Archive for category ユニバーサルウーファー

Date: 1月 17th, 2011
Cate: ユニバーサルウーファー

スーパーウーファーについて(その10)

メインスピーカーとのあいだの調整がうまくいったときの音は、
メインスピーカーとスーパーウーファーの息が合っている──、
そういう感じの音になる。

具体的にかけば、音楽のフォルティッシモにおいての音の伸びが、
質の良いエキスパンドをかけたように、それまでとはあきらかに違う次元で、
音のエネルギー量そのものが勢いをつけて増してくる。

だから、結局のところ調整にかけるディスクは、ふだん聴きなれているもののなかから、
比較的録音のよいもの、とくにダイナミックレンジがよく録れているものであればいい。

変に低域に耳の注意がいきがちのディスクを、あえて用意する必要はない。
くり返すが、聴きなれているディスクがいちばんいい。

スーパーウーファー側の調整のなにかが、うまいところにおさまっていないと、
なかなか、上に書いたようには鳴らない。

できれば聴きなれたディスクが数枚、
それもジャンルが違っているものがあれば、それらを鳴らしてみる。
音楽のジャンルが大きく変っても、調整がうまくいっていれば、
フォルティッシモでの音の伸びは、それこそめざましいものが聴きとれる。

録音におかしいところがなければ、ほんとうに気持よくなってくれる。

スーパーウーファーを附加することは、スピーカー全体のエネルギー量に大きな変化を加えた、ということだ。
このことを忘れなければ、スーパーウーファーの調整は、そう難しいものではないはずだ。

もっともその先に、さらに進もうというのであれば、また違う難しさが出てくるけれど、
少なくともレベル調整をやっていくうちに、
スーパーウーファーが鳴っていなかった、ということにならない。

Date: 1月 17th, 2011
Cate: ユニバーサルウーファー

スーパーウーファーについて(その9)

これも厳密に測ってたとしても、やはり目安にしかならない。
最終的には耳で聴いて、の判断となる。

訊られるのは、結局、このところである。
耳で判断するというが、実際には、どういうプログラムソースを使い、どういうところに注意して聴けばいいのか。

スーパーウーファーの調整だから、最新録音のもので、低域のかなり低いところまで、
ときにはノイズ成分のほうが多くなりがちだが、そういうソースを使った方がいいのか、とか、
楽器編成としては、ベースのソロの優秀録音が、編成の大きなものよりも向いているのか、とか、
注意するポイントとしては、低音楽器の定位なのか、とか。

デジタルディレイの調整がうまくいくと、どういうふうになるのか。
これを、まず考えてほしい、と思っている。

最初の調整としては、まずディレイによる、おおまかな音の変化を実際に聴いてみること。
とにかくディレイをかけていない音、そして距離的にだいたい合っている値の音、
そして思いきりディレイをかけた音、最低でもこの3つのポジションの音を確認すること。

だいたいの距離であわせて、その前後で、0.1刻みで上げ下げする前に、このことをやっておくこと。
もちろん、デジタルディレイの調整経験がすでにあるのならば、省いてもいい。
でも、はじめてディレイを使った調整を行なうのであれば、細かい調整はあとまわしでいい。

クロスオーバー周波数、レベル調整、設置位置の調整、デジタルディレイの調整を、
最初は大胆にいじってみて、時間をかけてすしこずつ範囲を狭めていく。

そうやっていっても、どこが最適なのか。
それがはっきりしない、最適に調整したとしたら、どういう音になるのか、が、つかめない。
そういう話を聞くことがある。

Date: 1月 17th, 2011
Cate: ユニバーサルウーファー

スーパーウーファーについて(その8)

サーロジックのSPD-SW1600はライン信号をA/D変換し、デジタルで信号処理をしている。
ここでディレイをかけることも可能だ。

SPD-SW1600のコントロールパネルには、D1というツマミがある。
ここには0.0から1.1までのあいだに、0.1刻みで12のポジションがある。
このツマミの単位は、m。つまりメートル、距離だ。

0.0のポジションではデジタルディレイはかからない。数値を大きくなるほどディレイ量は増えていく。

大まかな調整としては、メインスピーカーと聴取位置までの距離を3mあったとして、
SPD-SW1600と聴取位置の距離が2.7mだとしたら、30cm(0.3m)分、SPD-SW1600にディレイをかける。
ツマミの位置は、0.3に設定するわけだ。

ただし、これはあくまでもおおまかな目安でしかない。
レベル調整同様、こまかな調整が当然要求される。

あくまでもデジタルディレイは0.1刻み、つまり10cmきざみである。だからそれ以上の距離の微調整となると、
ウーファーの設置、もしくはメインスピーカーの設置を動かして、両者の相対的な位置関係を変える必要も出てくる。

まあ、でもたいていはウーファー側を動かすことが多いだろう。

そうやっていっても、距離はあくまでも目安でしかない。
この距離も、メインスピーカーのウーファーの高さと
だいたい同じ位置にSPD-SW1600のユニットがあればいいが、
場合によっては、例えばメインスピーカーが同軸型だったり、小型スピーカーでスタンドの上に設置されていると、
高さ的にもずいぶんの距離の違いが生じている。

この高さの分を含めて、どう距離をはかるか……。

Date: 1月 16th, 2011
Cate: ユニバーサルウーファー

スーパーウーファについて(その6・続補足)

もちろん、そんな状態であっても、メインスピーカーとスーパーウーファーのバランスはとれる。
ならばそれでいいじゃないか、という声もあるかもしれないが、
この状態では、システム全体のSN比に目を向けると、このままではまずい。

SPD-SW1600のLEDがサーロジックの指定通りに点灯するようにレベル調整することが、
SN比の点でも有利だし、つまりそうすることは、メインスピーカー側のSN比に関係してくる。

メインスピーカーを鳴らすパワーアンプのボリュウムをいっぱいにあげている状態では、
コントロールアンプからの出力レベルも低いわけだ。
これを、パワーアンプのボリュウムで、SPD-SW1600とうまくバランスがとれるまでに絞れば、
その分だけコントロールアンプの出力レベルは、同じ音量を得るにはとうぜん高くしなければならない。

SN比を改善することは、ノイズの量を減らすことだけでなく、
シグナル(信号)のレベルをあげることも重要となる。
もちろんその両方が実現できればそれにこしたことはないわけだが、
どちらか一方だけでも実現できればSN比は向上する。

それに、いまオーディオ機器のまわりには、どんなノイズがあるのかわからないほど、
きっとノイズにあふれた環境といえるだろう。
そういう外来ノイズに対しても、コントロールアンプ・パワーアンプ間の伝送レベルがあがれば、
それだけでもSN比的には有利になる。

パワーアンプにボリュウムがつくことになるデメリットは否定できない。
でも、メリットも、場合によっては生れてくる。

だから、ついている機能は、頭ごなしに否定せずに、いちどは積極的に活用してみたい。

Date: 1月 16th, 2011
Cate: ユニバーサルウーファー

スーパーウーファーについて(その6・補足)

メインスピーカーの鳴らすパワーアンプに、入力レベル調整(ボリュウム)がほしい、と書いたけれど、
なかには、そういう余分なものはできるだけ取り払って、
すこしでも音質劣化の原因となるものはなくしてほしいのに……、と思われる方もおられるだろう。

私も、同じように考えていた時期がある。
そうとうボリュウムにいいものを使っていたとしても、この部分での音質劣化を皆無にすることはできない。
それに、いいボリュウムになるほど高価になるわけだから、そんな使わないものをつけるくらいなら、
最初から外した状態で、価格を下げてくれた方がいいし、同じ価格だとしても、ボリュウムがなければ、
その分、他のところにコストをかけることができる。どちらにしても、ボリュウムなんてないほうがいい。

たしかに、バイ(マルチ)アンプにしたり、スーパーウーファーを加えなければ、それでもいいと思う。
でも、サーロジックのSPD-SW1600を使っていて思ったのは、
やはりパワーアンプにはボリュウムがあったほうがいい、ということ。

メインスピーカーを鳴らすパワーアンプにはボリュウムがついていた。
最初、サーロジックを加えたとき、パワーアンプのボリュウムはいっぱいにあげていた。
その状態だと、SPD-SW1600の入力レベルを示す3つのLEDがほとんど点灯しない。

説明書には、緑のLEDが常時点灯するような感じとあるが、
なかなか、この緑のLEDも点灯しない。
ましてフォルティッシモでときどき赤のLEDが点滅するくらいに、とも書いてあったが、
赤のLEDなどまず点滅することはなかった。

メインスピーカー側とスーパーウーファー側との感度の違いが大きすぎたためだ。

ここでいう感度とは、スピーカーの能率だけではなく、
それを鳴らすパワーアンプのゲインを含めてのトータルの感度である。

たとえばメインスピーカーの能率がそれほど高くないものでも、パワーアンプのゲインが高ければ、
パワーアンプとスピーカーをあわせた感度は、意外と高くなる場合もある。

私のところも、この例で、メインスピーカー側の感度をサーロジックよりもやや高めのだったため、
ある程度、両者の感度をそろえる必要がある。

Date: 1月 15th, 2011
Cate: ユニバーサルウーファー

スーパーウーファーについて(その7)

このエネルギーの総体量の変化に関しては、
スーパーウーファー側のカットオフ周波数を変化させるときにも注意したいことがらだ。

エレクトロニッククロスオーバーネットワークを用意し、
スーパーウーファー側の高域のカットだけでなく、メインスピーカーの低域をもカットする場合よりも、
私が使っているサーロジックウーファーのように、メインスピーカーはまったくいじらず、という場合には、
スーパーウーファー側のカットオフ周波数を上げていくということは、ウーファー側のレベルをそのままであれば、
エネルギーの総体量はわずかとはいえ、増える方向にいく。
反対にカットオフ周波数を下げていくのであれば、エネルギーの総体量は、こちらもわずかとはいえ減る。

変化させているパラメーターはひとつ(この場合にはカットオフ周波数)なのにもかかわらず、
実際には他のパラメーターも、わずかとはいえ変化しているということ。

だからカットオフ周波数を変化させたら、その音を聴くだけでなく、
必ずウーファー側のレベルもほんのわずか調整した音も聴いてみることだ。

とにかく、いま何をいじっている(調整している)のか、
そのことによって、何が変化するのか。
その変化にともない、変化量は少ないながらもつられて変化するものがないかどうか、
つねにこのことを忘れないようにしたい。

そしてスーパーウーファーの調整で訊かれるのが、ディレイの調整に関して、だ。

Date: 1月 15th, 2011
Cate: ユニバーサルウーファー

スーパーウーファーについて(その6)

話をもとに戻せば、ある程度まで、メインスピーカーとスーパーウーファーのレベル調整した、
その先にある微調整では、スーパーウーファーのレベルはそのままにして、
メインスピーカー側のレベルを調整していく、ということだ。

となるとメインスピーカーを鳴らすパワーアンプに、入力レベル調整がほしくなる。
それでメインスピーカーのレベルを上下する。

このとき忘れてはならないのは、メインスピーカーのレベルを調整するということは、
システム全体のエネルギーの総体量も変化しているということ。
厳密には、メインスピーカーのレベルを固定して、スーパーウーファー側のレベルを調整する場合にも、
メインスピーカーでの調整にくらべると、その変化量はわずかとはいえるが、エネルギーの総体量は変化している。

つまり、ここでの調整は、メインスピーカーのレベルを、それまでよりもほんのちょっとあげたとしよう。
大事なのは、レベルを上げる前の音と上げた音を比較しない、ということ。
どちらがいいとか悪いとかは、
エネルギーの総体量(つまり音量)が変化しているときには、判断を誤りやすいからだ。

自分のシステムなのだ。
いついつまでに、音を仕上げなさい、と締切が決っているわけではない。
このへんの調整になると、じっくり時間をかけて、その音そのものを聴くように心がけたい。

メインスピーカーのレベルを変えたら、1週間ほど、その状態で好きなレコードを、とにかく聴くことだ。
馴れてくれば、1週間という時間も、少しずつ短くても、判断できるようになってくるはずだ。

Date: 1月 14th, 2011
Cate: ユニバーサルウーファー

スーパーウーファーについて(その5)

ずっと以前、アルテックは、ウーファー(Woofer)のことを、Basic Speaker と呼んでいた。

もっともアルテックのスピーカーシステムは、例外的なモノはごくわずかあるものの、
すべて2ウェイと言い切ってもいい。
そしてウーファー(Basic Speaker)は、クロスオーバー周波数の低いA5で500Hz、
高い方のものでは、同軸型の604では1kHzをこえる。
最低音域から、500Hzから1kHzぐらいまで及ぶ使い方をしているため、
ベーシックスピーカーと呼ぶのも当然のことだが、
それでも単にどこまで受け持っているか、
ただそれだけのことでウーファーをベーシックスピーカーと呼んでいるわけではないだろう。

やはり音楽の土台として低音が、重い意味をもっているから、ではないだろうか。

やはりずっと前の話になってしまうが、日本では中音が大事だといわれた時期があった。
一時期流行ったドンシャリ傾向のスピーカーシステムに対する警句の意味も含まれてのことだとも思うが、
このころ、中音が音楽の土台だという発言もあったときく。

中音は、音楽の土台なのだろうか。

もしほんとうにそうだとしたら、中音を受け持つスピーカーユニットを、ベーシックスピーカーと呼ぶべきだろう。
だが、そう呼ばれたという話は、いちどもきいたことがない。

くどいようだが、音楽の土台は「低音」である。

Date: 1月 14th, 2011
Cate: ユニバーサルウーファー

スーパーウーファーについて(その4)

土台(低音)のレベル(大きさ)はいじらず、その上にのる音(メインスピーカー)のレベルを調整する。

これは、なにも珍しい調整方法というわけではない。
無意識であろうと意識的であろうと、スピーカーシステムのレベル調整の低音を基準にして、
多くの人は調整していっているはずだ。

ステレオサウンド 51号に掲載されている「4343研究」のなかでも、
JBLのマルゴリス氏は、4343の各ユニットのレベル調整の方法として、
まず上二つの帯域(ミッドハイの2420とトゥイーターの2405)のレベルを完全に絞り切って、
ウーファー(2231A)とミッドバス(2121)のバランスをとることからはじめている。

これが済んだら、次はミッドハイのレベルをあげていき、バランスをとる。
そしてトゥイーターのレベルを調整。
これで全体のバランスをとったあとに、さらに微調整にはいる、というものだった。

4343では──他のスピーカーシステムもそうだが──、
ウーファーのレベルは調整できない。
だからこそまずウーファーと、その上の帯域を受け持つミッドバス、
このふたつのユニットのバランスをきちんととる、ことからはじめるわけだ。
そして、ウーファーが受け持つ低音は、やはりベーシックな土台でもあるわけだから、
その土台を基準とするのが、あたりまえすぎることである。

よくスピーカーシステムのレベル調整となると、
とりあえず耳につく帯域のレベルコントロールをいじりがちだ。

2ウェイシステムだったら、レベル調整はトゥイーターのひとつのみだから、それでもいい。
でも4343のような4ウェイともなると、レベル調整は3つある。

ただやみくもに、中域が耳につくからと感じて、ミッドハイのレベルを落としていく、
そんなような調整方法をやっていては、対処療法的なレベル調整になってしまいがちだ。

もちろんバランス調整であれこれ苦労して、ノウハウをしっかり身につけているのであれば、
もちろん、どこから調整していってもいいかもしれないが、
それでも基本は低音を基準として、その上に積み上げていくことだ。

Date: 1月 6th, 2011
Cate: ユニバーサルウーファー

スーパーウーファーについて(その3)

ときどき耳にするのが、スーパーウーファーを加えたのはいいけれども、
スーパーウーファーの鳴りを目立たせないようにレベル調整をしていって、
どのくらいのレベルで鳴っているのか確かめたくて、スーパーウーファーだけを鳴らしてみたら、
まったく鳴っていなかった……、
スーパーウーファーの電源を落としても、まったく音は変らなかった(つまり鳴っていなかった)……という話だ。

日本人は、……というよりも、日本のオーディオマニアの中には、というべきか、
低音に対して臆病な人が、どうも少なからずいらっしゃる気がする。

低音を出すことは、知的な行為ではない、みたいにとらえられているような気もする。

野放図な低音が、それこそとめどなくドバーッと、つねに鳴りっぱなしだったら困るけれど、
低音はまず出さなければ、始まらない。最初は多少質の低い低音だとしても、まず出すこと。

よく、そんな低音だったら、出さない方が、ずっと透明感のある音になる、ということを口にするひとがある。
はたしてそうだろうか。
それは、ほんとうに透明感(瀬川先生がときおり使われる澄明感、こちらがよりぴったりだ)のある音だろうか。

とにかく調整していったら、スーパーウーファーが鳴っていなかった、そういう失敗をしないためにも、
あるところからはメインスピーカーのレベルで、全体のバランスを整えていったほうがいい。

スーパーウーファーの場合、ときには受持帯域は2オクターヴ以下ということだってある。
それでも、低音は音楽におけるベースである。そのベースの上に構築されるものとしてとらえるのであれば、
メインスピーカーのレベルを調整する、ということを、いちど試してほしい。

スーパーウーファーの追加のために、
専用のエレクトロニッククロスオーバーネットワークを用意したのであれば、そのレベル調整を使えばいいが、
たとえば私のようにSPD-SW1600的なウーファーの場合、
エレクトロニッククロスオーバーネットワークは要らない。

そのかわり、メインスピーカーのレベルを調整するとなると、
メインスピーカー用のパワーアンプには入力レベル調整(ボリュウム・コントロール)がいる。

Date: 1月 5th, 2011
Cate: ユニバーサルウーファー

スーパーウーファーについて(その2)

スーパーウーファーを、メインスピーカーにつけ加えたときのレベル設定に関しては、
たいていメインスピーカーのレベルは固定のまま、
スーパーウーファー側のレベルをいじることが圧倒的に多いだろう。

ある程度のバランスにするまでなら、それでもいいと思う。
とにかく大まかなレベル設定がすんだら、スーパーウーファー側のレベルはそのままで、
メインスピーカー側のレベルを変えることで、バランスを追い込む方が、私はいいと思う。

私はスーパーウーファーにSPD-SW1600を使っている。
これには入力レベルと出力レベルの両方をそれぞれ調整できる。

入力レベルには3つのLED(緑、黄、赤)があり、取扱説明書によれば、常時緑が点灯し、
フォルティッシモにおいて赤が点滅するように調整しろ、とある。
そしてSPD-SW1600の全体のレベルは出力レベルのツマミで調整する。

だから、よく聴く数枚のディスクを、ふだん聴く音量で入力レベルをまず調整し、
メインスピーカーに対してのバランスを出力レベルのツマミで調整していく。
これでかなりのところまで追い込む。

そのあとはしばらくいじることなく聴き続ける期間をとる。
それは一週間であったり、一ヵ月であったり、人によってそのへんは変ってくるだろう。

とくに大きな問題が生じなければ、そういう期間をはさんだあとで、
さらにメインスピーカーとのバランスを追い込む。
このときはSPD-SW1600の出力レベルのツマミをいじってもいいわけだし、
たぶんSPD-SW1600的な構成のウーファーを使われる人ならば、そうしてしまう。

でも、ここからはできればメインスピーカー側のレベルを変えることで、
全体のバランスの細かい調整をしていく。
そのためにはメインスピーカーを鳴らすパワーアンプに、入力レベル調整がついていた方がいい。

Date: 12月 30th, 2010
Cate: ユニバーサルウーファー, 井上卓也

ユニバーサルウーファー考(その5・補足)

井上先生は、磁気回路がアルニコ磁石かフェライト磁石なのかによる音の違いは、
磁石としての性能の違いだけが影響してくるのではなく、アルニコとフェライトの製造方法の違いから生じる、
個体としての性質の違いも音に大きく関係してくることに注意しろ、とよく口にされていた。

アルニコとフェライトでは叩いた時の音がまったく異る。
しかも磁石の占める割合は、わりと大きい。磁気回路の強力なスピーカーユニットほど、
この固有音の違いもまた大きく音に関係してくるわけだ。

そして構造体としてスピーカーユニットを捉えた時に、
質量がどのように分布しているのかも重要だと言われていた。

ウーファーは基本的にコーン型かほとんどであるため、
構造体としてはほとんど同じだが、トゥイーターとなるとホーン型、ドーム型、コーン型などなど、
いろいろな種類があり、それによって構造が大きく異ってくる。
同じホーン型でもホーンの形状の違い、ユニット全体の構造の設計の違いなどによって、
ほぼ同じ重量のホーン型トゥイーターでも、質量が集中しているものもあれば、分散しているものもある。

同じ重量であれば、集中している方が全体の強度も高くなる。

それは手にした時の感覚的な重さの違いでもある。
同じ重量のトゥイーターでも、質量が集中して小型のモノと、わりと大きく質量が分散しているモノとでは、
前者の方がずしりとした感じを受けるだろう。

そういう要素は、かならず音に関係してくる。
というよりも、どんなことでも音には関係してくる。

Date: 12月 30th, 2010
Cate: ユニバーサルウーファー, 井上卓也

ユニバーサルウーファー考(その5)

もう30年以上まえのことだが、
井上先生が、マクソニックのトゥイーター、T45EXのことを、パワートゥイーターと表現された。

T45EXは、ホーン型トゥイーターのT45の磁気回路の磁石を、励磁(フィールド)型に置き換えたもので、
ベースとなったT45は重量3.8kgなのに、T45EXは9kgと倍以上の重量になっている。

JBLの2405が2kg、エレクトロボイスのT350が3.2kg、
強力な磁気回路を背負っていたピラミッドのT1でも3.85kgだから、
T45EXの物量の投入具合が重さからも伝わってくる。

構造体として、これだけの重量差があると、たとえ磁気回路がT45と同じで永久磁石だったとしても、
出てくる音には、そうとうの違いが生じるものである。
そこにもってきて励磁型で、しかも電磁石への電圧をあげれば磁束密度は高くなる。

井上先生は、磁束密度をあげたときの音は、パワートゥイーターとしての性格をはっきりと感じる、と言われている。

パワートゥイーターという表現がふさわしいT45EXの音はどんなだったのだろうか。
井上先生の発言を拾ってみると、
トゥイーター単体の付属音、シャッとかシャラシャラといった音がまったくいっていいほど出てこない、
2トラック38cmのオープンリールデッキで生録をするときにモニター用としてつかうことのできる製品、
ということになる。
だから、
生演奏の音をマイクで拾ってそのまま録音器を通さずにスルーで聴けば、
付帯音がなくて十二分なエネルギーが出せるので、すごい魅力が引き出せるはず、と評価されている。

ただ、こういう性格の音の場合、アナログディスクの再生では、高域の伸びが不足しているように聴こえ、
高域の音の伸びがもっと欲しくなるようおもわれが、実は十分なエネルギーが再現されているため、
いわば演出された繊細さにつながる高域感は稀薄になる──、そう受けとれる。

井上先生の書かれたものをよく読んでいる人ならば、このアナログディスク再生とテープ再生の対比で、
音を表現されることを、わりと井上先生は使われることに気づかれているはず。

Date: 3月 30th, 2010
Cate: ユニバーサルウーファー
2 msgs

ユニバーサルウーファー考(その4)

ステレオサウンドから出版されていたHIGH-TECHNIC SERIESのVol.1は、
「マルチスピーカー・マルチアンプのすすめ」だった。

このなかで、菅野先生が、次のことを書かれている。
     *
私はエンクロージュアに対してあるひとつの考え方をもっていて、しかも最近そのことについていろいろと実験しながらデータ的な裏づけが取れた暁にはオーディオ界に発表しようと思っていることがある。これはスピーカーシステム全体に対する問題といってよいのだが、特にウーファーに対しての、あたりまえのようだがいままで誰もはっきりと指摘したことのない問題点を、最近になってより一層はっきりと解明しつつある。それは何かというと、スピーカー、特にウーファーは忠実な変換器として動作していないのが実態であり、またこれを忠実な変換器として動作させると、オーディオ界全体を大改革しなければならなくなるのではないかということだ。
     *
HIGH-TECHNIC SERIESのVol.1は、1978年秋に出ている。
これを読んだ時、あれこれ空想した。とはいえ、オーディオに関心を持ってまだ2年目。
具体的に、それがどういうことを指しているのか、まったく見当がつかなかった。
これは、菅野先生が発表されるのを待つしかない、と思っていた。

Date: 3月 21st, 2010
Cate: ユニバーサルウーファー

ユニバーサルウーファー考(その3・補足)

サブウーファーの高さを、組み合わせる小型スピーカーシステムとほぼ同じにまでもってきたときの音について、
すこしだけ、やっぱりふれておきたい。

グールドの1981年再録音のゴールドベルグ変奏曲。
ここでも、グールドはハミングしている。
このハミングが、サブウーファーの高さを持ち上げたことで、じつに自然に響いてくる。
もともと耳障りだとは感じてなかったが、そう感じている人が聴いても、
決して耳障りだとはいわないだろう。

理想的なワンポイントマイクロフォンセッティングで、ひじょうにうまく録れたかのように、
ハミングが明瞭にきこえながらも、別々のマイクロフォンで、
別々の場所(ブース)で録った(いわゆるマルチマイクロフォン録音)のような不自然さはない。

響きの方向性がそろった音だ。