の朝一の上映で行っている。
劇場も違うし、時間帯も違うこともあって、若い人よりも年輩の人が多かった印象だったし、
空席もけっこうあった。

なので若い人は、あまり観ていないのか──、とそんなふうに思っていただけに、
三週間前に書いている(引用している)石岡瑛子氏の発言を思い出してもいた。

Oさんは、こんなこともいわれた。
したり顔のジャズ評論家の文章よりも、「BLUE GIANT」のほうが、
若い世代の音楽の聴き手にアピールしていくはず、と。

原作となったマンガ「BLUE GIANT」はいまも連載中である。
映画「BLUE GIANT」もヒットしているようだから、二作目、三作目が制作されても不思議ではない。

したり顏のジャズ評論家の文章と「BLUE GIANT」、
どちらがラディカルなのか。

Date: 5月 1st, 2023
Cate: High Resolution

MQAのこれから(とTIDAL・その4)

TIDALは、どこの国のアカウントなのかによって、
配信のラインナップは多少違うときいている。

どのくらい違うのかは、アカウントをひとつしか持っていないので確かめようはないが、
例えばロドリーゴ・イ・ガブリエーラは、
アメリカのアカウントでアクセスするとMQAで聴けるアルバムは、
最新のアルバムぐらいしかない。

けれど、どうもカナダのアカウントだと他のアルバムもMQAで聴けるようなのだ。

さきほどfacebookを眺めていたら、
ケイト・ブッシュのアルバムもMQAで聴けなくなった、という投稿があった。

すぐさま確認したらMQAではなくなっている。
ケイト・ブッシュに関しては、e-onkyoで全アルバムをMQAで購入しているので、
しまった! と思うこともがっかりすることもないけれど、
この投稿へのコメントで、他の国の人は、数枚のアルバムはまだMQAだ、とあった。

(その3)でドイツ・グラモフォンのMQAのアルバムの多くが削除されている──、
と書いたが、これはアメリカのアカウントだからなのか、
もしかするとドイツのアカウントならば、まだMQAで聴けるアルバムが残っているのか。

Date: 5月 1st, 2023
Cate: 名器

ヴィンテージとなっていくモノ(マランツ Model 7・その2)

昨日は、Aさんの友人のOさんのところに伺っていた。
Oさんのところにも、マランツのModel 7があった。

3月、あるところでModel 7の音を聴いている。
どちらも他のコントロールアンプと比較試聴したわけではないから、
Model 7の音だけを聴いたとはいえないわけだが、
Model 7の音を続けて聴いたことは、これまでなかった。

どちらのお宅も、パワーアンプはマランツではなかった。
他社製の管球式パワーアンプとの組合せだった。

スピーカーは、どちらもラッパと呼びたくなるモノで、能率も高め。
そういう状況でModel 7の音を聴いていて思い出したのは、
その1)で書いているクラシックスタンダードということだった。

Date: 5月 1st, 2023
Cate: High Resolution

MQAのこれから(とTIDAL・その3)

昨晩遅くにTIDALで曲をさがしていて気づいたことがある。
ドイツ・グラモフォンのアルバムで、これまでMQAで配信されていたのが、
MQAではなくなってしまっている。

一枚や二枚といった規模ではなく、かなりの枚数がMQAではなくなっしまっている。
かといって、これまでMQAだったアルバムのすべてがそうだというわけではなく、
比較的最近リリースされたアルバムは、まだMQAのままである。

とはいえ、ジュリーニのマーラーの第九、ヴェルディの「リゴレット」、
グルダのモーツァルトのピアノ協奏曲、ケンプのベートーヴェンなど、
一枚一枚あげていくのがたいへんなど、MQAからFLACになってしまっている。

FLACでも、サンプリング周波数がMQAの時と同じであればまだいいのだが、
44.1kHzになっている。

不思議なことに、同じユニバーサル・ミュージックのグループのデッカは、
MQAのままである。

Date: 4月 28th, 2023
Cate: スピーカーの述懐

あるスピーカーの述懐(その46)

いまでは非常に高額なスピーカーシステムが、あたりまえのように存在している。
振動板の材質、製造方法、フレームのつくり、マグネットなど、
細部にわたって意を尽くし贅を尽くした──、
そんなふうなことを謳っていたりする。

けれど磁界に関しては、どうなのか。
JBLはアルニコマグネットからフェライトマグネットに移行した時に、
対称磁界(Symmetrical Field Geometry、SFGと略されていた)を謳っていた。

JBLと同時期にアルテックもタンノイもフェライトに移行したが、
対称磁界について触れたのはJBLだけだった。

対称磁界と非対称磁界。
実際のところ、どれだけ音に影響するのか、比較試聴したことはないが、
少なからぬ影響はあるものと考えられる。

駆動のいちばんの源は、ここなのだから。

なのに現代のハイエンドのスピーカーメーカーで、
対称磁界を謳っているところはどれだけあるだろうか。

すべてのユニットの構造図を見たわけではないが、
いくつかのメーカーのユニットの構造図をみるかぎりは、対称磁界のユニットはなかった。
それでいいのだろうか。

Date: 4月 28th, 2023
Cate: 真空管アンプ

五極管シングルアンプ製作は初心者向きなのか(その34)

その1)を書いたのが2015年5月。
書き始めた理由は、そのころソーシャルメディアで、
五極管シングルアンプ製作は、
真空管アンプを製作したことのない人にいちばんすすめられる、と投稿を、
何度かソーシャルメディアでみかけたからだった。

(その1)でも書いているように、私が中学生だったころ、
初心者向けのアンプの自作は、五極管のシングルアンプではなく、
プッシュプルアンプだった。

凝った回路、真空管を数多く使用する回路ではなく、
アルテック(ダイナコ)方式と呼ばれる回路だったものだ。

この項で書いているように、いまでも初めて真空管アンプを作るのであれば、
シングルアンプではなくプッシュプルアンプがいいと考える。

その理由はすでに書いてきているので、ここでは省くが、
ここで考えたいのは、いまの時代に、あえて真空管アンプを作ることについてである。

若い世代の人たちには意外に思われるかもしれないが、
真空管アンプのメーカーは非常に少なくなっていた時代がある。

国内ではラックスと、ほんの数社、
海外でもコンラッド・ジョンソンやプレシジョン・フィデリティなどの、
新世代の管球式アンプメーカーが登場する前は、ダイナコぐらいしかなかった。
オーディオリサーチも、半導体アンプに移行していた時期がある。

そういう時代においては、真空管アンプは自分で作るものというイメージがあった。
いまはどうかというと、そのころよりもメーカーの数はかなり増えている。
かなり高価で大型のアンプが当り前のように存在している。

そして一方では中国製の、自作するよりも安価なアンプがいくつも売られている。
一時期は、外観的には真空管アンプなのだが、
真空管はあくまでも飾りでしかなく、実体は半導体アンプというモノもあったが、
いまではそういうインチキをやっているところはなくなったようである。

自分で作るよりも中国製を買ったほうが安い──、
そういう時代なのだ。

なのに自分で作るということは、どういうことなのか。
何を求めてなのか。

そのへんをはっきりとすることなく、
ただただ、初心者には五極管シングルアンプがおすすめ、と書いてしまう人は、
どういう考えなのだろうか。

Date: 4月 28th, 2023
Cate: きく

野口晴哉記念音楽室レコード鑑賞会(その5)

「野口晴哉 リスニングルーム」で画像検索すると、
いくつかの写真が表示される。

1973年当時の写真もある。
1973年のFM新読本(FM fan 別冊)に掲載されたものである。
不鮮明な写真だけれども、見ることができる。

「世界のオーディオ」が1976年、さらにもう一枚の写真も検索結果として出てくる。
そこにはスタックスのコンデンサー型スピーカーESS6Aが写っている。

QUADのESLだけではなく、スタックスもある。
そしてリボン型トゥイーターのデッカ・ケリー。

ウェスターン・エレクトリックの594A、シーメンスのオイロダイン、
その他の往年のホーン型という浸透力の強い音のスピーカーをメインにすえながら、
ESL、ESS6A、デッカ・ケリーが揃っているのをみていると、
それだけであれこれ想像できて、楽しくなってくる。

「世界のステレオ」で野口晴哉氏のリスニングルームの写真を見た時、
すごいと思いながらも、聴く機会はおとずれないものと思っていた。
聴いてみたい、とは、だから思うことはなかった。
無理なのがわかっていたからだ。

それから四十年以上が経ち、聴く機会が訪れようとしている。

Date: 4月 24th, 2023
Cate: きく

野口晴哉記念音楽室レコード鑑賞会(その4)

パラゴン的なコンクリートホーンの開口部の左右の壁には、
スピーカーシステムが取りつけられている。

いわゆる壁バッフルなのだろう。
上下二段、下側は2080Fと2090Gの2ウェイ、
上側は音響レンズの形状からシーメンスのオイロダインと思われる。

興味深いと感じるのは、オイロダインの横に、
デッカ・ケリーのリボン型トゥイーターも壁に埋めこまれている点である。

「世界のステレオ」の記事の写真では、
壁のデッカ・ケリーの他に、小さなテーブルの上にもデッカ・ケリーが四本ある。

075から2405ヘの変更、
そしてデッカ・ケリーをこれだけ所有されていること。

野口晴哉氏が、どういう音を求められていたのか、
そのほんの一端ではあっても、うかがえるような気がしてならない。

Date: 4月 23rd, 2023
Cate: きく

野口晴哉記念音楽室レコード鑑賞会(その3)

ステレオサウンド 15号「オーディオ巡礼」に載っているシステムは、二系統。

ブロックダイアグラムの表記をそのままうつしておく。

 ウエスタンエレクトリック510Aウーファー4本
 ウエスターンエレクトリック530Aハイフレケンシーユニット
 JBL 075トゥイーター
 JBLネットワーク
 ウエスターン・エレクトリック594Aハイフレケンシーユニット
 マッキントッシュMC275パワーアンプ
 ビクターCF200チャンネルフィルター
 マランツ7プリアンプ
 JOBOターンテーブル
 SME3012トーンアーム
 シュアーカートリッジ

これが一つ目のシステムで、594Aに関しては図では一本だけなので、
モノーラル専用だったと思われる。
二つ目のシステムは下記のとおり。

 ウエストレックス2090Gハイフレケンシーユニット
 ウエストレックス2080Fウーファー
 マランツ8Bパワーアンプ
 EMTイコライザー
 EMT930stプレーヤー

「世界のステレオ」の記事にはブロックダイアグラムはない。
スピーカーは、ヴァイタヴォックスのCN191がある。
しかもこのCN191は、日本に輸入されていたモデルとは、ホーンを蔽うカバー部の細工が違っている。
本文によれば、ヨーロッパ仕様とのこと。

それからQUADのESLがあり、その中央にウェスターン・エレクトリックの757Aが、
一本だけ置いてある。

ESLの前には、その757Aを模したと思われるスピーカーが二基。
ホーンはJBLの2397が使われていることだけは写真からわかる。

ESLの後方の壁上部にはホーンの開口部がある。
コンクリートホーンの開口部なのだが、
一般的なコンクリートホーンとは違い、左右の開口部の中央に、
パラゴンを思わせる大きく湾曲したパネルがある。

この開口部の前に、ウェスターン・エレクトリックの594Aを、
JBLのHL90に装着した中高域ユニットがある。
HL90のスラントプレートは、一般的な使い方と上下逆に向いている。

トゥイーターはJBLの2405が594Aの上に取りつけられている。
2405は、ここだけではなく、
「オーディオ巡礼」でのシステムのT530Aの上にも使われている。

「オーディオ巡礼」のブロックダイアグラムをみればわかるが、
T530Aのホーンには、T550Aが組み合わされている。

T530A+T550Aは、JBLの375+537-500である。
「オーディオ巡礼」の時点ではトゥイーターは075だったのが、
六年後の「世界のステレオ」では2405になっているのは、興味深いところだ。

Date: 4月 23rd, 2023
Cate: きく

野口晴哉記念音楽室レコード鑑賞会(その2)

野口晴哉氏は、1976年6月22日に亡くなられている。
野口晴哉氏のリスニングルームが掲載されている朝日新聞社の「世界のステレオ」は、
1976年12月に出ている。

「野口晴哉コレクションより 幻の名器」、
この記事の冒頭には、こうある。
     *
 工業製品は技術の進歩にともなって、日ごと、その姿をかえてゆくものです。オーディオ機器もその例にもれることなく、数多くの製品が現われ、そして消えてゆきました。しかし、その中のいくつかは、消しても消えない光を放っていたのです。純技術的にはすでに過去のものでも、趣味性を重んじる愛好家にとっては、手の込んだ良き時代の製品がもつ人間味、音のうるおい、こうしたものはえがたい魅力なのです。オーディオでいう幻の名器とは、こうした魅力をもつ製品です。
 ここで紹介する製品はすべて故・野口晴哉氏のコレクション。氏は生前オーディオ愛好家として、また名器のコレクターとしても知られてました。惜しくも今年6月になくなられましたが、その直前までオーディオ製品を見る目は厳しく、すぐれた機器を手元におかれていたようです。今回、幸いにしてその一部を取材する機会にめぐまれました。幻の名器も、そここに見いだすことができます。
     *
「野口晴哉コレクションより 幻の名器」はカラー6ページの記事だ。
ステレオサウンド 15号「オーディオ巡礼」は1970年6月だから、
六年後のリスニングルームである。

「オーディオ巡礼」はリスニングルームの写真は、なぜかない。
「オーディオ巡礼」の扉は、
野口晴哉氏のクレデンザの前で正座されている五味先生の後ろ姿の写真だ。
本文中も、野口晴哉氏の写真、床や棚に置かれているスピーカーユニット、
それから簡単なブロックダイアグラムぐらいである。

「オーディオ巡礼」から「野口晴哉コレクションより 幻の名器」までの六年間で、
どういう変遷があったのかはわからない。
リスニングルームも同じなのか、改装されたのか、そのへんも記事からははっきりと読みとれない。

二つの記事をみていると、かなりかわっているともいえるのだが、
音はどうだったのだろうか。

「オーディオ巡礼」では、
《野口さんに会うのはコーナー・リボン以来だから、十七年ぶりになる》とある。
この十七年間でも、システムはかわっていたはずだ。

それでも、五味先生は書かれている、
《ちっとも変らなかった。十七年前、ジーメンスやコーナーリボンできかせてもらった音色とクォリティそのものはかわっていない。私はそのことに感動した》と。

Date: 4月 22nd, 2023
Cate: きく

野口晴哉記念音楽室レコード鑑賞会(その1)

野口晴哉氏の音楽室でのレコード鑑賞会が、
5月28日(日曜日)、14時から20時まで開催される。

オーディオマニアとしての野口晴哉氏を知っている人は、いまどのぐらいいるのだろうか。
ステレオサウンド 15号から始まった「オーディオ巡礼」で、
五味先生が最初に訪問されたのが野口晴哉氏だった。

そのことは別項で触れているし、引用もしているのでそちらを読んでいただきたい。

朝日新聞社が出していたムック「世界のステレオ」にも登場されていた。
野口晴哉記念音楽室にあるシステムは、
「世界のステレオ」掲載のシステムそのまま、ときいている。

野口晴哉氏が亡くなられてからは、誰もそのシステムに触れる人はいなかったそうだ。
それがようやくメインテナンスが施されつつある、ともきいている。

そういう状況なので、すべてのシステムが万全の調子で鳴るとは思えないのだが、
それでも、片鱗でも聴けるのであれば、やはり聴きたい。

野口晴哉記念音楽室レコード鑑賞会は、入場料が必要だ。
前売りが3,000円、当日は3,500円、十八歳以下は無料。

すでにチケット申し込みは始まっている。
上記のリンク先をクリックしてほしい。

Date: 4月 21st, 2023
Cate: 老い

老いとオーディオ(とステレオサウンド・その20)

別項で書いているように、レコード芸術の名曲名盤の企画は、
1980年代はかなり真剣に読んでいた。
一冊にまとめられたムックも買っては、チェックするだけでなく、
個人的に気に入っているアルバムを書きこんでたりもしていた。

そのムックもすぐにボロボロになり、すでに手元にはない。

レコード芸術の名曲名盤は、その後も続いていて名物企画ともいえるわけだが、
いつのころからか読み応えの感じられない内容に成り下がってしまっていた。

どうしてそうなったのか、その理由はおおよそのところわかる。
編集経験があるならば、
ステレオサウンドでのベストバイの変化を間近で見ているだけに、
同じところにその根っこはあるといえよう。

ステレオサウンドのベストバイとレコード芸術の名曲名盤は、
似ているといえばそうなのだが、
オーディオ機器とレコードという違いがある。

オーディオ機器は製造中止になるモデルがけっこうある。
ロングセラーのモデルのほうが少ない。

ところがレコード(録音物)となると、
最新録音のレコードだけでなく、二十年前、さらにもっと前の年代の録音まで、
新品で手に入れることができるという違いがある。

オーディオ機器の現行製品の数は、多少は前後しても増え続けていくことはない。
レコードは増え続けていくといっていい。

特に名曲といわれる作品に関しては、1980年代といまとでは、
そうとうに数の違いがある。

だからこそ、レコード芸術の4月号の特集「その輝きは色褪ない──神盤再聴」は、
名曲廃盤の前にやっておくべき企画だと考える。

どういうことかといえば、「神盤」として取り上げたレコードは、
名曲名盤では取り上げないということだ。
つまりレコードの殿堂入りだ。

Date: 4月 21st, 2023
Cate: High Resolution

MQAのこれから(とTIDAL・その2)

MQA破綻のニュースから二週間経った。
TIDALはかわらずMQAでの配信を継続しているだけでなく、
あらたにMQAで配信がはじまったアルバムもけっこうある。

これらはMQA破綻のニュース前から用意されていたのだから──、
そういうことなのかもしれないが、
破綻のニュース前とかわらぬペースでMQAでの配信は続いている。