Date: 11月 6th, 2011
Cate: JBL
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なぜ逆相にしたのか(その9)

バックプレッシャー型のコンプレッションドライバーの構造図を頭に思い浮べていただきたい。
ダイアフラムが前(ホーンに向って)に動くのと、後ろに動くのとではどちらが反応がはやく動くであろうか。

ドーム状のダイアフラムの頂点は後ろを向いている。
それにホーンがついている分だけの空気圧がある、などを考えると、
ダイアフラムが後ろに動くことが、前に動くよりもスムーズに素早く動くように思う。

つまり位相は逆相になってしまうが、入力信号の最初の部分(半波)に関しては、
バックプレッシャー型のコンプレッションドライバーは後ろに動いた方が自然な動作のようにも感じる。
後ろに下ったダイアフラムは入力信号の次の半波によって前に出てくる。

この前に出てくるときの移動距離(振幅量)は、正相と逆相では違ってくる。
正相になっていれば入力信号の半波分(+側の信号)の振幅だけに前に動く。
逆相だと最初の半波の分だけ後ろに下っていて、前に出るときは次の半波分の振幅がそこに加わり、
このときのダイアフラムの正相よりも前に移動する距離(振幅量)は長くなる。
それだけ前に出てくる空気の量にも違いが出てくる。

正相であればまずダイアフラムが前に出て後ろに下る、この距離が逆相よりも長くなる。
すこしわかりにくい説明になっていると思っているが、
正相でも逆相でも入力信号が同じだからダイアフラムの振幅量に変化はないわけだが、
その向きに違いが出てくる、ということをいいたいわけだ。

もちろん入力信号1波で動く空気の量そのものに、正相でも逆相でも違いはないけれど、
その方向に注意を払ってこまかくみていくと、疎密波の密の部分と疎の部分の空気量に違いが出てくる。
つまりダイアフラムが前に出ることで密の波がうまれ、後ろに下ることで疎の波ができる。

入力信号が0から+側にふれてマイナス側にふれて0にもどるとき、
正相だとまず0から+側のピークまでの密の波が出て、+側のピークから−側のピークまでの疎の波が出て、
−側のピークから0までの密の波が出てくる。
逆相では0から+側のピークまで疎の波が出て、+側のピークから−側のピークまでの密の波が出て、
−側のピークから0までの疎の波が出てくる。

ダイアフラムの向きは正相だと前・後・前、逆相では後・前・後。
疎密波で表せば、正相だと密・疎・密になり、逆相だと疎・密・疎となる。

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