Archive for category 4350

Date: 2月 13th, 2013
Cate: 4343, 4350, JBL

4343と4350(その12)

各ユニット間の音のつながりは、なにもクロスオーバー周波数だけで決定されるものではないことはいうまでもない。
同じクロスオーバー周波数でも遮断特性の違いも関係してくるし、
同じ回路構成・同じクロスオーバー周波数であっても使用部品によっても、
部品の配置によっても音は必ず影響を受けるものだから、
この値だからいい、この値から外れているからだめ、ということは言いにくいのはわかっている。

それでも瀬川先生は、「かつてマルチアンプをさんざん実験していた」ともいわれている。
私の、スピーカーユニットの経験などよりずっと多くのことを実験されてきた上で、
ウーファーに15インチぐらいの口径をもってくると、
クロスオーバー周波数は上のユニットが10cmであろうと20cmであろうと、
エネルギーとして聴感上うまくクロスオーバーするポイントが250Hzから350Hzあたりといわれているわけだ。

ロジャースのReference Systemのユニットは33cm口径と発表されている。つまり13インチ口径である。
中途半端な印象をうけるサイズを採用している。
30cmでもなければ38cmでもない。なぜ33cmという口径をロジャースはとったのか、ということと、
LS3/5Aとのクロスオーバーが150Hzということは、けっして無関係と考えにくい。

これは想像でいうことなのだが、33cmという、38cm口径よりも小口径ウーファーだからこそ、
150Hzという値に設定できたという可能性を否定できない面がある。

瀬川先生の発言で重要なのは、
15インチ口径のウーファーを使った場合、クロスオーバー周波数を250Hzから350Hzあたりにもってこないと、
聴感上のエネルギーのバランスがうまくとれない、ということである。
周波数特静的、音圧的には38cm口径ウーファーに10cm口径のスコーカーをもってきても、
問題なくつながる。

それが聴感上のエネルギーのバランスということになると、そうはいかなくなる、ということだ。

Date: 2月 13th, 2013
Cate: 4343, 4350, JBL

4343と4350(その11)

ロジャースのReference Systemの音がどうであったのか。
もっといえば、瀬川先生はどう評価されていたのか。
それを知るには、「コンポーネントステレオの世界 ’79」をくり返し読んでも答は出ない。

私がずっとステレオサウンドの読者のままであったら、
Reference Systemの音をきちんと聴くまでは、実際のところはわからない、ということになるけれど、
すくなくとも編集部にいた経験からいえば、こういう場合、音があまり芳しくないこともある。

Reference Systemもそうではないか、という気がする。
とはいっても、聴いたことがないのではっきりとしたことはいえない。
それにスピーカー、それもバイアンプ駆動で、
メインスーカーとサブウーファーが別々のエンクロージュアというシステムでは、
使い手・鳴らし手の腕次第、愛情次第で鳴り方は、大きく違ってくることもある。

これは別項の「現代スピーカー考」でも書いていることのくり返しだが、
LS3/5Aのウーファー(つまりKEFのB110)と、
KEFの3ウェイのModel 105のスコーカーは、見た目良く似ている。
Model 105のスコーカーを金属ネット越しに写っている写真をみていると、
同じKEFだから、多少はスコーカー用としてモディファイしているのかもしれないけれど、
ベースとなっているのはB110だと考えていいはず。

となるとModel 105はLS3/5Aに30cm口径のウーファーを足したモデルという見方もできる。
Model 105のウーファーとスコーカーのクロスオーバー周波数は400Hz。
JBLの4343、4350のウーファーが38cmで300hz、250Hzだったことを考えても、
Model 105の400Hzは妥当な値ともいえよう。

Date: 2月 12th, 2013
Cate: 4343, 4350, JBL

4343と4350(その10)

組合せのみっつめは、コントロールアンプを重視したもので、
アキュフェーズのC240(39万5千円)を使い、
パワーアンプはサンスイのBA2000、C240の価格の約1/3(12万円)である。
スピーカーシステムはスペンドールのBCIII、
プレーヤーはラックスのPD121、フィデリティ・リサーチのFR14を組み合わせ、
カートリッジはエラック(エレクトロアクースティック)のSTS455Eで、合計は114万円強。

組合せのよっつめは、スピーカーシステムを重視したもの。
JBLのL300(40万円)を、トリオのプリメインアンプKA9900(20万円)で鳴らす。
ここまでで予算の大半にあたる100万円をつかっているため、
プレーヤーは少しでも抑えるためにPD121の弟分にあたるPD131。
正確にはPD131のキット版であるラックスキットのPDK131にSMEの3009/S2 Improved、
カートリッジはオルトフォンMC20とヘッドアンプMCA76で、合計は119万9千9百円。

こういう組合せをつくられる瀬川先生だから、
LS3/5Aのグレードアップとしてサブウーファーを追加することにしても、
純正のReference Systemをそのままもってくることは、おもしろくないと感じられたこととおもう。

だから、あえてJBLの136Aをもってきてのサブウーファーの追加という組合せにされたと考えることはできる。
それでも、ロジャースのReference Systemの音がどうだったのか、ということを考えないわけにはいかない。

Date: 2月 12th, 2013
Cate: 4343, 4350, JBL

4343と4350(その9)

「コンポーネントステレオの世界 ’79」で瀬川先生は予算120万円の組合せを4つ、つくられている。
予算60万円の組合せからのグレードアップの120万円の組合せではなく、
最初から120万円の予算の組合せである。

この時代はCDプレーヤーはまだ登場していないから、プレーヤーといえばアナログプレーヤーのことを指す。
組合せにはプレーヤー、アンプ、スピーカーシステムが最低でも必要になり、
スピーカーシステムはステレオ再生だから2台必要。
つまりプレーヤー、アンプ、スピーカーシステム×2ということで、4台のオーディオ機器から組合せは成る。

ということは全体のバランスを重視すれば、120万円を4で割った値(30万円)の、
プレーヤー、アンプ、スピーカーシステムを選ぶ、ということになる。
瀬川先生の120万円の最初の組合せは、これに近い。

エレクトロボイスのInterface:Dに、マランツのプリメインアンプPm8、
リンのLP12にオーディオクラフトのAC3000MC、カートリッジはスタントン881Sで、
組合せの合計は約114万円。

Interface:Dは1本30万円、Om8は25万円、LP12は16万円、AC3000MCと881Sは6万5千円と6万2千円。
スピーカーシステム、アンプ、プレーヤーが30万円前後のものとなっている。

組合せのふたつめは、プレーヤーを最重視したもので、EMTの928(70万円)を使われている。
928は他のEMTのプレーヤー同様フォノイコライザーアンプを内蔵しているので、
思いきってコントロールアンプを省略してパワーアンプへのダイレクト接続。
そのパワーアンプはルボックスのA740(53万8千円)。
もうこれだけで120万円の予算をすこしこえている。

それで多少ルール違反とそしられるのを覚悟のうえで、
スピーカーシステムにヤマハのNS10Mを選び、なんとか合計金額を120万円台に収められている。
それでも予算に余裕のある方に、ということで、
スピーカーシステムをチャートウェルのLS3/5Aにすることをすすめられている。
こうなると合計金額は140万円ぎりぎりまで近づく。

Date: 2月 11th, 2013
Cate: 4343, 4350, JBL

4343と4350(その8)

ロジャースのReference Systemはステレオサウンド 48号の新製品紹介のページにはじめて登場している。
48号は1978年9月に出たステレオサウンドであり、
「コンポーネントステレオの世界 ’79」はその三ヵ月後の12月に出た別冊である。

「コンポーネントステレオの世界 ’79」の取材時にはReference Systemは登場していた。
出て間もない製品でもあった。
当然、Reference Systemについて、瀬川先生は知っておられた。
     *
現実にロジャースのLS3/5Aに関しては、すでにリファレンス・システム(¥500000)という名称で、専用のウーファーに、エレクトロニック・クロスオーバーとパワーアンプが内蔵された追加システムが、新製品として紹介されています。だから、このやりかたは、ぼくの独特の考え方ではなく、だれもが頭にひらめくことなのでしょう。
そのリファレンス・システムを、そのまま買ってくるという手もありますが、ここではひとひねりして、バラバラにパーツを買ってきて、自分で組み上げることにしました。面倒くさいといえばそのとおりでしょうが、それだけ楽しいという方もいらっしゃると思うんですね。
     *
「コンポーネントステレオの世界 ’79」の組合せには予算の制限がある。
けれどロジャースのReference Systemは50万円だから、
LS3/5Aを使った60万円の組合せを、120万円の組合わせへとグレードアップするのに予算の制約は関係ない。
なのに瀬川先生は、使われていない。

ひとつはReference Systemのトータルの音が、あまり芳しくなかったことが考えられ、
もうひとつは単に、そのまま純正のシステムを使っては、組合せの記事としての面白みに欠けるから──、
理由はこのふたつのどちらかであろう。

Date: 2月 11th, 2013
Cate: 4343, 4350, JBL

4343と4350(その7)

このころ(1978年)ロジャースには、LS3/5A専用のサブウーファーが用意されていた。
わりと知られているAB1というサブウーファーではなく、L35Bという型番をもつモデルで、
専用のデヴァイダーとパワーアンプを同一筐体におさめたXA75から成るシステムで、
Reference Systemと名づけられていた。

このシステムのLS3/5Aとのクロスオーバー周波数は150Hzである。
瀬川先生が「コンポーネントステレオの世界 ’79」での組合せでのクロスオーバー周波数よりもずっと低い。
ちょうど半分の周波数で、瀬川先生の体験からすれば、
聴感上・感覚的なエネルギーがうまくつながらない(にくい)周波数ということになる。

ロジャースのReference Systemを聴く機会はなかった。実物を見たこともない。
実際にLS3/5Aとうまくつながるのだろうか。

1990年代なかばに出たAB1は聴く機会があった。
自分で調整した音ではないのでこまかなことはなんともいえないものの、
LS3/5A専用を謳っているものの、これならばLS3/5A単体で鳴らしたほうがいいと、私は感じていた。

AB1はLS3/5A搭載と同じウーファー(つまりKEFのB110)を使っている。
Reference SystemのL35Bで使われているのは33cm口径のユニットである。
これを密閉型のエンクロージュアにおさめ、
エンクロージュアの天板にはLS3/5Aを置く位置が指定してある。

エンクロージュアの寸法はW46×H83×D42cmで、けっこう大きなサイズである。
この上にLS3/5Aがのるわけだが、見た目はすくなくとも専用ウーファーとは思えない。

Date: 2月 10th, 2013
Cate: 4343, 4350, JBL

4343と4350(その6)

見落しといえば、これも見落しなのかもしれない。

ステレオサウンド別冊「コンポーネントステレオの世界 ’79」で、
瀬川先生がチャートウェルのLS3/5Aで組合せをつくられているのは、別項で書いているとおり。

この年の「コンポーネントステレオの世界」は実践的オーディオシステム構成法として、
バランス型のステップアップ型の組合せを予算に合せて、評論家が考えるという企画である。

LS3/5Aの組合せでは予算60万円でまとめられ、
次のステップとして予算が倍の120万円となる。
60万円でまとめたLS3/5Aの組合せをどういうふうにステップアップしていくのか、
瀬川先生はふたつのプランを用意されていた。

そのひとつとしてLS3/5Aにウーファーを足すことで、グレードアップをはかるというもの。
ウーファーにはJBLの136A、
エンクロージュアには当時JBLの輸入元だったサンスイがJBLの強力を得て開発したECシリーズを使い、
専用アンプを用意してバイアンプ駆動する、というもの。

この組合せについて、こう語られている。
     *
マルチアンプそれから3Dの場合、大型のウーファーをあとから追加するときに、よく、できるだけ低いところから足したほうがいいだろう、とお考えになる方が多いでしょう。最近はスーパーウーファーばやりで、数多い製品が登場してきていますが、そうしたものが大体100Hzか、それ以下の80、70Hzといったところから下で使っているので、そうお考えになるのも無理からぬところだと思います。
じつはぼく自身が、かつてマルチアンプをさんざん実験していたころ、たとえばウーファーに15インチぐらいの口径のものをもってきて、その上に小口径のコーン型ユニットを組み合わせた場合、理論的にはその小口径のコーンだって100Hz以下の、70とか60Hzのところまで出せるはずです。特性をみても実際に単独で聴いてみても、100Hz以下が十分に出ています。
したがって、たとえば100Hzぐらいのクロスオーバーでつながるはずですが、実際にはうまくいかない。ぼくにはどうしてなのかじつはよく分らないんだけれど、15インチ口径のウーファーで出した低音と、LS3/5Aのような10センチぐらいの小口径、あるいはそれ以上の20センチ口径ぐらいまでのものから出てくる中低音とが、聴感上のエネルギーでバランスがとれるポイントというのは、意外に高いところにあるんですね。
いいかえると、100Hzとか200Hzあたりでクロスオーバーさせていると、ウーファーから出てくるエネルギーと、それ以上のエネルギーと、バランスがとれなくてうまくつながらないわけです。
そして、ぼくの経験では、エネルギーとして聴感上、あるいは感覚的にうまくクロスオーバーするポイントというのは、どんな組合せの場合でも、だいたい250Hzから350Hzあたりにあるわけです。それ以上に上げると、こんどはウーファーの高いほうの音質が悪くなるし、それより下げると、こんどはミドルバスのウーファーに対するエネルギーが、どうしてもつながらない。ということで、この場合でも、300Hzでいいんですね。
もちろん、そうしたことを確認するなり実験するなりしたい方には、クロスオーバーをもっと下げられたほうが面白いわけで、そういう意味では100Hz以下まで下げられるデバイダーをお使いになるのは、まったくご自由ですよ、ということですね。
     *
「コンポーネントステレオの世界 ’79」は出た時に買って読んでいた。
引用したところも読んでいた。
そして、そうなんだとおもっていた。
にもかかわらず記憶の中から、どこかに落してきてしまっていた。

Date: 2月 10th, 2013
Cate: 4343, 4350, JBL

4343と4350(その5)

オーディオは、音こそがすべて、である。
だから、どんなに理屈の上ではこちらのほうがいいはず、ということでも、
実際に音として聴いたときには、必ずしもそうでないこと起り得る。

そういうときは、どこかに見落しがある。
見落しは、理屈側にあることもある。
正しそうに思えた理屈でも、どこかに見落しがあれば、結果としての音は良くなるとは限らない。
一方で、理屈は正しくても、実際のオーディオ側に不備があって、
その不備をあからさまにしたための結果としての、音が良くならなかった、のかもしれない。

どちらにしろ見落しが、どこかにひそんでいる。

どんなにオーディオのことを、自分は知悉していると豪語している人にも見落しがある。
本人が、それに気がついていないだけのことであって、
まったく見落しのない人には、これまでお目にかかったことがない。

私にだって、どこかに見落しがある。
大事なのは、見落しがある、ということを自覚しているかどうかであろう。
見落しなんてないと豪語していては、そこまでである。

JBLの4ウェイのスピーカーシステムのウーファーとミッドバスのクロスオーバー周波数の件も、
どこかに私が見落している点(こと)があるのだと思う。

JBLは、4350、4343の前に数多くのスピーカーシステムを開発してきている。
そのJBLが、4ウェイのシステムにおいて、
ウーファーとミッドバスのクロスオーバー周波数を300Hz近辺にしている。
ここには、なんらかの理由がきっとある。

Date: 2月 10th, 2013
Cate: 4343, 4350, JBL

4343と4350(その4)

JBLの4343と4350のウーファーとミッドバスのクロスオーバー周波数が、300Hz、250Hzなのには、
以前から疑問も感じていた。
もう少し低くしたほうが、ウーファーに採用されている2231Aというユニットの性質からいっても、
あまり高い周波数までは使いたくない。
300Hzといえば、オーディオ的には中低音ということになるけれど、
音楽的には中域の低いほうといえるだけに、ウーファーはやはり低音と呼べる帯域だけを受け持たせたい──、
そんなふうに考えてもいた。

これは4350を鳴らされている人ならば一度は考えられることではなかろうか。
4343は内蔵のLC型ネットワークだからクロスオーバー周波数を変えるのは困難であっても、
バイアンプ駆動の4350であれば、クロスオーバー周波数の変更はたやすく行える。

250Hzよりも低い周波数──、200Hz、180Hz、150Hz、100Hz、
このあたりまでは試されたことだろう。

私自身は、こういう実験をしたことがないので、実際に4350でクロスオーバー周波数を低くしていったときに、
はたして頭のなかで想像しているように音はよくなっていくのかについては、なんともいえない。
けれど、昨年、4350Bを鳴らされている方から、少しだけこのことに関する話をきいている。

彼も私と同じようなことを考えられていたようで、
クロスオーバー周波数を100Hzまで、段階的に下げてみられたそうだ。

結果は……、というと、予想と反して250Hzがいちばんまとまりが良かった、とのこと。

この話をききながら、そうなのか、と納得しながらも、
一方ではミッドバスの2202用のバックキャビティの容積をもっと増やせれば、
結果である音もまた大きく変ってきて、
やはりクロスオーバー周波数は低くしたほうがいい、という可能性も残されている、とも考えていた。

Date: 2月 7th, 2013
Cate: 4343, 4350, JBL

4343と4350(その3)

JBLによる4ウェイのスピーカーシステムは4350が最初であり、
そのスケールをひとまわり(いやふたまわり)小さくまとめたのが4343の原型といえる4341である。

4350Aは4343(4341)と同じ15インチ口径ウーファー2231Aを搭載している。
4350はダブルウーファー仕様、4343はシングルウーファーという違いがあり、
さらにミッドバスに、4350は12インチ口径の2202、4343は10インチ口径の2121という違うもある。

4343(4341)は内蔵のLC型ネットワークで鳴らされるスピーカーシステムであること、
ミッドバスのバックキャビティがエンクロージュア全体の大きさからしてもそれほど容積が確保できないだろうから、
ウーファーとミッドバスのクロスオーバー周波数が300Hzになっているのは、
きわめて妥当な数字といえる。

4350はカタログ上は250Hzである。
4350はミッドバスの口径も大きいし、エンクロージュア全体のサイズも大きい。
およそサイズ的な考慮かなされた設計とはおもえないスピーカーシステムだけに、
ミッドバスのバックキャビティも確保しようと思えば、かなりの容積まで確保できよう。

そうすればウーファーとミッドバスのクロスオーバー周波数も、
4343と近似の250Hzよりももっと低い値、
たとえば150Hz、100Hzといったところまで下げることもまったく無理なことではないはず。
しかもバイアンプ駆動だから、
クロスオーバー周波数が低くなることにより直列にはいるコイルの巨大化による弊害も関係ない。

ミッドバスの口径は12インチ。
ブックシェルフ型スピーカーシステムでは、ウーファーのサイズとしても大きな口径ともいえるもの。
JBLのカタログでは2202のf0は50Hzで、再生周波数帯域は60〜4000Hzとなっている。

ミッドバスの2202の特性から考えてもクロスオーバー周波数はもっと低くしたほうがいいように思えるし、
ウーファーが横に2本並ぶという構成からしても、やはり低いほうが有利なように思えるのに、
なぜJBLは250Hzをクロスオーバー周波数としたのか。

Date: 12月 3rd, 2008
Cate: 4343, 4350, Celestion, JBL, SL6
4 msgs

4343と4350(補足)

ボイスコイル径で思い出したことがあるので補足しておく。

セレッションのSL6(SL600)は、グラハム・バンクがユニットを、
サイズにとらわれることなく一から設計したことは「サイズ考」に書いたが、
SL6のユニットも、ウーファーとトゥイーターのボイスコイル径は等しい。

推測にしかすぎないが、おそらくいくつもの口径のユニットとともに、
ボイスコイル径もいくつも試作した結果だろう。

Date: 12月 3rd, 2008
Cate: 4343, 4350, JBL
2 msgs

4343と4350(その2)

4350の大きな特長は、ダブルウーファー構成よりも、
ウーファー2231A、ミッドバス2202A、ミッドハイ2440、
これら3つのユニットのボイスコイル径が4インチで、同じだというところだ。

オーディオに興味をもちはじめたばかりの頃、2ウェイのホーン型システムが、
高域のドライバーに4インチ・ダイヤフラム、2インチ・スロートが多いのを疑問に思ったことがある。
2ウェイで、高域を伸ばすなら、4インチ・ダイヤフラムよりも2インチのほうだろう、と考えていたわけだ。
なぜ4インチなのか。その理由はしばらくしないとわからなかった。

4インチ・ダイヤフラムのコンプレッションドライバー採用のシステムは、
ほぼすべて15インチ(38cm)口径のウーファーを搭載している。

ユニットを組み合わせて、自作スピーカーを構築している人には当り前の事実だろうが、
JBLやガウスの15インチ・ウーファーのボイスコイル径は4インチとなっている。
ガウスはJBLを離れたバート・ロカンシーを中心として興されたメーカーだけに、
HF4000(ドライバー)のボイスコイル径は4インチ、
ウーファーはいくつものモデルがあるが15インチ口径のユニットのボイスコイルは同じく4インチ、
12インチ口径のウーファーも4インチになっている。

アルテックには515、416などのウーファーは3インチのボイスコイル径だが、
コンプレッションドライバーの288のボイスコイル径もまた3インチである。

ボイスコイル径を揃えることが、技術的にどういうメリットがあるのかは説明できないが、
音の上では、コーン型と、コンプレッションドライバー+ホーン型という異るユニットを
うまくまとめるノウハウなのだろう。

4343、4341のミッドバス2121のボイスコイル径は、発表されていないが、おそらく3インチのはず。
ウーファー2231Aは4インチ、ミッドハイの2420ドライバーは2インチと、すべて異る値だ。

これだけですべてが語れるわけではないことは承知しているが、
4350Aが、ぴたりとうまく鳴ったときのエネルギー感の統一感のある凄まじさ、
その音と較べると、4343が、どうしても中低域のエネルギーがやや不足気味なのは、
ボイスコイル径と無関係ではないと思う。

Date: 12月 2nd, 2008
Cate: 4343, 4350, JBL

4343と4350(その1)

4343(4341も含む)と4350の、いちばん大きな違いは、中低域の再現力の差だと感じている。
システム全体の構成も、もちろん大きく違う。
4350Aは4343、4341と同じウーファー(2231A)の二発使用で、バイアンプ駆動が前提。
ミッドバス帯域のユニットも、25cm口径の212から30cm口径の2202に、
ドライバーも2420から2440に、全体的にスケールが一回り大きくなっている。

4343が、ある節度を保った、破綻の少ないまとまりのよさを見せるのに対して、
4350Aは凄みのある雰囲気を持つ。

バスレフポートの数も4343は2つ、4350Aは6つ、
エンクロージュアの奥行きも4350Aは50.3cmと、4333、4341とほぼ同じ値だ。

違いはいくつもあるが、それでもいちばんの違いは、中低域だ。

4341のときからそうだが、ミッドバスを加えた4ウェイ構成にも関わらず、
中低域の豊かさが不足している。
周波数特性的に問題なくても、聴感上、エネルギー感が不足気味で、
ミッドハイの2420とウーファーの2231Aの間にはさまれて喘いでいる、そんな印象さえ受ける。

もっとも4341では、逆にこのことが魅力にもつながっており、
スリムでセンシティヴとも言える音は、好きなひとにはたまらないはずだ。

4343になり、ユニットは同じながらも、中低域の鳴りの悪さは改善されており、
4341と比べると、音全体のスケール感は大きく、安定している感がある。
それでも中低域の豊かさを感じさせてくれるかというと、
中低域専用ユニットを持っているのに……、と言いたくなる。

4350Aは、さすがにそんな印象はまったくない。
4ウェイ構成の良さが──うまく鳴ったときの音に限るが──見事に活きている。
これが、JBLが、はじめて開発した4ウェイ・スピーカーだから、おそれいる。

正確には言えば、最初のモデルは4350で、2230ウーファーを搭載している。
4350は聴いたことがないので、4350Aで話を進めていく。