Date: 10月 31st, 2011
Cate: アナログディスク再生
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私にとってアナログディスク再生とは(その40)

927Dstでかける12インチ・シングルの音は、凄さを増すのか、といえば、たしかに増す。
けれど930stで聴いたときの33 1/3回転のLPと12インチ・シングルの音の差が拡大されるわけではない。
同じくらいの差というよりも、どちらかといえばその差がすこし縮まっているようにも感じた。

12インチ・シングルを十全に鳴らしきれなかったのではなく、
33 1/3回転の通常のLPの音がこちらの予想以上に凄みを増す鳴り方のものだから、
927Dstでかける12インチ・シングルの音はやはり凄いけれども、
音に対する感覚は決して直線的ではないためなのか、なんとなく縮まって聴こえた、そんな印象だった。

ケイト・ブッシュの12インチ・シングルは、確認したわけではないけれど、
ハーフ・スピード・カッティングではないはず。
45回転でのカッティングだと思う。

音のエネルギーには、勢いが関係していると、感覚的には捉えてしまう。
勢いこそがエネルギーだ、といいたくなるわけだが、勢いはときに正確さを損なうこともある。

レコードの製作には、まずラッカー盤がカッターヘッドによってカッティングされる。
ラッカー盤を削って音溝を刻んでいくわけだが、
刻み込む際に勢いよく刻んでいくのか、それともじっくり慎重に刻んでいくのか。

勢いよく刻んでいくのが、再生時の回転数と同じ回転数でのカッティングであり、
じっくり慎重に刻んでいくのが、再生時の回転数の半分の回転数(ハーフ・スピード)でのカッティングである。

ラッカー盤に音溝を刻んでいくカッター針にはヒーターがとりつけられている。
ヒーターによって針を温めることでスムーズに溝を刻んでいくためである。
つまりそれなりの抵抗が生じているわけである。

カッティング時の、この抵抗に対して、勢いで刻んでいくのか、ゆっくり刻んでいくのか。
このふたつは、ずいぶん違う結果を生むように感じている。

カッターヘッドに送りこまれる信号が同じなのだから、
カッティング時の回転数には関係なく同じに音溝が刻まれているはずなのだろうが、
この項で以前書いているように、カッティング時に生じるプリエコー、アフターエコーの問題があるということは、
カッティング時の回転数の違いは、音溝の形に微妙な違いを生じさせていても不思議ではない。

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