Archive for category Noise Control/Noise Design

Date: 2月 21st, 2021
Cate: Noise Control/Noise Design

CR方法(その8)

クラングフィルムのオイローパジュニアは励磁型である。
つまり一般的なスピーカーよりも、コイルを一つ多く持っている。

励磁用のコイルに、CR方法を試してみると、音は変化するのだろうか。
ボイスコイルは信号系におけるコイルであるから効果があるのは予想できる。

けれど励磁用のコイルはそうではない。
アンプにおける電源トランスの一次側、二次側のコイルとも、ちょっとワケが違う。

音が変らない、ということはないはずだ。
私の環境では励磁用のコイルで試してみることはできない。

けれど、その音を聴いてみたい。
それはCR方法による効果のあらわれかたが、
スピーカーのボイスコイルの場合と同じなのか、それとも違ってくるのか。

それによって、CR方法がどう作用しているのか、
それを少しでも解明することにつながっていく、と考えるからである。

Date: 2月 21st, 2021
Cate: Noise Control/Noise Design

CR方法(その7)

CR方法について、関心・興味をもつ人もいれば、
そんなことで音がよくなるわけがない、とまったく無関心の人もいるはずだ。

無関心の人のなかには、それだけ効果があるのならば、
なぜ多くのオーディオメーカーが採用していないのか、と、
そんな疑問をもつ人もいることだろう。

私だって、不思議に思っている。
CR方法を実際にやった人も、そう思っているはずだ。

そのくらいに音が変化する。
はっきりといえば良くなる、といっていい。

ここを読まれている方のどのくらいがCR方法を試してみようか、
と思われているのかは、私にはわからない。

それでも実際にやった方からメールが届いた。
以前、ハイドンの交響曲四九番が、La passione(受難)であり、
情熱ではない、という指摘をくださった方だ。

今回のメールは、CR方法をやってみた、ということだった。
まずワーフェデールのW15/CSで試したみた、とあった。

使用部品は、私がすすめているDALEの無誘導巻線抵抗とディップマイカコンデンサーで、
どちらも海神無線で購入されている。

このことだけでも、書いている私としては嬉しい。

ワーフェデールで、音質上の改善が認められたので、
メインスピーカーでも試されたそうだ。

この方のメインスピーカーは、クラングフィルムのオイローパジュニアとのこと。
ここでもCR方法による音質の向上が認められた、とあった。

これまでいくつかのスピーカーで実践してきている。
タイプ、年代、大きさの異るスピーカーでも、効果があった。

なのでヴィンテージスピーカーと呼ばれるモノにも効果はある、と考えていた。
それでも、実際にやる人はほとんどいないのでは──、と勝手に思ってもいた。

けれども、実践された方がいた、というのは嬉しいだけでなく、とても心強い。
実践した人はCR方法について、周りのオーディオマニアにもすすめられるだろうから。

私も、近日中にある人のところで実践してくる。

Date: 2月 14th, 2021
Cate: Noise Control/Noise Design
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CR方法(その6)

抵抗、コンデンサーの値以上に重要なことは、取り付け方である。
CR方法は、コイルに対して行う。
スピーカーユニットのボイスコイル、トランスの巻線などが対象となる。

その対象となるコイルと抵抗とコンデンサーの直列回路は、
できるだけ最短距離での配線にする。

さらに抵抗よりもコンデンサーを最短距離になるように優先する。
ただしここで注意したいのは、ディップマイカコンデンサーのリード線が、
少し細いのでもげないように、余計なテンションをかけないようにすることだ。

以前のディップマイカコンデンサーのリード線は、もう少し太かった記憶がある。
スピーカーユニットへのCR方法だと、コンデンサーの容量は数pFなので、
特にリード線が細い。

できるだけ短く、と書くと、コンデンサーの根元からリード線を曲げる人も出てくる。
そんな使い方をするとリード線はもげやすくなる。

コンデンサーのリード線の片方は、原則としてアース側に接続する。
いいかえれば抵抗のリード線の片方はプラス側に接続するわけだ。

もちろん逆にしても動作する。
それでも私が試した範囲ではコンデンサーをアース側にもってきたほうがいい。

この場合の注意点は、スピーカーシステムとしてみた場合のアース側である。
12dB/oct.のスロープ特性のネットワークの場合、
トゥイーターやスコーカーの極性を逆にしているシステムがある。

逆相で接続されているユニットに対しては、
ネットワークのアース側にコンデンサーのリード線がくるようにする。

Date: 2月 10th, 2021
Cate: Noise Control/Noise Design

CR方法(その5)

CR方法を試そうとした人のなかには、
スピーカーユニットの直流抵抗ぴったりの値の抵抗とコンデンサーがないことに、
ぶつかるかもしれない。

DALEの無誘導巻線抵抗は、6Ωぴったりはない。
6Ω前後だと5.6Ω、6.2Ω、6.8Ωとなる。

ディップマイカコンデンサーも同じような感じで、5.6pF、6.2pF、6.8pFである。
ただし海神無線の通販のページには、6.2pFはなぜだかない。

なので直流抵抗が6Ωだったとしたら、
6.8Ωと6.8pFの組合せで問題はない。
もちろん5.6Ωと5.6pFでもかまわない。

6.2Ωと6.8pFもしくは5.6pFの組合せは、というと、
こまかいところまではいまのところ試していない。

原則として抵抗とコンデンサーの値は同じにしている。
精神衛生上いいから、という理由からである。

では5.6Ω+5.6pFと6.8Ω+6.8pFならば、どちらがいいのか。
これも試していない。

直流抵抗が6Ωであれば5.6の組合せのほうが近似値としては近い。
けれどいまのところ私は6.8の組合せを選ぶようにしている。

それから海神無線に欲しい値の在庫がない場合は、
在庫のなかから近似値の組合せを選んでいる。

コイルの直流抵抗はあくまでも目安として考えた方がいい。
ぴったりに合せる必要は、いまのところ感じていない。

それよりもまず試してみることだ。

Date: 2月 10th, 2021
Cate: Noise Control/Noise Design

CR方法(その4)

CR方法による音の変化は、ノイズに作用していると確信している。
それでもどんなふうに作用しているのかになると、
いまのところなんともいえないもどかしさを感じている。

数Ωと数pFのコンデンサーの直列回路を接続したところで、
音は変化するはずがない、と主張する人がいても不思議ではない。

そういう人は自分で試してみることはしないだろう。
計算だけして、音は変化しない──、
そう結論づけて安心しきっていればいい。

この項はそういう人を説得するために書いているのではなく、
これまでCR方法について書いてきたことに興味をもっている人で、
不明なところを感じている人に対してのものだ。

とはいえ、なぜ音がここまで変化するのか、
はっりきとしたことは何もいえないのが現状である。
だからまず試してほしい、としかいいようがない。

いきなりメインスピーカーに手を入れるのは抵抗がある、という人は多いだろう。
そういう人はまずフルレンジユニットやサブで鳴らしているスピーカーで試してみてほしい。

そこでまず注意してほしいのは、
スピーカーユニットの直流抵抗を測る際には、
ユニットへの配線を外してから行うということ。

ウーファーの場合はネットワークに接続された状態でも、
アンプと接続されていなけれは測ることはできる。
けれどスコーカーやトゥイーターで、ネットワーク(ローカットフィルター)が、
12dB、24dBといった二次、四次型の場合、コイルがユニットに対して並列に入っていたり、
アッテネーターの存在があるので、必ず配線を外してユニット単独にしたうえで測ること。

ウーファーもアンプの電源が入っていなくとも真空管アンプ、
つまり出力トランスをもつモノで、
アンプ出力とスピーカーとのあいだにリレーが入っていない場合は、
ネットワークのコイルと出力トランスの二次側巻線の直流抵抗をまとめて測ってしまうことになる。

なので直流抵抗を測る際には、横着しないことだ。

Date: 2月 10th, 2021
Cate: Noise Control/Noise Design

CR方法(その3)

インピーダンス8Ωのスピーカーユニットで、
ボイスコイルの直流抵抗が6Ωだとしよう。

用意するのは6Ωの抵抗と6pFのコンデンサー(どちらも良質なモノ)。
6Ωの抵抗はわかるけれど、6pFのコンデンサーは容量的に小さいのでは?
という疑問をもつ人もいるはず。

私だって、CR方法を実践した音の変化を何度も経験しているけれど、
それでも数pFの容量のコンデンサーが、どう作用しているのかについて考えると、
納得のいくの答はまだ見出せていない。

6Ωの抵抗と6pFの直列回路のインピーダンスは、
20kHzで1,326,291.195446Ωで非常に高い値だ。
200kHzでその1/10になり、2MHzでさらに1/10で、約13,262Ω(13kΩ)である。

これはあくまでも計算値であって、理想的な抵抗と理想的なコンデンサーならば、この値になるが、
実際はこんなふうには変化しない。

どちらにしてもスピーカーユニットのインピーダンスに対して、MHzの領域になってもそうとうに高い。
ただしスピーカーユニットのインピーダンスも、MHzの領域になると、
どういう変化を示すのかはなんともいえない。

100kHzくらいまではボイスコイルのインダクタンス成分によって、
インダクタンスは上昇していく。けれどそこから上の帯域になると下降し始めるはずだ。

コンデンサーと抵抗の直列回路をスピーカーユニットの入力端子に取り付けるということは、
高周波領域におけるループをつくっているわけだが、
はたしてどのくらいの周波数から作用し始めるかは、なんともいえない。

以前書いているように、友人のOさんがLTSpiceで、
スピーカーの等価回路でシミュレーションしてくれた。
けれど変化なし、ということだった。

そのはずだ、と思う。
けれど、音の変化は大きく、実際に聴いた人はみな驚く。

Date: 2月 9th, 2021
Cate: Noise Control/Noise Design

CR方法(その2)

私がCR方法で使うコンデンサーはディップマイカだし、
抵抗はDALEの無誘導巻線抵抗(3W)である。
どちらも海神無線で購入している。

昨日、Kさんが海神無線で購入したのも、
ディップマイカコンデンサーとDALEの抵抗NS2Bである。

DALEの抵抗は一本500円前後する。
安い抵抗は数円程度で購入できたりする。
そんな抵抗を使ってもCR方法は実験できるわけだが、
私としては最初からきちんとした抵抗を使って試してほしい、と思っている。

どんな方式・方法にもメリットとデメリットがある。
できるだけメリットを活かして、デメリットを抑えるためにも、
良質の抵抗とコンデンサーを使いたい。

安価な抵抗とコンデンサーを使って、CR方法を試してたいしたことなかった──、
そう思うのは本人の自由というか、勝手である。

私が書いていることに興味をもって試してみようかな、と思われたのであれば、
ぜひ海神無線で、ディップマイカコンデンサーとDALEの無誘導巻線抵抗NS2Bで購入して、
試していただきたい。

もちろんもっと高価な抵抗とコンデンサーがある。
ヴィシェイ(Vishay)の無誘導金属箔抵抗がそうだ。
かなり高価だし、抵抗値もDALEほど揃っていない。

コンデンサーは双信のSEコンデンサーがある。
こちらもディップマイカよりもかなり高価である。

まだ試していないので何も断言できないのだが、
私はディップマイカコンデンサーとDALEの無誘導巻線抵抗をこれからも使うし、
人にすすめるのもこちらの組合せである。

Date: 2月 9th, 2021
Cate: Noise Control/Noise Design

CR方法(その1)

CR方法については、これまで何度か書いている。
難しいことではないから、これまで書いてきたことで十分だと思っていた。

けれど昨日Kさんと話していて、
それから昨晩届いたメールを読んで、
一度、きちんとまとめて書いておこう、と考えを改めた。

いままでの記述で十分という方は読み飛ばしてほしい。

CR方法は、その名称が示すように、
コンデンサーと抵抗を直列にしたモノを、コイルに対し並列に接続することである。

同じようなことは昔から行われてきたし、
製品化されたこともある。
ただし、それらとCR方法が違うのは、抵抗とコンデンサーの値である。

CR方法では、まずコイルの直流抵抗を測る。
デジタルテスターを使ったほうがいい。

コイルは、オーディオのシステムのいたるところにある。
スピーカーユニットのボイスコイルがまずそうだし、
スピーカーシステムのネットワークのコイルがある。

アンプやCDプレーヤーには、トランスがある。
電源トランス、入出力トランスなどがある。

アナログプレーヤーだとカートリッジ、モーターが、
テープデッキだとモーターの他に録音・再生ヘッドがある。

それらのコイルにコンデンサーと抵抗を直列にしたモノを並列に接続する。
いまのところスピーカーユニット、ネットワークのコイル、トランスまではやっている。
カートリッジ、モーター、ヘッドに関してはまだ実践していない。

カートリッジはけっこう効果がある、と予想している。
いずれやる予定だ。

コンデンサーと抵抗の値は、それらコイルの直流抵抗値が目安となる。

たとえば8Ωのスピーカーユニットの場合、6Ωの直流抵抗だとしよう。
その場合、6pFのコンデンサと6Ωの抵抗を使う。
コイルの直流抵抗の値がそのままコンデンサー、抵抗の値となる。

似たような製品では、コンデンサーの容量がずっと大きかったし、
スピーカーユニットに対してではなく、スピーカーシステムに対してだった。

CR方法はスピーカーユニットの入力端子に接続する。
似たような製品は、スピーカーシステムの入力端子に、だった。

Date: 2月 8th, 2021
Cate: Noise Control/Noise Design

聴感上のS/N比と聴感上のfレンジ(その15)

今日は、古くからの友人のKさんと秋葉原に行っていた。
私が以前から書いているCR方法を試したいから、ということだった。

必要な部品を海神無線で購入。
接続方法を図に描いて説明していた。

この項でも、別項でも何度か書いているCR方法。
具体的なやり方はすでに書いているので、今回は省く。

Kさんは帰宅後、先ずヤマハのNS10Mで試したそうだ。
昂奮気味のメールが届いた。

ミキシングコンソールの2ch OUTを聴いているような(!?)ような変わりようです、とあった。
その後も、具体的な変化についてのメールがあった。

Kさんは以前録音の仕事をしていたことのある人だから、
2ch OUTを聴いているような、という表現が出てくる、といえる。

録音の経験のない人が、こんなことをいったところで、
説得力はまったくないわけだが、Kさんは違う。

当然、KさんはメインスピーカーにCR方法を実践するわけだ。
それから彼はマッキントッシュのXRT20に惚れ込んでいる。
いまも持っている(事情があって鳴らしてはいないけども)。

XRT20もいいけれど、XRT18のコンディションのいいモノが欲しい、といっていた。
XRT20にしろ、18にしろ、ユニットの数は多い。

CR方法を実践するにはやや面倒なスピーカーといえるけれど、
一度自分のスピーカーでCR方法による音の変化を体験してしまうと、
トゥイーターの数が多いから……、というのは、
やらないことのいいわけには、もうならない。

Date: 9月 7th, 2020
Cate: Noise Control/Noise Design

聴感上のS/N比と聴感上のfレンジ(その14)

タンノイ・コーネッタは、昔ながらのスピーカーのスタイルをしている。
コーナー型であり、フロントショートホーンがついていて、ハカマがついている。

いまどきのスピーカーシステムで、こんなスタイルのモノはほとんどない、といっていい。
ここで、このテーマで問題となるのは、ハカマのところである。

ハカマ(台輪)があることで、スピーカー・エンクロージュアの底板と床との空間、
ここは閉じられた空間になってしまう。

ハカマにスリットがあればいいのだが、
コーネッタには、そんなスリットはないから、
ハカマの内側では定在波が発生していて、
聴感上のS/N比を劣化させている。

ハカマのところの空間に、良質の吸音性のものを入れる。
あまり入れ過ぎるのも問題なのだが、
まず入れた状態と入れない状態の音を聴いてみてほしい。

audio wednesdayでは、7月のときからコーネッタのハカマのところには吸音材を入れている。
人が来る前にやっていたので、その変化を聴いていない人のほうが多い。
9月のaudio wednesdayでは、音出しの途中で、これをやった。

私は、コーネッタで三回目、それ以外のハカマ付きのスピーカーでも何度かやったことなので、
いまさら驚きはしないが、それでも、そう多くない吸音材を入れるだけで、
誰の耳にもはっきりとした違いとなってあらわれる。

喉にえへん虫がいる感じが、吸音材をいれる前の音であって、
適切な吸音材を入れれば、このえへん虫はどこかに行ってしまう。

すると、音はすーっと静けさを増す。
そしてみょうなつっかかりがなくなることで、聴感上のfレンジものびる。

Date: 2月 15th, 2020
Cate: Noise Control/Noise Design

Noise Control/Noise Designという手法(鼓童 1985年シアターアプル公演・その2)

一発目の音は、力強く叩いた音だ。
二発目の音は、軽く叩いた音だ。

音量の違いが、まずある。
これが面白い、といおうか、興味深い、とでもいおうか、
冒頭のノイズの鳴り方が良くなってくると、
二発目の音は、より小さく聴こえる。

つまり一発目と二発目の音量差が大きくなって聴こえてくる。
こういうふうに鳴ってくるようになると、この録音の面白さがわかってくる。

鼓童のCDは、私がステレオサウンドにいたころ、
井上先生がパワーアンプの試聴に使われたことがある。
ここで取り上げているのと別の録音で、
太鼓が連打されている箇所になると、
パワーアンプによっては、急によたよた、といった感じに陥ってしまう。

連続するエネルギーをスピーカーに供給しきれなくなりつつある、という感じになる。
井上先生は、気絶気味になる、と表現されていた。
その意味では、おもしろいくらいにパワーアンプの力量を丸裸にする。

でも、この時は、鼓童の、音楽としての面白さを感じていたわけではなかった。
こういう試聴には向くソフトではあっても、購入して聴きたいとはまったく思わなかった。
だから買っていない。

e-onkyoで無料サンプルとして用意されていたので、興味半分でダウンロードしただけだった。
初めに聴いたときも、それほど面白いとは感じなかった。

けれど昨年の大晦日の夜、
D/Dコンバーターに手を加えたあとに試しに聴いてみた。
その変化は大きかっただけでなく、
鼓童を音楽として、初めて面白いかも、と思い始めた。
そして最後まで聴いた。

Date: 2月 13th, 2020
Cate: Noise Control/Noise Design

Noise Control/Noise Designという手法(鼓童 1985年シアターアプル公演・その1)

e-onkyoのサイトには、無料サンプル音源のページがある。
現在、18の音源が無料でダウンロードできるが、
私が関心があったのは二つだけだった。

一つはインバル指揮のマーラーの交響曲第一番の三楽章の一分三十秒ほどのトラックだ。
この音源は、マルチマイクロフォンとワンポイントマイクロフォンの両方がある。
この聴き比べは、なかなか楽しい。

もう一つは、「鼓童 1985年シアターアプル公演」である。
タイトルでわかるように、大太鼓の公演のライヴ録音。

1985年となっているが、出だしのノイズの量は、
この時代の録音とは思えぬほど多い、というか盛大である。

おそらくノイズリダクションを使っていないのだろう。

192kHz、24ビットで配信されている。
冒頭のノイズ、それから最初の一発目の太鼓の音。

ここまでで、かなりのことがわかる。
冒頭のノイズの聴こえ方は、実によく変化する。

ノイズの粒子感。
粒子の大きさ、硬さ、丸っこい感じの粒子なのか、
それとも角がとがっていたり、ごつごつした感じの粒子なのか、
それから粒子の散らばり方など、
なれてくれば、このノイズのところだけで、けっこうなことが判断できる。

そして一発目の音。
太鼓の大きさが、まず違って聴こえる。
それから太鼓に張ってある皮。
皮らしく聴こえなくてはならないが、
皮ではない、別の材質のようにも聴こえることもないわけではない。

そして皮の張りぐあい。皮の厚み。
そういったことも変化してくる。

二発目の音は、軽く叩かれる。
一発目と二発目の音の大きさの対比が、ノイズの大小とともに変化してくる。

Date: 5月 2nd, 2019
Cate: Noise Control/Noise Design

Noise Control/Noise Designという手法(都心のノイズ事情)

昨晩のaudio wednesdayに、
電流帰還アンプ(キットで市販されている)を持ちこまれた。

電流帰還アンプで検索すればすぐに見つかる製品で、
六千円前後で入手でき、出力は0.5W+0.5Wである。

このアンプを、通常の電源ではなく太陽光電池に接続しての音出しというものだった。
このアンプは知っていた。
値段も手頃だし、実験してみるのも面白い、と思っていた。

ちょうどいいタイミングで持ち込まれた、と内心思っていた。
ここで、音はこうだった、と書きたいところだが、
残念なことにひどくバズが出てしまい、音を聴くにはいたらなかった。

このアンプはプリント基板に入出力端子がついているので、
シャーシーなしでも使える。
昨晩はシャーシーなし、つまり裸の状態での試聴であった。

電源は商用電源を使っていないから、ここからのノイズの侵入はない。
それでもシャーシーなしのアンプは、周囲のノイズを拾ってしまったようだ。

喫茶茶会記は四谷三丁目にある。
山手線の内側であり、都心の真ん中に近い。

別項「reference考」の(その6)と(その7)で書いてるように、
強電界地区といえる都心では、このようにバズってしまうアンプがいくつかある。

海外製のアンプでも国産アンプでも、そういうのがあるのを体験しているし、
実際の製品名を聞いてもいる。

今回のアンプも、千葉から来てくださった方のところでは、
まったく問題なく鳴っていた、とのこと。
そうであろう。

それでも山手線の中では、オーディオ機器を取り囲むノイズ事情は、大きく違うし、ひどい。
問題なく鳴るモノでも、問題が発生してしまう。

だからこそノイズとうまいつきあいを見つけ出す必要がある、と考えている。

Date: 4月 12th, 2019
Cate: Noise Control/Noise Design

Noise Control/Noise Designという手法(ディフューザーの未来・その1)

川崎先生が「ディフューザーは音響の実は要だと思っている」というタイトルのブログを書かれている。

そこでの写真は、JBLの4343のスラントプレート型の音響レンズである。
現在JBLのホーン型スピーカーに、音響レンズを採用している機種はない。

一時期は、音響レンズといえばJBL、といえるくらい、
音響レンズに積極的なメーカーだった。

以前書いていることだが、
JBLはこれからも音響レンズ付きのホーンをつくることはまずない。

日本のハーマンインターナショナルが、4343の復刻モデル、
もしくはリファインモデルを、という要望をJBLに出したところ、
音響レンズ付きのモデルは、過去の遺物──、
そんな返事があった、ときいている。

これは、日本からのリクエストが音響レンズつきのモデルを、であったことを語っている。

4348を見てみればいい。
4343の最終的な後継機種といえる4348。
音を聴けば、4344よりも4348こそが4343の後継機種と納得できるところはある。

あるけれど、ホーンを見てほしい。
そこには音響レンズはない。

ホーンの開口部に、音響レンズのたぐいをおく。
そのことのデメリットをJBLは承知している。
おそらく、現在のJBLのホーンの開発者たちは、
過去の音響レンズつきのホーンを全否定するであろう。

確かに音響レンズに問題がないわけではない。
例えば4343にもついているタイプの音響レンズ。
一枚一枚の羽の両端は、ほぼフリーといえる状態である。

羽と羽のあいだに、消しゴムを小さく切って挿んでいく。
これをやるだけで、羽を指で弾いた時の音が大きく変化する。

音を鳴らしてみても、変化は誰の耳にも明らかである。
4343、4344、4350などのスタジオモニターを鳴らされている方のなかにも、
音響レンズを外してしまった、という人がいる。

外すことによって、音響レンズが介在することによる付帯音はなくなる。
羽と羽とのあいだに消しゴムの小片を挿むのも、付帯音を減らすためである。

Date: 4月 9th, 2019
Cate: Noise Control/Noise Design

Noise Control/Noise Designという手法(5G通信)

アメリカで5G通信が開始になったというニュースがあった。
日本では2020年開始の予定らしいが、
5G通信が本格的に普及となってくると、オーディオ機器の受ける影響はどう変化するのだろうか。

5Gでは、3.6〜6GHz帯と、28GHz帯が使われるらしい。
4Gが3.6GHz以下だったから、28GHzはそうとうに高い周波数となる。

28GHzという高い周波数が、オーディオ機器へどういう影響を与えるのかは、
高周波の専門家ではないから見当がつかないが、小さくない変化ではあるはずだ。

このくらい高くなると無視できるようになるのか、
それともいままで以上の影響が発生するのか。

さらに何年後かに登場するであろう6G、7Gとなっていくと、
周波数はますます高くなっていくのか。