Archive for category ブランド/オーディオ機器

Date: 2月 16th, 2014
Cate: JC2, Mark Levinson

Mark Levinson JC-2(続々続・モジュール構成について)

国産アンプの場合、ボリュウムの位置が8時を示しているならば減衰量は60dBくらいある。
すべてのアンプがそうだとはいえないまでも、大半のアンプはこのくらいの減衰量になっている。

マークレビンソンのJC2のボリュウム周りの表示には減衰量のdB表示はなく、目安程度の数時があるだけ。
LNP2には減衰量がdB表示になっていて、8時の位置では、-25dBとなっている。

もう手元にJC2はないからそのへんは確認できないけれど、
LNP2と同じポテンショメーターを使っていたら、
つまりスペクトロール製を使っていたら、8時の位置はLNP2と同じ-25dBと考えられる。

そうなると国産アンプの-60dBとの差は35dB。
同じ8時の位置でもこれだけ減衰量に差があれば、JC2はゲインが高すぎる、と感じてしまう。

入力感度の高いパワーアンプや出力音圧レベルの高いスピーカーを使っていれば、
もっと絞りたいと思っても、-25dBより先はひじょうにクリティカルですぐに絞りきることになってしまう。

これに関しては日本からの指摘があったのだろうか、
ML6もLNP2も後期のモデルでは8時の位置で-40dBのポテンショメーターに変更されている。

では実際にJC2を使う場合、どう対処したらいいのか。

後期のML6、LNP2に採用された仕様のポテンショメーターが入手できれば、交換するという手がいい。
けれどよほどの幸運がなければ、入手は非常に難しい。
それにJC2に手を加えることになり、そのことに抵抗を感じる方もいるから、
別の対処法となると、パワーアンプの入力のところで絞るしかない。

Date: 2月 16th, 2014
Cate: LNP2, Mark Levinson

Mark Levinson LNP-2(続×五・バッファーアンプについて)

なぜ瀬川先生がバッファーアンプを追加したLNP2の音を、「音質が向上した」と評価されたのか。
それを探るには、ステレオサウンド 52号掲載の「最新セパレートアンプの魅力をたずねて」を読むしかない。

ここにこうある。
     *
 レビンソンは、最初LNP2とJC2という二種類のプリアンプと、MCヘッドアンプしか発売しなかったから、せっかくのLNP2の透明な音質を生かすために、パワーアンプにはずいぶん迷った。エクスクルーシヴのM4をやや長いあいだ聴いているうちにSAEのMARK2500を聴く機会があった。このパワーアンプは、300W+300Wという大出力ながら、それ以前のアメリカの大出力アンプに共通の、弱音での音のにごりや汚れの感じられない点に好感を持ったが、それよりも、LNP2と組合わせたときに、MARK2500の、どちらかといえば手綱をゆるめた感じの低音、それゆえのふっくらした豊かな鳴り方、が、LNPの、というよりレビンソンの本質的に持っている線のやや細い、いくぶん冷たい音質をうまく補ってくれて、総合的にとても良い組合せだと感じた。MARK2500のごく初期のサンプルを知人がいち早く購入してその音の良さは知ってはいたが、決して安くはないので少々ためらっていたところ、本誌特別増刊のアンプ特集号(昭和51年/1976年)の試聴で、その当時気になっていたいくつかのアンプと比較しても、LNP+SAEの組合せに感じていた好ましい印象は全く変らなくて、少なくともわたくしにとっては最良の組合せに思えたので、MARK2500を購入。この組合せが、永らくわたくしの愛機でもあり比較のときの標準尺度ともなっていた。レビンソンからは、やがてML2Lが発表された。聴けば聴くほど、その音の透明でどこまでも見通しのよい感じの解像力の高さや、ひずみ感の全くない音の品位の高い美しさに惹きつけられた。反面、LNPと組合わせたときに、とうぜんのことながらレビンソンの体質そのものとでもいいたいような、いくぶんやせすぎの、そしてどこか少々強引なところも感じられる音を、果して自家用としたときに永く聴き込んでどうなのか、見きわめがつかないまま、購入を見送っていた。わたくし個人には、やはりSAEと組合わせたときの音の豊かな印象のほうが好ましかったからだ。
 昨年の暮に新しいリスニングルームが完成し、音を出しはじめてみると、こんどは残響を長く、部屋の音を豊かにと作ったせいか、SAEの鳴らす低音を、心もちひきしめたくなった。そこで試みにML2Lを借りてきてみると、以前よりは気にならないし、なにしろその解像力の良さはどうしても他のアンプでは及ばない。それでML2L×2も自家用のラインに加えて、ここしばらくは、組合せをときどき変えながら様子をみてきた。
      *
私のなかでは、この文章にある、パワーアンプの選択に関することが、
LNP2のバッファーアンプ追加による音の変化と密接に結びついていく。

Date: 2月 16th, 2014
Cate: JC2, Mark Levinson

Mark Levinson JC-2(続々・モジュール構成について)

JC2はほんとうにゲインが高いのだろうか。
オーバーオールで51.4dBのゲインは、同時代のアンプと比較してみて高いといえるだろうか。

ステレオサウンド別冊「世界のコントロールアンプとパワーアンプ」の’76年度版の実測値を書き出してみよう。
括弧内の数字は最初の値がオーバーオールのゲイン、後の値がフォノイコライザーのゲインである。

アキュフェーズ:C200X(59.8dB、39.7dB)
デンオン:PRA1000B(41.5dB、39.4dB)
ダイヤトーン:DA-P10(54.1dB、37.2dB)
ラックス:C1010(51.8dB、35.6dB)
パイオニア:Exclusive C3(58.3dB、35.8dB)
ヤマハ:C2(51.3dB、35.2dB)
GAS:Thaedra(61.8dB、41.8dB)
マランツ:Model 3600(60.1dB、39.5dB)
マッキントッシュ:C28(63.8dB、42.5dB)

これらの値をみていくと、JC2のゲインは平均的な値であり、高くないことがわかる。
けれど、実際にJC2を使ってみると、ゲインを高く感じることがある。

コントロールアンプのゲインが適切かそれとも高い(もしくは低い)と感じるかは、
コントロールアンプのゲインだけで決るものではなく、
パワーアンプのゲイン、それにスピーカーの出力音圧レベルも関係してくる。

そしてもうひとつボリュウムの減衰量も大きく関係している。

Date: 2月 16th, 2014
Cate: LNP2, Mark Levinson

Mark Levinson LNP-2(続々続々・バッファーアンプについて)

バッファーアンプの追加によってLNP2の音はどう変化するのかを正確に知るには、
同一ロットのLNP2を二台用意して、片方にバッファーアンプを追加して聴くという方法しかない。

それもできれば新品のLNP2でやりたい。
LNP2は1973年に登場し1983年に製造中止になっている。

最初のころのLNP2はもう40年前のアンプということになり、
最後のロットのモノでも30年前のアンプである。

これだけの年月が経っているLNP2(に限らない、どんなアンプでもそうだが)だと、
どんな人がどういう使い方をしてきたかによって、そのくたびれ方は違ってくる。
シリアルナンバーの近いLNP2を二台用意したところで、
比較試聴してみれば、意外にその差が大きいこともあり得ることに気づかされる。

ようするにいまとなっては、自分の耳で正確にバッファーアンプ追加のメリットを試聴することは、
無理な話である。

けれど、とにかくステレオサウンドにあったシリアルナンバー1614のLNP2は何度も聴いている。
その音のイメージはしっかりと掴んでいる。
他のコントロールアンプとも比較したこともある。

そういう経験を元に判断するに、バッファーアンプを追加することで、
LNP2の中低域あたりの量感がうまいこと増すように、私は感じている。

他にもバッファーアンプを追加したことによるメリットではないかと感じている点もあるけれど、
それはもしかすると気のせいといえるレベルかもしれないが、
この中低域あたりの量感に関しては、かなりはっきりといえる。

バッファーアンプなしのLNP2は中低域あたりの量感が抑えられ気味に、
バッファーアンプを追加したLNP2を聴いた私の耳に、そう聴こえる。

Date: 2月 15th, 2014
Cate: LNP2, Mark Levinson

Mark Levinson LNP-2(続々続・バッファーアンプについて)

続々バッファーアンプを追加することでLNP2の値段がどのくらい高くなるのかも、
当時はすごく気になっていた。
もともと高価なコントロールアンプであるLNP2がバッファーアンプを追加すれば、もっと高価になる。

モジュール一個の値段が10万円だとしたら、単純計算でも20万円のアップになる。
実際はもっとかかっていたのかもしれない。

1970年代後半の20万円は、いまの20万円よりもずっと高い20万円だった。
その20万円を追加して、バッファーアンプという、いわば余分な回路を追加する。

20万円出して、足りなかった回路を追加するのではない。
バッファーアンプがなくとも、LNP2はLNP2である。

日本にどれだけのバッファーアンプ搭載のLNP2があるのはわからない。
けれど意外に多いような気がする。
バッファーアンプ搭載のLNP2を所有している人を何人か知っている。

瀬川先生のことばを信じて、バッファーアンプを追加した人がいるわけだ。
私も信じていたひとりである。

だからステレオサウンドの試聴室でバッファーアンプを追加したLNP2が聴けるのは嬉しかった。
けれど、シリアルナンバー1614のLNP2の音を聴いても、
それだけではバッファーアンプがあるのとないのとでの音の違いについてはわからない。

ステレオサウンド 68号の記事のために四台のLNP2が一時期に集まった。
けれどこれらはロットの違うLNP2であり、
シリアルナンバー1614のLNP2とシリアルナンバー2667のLNP2を比較したところで、
細部の違いがずいぶんあるLNP2なのだから、
結局のところバッファーアンプによる「音質向上」を確認することはできなかった。

Date: 2月 15th, 2014
Cate: LNP2, Mark Levinson

Mark Levinson LNP-2(続々・バッファーアンプについて)

シリアルナンバー1614のLNP2がバッファーアンプ仕様になっていたのは、
瀬川先生の意見を取り入れてのことである。

瀬川先生はLNP2についてふれるときに、バッファーアンプを追加したほうが音質が向上すると書かれていた。
たとえばステレオサウンド別冊「世界のコントロールアンプとパワーアンプ」の78年度版でも、
「できればオプション(別売)のバッファーアンプを回路に追加してもらう方が音質が向上する。」
と書かれている。

私も何度か、瀬川先生のこれらの意見を読んでは、
いつの日かLNP2を手に入れるときが来たら、バッファーアンプを追加してもらうんだ、と夢想していた。

ただ「音質が向上する」とは書かれていても、具体的にどういうところが変るのかについては、
具体的に書かれたのを見たことがない。

このことはずっと気になっていた。
バッファーアンプを追加して、音が良くなるようには考えにくい。
それでも何度か瀬川先生が書かれているだから、きちんとした理由があるはずだ。
それが、どういうことなのか、どういう変化(向上)なのかがわからなかったからだ。

私がバッファーアンプを追加したLNP2を聴いたのは、
ステレオサウンドのシリアルナンバー1614のLNP2が最初である。

Date: 2月 15th, 2014
Cate: JC2, Mark Levinson

Mark Levinson JC-2(続・モジュール構成について)

ヘッドアンプ・モジュールのJC1SMのゲインの正確な値はわからないが、極端には高くないはずだ。
おそらく30dBぐらいだろう。

JC1DCにもJC1ACもゲイン切替えが可能だった。
JC1SMは、どうだったろうか。

仮にゲインが30dBあったとして、JC1SM搭載のJC2のオーバーオールのゲインは81.4dBとなる。
JC2のカタログによると、フォノイコライザーのゲインは36dB、ラインアンプのゲインは21dBである。

21dBという値は、HIGHポジションのときであり、
フロントパネルのレバーをLOWにすると11dBとなり、ここで-10dBとなる。

あとはフロントパネルの中央近くにある左右のレベルコントロールを使う。
1dBステップの、このロータリスイッチは+5dB、-4dB、つまり9dB分の調整が可能である。
ここで-4dBにセットすれば、14dBの減衰量が稼げる。

ただしこの左右チャンネルのレベルコントロールは、ラインアンプのNFB量を変えているために、
-4dBにすれば、0dBのポジション使用時よりも4dB余分にNFBがかかることになる。
+5dBでは5dB分だけNFB量が減る。

このNFB量の変化はゲインの変化だけではなく、音も変化する。

これらのことはおそらくすでに試されている、と思う。
その上でゲインが高すぎる、と感じられているのだろう。

ここではっきりしておきたいのは、JC2のゲインが絶対的に高すぎるのか、ということがある。
JC1SMを搭載して80dBのゲイン。実はLNP2のオーバーオールのゲインも80dBである。

Date: 2月 15th, 2014
Cate: JC2, Mark Levinson

Mark Levinson JC-2(モジュール構成について)

マークレビンソンのNP2のバッファーアンプについて、いま書いているところだが、
ここである方からJC2についての質問の投稿があった。
メールアドレスもあったので、直接メールで返事をしようかとも思ったけれど、
JC2のことで困っている方が、もしかすると他にもおられるかもしれない、と思い、
こちらで書くことにした。

質問された方によると、JC2のゲインが高すぎる、とまずある。
JC2のゲインは実測値で、オーバーオールで51.4dB、フォノイコライザーが32.5dB、
ML1になってからはオーバーオールで58.8dB、フォノイコライザーが37.8dBである。
いずれもステレオサウンド別冊「世界のコントロールアンプとパワーアンプ」での値だ。

JC2にしてもML1にしても極端に高い値ではない。
なのになぜゲインが高すぎるのかというと、
その方のJC2にはMCカートリッジ用のヘッドアンプ・モジュールJC1SMが搭載されているからだ。

マークレビンソンの初期のラインナップはLNP2、JC2の他に、ヘッドアンプのJC1があり、
JC1には三つのヴァリエーションがあった。
JC1ACが一般的なAC電源仕様、JC1DCがバッテリー電源仕様、JC1SMがJC2専用となっている。

JC2のモジュール配置は左側からフォノイコライザー・モジュール(×2)、ラインアンプモジュール(×2)、
フォノイコライザー・モジュール用の電源フィルターとなっていて、
左右のチャンネルのフォノイコライザー・モジュールは近接しておらず、
JC1SM搭載のためのスペースが空けられている。

JC2のゲインを落すには、ではどうすればいいのか。
JC1SMのモジュールを引き抜いても簡単には解決しない。
JC1SMを抜いてしまうと、アナログディスクはそのままでは聴けない。
配線をやり直す必要がある。

これは少々面倒である。
ではどうすればいいのか。

Date: 2月 14th, 2014
Cate: LNP2, Mark Levinson
1 msg

Mark Levinson LNP-2(続・バッファーアンプについて)

ステレオサウンドのリファレンスアンプとして活躍したシリアルナンバー1614のLNP2には、
このバッファーアンプが取り付けられていた。

バッファーアンプだからゲインは0dB。
バッファーアンプ用にLD2モジュールを一組追加しても、LNP2のトータルゲインに変化はない。

LNP2はローノイズであることを誇っていたアンプだが、
モジュールがひとつ追加されれば、それだけノイズは増えることになる。

それに電源から見た時にアンプのモジュールが少ないことは、音質的なメリットでもある。

JC2を使っていたことがある。
少しばかり特殊なJC2だった。
このJC2については、いずれ書くかもしれない。

JC2もLNP2同様、モジュール構成になっている。
そこでライン入力(つまりCD)で聴くとき、フォノイコライザーのモジュールを外した状態にする。
これだけではっきりと音は良くなることが確認できる。

これは何もマークレビンソンのコントロールアンプだけの話ではなく、
たとえば、これも使っていたアンプなのだが、GASのThaedraでもフォノイコライザーの基板を抜けば、
それだけでライン入力の音は良くなる。

このことについてはメーカーも気づいていて、
国内メーカーのアンプでは入力セレクターをPHONO以外にしているときには、
フォノイコライザーへの電源を落す機能を採用しているモノもあった。

信号が通過しないモジュール(アンプ回路)があるだけで、
音はあきらかに変化する(悪くなる傾向にある)。

Date: 2月 14th, 2014
Cate: LNP2, Mark Levinson

Mark Levinson LNP-2(バッファーアンプについて)

LNP2にさほど関心のない人にとってはどうでもいいことなのだが、
LNP2に憧れてきた者にとっては、
バッファーアンプを取り付けたLNP2は、ほんとうに音質上のメリットがあるのか、と話題になることがある。

LNP2には片チャンネルあたり三つのモジュールを搭載している。
その他にメーター用のモジュールがあり、
両チャンネルで計八つのモジュール構成となる。

天板をとってみると、モジュールが取り付けられているメインのプリント基板には、
あと二つ、モジュールを取り付けられるようになっている。
ここにバッファーアンプとして、モジュールを追加できる。

つまりアナログディスクを聴く場合には、
標準仕様のLNP2では三つのモジュールを信号が通過、
バッファーアンプを追加したLNP2では四つのモジュールを信号が通過することになる。

LNP2はトーンコントロール、モードセレクターなど、
コントロールアンプと呼ぶに必要な機能はもっている。

マークレビンソンからはJC2という、コントロール機能を簡略化した薄型のコントロールアンプもあった。
LNP2をコントロールアンプと呼ぶならば、
JC2はコントロールアンプとは呼びにくい。プリアンプのほうがしっくりくる。

LNP2、JC2が日本に入ってきたころから、
日本のアンプにはトーンコントロールを省いたり、
搭載していても信号がトーンコントロール回路をパスするディフィートスイッチがつけられたりして、
信号経路を少しでも単純化し、音の劣化を最少限にとどめようとする傾向がはっきりとしてきた。

Date: 2月 14th, 2014
Cate: LNP2, Mark Levinson

Mark Levinson LNP-2(serial No.1001・その2)

マークレビンソンの本をつくることになったら、
それからハイエンドオーディオについての本をつくることになったら、
なにがなんでもLNP2のシリアルナンバー1001そのものを取材することになる。

マークレビンソンの本をつくるのに、シリアルナンバー1001のLNP2についての記事がなければ、
あえてつくる意味があるのだろうか、とも私は思う。

シリアルナンバー1001のLNP2がアメリカにある、というのならば、
もしくは所在がわからないというのであれば、
諦めざるをえないわけだが、シリアルナンバー1001のLNP2は日本にある。

なぜ日本にあるのか。
ステレオサウンドを以前から読まれている方ならばご存知である。

シリアルナンバー1001のLNP2は、マーク・レヴィンソンから、
日本の輸入元であったR.F.エンタープライゼスの社長・中西康雄氏に、
感謝の意を込めて贈られているからだ。

LNP2がどれだけつくられたのかは、シリアルナンバーからおおよその数字はわかる。
ステレオサウンド 68号掲載の岡先生による「LNP-2 Story」には、
シリアルナンバー2667のLNP2が撮影されている。

フォノイコライザーにローノイズタイプのLD3モジュールが搭載されている仕様のLNP2であり、
この2667のLNP2は、ほぼ最終モデルであるから、
シリアルナンバーが1001から始まっているわけで、1000番はいわゆる捨て番であり、
1600台以上のLNP2が作られたことになる。

このうちの半数は、日本に輸入されたのではないか、と思っている。
根拠はなにもないし、その手の資料もないから、単なる私の推測でしかないけれど、
1970年代後半から1980年代前半のステレオサウンドをはじめとするオーディオ雑誌の、
ユーザー訪問記事では、LNP2がかなりの頻度で登場していた。

Date: 2月 11th, 2014
Cate: 930st, EMT

EMT 930stのこと(ガラード301との比較・その2)

先月もあるところで松田聖子を聴いたことは、別項でも書いているとおりだ。
実は今回も松田聖子を聴いてきた。

前回はCD、今回はアナログディスクで松田聖子を聴いた。
この松田聖子のディスクを930stで聴いた後、
ガラード301のシステムでかけたわけだ。

どちらが私には良かったのかは、先にも書いたように930stだった。
けれど、おもしろいのは松田聖子が好きな人は、ガラード301の方が良かった、という。

930stでの松田聖子とガラード301での松田聖子はどう違っていたのか。

松田聖子のディスクを一枚も持っていない、
松田聖子の歌といえば、テレビで聴くくらいの聴き手でしかない私には、
ガラード301での松田聖子は、歌の上手なアイドル歌手というふうに感じられた。

930stで聴く松田聖子は、アイドル歌手という面影は感じさせず、
あくまでもプロの歌手としての松田聖子であった。

松田聖子のディスクを一枚も持っていない私は、松田聖子のファンではない。
でも松田聖子の熱心な聴き手である人は、松田聖子のファンであり、
その人にとっては、松田聖子はアイドルという存在でもあるのかもしれない。

私にとって松田聖子はアイドルでもなんでもなかった。
この思い入れの違いが、930stなのかガラード301なのかの違いにつながっているのではないだろうか。

Date: 2月 11th, 2014
Cate: LNP2, Mark Levinson

Mark Levinson LNP-2(serial No.1001・その1)

ハイエンドオーディオと呼ばれている流れは、
良くも悪くもマークレビンソンのLNP2から始まった、といっていいと思う。

LNP2(Low Noise Pre-Amplifier)は1973年に登場した。
最初の10台のLNP2には、バウエン製モジュールUM201が搭載され、
それ以降はマークレビンソン製のモジュールLD2が搭載されるようになった。

けれど実際には36台のLNP2までは正式にバウエン製モジュールが搭載されている。
しかも、ここがいかにもアメリカらしいのだが、
それ以降も正規輸入品(つまりRFエンタープライゼスが輸入したモノ)でも、
天板をとってみると、LD2ではなくUM201が搭載されていたLNP2があることも確認されている。

どうも最初の80台くらいまでは、ときどきバウエン製モジュールがはいっている。

LNP2のシリアルナンバーは1001から始まっている。
つまりLNP2からハイエンドオーディオの流れが始まった、とみれば、
シリアルナンバー1001のLNP2から始まった、ともいえよう。

そのシリアルナンバー1001のLNP2は、アメリカにではなく日本にある。
今日、そのシリアルナンバー1001のLNP2を聴いてきた。

Date: 2月 11th, 2014
Cate: 930st, EMT

EMT 930stのこと(ガラード301との比較・その1)

EMTの930stは何度も聴いたことのあるアナログプレーヤーであり、自分でも使っていた。
ガラードの301は、何度か聴いたことはあるけれど、その回数は930stのそれよりもずっと少ないし、
自分のプレーヤーとして使ったことはない。

つまり同じ空間で同時に聴いたことは、これまで一度もなかった。

930stの音は、かなり身にしみ込んでいる。
930stの他のプレーヤーとの音の差もある程度は掴んでいて、
そういったプレーヤーと比較することによって、ガラード301の音をなんとなく掴んでいたつもりであった。

今回、機会があって930stとガラード301(トーンアームはオルトフォンRMG309で、カートリッジはSPU)を、
同時に聴くことができた。

ガラード301といってもプレーヤーベースをどうするのか、
組み合わせるトーンアーム、カートリッジによっても結果として出てくる音は違ってくるわけで、
システムとして構築されている930stと同列で比較するのが難しいのはわかっている。

それでも同じ条件で聴きくらべられるのはこれまでなかったし、ありがたい体験でもあった。

どちらが良かったのか。
結果を先に書いてしまうと、私には930stだった。

けれど、こうやって比較試聴して得られたものはそれだけではなく、
ここにオーディオの面白さがある、と感じられることも得られた。

Date: 1月 29th, 2014
Cate: EXAKT, LINN

LINN EXAKTの登場の意味するところ(その9)

別項「続・再生音とは……」で、ロボットのことに触れている。

オーディオのシステムのことをロボットと捉えたり、ロボット的という見方をする人はいない。
私も「続・再生音とは……」を書くまではそうだった。

だが、「続・再生音とは……」とこの項を書きながら、
オーディオのシステム全体を、ひとつのロボットととらえることができることに気づいているところである。