スティーブ・ジョブズがオーディオマニアであることは、けっこう前から知っていた。
とはいえ、ジョブズがどんなシステムで聴いていたのかは、すぐにはわからなかった。
それからしばらくして、なにかで読んだ記憶があるが、スピーカーシステムはマーティン・ローガン、
アンプはスペクトラムを使っている。1990年代半ばごろのことだったと思う。
でも、これもかなり曖昧な記憶で時期も機器についても違っている可能性もある。
2006年にAppleからiPod HiFiが出た。
この発表のときに、ジョブズはオーディオマニアだったことを語っている。
そして、それまで使ってきたオーディオ機器を、iPod HiFiに置き換えた、とも。
ジョブズが2006年までマーティン・ローガンのスピーカーシステムを使っていたのかどうかもわからない。
オーディオマニアということ以上の情報はほとんど得られなかった。
いま書店には、ジョブズに関する本が並んでいる。
自伝も出ている。Mac関係の雑誌でも、ジョブズを特集として組んでいるものがいくつもあった。
ムックもいくつか出ている。
AERAムックとして「スティーブ・ジョブズ 100人の証言」に、1982年12月当時のジョブズの写真がある。
自宅のリビングルームの床に直に坐っているジョブズのうしろには、オーディオ機器がある。
というよりも、そのリビングルームはまるで引越してきたばかりなのか、と思わせてしまうほどに、
オーディオ機器以外のモノはレコードだけしかない。
椅子もない。
このリビングルームで床の上に胡座をかいてジョブズは、スピーカーと向き合っていたのだろうか。
暗い部屋のなかでとられた、この写真は細部ははっきりしない。
スピーカーシステムはアクースタットのModel 3だということはすぐにわかる。
ネットの色は、日本で一般的だった黒ではなく白。
プレーヤーはジャイロデック。1982年12月の写真だから、CDは2ヵ月前に日本で発表されたばかり。
だからCDプレーヤーは、ジョブズの部屋にはない。
はっきりと判別できるのは、これだけだ。
ジャイロデックのとなりにアンプが置いてある。
ちなみにジャイロデックもアンプも、床に直置きのようだ。
アンプはいったいなんだろう、と1時間ほど記憶を掘り起こしていた。
こういうパネルフェイス、というよりもツマミの配置のアンプ、それもコントロールアンプとなると……。
スピーカーがアクースタットということからも、ほほ間違いなくビバリッジの管球式のRM1/RM2ではないかと思う。
この写真の頃、1955年生れのジョブズは27歳。
AppleでMacintoshの開発に取り組んでいたころ。