音楽をきく(その6)
マンガ「3月のライオン」の単行本には、
「先崎学のライオン将棋コラム」が載っている。
16巻には「棋士になるのを決めた日」が載っている。
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すんごくリアルなことを書くと、入会する、そして棋士になるまでのパターンはふたつに分かれます。都会育ちの少年か、地方の少年か、です。
都会に生まれ住むチビッ子天才の場合は、当然ながら家が近く、月二回の奨励会にも通いやすい。師匠だってすでについている、もしくは見つけやすいので、入会しやすい。また都会に住んでいると小学生の大会などが多い。そして、大会に出るということは、必然自分と同じくらいの才能を持った少年と接する機会が多くなり、子供同士も、時には親同士も仲良くなったりして自然とコミュニティが生まれ、この世界へ押し出しやすい環境ができるわけです。
一方、地方の子はそうはいきません。まず、道場があまりない。これはまあ東京や大阪でも少ないので仕方ないのですが、問題は大会の数が都会とは違い、だから自分と同じレベルの小中学生と真剣勝負がしにくいということです。
地方の小さな子供大会に出ると、まず優勝、それもぶっちぎりで勝つ。大人の大会に出ても上位に入る──。当然天才だあ、となります。だがここで壁にぶち当たる。
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同じだなぁ、と思いながら読んでいた。
東京に生れ、東京で育ち、家族や友人に音楽好きの人が多くいる、という環境、
田舎に生れ、田舎で育ち、家族や友人に音楽好きの人がほとんどいない、という環境。
これは前者が想像する以上に大きな違いである。
一ヵ月ほど前だったか、
ある歌手がストリーミング(サブスクリプション)について批判的なことを、
ソーシャルメディアに厳しい口調で投稿して、少し話題になっていた。
この人の投稿が話題になったときに、
この人は、音楽的にめぐまれた環境に生れ育った人なのか、
そんなことを思っていた。
この人にしても、最初は音楽の聴き手側からのスタートだったはずだ。
TIDALで音楽を聴くようになってから、
クラシックに関して落穂拾い的なことをやっている。
新しい録音を聴くだけでなく、聴いてこなかった古い録音も同じくらい聴いている。
クラシックに関してもそうであるのだから、
クラシック以外の音楽に関しても同じことをやっている。