Archive for category 戻っていく感覚

Date: 7月 2nd, 2021
Cate: 戻っていく感覚

SAE Mark 2500がやって来る(2500と2600の関係・その2)

SAEのMark 2500とMark 2600の違いは、
回路図で比較する限りでは、電源電圧の違いと、
それと関係して電解コンデンサーの耐圧が増え、容量が少し減ったことぐらいである。

インターケットで検索して見ることができる写真を比較しても、
少なくともRFエンタープライゼス輸入の2500と2600に関しては、
これといった違いが見つけられない。

もっとも実物を手に入れてじっくりと比較すれば、いくつか違いはあるのだろうが、
ほとんどないに等しい、といってもいい。

この時代の海外製のオーディオ機器は、
ロットによって使用されている部品に違いがあることは、
けっこうざらにあって、ある特定のロットで比較して違いがあったからといっても、
違うロットではどうなっているのかは、なんともいえない。

三洋電機貿易になってからのMark 2600は電源トランスがトロイダル型になっているし、
使用トランジスターにも、はっきりとした違いがある。

(その4)で、Mark 2600は、日本に製造を委託した、というコメントがあった。
RFエンタープライゼスは、SAEが拡張路線をとることに反対し、取り扱いをやめている。

なので日本で製造ということもあったのかもしれない。
それでもRFエンタープライゼス扱いのMark 2600はアメリカ製造だと私は思っている。

なので、ここでの2500と2600の違いに関して、
あくまでもRFエンタープライゼス取り扱いのモノについて、である。

瀬川先生は、「世界のコントロールアンプとパワーアンプ」での試聴記で、
《♯2500にくらべると、低域がややひきしまり、中〜高域の音色がわずかに冷たく硬質な肌ざわりになったところが、多少の相違点といえる》
と書かれている。

このわずかな違いは、なぜなのか。
当時は、その理由がはっきりとはわからなかった。

Date: 6月 27th, 2021
Cate: 戻っていく感覚

SAE Mark 2500がやって来る(その12)

そんな妄想の源は、そうやって手を加えたMark 2500を、
瀬川先生に聴いてもらいたい、という気持である。

程度のいいMark 2500を手に入れて、
やれるかぎりの手を、そこに加えていく。

そうやってML2を超える透明感をもつMark 2500に仕上がったとして、
瀬川先生に聴いてもらうことはかなわない。

自己満足でしかない。
それでも、今回、実現しようとおもった。

Date: 6月 27th, 2021
Cate: 戻っていく感覚

SAE Mark 2500がやって来る(その11)

「世界のコントロールアンプとパワーアンプ」(ステレオサウンド1978年春別冊)、
SAEのMark 2600の瀬川先生の試聴記が載っている。
     *
 音の透明感と表現力のずば抜けて優れたアンプだと思う。透明感という点でこれに勝るのは、マーク・レビンソンのML2Lぐらいのものだから、SAE♯2600はその点でわずかに負けても、どこか凄みのある底力を感じさせるダイナミックなスケール感と音の肉づきのよさで勝る。旧モデルの♯2500も含めて、低音の量感がこれほどよく出るパワーアンプは少ないし、ハイパワーでいながら高域のキメの細かいこと、ことに音量をどこまで絞っても音像がボケず、濁りもないこと、まさに現代の最上級のパワーアンプだろう。♯2500にくらべると、低域がややひきしまり、中〜高域の音色がわずかに冷たく硬質な肌ざわりになったところが、多少の相違点といえる。
     *
この時点で、Mark 2600は、マークレビンソンのML2の半額よりも少し安かった。
ML2も、このころの私にとっては憧れのパワーアンプの一つだったが、
いかんせん高すぎた。

Mark 2500(2600)も手が届かない存在だったのだが、
ML2はさらにその上にいた存在だった。

それでも音は、その実力は、価格ほどの違いはないんだな、と、
瀬川先生の試聴記を何度も読み返して、納得しようとしていた。

Mark 2500(2600)には、ML2よりも優る点があるということ。
これは当時の私にとっても、とても大事なことだった。

ならば、Mark 2500を手に入れたとしよう。
それに手を加えたら、ML2の透明感にそうとう近づけるのではないのか。

そのためにはどうやったらいいのかは、当時の私にわかっていたわけではないが、
それでも、なんとなく手を加えれば、それも適切にやれば、ML2よりもよくなる──、
そんなふうに思い込もうともしていた。

それが、いまもどこかでくすぶっていたように感じている。
十年くらい前から、Mark 2500に手を加えたら、その実力をどこまで発揮できるようになるのか。

インターネットでMark 2500の内部写真が、
かなりのところまで見ることができるようになってから、
よけいにそんなことを妄想するようになっていた。
二年くらい前には、具体的にどこをどうするのか、ほぼ決っていた。

ここのところをこんなふうにしたら、こういう変化が得られるはず──、
そんな妄想を、入浴中、ぼんやりしているときに何度もしていた。

Date: 6月 26th, 2021
Cate: 戻っていく感覚

SAE Mark 2500がやって来る(2500と他社のアンプのこと)

SAEのMark 2500に入札しているあいだ、ヤフオク!には、
私が興味をもちそうな、お探しの商品からのおすすめが表示される。

そこにいくつかのアメリカのパワーアンプが表示されていた。
Mark 2500と同時代か、少し新しい時代のモノがいくつかあった。

製品としての規模も近いモノがあった。
その中に、動作不良のためジャンク扱いというパワーアンプがあった。

出品者の説明文を読んでも、あきらかに修理が必要なアンプである。
このアンプに入札する気はなかったけれど、
最終的にいくらで落札されるのかは、興味があった。

Mark 2500を落札して数日後、その落札価格を見たら、2500よりも高かった。

私だったら、そのアンプの状態が良くてもMark 2500を選ぶのだが、
世の中には、私の感覚とはずいぶん違う人がいる、ということを改めて実感する。

そのアンプの故障の具合がどの程度なのかははっきりしないが、
いま、そのブランドの輸入元はないし、ブランド自体もなくなっている。

修理に出すか、自分で直すか。
自分で直せる人は、そう多くないと思う。
とすると、修理業者に出すわけだが、そうすればそこそこの費用がかかってしまう。

費用がいくらになるのかは、そのアンプの状態次第なのだからなんともいえないが,
落札価格と修理費用をあわせると──、私はヤフオク!で入札するときは、
そのことを考える。

動作しているモノであっても、メインテナンスは必要になるから、
その費用も見込んで、最大でここまで、という金額を決めての入札をする。

多くの人が、そうしていると思っていた。
でも、どうも違うようである。

人それぞれだから、そこまでしても欲しいアンプだったのだろう。
でも、そのアンプが現役だったころ、ステレオサウンドでまだ働いていたから、
そのアンプの実力、人気のほどは知っていたから、
落札した人は、そこまでの愛着があってのことなのか、
落札したアンプをどうするのか、
そんなことを考えると、疑問符が浮ぶだけだ。

Date: 6月 24th, 2021
Cate: 戻っていく感覚

SAE Mark 2500がやって来る(その10)

ボンジョルノのアンプということとははなれてしまうが、
EMTのアナログプレーヤー内蔵のイコライザーアンプの155st。

このアンプもFETは一切使わずに、トランジスターのみで構成されている。
155stの設計は古いし、プロ用ということで、入力と出力にはトランスが入っているし、
DCアンプなわけでもない。

多くのアンプが初段には差動回路を採用するが、155stは違う。
基本的に真空管アンプの回路に近い、といえる。

もし155stの後継機として157stといったモデルが登場した、としよう。
FETを採用し、初段は差動回路、DCアンプ構成になっていたかもしれない。

157stというモデルは存在しないから、こんなことは妄想でしかないのだが、
155stとはずいぶん違った音になっていたであろう。

私はEMTのアナログプレーヤー(930st、927Dst)に感じているヴィヴィッドな音は、
かなり失われてしまっていたようにも想像できる。

だからといってFETがダメだ、と断言したいわけではない。
私自身、ディネッセンのJC80の初期モデルの音には、ずいぶんしびれたものだった。
ジョン・カール設計のJC80は、全段FETのコントロールアンプである。

AMPZiLLA 2000はどうなのだろうか。
出力段にはFETを採用しているのではないだろうか。
輸入元のエレクトリのサイトをみても、そのへんの記述はない。

なのに、そう思う理由は、
ジェームズ・ボンジョルノが、2004年6月に取得している特許、
“HIGH FIDELITY FLOATING BRIDGE AMPLIFIER”では、FETによる出力段だからだ。

ボンジョルノは1980年10月に、The Goldに採用された回路で特許をとっている。
2004年の特許の回路はAMPZiLLA 2000に採用されているはずだ、と思うからだ。

Date: 6月 23rd, 2021
Cate: 戻っていく感覚

SAE Mark 2500がやって来る(2500と2400の関係)

Mark 2500の時代、Mark 2400というモデルもあった。
2500が300W+300Wに対し、2400は200W+200W。

パネルフェイスは、2500と2400は基本的に同じで、
2500には入力レベル調整のプッシュボタンがあるのが、2400にはないぐらいだ。

小さな違いなのだが、製品を前にすると、
この違いはけっこう大きくて、2500のほうに、私は魅力を感じる。

外形寸法は2500がW48.3×H17.8×D40.0cm、2400はW48.3×H17.8×D28.0cm。
重量は、2500が26.4kg、2400が19.1kg。

価格は2500が650,000円のときには、420,000円だった。

Mark 2500は、中学生にとっては手の届かない存在だった。
だからといってMark 2400も無理だったのだが、
それでも2500と2400の価格差は小さくない。

2400の音は聴いていない。
Mark 2400はステレオサウンドにもそれほど登場していない。
41号の特集「世界の一流品」で岩崎先生が書かれているくらいだ。
     *
 MK2400も、決してプラックフェイスという外観だけに止まらず、技術的な内容もさらにその音にも、はっきりと感じられる。きわめてスッキリして、透明そのもの、無駄を廃した端正の極地といったような音だ。
     *
同じページで、瀬川先生がMark 2500について書かれている。
どちらもいいパワーアンプなんだ、と思いながら読んでいた。

その数年後、熊本のオーディオ店に定期的に来られていた瀬川先生が、
「SAEのアンプでいいのは、2500だけ」、そんなことをいわれていた。

そうなのか、2500と2400は、けっこう違いがあるのか……。
よく似ているモデルなのに。

そんなことを思いながら、瀬川先生の話をきいていた。

Mark 2400の音を聴いていない。
実際のところ、2500と2400の音の違いがどれだけなのかは確認できないでいる。

回路図を比較すると、2500も2400もほほ同じといっていい。
出力段の規模が、2500は2パラレルなのに対して2400はパラレルではないことぐらいだ。

回路図だけでみれば、2500と2400の音の違いは小さいはずなのだが、
2500と2400はコンストラクションが大きく違う。

この違いはそうとうに大きく音にあらわれるであろう。
それだけに、いま程度のいい状態の2400があれば、2500と比較試聴してみたい。

Date: 6月 22nd, 2021
Cate: 戻っていく感覚

SAE Mark 2500がやって来る(その9)

SAEのMark 2500とGASのAMPZiLLAの回路図はGoogleで検索すれば、
すぐに見つかるから、この二つのパワーアンプの回路図を見較べてみるといい。

回路のこまかなことについて書いていくと、どんどん長くなるので、
いつかは別項で書くつもりだが、今回は割愛する。

一つだけ挙げると、
Mark 2500もAMPZiLLAも、FETを一石も使っていないことだ。

この時代のアンプはDCアンプ化が一般的になっていた。
そのこともあって初段はトランジスターではなくFETが使われることがほとんどだった。

二段目以降はすべてトランジスターで構成されたアンプでも、
初段だけはFETというのが当然だったし、
それはメーカー製のアンプだけではなく、
無線と実験、ラジオ技術に発表されていた自作アンプもそうだったし、
OPアンプにおいても初段はFETというのが増え始めてきていた。

そういう時代にあっても、Mark 2500とAMPZiLLAは全段トランジスターである。

ボンジョルノはFETを嫌っていたのだろうか。
SUMOのThe Gold、The Powerでも増幅系はすべてトランジスターである。
FETがまったく使われていないわけではなく、
初段(もちろんトランジスター)の前に、スイッチとしてのFETが使われているくらいだ。

SUMOのアンプは、いわゆるリレーによる保護回路をもたない。
けれど出力などに異状を感知したら、入力信号をカットするようになっていて、
そのためのFETスイッチである。

もっともそのため入力にはコンデンサーが直列に挿入されている。
1970年代から、ICL、OCLという単語がアンプのカタログ、広告に登場するようになった。

ICLは、Input Condenser Lessの略である。
そういう時代になっていても、ボンジョルノはFETを、初段の採用まで拒否して、
コンデンサーを使っている。
そのことによるメリットが大きいとの判断なのだろう。

Date: 6月 20th, 2021
Cate: 戻っていく感覚

SAE Mark 2500がやって来る(その8)

瀬川先生は、ステレオサウンド 43号で、Mark 2500について、
こう書かれている。
     *
 一年前自家用に購入して以後も、目ぼしい製品とは常に比較してきたが、今日まで、音のダイナミックな表現力の深さ、低音の豊かさ、独得の色っぽい艶と滑らかさなど、いまだこれに勝るアンプはないと思う。日頃鳴らす音量は0・3W以下だが、そういうレベルでも音に歪っぽさが少しもなく、危なげない充実した音で楽しませてくれる。こういうパワーなら、換気に留意すればファンはOFFにして使っても大丈夫のようだ。
     *
最初に読んだときには気づかなかったのだが、
その後、Mark 2500の基本設計がジェームズ・ボンジョルノだということを知ってから、
そしてボンジョルノのアンプ(GASのThaedraとSUMOのThe Gold)を使うようになってから、
《音のダイナミックな表現力の深さ》は、ボンジョルノのアンプに共通している特質である。

43号のころ(1977年)は、ボンジョルノのアンプ(音)の洗礼を受けていなかった。
なので、当時のパワーアンプのなかでは、Mark 2500もいいアンプなのだろうけど、
スレッショルドの800Aはもっといいパワーアンプのはず、という思い込みがあった。

Mark 2500も800Aも、中学二年の私に、手の届かない存在だったけれど、
800AのほうがMark 2500よりも高価だった(百万円超えだった)。

しかもA級動作という謳い文句に、より惹かれていた。
同じ43号で、セクエラのModel 1について、こう書かれていたことも、
800Aにより惹かれた理由のひとつになっている。
     *
 スピーカーならJBLの4350A、アンプならマークレビンソンのLNP2LやSAE2500、あるいはスレッショールド800A、そしてプレーヤーはEMT950等々、現代の最先端をゆく最高クラスの製品には、どこか狂気をはらんだ物凄さが感じられる。チューナーではむろんセクエラだ。
     *
この時の私には、Mark 2500よりも800Aのほうが、
より《現代の最先端をゆく最高クラスの製品》に見えていた。
The Goldの音を聴くまでは。

Date: 6月 19th, 2021
Cate: 戻っていく感覚

SAE Mark 2500がやって来る(2500と2600の関係・その1)

これまでMark 2500の後継機がMark 2600である、と書いてきた。
事実、日本ではそう説明されてきたし、
Mark 2500とMark 2600が併売されていたわけでない。

けれど、今回Mark 2500を手に入れて、
さらに、このアンプのことを知りたくてあれこれ検索していたら、
1977年のものと思われるSAEのアメリカでのカタログを見つけた。

このカタログには、Mark 2600、Mark 2500、Mark 2400、Mark 2200、Mark XXXIBが、
パワーアンプとして載っている。

Mark 2600のところには、こう書いてある。
Our most powerful amplifier, the 2600 is designed for sound reinforcement applications and high power home environments. Clean, dynamic reproduction is assured with our high slew rate (40V/microsec.) and low distortion. Whenever you need flawless reproduction at the highest power levels, consider the SAE 2600 your ultimate answer.

Mark 2500は、こう書いてある。
Combining perlormance and reliability, the 2500 offers clarity and definition with great reserves of power. Our unique fully-complimentary drive and PSO output circuitry, (which maintains balanced signal drive from input to output), results in clean, clear, effortless reproduction of complex waveforms.

アメリカでは、Mark 2500とMark 2600は、併売されていた時期があるようだ。

Date: 6月 19th, 2021
Cate: 戻っていく感覚

SAE Mark 2500がやって来た

三十分ほど前に、ヤフオク!で落札したSAEのMark 2500が届いた。
開梱して部屋に運び入れて、いま眺めているところ。

ヤフオク!の写真よりも、いい感じである。
四十年以上前に製造されたアンプとは思えないほど、くたびれた感じはしない。

もちろん最新のハイエンドのパワーアンプとは、造りが違う。
金属ブロックから削り出して、丁寧な処理がなされたいまどきのアンプを見慣れた目には、
大ざっぱなに感じられるところもある。

フロントパネルには、メーターのレンジ切り替え用、
入力アッテネーター用のプッシュボタンが並んでいる。

このボタンの感触などは、1970年代のアンプそのものだ。
いまのアンプに慣れてしまっている人には、安っぽいとか、精密さが足りないとか、
そんなふうにも感じられるだろう。

こういう造りのアンプを、いま新製品として出してきたら、
きっと叩かれることだろう。評価も低くなるだろう。

それでも、なんだろうか。
いまどきのリモコンの小さなボタンからすると、
Mark 2500のボタンは大きすぎるとなるだろうが、
少なくとも、このくらいの大きさのボタンだと押し間違えることもない。

こんなことをいうのは、老眼になったせい、といわれてもいい。
いまどきのアンプからは失われた、時代の匂いのようなものを感じている。

どちらが優れたアンプといった話ではない。
時代とともに喪失されていくものを再認識する機械であり、機会でもある。
ただ、そのことを思いながら書いている。

それにもうひとつ書いておきたいのは、
リアパネルに貼られているシールである。

そのシールには、“IMPORTED BY R.F. ENTERPRISES, LTD.”とある。
こんなところも、嬉しい世代なのだ。

Date: 6月 18th, 2021
Cate: 戻っていく感覚

SAE Mark 2500がやって来る(その7)

ステレオサウンド別冊「コンポーネントステレオの世界 ’78」で、
瀬川先生が、JBLの4343を最高に鳴らすためのシステムを求めている読者に提示されているのが、
アナログプレーヤーはEMTの930st、コントロールアンプはマークレビンソンのLNP2、
パワーアンプがSAEのMark 2600だった。
     *
パワーアンプにSAEのMARK2600をもってきたことの理由の一つは、LNP2Lを通すと音がやや細い、シャープな感じになるんですが、このパワーアンプは音を少しふくらまして出すという性格をもっているからです。それを嫌う方がいらっしゃることは知っています。しかし私の貧しい経験でいえば、欧米のコンサートホールでクラシック音楽を聴いて、日本でいわれてきた、また信じてきたクラシック音楽の音のバランスよりも、低域がもっと豊かで、柔らかくて、厚みがある音がするということに気がつきました。そこでこのMARK2600というパワーアンプの音は、一般にいわれるような、低域がゆるんでいるとかふくらみすぎているのではなく、少なくともこれくらい豊かに低域が鳴るべきなんだと思うんですね。
     *
低音の量感の豊かさがあってこその音楽の美しさがある。
なのに量感豊かな低音というと、どちらかというと、ネガティヴに捉えている人がいる。

ピラミッド型のバランスと昔からいわれているが、
これも受けとり方が、人によってそうとうに違っていることを、これまで体験している。

ほんとうのピラミッド型のバランスと、もっと低音を豊かに出てこそ、と私は思っているが、
そうでない音を、ピラミッド型のバランスという人がいる。

ピラミッド型のバランスを三角形にたとえれば、
正三角形こそピラミッド型とすれば、
上の頂角が鋭角の二等辺三角形をピラミッド型としている人がいる。
つまり底辺が短い三角形である。

そういう人からすると、私がピラミッド型(正三角形)と関しているバランスは、
直角二等辺三角形くらいのイメージなのだろう。

SAEのMark 2500、2600の低音は豊かだが、ゆるいのか。
私はそんなふうに感じたことはない。

熊本のオーディオ店に瀬川先生が定期的に来られていたころ、
菅野先生録音の「THE DIALOGUE」に驚いたのは、
4343をMark 2500か2600で鳴らした音だったことが、
いまも強烈な印象として残っているからだ。

Date: 6月 18th, 2021
Cate: 戻っていく感覚

SAE Mark 2500がやって来る(その6)

SAEのMark 2500は、中学、高校時代、憧れのアンプだった。
だから、どういうアンプなのかを、できるかぎり知ろうとしていた。

当時はインターネットで回路図を検索する、なんてことはできなかったから、
たいした情報を得られたわけではなかった。

Mark 2500について、いくつかのことを知るようになったのは、
インターネットが普及して、Googleが登場してからである。

いまでは回路図も簡単に入手できる。
サービスマニュアル(といっても日本のメーカーのそれとは違って簡単なもの)も、そうだ。

内部の写真、プリント基板の写真も検索していけば、けっこう見つかる。

それらの資料をみながら、もしMark 2500を手に入れたら──、なんてことを想像していた。
今回、それが現実になる。

Mark 2500(2600も含めて)のことだが、
一部のオーディオマニアは、ジェームズ・ボンジョルノの設計だと信じきっている人が、
少なからずいるし、ヤフオク!に出品する際にも、ボンジョルノ設計としている人(店)がいる。

ボンジョルノの設計が、完全な間違いではない。
けれどボンジョルノがすべてを設計しているわけではなく、
あくまでも基本回路設計がボンジョルノによる、というべきだ。

このことも、(その4)でふれた知人もそうだった。
ボンジョルノの設計でしょ、と私に言ってきた。

思い込みはこわいもので、こまかく説明したけれど、なぜだか伝わらない。
この人には、何をいっても伝わらない、と思うようにした。

確かにMark 2500とGASのAMPZiLLAの回路図を比較してみると、
ボンジョルノということをまったく知らなくても、同じ人の設計か、と思うほどには似ている。

特に出力段の回路構成は、ボンジョルノの設計だ、といわれれば、
うっかり信じてしまうほどに、同じであり、特徴的でもある。

Ampzilla 2000のウェブサイトに以前、こう書いてあった。

SAE(Scientific Audio Electronics)
The following products continued to use my circuit topology:
2200, 2300, 2400,2500,2600

ボンジョルノがSAEで設計したといっているのは、これらより以前のアンプである。

こうやって書いていっても、
Mark 2500の設計はボンジョルノと言っている人たちは、変らない。

Date: 6月 18th, 2021
Cate: 戻っていく感覚

SAE Mark 2500がやって来る(その5)

1975年、登場時のMark 2500の価格は650,000円で、
その後690,000円になった時期もある。

Mark 2600は登場時、755,000円だった。その後円高のおかげで690,000円になっている。

それが四十数年後、十分の一以下で手に入れられた。
今回は運も良かったのだろうが、
それでも、いまではどちらかといえば安価な価格で手に入れられることが多い。

だからお買い得かといえば、かならずしもそうとはいえない。
なにせ四十年以上経っているアンプなのだから、
故障していなくとも手入れは必要となる。

それには自分でやるか、信頼できる業者に依頼するか。
私は自分でやる予定だ。

古いアンプの場合、ヤフオク!だけでなく、
オーディオ店でも、オーバーホール済み、メインテナンス済みとあったりする。

中には、完全メインテナンス済み、と謳っているところもある。
それをそのまま信じるのか、疑ってかかるのか。

私は、ほとんど信じていない。
音が出るようにはなっている──、そのくらいの感覚で受け止めている。

これに関してもだが、こういうことを書くと、
あそこの店の技術は信頼できる、といってくる人がいる。

どこなのかは書かないが、そういう店の一つで、ずっと以前、
ダイナコのSCA35を買ったことがある。
メインテナンス済み、完動品とあったが、ひどかった。

フォノイコライザーの真空管が左右チャンネルで違うモノがついていた。
信じられないようなミスをやっているにもかかわらず、完動品といっている。

そんな店の評判が、オーディオマニアのあいだでは高かったりすることがある。
でもよく話を聞いてみると、あそこの店の技術は高い、といっている人は、
そこで買ったことがなかったりする人だ。

買ったことのある人でも修理に出したことはない、という人だ。

なんとなくのイメージで、そう言っているだけである。
だから当てにしない方がいい。

今回、そんなひどい店の名前を出さなかったのは、
かなり時間が経っているからだ。

あのころのままかもしれないが、よくなっているかもしれない。

Date: 6月 17th, 2021
Cate: 戻っていく感覚
1 msg

SAE Mark 2500がやって来る(その4)

私が欲しかったのは、Mark 2500である。
三洋電機貿易扱いのMark 2600は、まったく興味がない。

こんなことを書くと、輸入元が変っただけだし、
RFエンタープライゼスもとっくになくなった会社なのだから、
輸入元の違いに、そこまでこだわることもないだろう、と考えている人はいる。

知人が、Mark 2600を昔買った、といっていた。
いい音ではなかった、ともいっていた。

だから、その知人に訊いた。
RFエンタープライゼス扱いではないてしょう、と。

三洋電機貿易扱いのMark 2600だ、という。
でも、知人は、どちらもMark 2600であることに違いはない。
三洋電機貿易扱いのMark 2600は、音がよくないから、
RFエンタープライゼス扱いのMark 2600もそうに違いない。

さらに、その知人は、瀬川先生の評価はあてにならなかった、とでもいいたげだった。

ステレオサウンド 51号に、「さようならSAE」というRFエンタープライゼスの広告が載った。
広告の本文にこうあった。
     *
当社では、これまで米国SAE社製品の輸入業務を行うとともに、日本市場での高度な要求に合致するよう、各部の改良につとめてまいりました。例えば代表的なMARK 2600においては、電源トランスの分解再組立てによるノイズ防止/抵抗負荷による電源ON-OFF時のショック追放/放熱ファンの改造および電圧調整によるノイズ低減/電源キャパシターの容量不足に対し、大型キャパシターを別途輸入して全数交換するなど、1台につき数時間を要する作業を行うほか、ワイヤーのアースポイントの変更による、方形波でのリンギング防止やクロストークの改善など、設計変更の指示も多数行ってまいりました。
     *
これだけのことをRFエンタープライゼスはやってきていた。
三洋電機貿易が、これだけのことをやるとは私には思えなかった。
やっていなかったはずだ。

これだけのことが施されたMark 2600と、そうでないMark 2600。
音に違いがない、とはとうてい思えない。

このことを説明した。
それでも、どちらもMark 2600だろ、と一緒くたに捉える人がいるのを知っている。

そんな知人のことはどうでもいいことであって、
冒頭のくり返しになるが、私が欲しいのはMark 2500である。

これはつまり、四十年以上前に製造されたアンプを買う、ということだ。

Date: 6月 17th, 2021
Cate: 戻っていく感覚

SAE Mark 2500がやって来る(その3)

Mark 2500は1975年に登場している。
1977年には製造中止になり、後継機Mark 2600がかわりに登場した。

Mark 2500は300W+300Wの出力をもつ。
Mark 2600は400W+400Wと、三割ほど出力アップしている。

外形寸法/重量はどちらも同じ。
外観も同じ。カタログスペックをみるかぎり、出力のみが変更になっているくらいだ。

Mark 2500とMark 2600に大きな違いはない、といえる。
瀬川先生はMark 2600も高く評価されていたけれど、
熊本のオーディオ店に来られた時に、ポロッと「2500の独得の艶っぽさのある中高域が、
2600になって少しカリカリするようなところが出てきた」、
そんな趣旨のことをもらされた。

Mark 2600のころ、SAEの輸入元は、
RFエンタープライゼスから三洋電機貿易に変った。

Mark 2600に関しては、RFエンタープライゼス扱いと三洋電機貿易扱いとがある。
さらに三洋電機貿易扱いでも、初期のころはEIコアの電源トランスが、
トロイダルコアに変更になっている。

Mark 2500(RFエンタープライゼス扱い)
Mark 2600(Rfエンタープライゼス扱い)
Mark 2600(三洋電機貿易扱い)
Mark 2600(三洋電機貿易扱い、トロイダルコア)

これら以外にも並行輸入品として入ってきている。

これらが中古市場に流れているのだが、
Mark 2500はなかなか出てこない。

当時650,000円のアンプとしては、二年ほどで製造中止になったことが影響しているのだろう。

ヤフオク!には、Mark 2600は割と出てくる。
三洋電機貿易扱いのMark 2600が多い。
RFエンタープライゼス扱いのMark 2600は少ない。
Mark 2500は、さらに少ない。

頻繁にヤフオク!をチェックする方ではないから、
見落しているだけかもしれないが、Mark 2500はめったに出てこない。

そのMark 2500が、もうしばらくしたら私のところにやって来る。