Date: 4月 7th, 2015
Cate: 「ルードウィヒ・B」
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「ルードウィヒ・B」(その9)

手塚治虫のマンガで音楽に関係している作品で思い出すのに「0次元の丘」がある。
短篇だ。

シベリウスの「トゥオネラの白鳥」をめぐるストーリーで、
エドアルド・フォン・ ベルヌという指揮者が登場する。
主人公が、エドアルド・フォン・ ベルヌ指揮の「トゥオネラの白鳥」にだけ、ある反応を見せる。

ずいぶん昔に読んだ作品で、
そのころはシベリウスのという名前こそ知ってはいたけれど、
その作品は意識して聴いたことはなかった。
「トゥオネラの白鳥」がどういう曲なのかわからずに読んでいた。

だから気づかなかったことがある。
エドアルド・フォン・ ベルヌのことである。
クラシックを聴く人ならば、エドアルド・フォン・ ベルヌは、
エドゥアルト・ファン・ベイヌムのことだと気づく。

ベイヌムは「トゥオネラの白鳥」を指揮している。
間違いなく手塚治虫はベイヌム指揮の「トゥオネラの白鳥」を聴いていたはずだ。

となると「0次元の丘」における「トゥオネラの白鳥」、
それも特別な意味をもつ「トゥオネラの白鳥」はベイヌム指揮のもののはずでもある。

つい最近「0次元の丘」を読みなおして気づいた。
「0次元の丘」を読んだ人ならば、ベイヌムの「トゥオネラの白鳥」を聴きたいと思うようになるだろう。

手塚治虫はベイヌムの「トゥオネラの白鳥」を、「0次元の丘」で描いているように聴いたのか。

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