4343と4350(その7)
このころ(1978年)ロジャースには、LS3/5A専用のサブウーファーが用意されていた。
わりと知られているAB1というサブウーファーではなく、L35Bという型番をもつモデルで、
専用のデヴァイダーとパワーアンプを同一筐体におさめたXA75から成るシステムで、
Reference Systemと名づけられていた。
このシステムのLS3/5Aとのクロスオーバー周波数は150Hzである。
瀬川先生が「コンポーネントステレオの世界 ’79」での組合せでのクロスオーバー周波数よりもずっと低い。
ちょうど半分の周波数で、瀬川先生の体験からすれば、
聴感上・感覚的なエネルギーがうまくつながらない(にくい)周波数ということになる。
ロジャースのReference Systemを聴く機会はなかった。実物を見たこともない。
実際にLS3/5Aとうまくつながるのだろうか。
1990年代なかばに出たAB1は聴く機会があった。
自分で調整した音ではないのでこまかなことはなんともいえないものの、
LS3/5A専用を謳っているものの、これならばLS3/5A単体で鳴らしたほうがいいと、私は感じていた。
AB1はLS3/5A搭載と同じウーファー(つまりKEFのB110)を使っている。
Reference SystemのL35Bで使われているのは33cm口径のユニットである。
これを密閉型のエンクロージュアにおさめ、
エンクロージュアの天板にはLS3/5Aを置く位置が指定してある。
エンクロージュアの寸法はW46×H83×D42cmで、けっこう大きなサイズである。
この上にLS3/5Aがのるわけだが、見た目はすくなくとも専用ウーファーとは思えない。