Author Archive

Date: 10月 18th, 2009
Cate: サイズ

サイズ考(その39)

内蔵ネットワークのアース(マイナス)線を、こうやって分離していくと、
たとえばJBLの4343は、4ウェイで、ウーファー以外の3つのユニットにはレベルコントロールがついているから、
スピーカーシステムから出てくるアース線は、最低でも13本になる。

4343では、さすがに試したことはないが、アース線をきちんと分離していく効果は大きい。
自作スピーカーの2ウェイなら、それほどの手間をかけずに、このような配線に変更できる。

ネットワークがスピーカーシステムに内蔵させれ、
パワーアンプとスピーカーシステム間を1組のスピーカーケーブルで結ぶのは、
見直すべき時期に来ているのかもしれない。

ネットワークの動作原理を考慮すれば、アース線を分離すべきであろうし、
アース線をなんでもかんでもいっしょくたにした状態で、ひじょうに高価なスピーカーケーブルを導入したとして、
そのケーブルが真に優れたものであったとしても、
その効果のほどは、実際のところ、かなり半減しているのかもしれない。

半減といえば、せっかくの高価なスピーカーケーブルを導入しながらも、
ケーブル長があまっているからと、トグロをまかせていては、単なる自己満足で終ってしまう。

Date: 10月 17th, 2009
Cate: ジャーナリズム

オーディオにおけるジャーナリズム(その31)

スケッチの項でふれた、瀬川先生のメモは、オーディオ誌の企画書といえるもので、
それも月刊誌を想定したものである。

本のコンセプトだけではなく、1冊のオーディオ誌として、全体と細部について、
かなり具体的に書かれているところもある。

私も、以前、同じようなものを、2回、書いたことがある。
こういうオーディオ誌をつくりたいという想いから書いたもので、誰かに見せることはなかった。
それにもう手元にもない。

だからというわけでもないが、瀬川先生が、これを書かれたときの心境が、
私なりではあるが、わかる(気がする)。

なぜ、書かれたのか──。

それまでのオーディオ誌に、つまりステレオサウンドにも、必ずしも満足されていなかった、
と読んでいるとそう思えてくる。

Date: 10月 16th, 2009
Cate: 川崎和男, 瀬川冬樹

スケッチ

今日から、Detour展が開催されている。
会場となるMoMA Design Storeには、建築家、映画監督、デザイナー、イラストレーター、
文筆家、音楽家らのノートブックが展示されている。
川崎先生のノートブックも展示されており、スケッチに間近で触れることができる(らしい)。

つまり、まだ行っていない。
夕方から人と会う約束があったからで、かわりというわけでもないのだが、
瀬川先生のスケッチとメモをいだたいてきた。

スケッチは、プリメインアンプを描かれていて、けっこうな枚数ある。
トレーシングペーパーに描かれているものもあり、昭和49年のものである。

メモは、ひとつは昭和39年に書かれたもので、はしり書きなので、正直かなり読みにくい。
スケッチや回路図も含まれている。
これを、瀬川先生は取って置かれたわけだ。だから、いま私に元にある。
読んでいくと、なぜなのかが感じられる。

そしてもうひとつのメモは、日付はどこにも書かれていないが、内容から判断するに、
1977年(昭和52年)ごろのものと思われる。

ステレオサウンドの原稿用紙に、横書き、はしり書き、箇条書きで、
メモというより、オーディオ誌はどうあるべきか、といった内容である。

私にとって、これらは宝である。

Date: 10月 16th, 2009
Cate: サイズ

サイズ考(その38)

具体的には、プラス側の配線は1本だが、
アース側は、コンデンサーからの配線が1本、ウーファーのマイナス端子からの配線が1本、
計2本を独立して、アンプの出力端子までひっぱってくることになる。

−18dB/oct.の減衰量のネットワークでは、コイルがもうひとつ直列に入るだけで、
並列に挿入される素子(ハイカットの場合、コンデンサー)はないので、
−12dB/oct.のときと同じ、アース側の配線は2本でいい。

−24dB/oct.の減衰量となると、コイル(直列)、コンデンサー(並列)、コイル(直列)、
コンデンサー(並列)となるので、アース側の配線が1本増える。つまり3本になる。

−12dB/oct.と−18dB/oct.のネットワークのバイワイヤリングだと、
プラス側はウーファー、トゥイーター側に1本ずつで計2本、
アース(マイナス)側は、ウーファー、トゥイーターともに2本ずつで計4本、
つまり3組のスピーカーケーブルを使うことになる。

さらにトゥイーター側にアッテネーターが挿入されている場合には、
このアッテネーターからの配線が1本増えることになる。

Date: 10月 16th, 2009
Cate: サイズ

サイズ考(その37)

あれこれ試していくうちに、パワーアンプ出力からスピーカーシステムの入力端子までの配線において、
なにを重要視すべきかということが、すこしずつ把めていると思う。

意外にも重要なのは、アース(マイナス)側だと思っている。
そうなると、ネットワークを含めて考えると、アース側の配線(スピーカーケーブル)の本数は、
もっと増やしたくなる。

内蔵ネットワークが−6dB/oct.の減衰量であれば、ウーファーに対して直列にコイルがひとつはいるだけだから、
アース側の配線を増やすことはない。
−12dB/oct.の減衰量のネットワークとなると、あくまでウーファーだけの話しですすめていくが、
コイルのあとにコンデンサーが並列にはいる。
ということは、このコンデンサーを流れる信号と、ウーファーを流れる信号は異るわけだ。
なのにアース側の配線は、一緒くたにしている。
流れる信号が異れば、共通インピーダンスまで勘案すると、わけるべきである。

Date: 10月 15th, 2009
Cate: サイズ

サイズ考(その36)

シングルワイヤーからバイワイヤリング接続にするときに試してほしいと思うことがある。

シングルワイヤーでタスキ掛けの接続(片方はウーファーのプラス、
もう片方はトゥイーター側のマイナス、もしくはその逆の接続)もそうだが、
プラス側はウーファー、トゥイーターで分離して、マイナス側はまとめて1本にしたときの音、
そしてその反対の、プラス側はウーファー、トゥイーターはまとめて1本、
マイナス側をウーファー、トゥイーターで分離してみる。

これらのことはほとんどお金をかけずに試してみることができる。
そうであるならば、積極的に、接続を思い浮かぶすべての方法で、その音をどんよくに聴いてみる。

井上先生が、デジタル出力を、アンプのライン出力に接続されたように、とにかくやって、
その音を聴き、経験則を身につけていく。

Date: 10月 14th, 2009
Cate: Kathleen Ferrier, 挑発

挑発するディスク(その16)

「誠実」ということでは、カスリーン・フェリアーの歌こそが、私にとって、
ある意味、もっとも、そして静かに挑発的であるといえよう。

Date: 10月 13th, 2009
Cate: ジャーナリズム

オーディオにおけるジャーナリズム(その30)

仲間内だけで、ステレオサウンドについてあれこれしゃべっていても、
それでは、いつまでもたっても伝わらない。

手紙なり電話をするなり、手段はいろいろある。
良くなってほしいと思っているのなら、伝えてなくてはならない。

いまのステレオサウンドがおもしろいと思っている人たちも、もちろんいる。
そういう人たちは、いまのままでいいから、と黙っていると、時代が変化するにともない、
本のあり方も変っていかざるを得ない。
そんなとき、自分の声を伝えていなければ、望まない方向に変っていくかもしれない。
変ってしまったあとに、あれこれいっても、なかなか元には戻らないものである。

だから、いまのステレオサウンドのあり方に賛同する人はする人で、
きちんと編集部に声を届けるべきだろう。

Date: 10月 13th, 2009
Cate: ジャーナリズム

オーディオにおけるジャーナリズム(その29)

「ステレオサウンドを読んでいてもつまらない」、「毎号買ってはいるけど、ほとんど読んでない」という声を、
この1年の間に、よく聞くようになった。

だからといって、そう言っている人たちがオーディオに対する情熱を失いかけているのではなく、
むしろステレオサウンドとは関係なく、オーディオに対して真剣に取りくまれている。

ならば、ステレオサウンドを買うのはやめたら、という声も聞こえてきそうだが、
オーディオを長くつづけてきた人たちならば、
すくなからず、ステレオサウンドへの思い入れは、いまでももっているはずだ。
だから、文句をいいながらでも毎号手にするという人も少なくないだろう。
文句という名の要望を口にしているのだ。

私だって、ステレオサウンドへの思い入れは、人一倍持っているつもりだ。

思い入れは持っていながら、不満を感じている人たちは、ステレオサウンドに対して、
なんらかの方法で、意思表示をすべきである。

私のように、川崎先生の連載がないから買わない、というのも意思表示のひとつであるし、
ステレオサウンド編集部に対して、どう思っているのか、これからどうなってほしいのか、
きちんと伝えるべきであろう。

Date: 10月 13th, 2009
Cate: ジャーナリズム

オーディオにおけるジャーナリズム(その28)

ステレオサウンドは、もう購入していない。川崎先生の連載「アナログとデジタルの狭間で」が、
わずか5回でなくなってしまったからだ。

川崎先生が、ふたたびステレオサウンドに書かれることは、もうないだろう。
だから、ステレオサウンドを買うことも、もう二度とない。

ステレオサウンドは、だから書店に手にとってパラッとめくるぐらいと、
あとは友人宅に遊びに行ったとき、そこにあれば、読むくらい。
それでも、ステレオサウンドを毎号買って読んでいる友人たちと、
ステレオサウンドについて話しても、特に困らないし、会話はきちんと成立する。
(でも、さすがに、今号の「海苔」だけはまったく気がつかなかった……。)

購読をやめたのは、川崎先生の連載がなくなったことに対する、私の意思表示である。

Date: 10月 13th, 2009
Cate: 境界線, 瀬川冬樹

境界線(その3)

「オーディオABC」に載っているオーディオ周波数の図は、
各音域の呼び方以外に、音の感じ方とその効果について、もふれられている。

重低音域は「鈍い 身体ぜんたいに圧迫感」、
重低音域と低音域の重なるところ、おおよそ40、50Hzのところはは「音というより風圧または振動に近い」、
低音域は「ブンブン、ウンウン唸る音、重い感じ」、
中低音域と重なるところ(160Hz前後)は「ボンボン、ドンドン腹にこたえるいわゆる低音」、
その上の音域、中低音域と中音域のところには「楽器や人の声の最も重要な基本音を含む」と
「カンカン、コンコン頭をたたかれる感じ」、
中音域と中高音域の重なるところ(2.5kHz近辺)は「キンキンと耳を刺す 最も耳につきやすい」、
高音域は「シンシン、シャンシャン浮き上るような軽い感じ」、
10数kHz以上の超高音域は「楽器のデリケートな性格を浮き彫りにする 音の感じにならない」とされている。

そして30Hz以下の音については「市販のオーディオ機器やふつうの放送、レコードでは再生されない」、
30Hzから160Hzぐらいは「ふくらみ、ゆたかさなどに影響」、
100Hzあたりから2.5kHzのわりとひろい帯域を「再生音全体の感じを支配する再生音の土台」とされ、
さらにこの音域の下の帯域は「力強さ、量感、暖かさなどに影響」、
上の方の帯域は「音が張り出す、またはひっこむなどの効果に影響」、
2.5kHzから10数kHzあたりの音域の、下の方の帯域は「はなやか、きらびやか、鋭い音」、
上の方の帯域は「繊細感、冷たさ」、
10数kHz以上の超高音域は「音がふわりとただようような雰囲気感」とされていて、
本文のなかで、各音域の呼び方よりも、各音域の音の効果のほうを重視してほしい、と書かれている。

Date: 10月 13th, 2009
Cate: ジャーナリズム

オーディオにおけるジャーナリズム(その27)

たとえば早瀬さんは、どうしても言いたいことがあって、
編集部に電話してきたことがきっかけである。25年前のことだ。

私は、編集部に、こんな企画をやってほしいという手紙を、
何通も送っていたのがきっかけで、28年前のことだ。

早瀬さんは、それで「ベストオーディオファイル訪問」に登場することになり、
井上先生の使いこなしの記事に、読者代表として、原本薫子さんとともに誌面に登場された。

私はというと、「面白いヤツがいる」ということで、編集部からある日、「遊びに来ませんか」という電話をもらい、
ほいほい出かけていったら、「働かない?」と誘われたわけだ。

早瀬さんも私も、ステレオサウンド編集部に、言いたいことがあった。
それを黙っていることができず、電話なり手紙で伝えたことで、ステレオサウンドと関わりをもつことになり、
早瀬さんと私も知り合うことになる。来年の6月で、知り合って25年になる。

私たちは、いわば意思表示をしたわけだ。

Date: 10月 12th, 2009
Cate: 4343

4343とB310(その1)

B310は、井上先生がメインスピーカーとして愛用されてきたボザークのフロアー型システムで、
30cm口径のウーファーを4発、スコーカーは16cm口径を2発、
トゥイーターは、2個1組のものが4発使われており、すべてコーン型ユニットである。

いまもボザークは存在しているが、1981年だったか、一度倒産している。
そんなこともあって、スピーカーの開発・製造は行なっていない。

ユニット構成の特徴からも判断できるように、東海岸のスピーカーメーカーであり、
最高のスピーカーユニットは、それぞれ1種類のみというポリシーで、
20cm口径のフルレンジユニット、B800、30cm口径ウーファーのB199、16cm口径のスコーカーのB209A、
5cm口径トゥイーターのB200Yの4種類のユニットだけを製造し、
これらの組合せを用途に応じて変え、スピーカーシステムを構築している。
ただし普及機は違う。

ウーファー以外は、ゴム系の制動材を両面に塗布したメタルコーン、
ウーファーは、羊毛を混入したパルプコーンで、どちらも振動板の固有音をできるだけ抑えている。

Date: 10月 12th, 2009
Cate: 録音

ショルティの「指環」(その6)

ショルティの「ラインの黄金」のCDを聴くまでには、
そういったLPを数多く聴いては、何度か、いままで聴けなかった音の良さに驚いてもいる。

それに以前書いたように、はじめて聴いたCDは、小沢征爾指揮の「ツァラトゥストラ」であり、
そのときも、その凄さに驚いている。

だから、「ラインの黄金」が当時、いかに優秀録音ということで話題になっていたとしても、
その時ですら、20年以上前の録音だから、まぁ、音の良さに驚くこともなかろう、と高を括っていた。

聴きはじめると、カルショウが積極的に打ち出していた「ソニック・ステージ」が伝わってくる。
そのおもしろさに耳は集中する。それに聴きどころも多い。
いよいよワルハラ入場のところで、ハンマーの強烈な一撃が鳴る。

冷静になれば、このハンマーの音より、凄いだけの音は耳にしている。
それでも、このハンマーの音には、驚く。
それは単に音の良さだけでなく、いかにも音楽として、ワーグナーの音楽として効果的であったからだ。

Date: 10月 12th, 2009
Cate: 録音

ショルティの「指環」(その5)

ショルティの「指環」よりも、好録音と呼ばれるディスクは、数多くある。

音楽的な内容ではなく、音の凄さだけで話題になったもののなかに、「1812年」のテラーク盤がある。
実際に大砲の音を録音し、凄まじいレベルでカッティングしたもので、
ショルティの「ラインの黄金」以上に、カートリッジのトレーシング能力の高さが要求された。
この「1812年」は、全世界で20万枚ほど売れたと聞く。

クラシックのレコードとは信じられない──しかも著名な指揮者でもオーケストラでもないのに──
売上げ枚数の多さであり、それだけ話題になっていた。

たしか大砲の音は16発録音されていたはずだが、オルトフォンのエンジニアによる、
このレコードの音溝の解析で、ミス・トラッキングはカートリッジ側の問題ではなく、
オーバー・カッティングによるものだということだった。

こんな極端な例をのぞいても、1970年代おわりのフィリップスの録音には、
コリン・デイヴィスのストラヴィンスキーの「春の祭典」「火の鳥」、
コンドラシンの「シェエラザード」などがあり、優秀録音として高い評価を得ていた。

あきらかに「ラインの黄金」の時代とは明らかに質の異る、
音の良いレコードが当り前のように現われはじめていた。