十数年前、車での移動中にふと耳に飛び込んできたゴールドベルグ変奏曲。
私一人で乗っていたわけではなくて、他の人も同乗していたし、
ラジオの音量も大きかったわけではなかった。
聴こえてくるのは、ところどころ聴こえなかったりしたゴールドベルグ変奏曲だった。
それでも、誰の演奏なの? と気になるくらいには、魅力的な演奏に思えた。
グレン・グールドではないことはわかっていた。
すくなくとも、私がそれまで聴いてきたゴールドベルグ変奏曲とも違う演奏。
誰なのか、ひじょうに気になったものの、
演奏家の名前を聞く前に車から降りることになってしまい、そのまま月日だけが過ぎていった。
ときどき、あれは誰の演奏だったのか? と思い出すことはあったけれど、
聴いたことのないゴールドベルグ変奏曲のCDをかたっぱしから購入して聴く、
そこまでやる気力はなかった。
そうこうしているうちに、忘れてしまっていた。
今年グレン・グールド生誕90年ということで、
そういえば、あれは誰だったのか? と思い出してもいた。
今日、twitterを眺めていたら、ソニー・クラシカルが、
マーティン・シュタットフェルトのことをツイートしていた。
この人だったのかもしれない。
ソニー・クラシカルと契約している演奏家だから、TIDALで聴けるはず。
確かに、マーティン・シュタットフェルトのアルバムはある。
ゴールドベルグ変奏曲もある。
MQA Studioで、もちろん聴ける。
不思議なもので、もう十数年も前に、ほんのわずか聴いただけの演奏なのに、
あぁ、この演奏だ、となる。
ソーシャルメディアとTIDAL、
この二つがなかったならば、まだ聴けずにいたことだろう。