Archive for 6月, 2021

Date: 6月 23rd, 2021
Cate: 戻っていく感覚

SAE Mark 2500がやって来る(2500と2400の関係)

Mark 2500の時代、Mark 2400というモデルもあった。
2500が300W+300Wに対し、2400は200W+200W。

パネルフェイスは、2500と2400は基本的に同じで、
2500には入力レベル調整のプッシュボタンがあるのが、2400にはないぐらいだ。

小さな違いなのだが、製品を前にすると、
この違いはけっこう大きくて、2500のほうに、私は魅力を感じる。

外形寸法は2500がW48.3×H17.8×D40.0cm、2400はW48.3×H17.8×D28.0cm。
重量は、2500が26.4kg、2400が19.1kg。

価格は2500が650,000円のときには、420,000円だった。

Mark 2500は、中学生にとっては手の届かない存在だった。
だからといってMark 2400も無理だったのだが、
それでも2500と2400の価格差は小さくない。

2400の音は聴いていない。
Mark 2400はステレオサウンドにもそれほど登場していない。
41号の特集「世界の一流品」で岩崎先生が書かれているくらいだ。
     *
 MK2400も、決してプラックフェイスという外観だけに止まらず、技術的な内容もさらにその音にも、はっきりと感じられる。きわめてスッキリして、透明そのもの、無駄を廃した端正の極地といったような音だ。
     *
同じページで、瀬川先生がMark 2500について書かれている。
どちらもいいパワーアンプなんだ、と思いながら読んでいた。

その数年後、熊本のオーディオ店に定期的に来られていた瀬川先生が、
「SAEのアンプでいいのは、2500だけ」、そんなことをいわれていた。

そうなのか、2500と2400は、けっこう違いがあるのか……。
よく似ているモデルなのに。

そんなことを思いながら、瀬川先生の話をきいていた。

Mark 2400の音を聴いていない。
実際のところ、2500と2400の音の違いがどれだけなのかは確認できないでいる。

回路図を比較すると、2500も2400もほほ同じといっていい。
出力段の規模が、2500は2パラレルなのに対して2400はパラレルではないことぐらいだ。

回路図だけでみれば、2500と2400の音の違いは小さいはずなのだが、
2500と2400はコンストラクションが大きく違う。

この違いはそうとうに大きく音にあらわれるであろう。
それだけに、いま程度のいい状態の2400があれば、2500と比較試聴してみたい。

Date: 6月 23rd, 2021
Cate: 楽しみ方

STUDER A101 + Pass DIY BA-3(その6)

コントロールアンプでも、コレクター出力のモノは、
私が知るかぎりはそう多くはない。

これがパワーアンプになると、もっと少なくなる。
コレクター出力のパワーアンプで、すぐに浮ぶのは、
ミュージカル・フィデリティのA1くらいである。

A1はプリメインアンプで、パワーアンプ部はA級動作で、コレクター出力。
しかもA1のジェームズ・ボンジョルノのアンプと同じく、FETを使っていない。
全段トランジスターである。

初段もトランジスターなので、入力には電解コンデンサーが挿入されている。

いまもA1の音のファンは多い、ときいている。
A1の音には、私も惹かれるものを感じた。

A1のファンの人たちは、A1の音の魅力はA級動作にある、というが、
私はむしろコレクター出力であることが大きいし、
次に全段トランジスター構成ということを挙げたい。

Date: 6月 23rd, 2021
Cate: ディスク/ブック

はっぴいえんど写真集「ゆでめん」

写真家・野上眞宏さんによるはっぴいえんどの写真集「ゆでめん」が、
8月5日、ミュージック・マガジンから発売になる。
ミュージック・マガジンのサイトでの告知は、まだない。

6月18日には、iPad写真集アプリ「野上眞宏のSNAPSHOT DTARY」もヴァージョンアップして、
最新のiPadOSにも対応している。

Date: 6月 23rd, 2021
Cate: VUメーター

VUメーターのこと(その21)

SAEの創業者のモーリス・ケスラー(Morris Kessler)は、1988年にSAEを売却している。
その後のSAEがどうなっていったのか、くわしいことは知らないが、
ケスラーはATI(Amplifier Technologies, Inc.)を新たに作っている。

そのケスラーが2015年ごろに、SAEブランドを買いなおしていること、昨晩知った。
SAEのMark 2500を手に入れて、そういえば、SAEのその後は……、と検索していったら、
新生SAEのサイトを見つけた。

コントロールアンプのMK ONE、
パワーアンプが三機種、SAE 8300、SAE 2HP-D、SAE 2HPである。

2HP-Dと2HPの違いは、メーターの有無である。
2HP-Dには液晶のパワーメーターがついている。

当時のSAEのパワーアンプすべてにメーターがついていたわけではない。
Mark 2500はついていた。
弟分にあたるMark 2400もついていた。

2400はわりとすぐに2400Lになり、LED式の表示に変更になった。
こちらのほうがコストがあまりかからないからだろう。

MarkシリーズのあとにXシリーズを展開していったSAEなのだが、
メーターはすべての機種でLED式だった。

なので、新生SAEのパワーアンプは指針式のメーターがついていたのは、
少し意外でもあった。

液晶なのか、という気持はある。
(その14)、(その15)で、OPPOのヘッドフォンアンプの、
やはり液晶のVUメーターについてちょっと触れているが、
私の知るかぎり、どのオーディオメーカーも、液晶式のメーターのデザインが未熟である。

SAE 2HP-Dのメーターが、どんな感じなのか、
動いているところう見ているわけではないが、
写真でみるかぎり、とってつけたような感じが拭いきれていない。

Mark 2500を手に入れたばかりの目で見ているから、そう感じるのではないはずだ。

Date: 6月 22nd, 2021
Cate: 世代

世代とオーディオ(若い世代とバックナンバー・その8)

オーディオ雑誌のバックナンバーを、ある程度まとめて揃えることには、
基本的に賛成である。

それでもいくつかいいたいことはあって、それはすでに書いてきた。

今回、また書いているのは、
SAEのMark 2500を手に入れたから、である。
これも、ある意味、バックナンバーを手に入れたようなものだ、と感じているからだ。

Mark 2500は、五万円を切る価格で落札できた。
ストアだったので、それに10%の消費税がつき、送料を含めても五万三千円ほどだった。

これだけ安価に手に入れられると、しかも程度もなかなかよかったこともあって、
オーディオ雑誌のバックナンバーをまとめて入手するのに必要な金額と、
たいして変らないのでは──、そんなふうに思う。

雑誌のバックナンバーの相場も変動する。
高い時もあればそうでない時もあるから、簡単な価格の比較はできないだろうが、
それでも1970年代のステレオサウンドを十冊程度集めるとなると、数万円は必要だろう。

しかもバックナンバーがまとめて手に入ればまだいいが、実際は一冊ずつだったりして、
そこにかかる手間も換算すれば、安くはない。

バックナンバーから伝わってくる時代の空気がある、
同時に、その時代のオーディオ機器から伝わってくる時代の空気というものもある。

Mark 2500が届いて、細部の造り、質感などをしげしげ眺めていると、
1970年代後半のパワーアンプの雰囲気がつかみ取れる。

音を聴けば、それがわかるかというと、必ずしもそうではない。
Mark 2500にしても四十年以上前のアンプなのだから、
その時代の音をそのまま伝えてきている、とは言い難い。

それでも、といいたいのは、たとえ故障していて音が出ないオーディオ機器であっても、
実際に手にして、じっくりと眺めてみる。
外観だけでなく、内部までしっかりと。

そうすれば雑誌のバックナンバーではわからなかったことがあるのに気づくはずだし、
バックナンバーの理解にもつながっていくはずだ。

つながっていく、と書きたいところだが、
ここに関しては、人それぞれだから、どうやってもつながっていかない人もいるからだ。

Date: 6月 22nd, 2021
Cate: 戻っていく感覚

SAE Mark 2500がやって来る(その9)

SAEのMark 2500とGASのAMPZiLLAの回路図はGoogleで検索すれば、
すぐに見つかるから、この二つのパワーアンプの回路図を見較べてみるといい。

回路のこまかなことについて書いていくと、どんどん長くなるので、
いつかは別項で書くつもりだが、今回は割愛する。

一つだけ挙げると、
Mark 2500もAMPZiLLAも、FETを一石も使っていないことだ。

この時代のアンプはDCアンプ化が一般的になっていた。
そのこともあって初段はトランジスターではなくFETが使われることがほとんどだった。

二段目以降はすべてトランジスターで構成されたアンプでも、
初段だけはFETというのが当然だったし、
それはメーカー製のアンプだけではなく、
無線と実験、ラジオ技術に発表されていた自作アンプもそうだったし、
OPアンプにおいても初段はFETというのが増え始めてきていた。

そういう時代にあっても、Mark 2500とAMPZiLLAは全段トランジスターである。

ボンジョルノはFETを嫌っていたのだろうか。
SUMOのThe Gold、The Powerでも増幅系はすべてトランジスターである。
FETがまったく使われていないわけではなく、
初段(もちろんトランジスター)の前に、スイッチとしてのFETが使われているくらいだ。

SUMOのアンプは、いわゆるリレーによる保護回路をもたない。
けれど出力などに異状を感知したら、入力信号をカットするようになっていて、
そのためのFETスイッチである。

もっともそのため入力にはコンデンサーが直列に挿入されている。
1970年代から、ICL、OCLという単語がアンプのカタログ、広告に登場するようになった。

ICLは、Input Condenser Lessの略である。
そういう時代になっていても、ボンジョルノはFETを、初段の採用まで拒否して、
コンデンサーを使っている。
そのことによるメリットが大きいとの判断なのだろう。

Date: 6月 21st, 2021
Cate: Noise Control/Noise Design

CR方法(その22)

ファン付きのパワーアンプの場合、
アンプのACの極性を合せるだけではなく、
ACモーターのファンであれば、ここのところのACの極性も合わせる必要がある。

ファンのACの極性を変えるだけで、どれだけ音が変化するのか、
と疑問に思われるかもしれないが、ACモーターのファン付きアンプをもっているならば、
試してみるのがてっとり早い。

アンプのACの極性と同じ音の変化をする。
極性があっていれば、音場はきれいにひろがる。

ジェームズ・ボンジョルノはこのことに昔から気づいていたようで、
SUMOのアンプはアンプのACの極性をあわせれば、ファンの極性も合うようになっている。

井上先生が、ボンジョルノに、ACファンの極性について訊ねられている。
ボンジョルノはわかっている、といわれていた。

そのことを聞いてはいたけれど、自分のThe Goldで確認してみた。
確かに合っていた。

けれど、アンプ・エンジニアのみながみな、そのことに気づいているわけではない。

このことでわかるのは、ファンの問題点は、その動作音、振動だけではない、ということ。
ファンはないほうがいい。

それでもファンがあって、
強制空冷することで可能になるコンストラクションがあるのも事実だ。

それでもファンを止めた音を一度聴いてみると、
なんとかファンの影響を抑えられないか、とあれこれ考えることになる。

The Goldで、一度試したことがある。
真夏には到底できない実験なのだが、気温が低ければ、
そして聴く時間が短ければ、やれない実験ではない。

それでも試すのであれば、最悪アンプを壊すことになるから、
十分すぎる注意が必要になる。

ファンを止めた音、
これがThe Goldのほんとうの音(実力)なのか、とただただ驚いた。

それでもThe Goldを使っていたころは、
どうすればファンの影響を少しでも小さくできるのか。
よくわかっていたわけではない。

Date: 6月 20th, 2021
Cate: 戻っていく感覚

SAE Mark 2500がやって来る(その8)

瀬川先生は、ステレオサウンド 43号で、Mark 2500について、
こう書かれている。
     *
 一年前自家用に購入して以後も、目ぼしい製品とは常に比較してきたが、今日まで、音のダイナミックな表現力の深さ、低音の豊かさ、独得の色っぽい艶と滑らかさなど、いまだこれに勝るアンプはないと思う。日頃鳴らす音量は0・3W以下だが、そういうレベルでも音に歪っぽさが少しもなく、危なげない充実した音で楽しませてくれる。こういうパワーなら、換気に留意すればファンはOFFにして使っても大丈夫のようだ。
     *
最初に読んだときには気づかなかったのだが、
その後、Mark 2500の基本設計がジェームズ・ボンジョルノだということを知ってから、
そしてボンジョルノのアンプ(GASのThaedraとSUMOのThe Gold)を使うようになってから、
《音のダイナミックな表現力の深さ》は、ボンジョルノのアンプに共通している特質である。

43号のころ(1977年)は、ボンジョルノのアンプ(音)の洗礼を受けていなかった。
なので、当時のパワーアンプのなかでは、Mark 2500もいいアンプなのだろうけど、
スレッショルドの800Aはもっといいパワーアンプのはず、という思い込みがあった。

Mark 2500も800Aも、中学二年の私に、手の届かない存在だったけれど、
800AのほうがMark 2500よりも高価だった(百万円超えだった)。

しかもA級動作という謳い文句に、より惹かれていた。
同じ43号で、セクエラのModel 1について、こう書かれていたことも、
800Aにより惹かれた理由のひとつになっている。
     *
 スピーカーならJBLの4350A、アンプならマークレビンソンのLNP2LやSAE2500、あるいはスレッショールド800A、そしてプレーヤーはEMT950等々、現代の最先端をゆく最高クラスの製品には、どこか狂気をはらんだ物凄さが感じられる。チューナーではむろんセクエラだ。
     *
この時の私には、Mark 2500よりも800Aのほうが、
より《現代の最先端をゆく最高クラスの製品》に見えていた。
The Goldの音を聴くまでは。

Date: 6月 20th, 2021
Cate: 型番

ブランド名のこと(補足)

facebookでのコメントがいくつかあって、
時代は少し違うが、JDF、YBAもあることを思い出した。

ZYXも、そういえばある。
TDKもオーディオ関係のブランドといえた。
ここまで書いて、NECを忘れていたことに気づいた。

Date: 6月 20th, 2021
Cate: ディスク/ブック

Cantate de l’enfant et de la mere Op.185(その3)

昨年までは毎日チェックしていたe-onkyoのサイトだったが、
昨秋からTIDALを使うようになってから、チェックの頻度が、
必ずしも毎日ではなくなってしまった。

なので18日に配信が始まっていたのを、昨晩寝る前に気づいた。
ミヨーの「子と母のカンタータ」が、e-onkyoで96kHz、24ビット(flac)で配信されている。

ということはTIDALでも配信が始まっているだろうと思い、チェックしてみた。
あった。
こちらも18日に始まったのだろうか。

Amazon Music HDでは、ナクソスの配信。
e-onkyoとTIDALは、ソニー・クラシカルである。

Date: 6月 19th, 2021
Cate: 戻っていく感覚

SAE Mark 2500がやって来る(2500と2600の関係・その1)

これまでMark 2500の後継機がMark 2600である、と書いてきた。
事実、日本ではそう説明されてきたし、
Mark 2500とMark 2600が併売されていたわけでない。

けれど、今回Mark 2500を手に入れて、
さらに、このアンプのことを知りたくてあれこれ検索していたら、
1977年のものと思われるSAEのアメリカでのカタログを見つけた。

このカタログには、Mark 2600、Mark 2500、Mark 2400、Mark 2200、Mark XXXIBが、
パワーアンプとして載っている。

Mark 2600のところには、こう書いてある。
Our most powerful amplifier, the 2600 is designed for sound reinforcement applications and high power home environments. Clean, dynamic reproduction is assured with our high slew rate (40V/microsec.) and low distortion. Whenever you need flawless reproduction at the highest power levels, consider the SAE 2600 your ultimate answer.

Mark 2500は、こう書いてある。
Combining perlormance and reliability, the 2500 offers clarity and definition with great reserves of power. Our unique fully-complimentary drive and PSO output circuitry, (which maintains balanced signal drive from input to output), results in clean, clear, effortless reproduction of complex waveforms.

アメリカでは、Mark 2500とMark 2600は、併売されていた時期があるようだ。

Date: 6月 19th, 2021
Cate: 型番

ブランド名のこと

SAEのMark 2500を手にいれて、
ふと思い出したことがある。

私がオーディオに興味をもちはじめた1970年代、
アルファベット三文字のブランドが、けっこうあったな、ということだった。

SAEがそうだし、GASもそうだ。
アンプメーカーでは、AGIもあった。
これらほど知られていたわけではないが、AEA、BGWなどがあった。

アンプ以外では、もっともよく知られているJBLがある。
思いつくままあげていけば、ADC、AKG、ADS、B.E.S.、EMT、ESS、EPI、
IMF、KEF、KLH、RTR、SME、といったところだ。

Lo-D、LUXも、アルファベット三文字といえばそうなのだが、
どちらも読み方は、アルファベットをそのままというわけではない。
ローディ、ラックスだから、ここには含めない。

あと&もアルファベットとすれば、B&W、B&O、A&E、などもある。
それがどうした、といわれれば、それだけのこと、というしかない。

オーディオのブランド名として、アルファベット三文字って、
なんだかいいなぁ、と思っている。ただそれだけだ。

Date: 6月 19th, 2021
Cate: 戻っていく感覚

SAE Mark 2500がやって来た

三十分ほど前に、ヤフオク!で落札したSAEのMark 2500が届いた。
開梱して部屋に運び入れて、いま眺めているところ。

ヤフオク!の写真よりも、いい感じである。
四十年以上前に製造されたアンプとは思えないほど、くたびれた感じはしない。

もちろん最新のハイエンドのパワーアンプとは、造りが違う。
金属ブロックから削り出して、丁寧な処理がなされたいまどきのアンプを見慣れた目には、
大ざっぱなに感じられるところもある。

フロントパネルには、メーターのレンジ切り替え用、
入力アッテネーター用のプッシュボタンが並んでいる。

このボタンの感触などは、1970年代のアンプそのものだ。
いまのアンプに慣れてしまっている人には、安っぽいとか、精密さが足りないとか、
そんなふうにも感じられるだろう。

こういう造りのアンプを、いま新製品として出してきたら、
きっと叩かれることだろう。評価も低くなるだろう。

それでも、なんだろうか。
いまどきのリモコンの小さなボタンからすると、
Mark 2500のボタンは大きすぎるとなるだろうが、
少なくとも、このくらいの大きさのボタンだと押し間違えることもない。

こんなことをいうのは、老眼になったせい、といわれてもいい。
いまどきのアンプからは失われた、時代の匂いのようなものを感じている。

どちらが優れたアンプといった話ではない。
時代とともに喪失されていくものを再認識する機械であり、機会でもある。
ただ、そのことを思いながら書いている。

それにもうひとつ書いておきたいのは、
リアパネルに貼られているシールである。

そのシールには、“IMPORTED BY R.F. ENTERPRISES, LTD.”とある。
こんなところも、嬉しい世代なのだ。

Date: 6月 18th, 2021
Cate: 戻っていく感覚

SAE Mark 2500がやって来る(その7)

ステレオサウンド別冊「コンポーネントステレオの世界 ’78」で、
瀬川先生が、JBLの4343を最高に鳴らすためのシステムを求めている読者に提示されているのが、
アナログプレーヤーはEMTの930st、コントロールアンプはマークレビンソンのLNP2、
パワーアンプがSAEのMark 2600だった。
     *
パワーアンプにSAEのMARK2600をもってきたことの理由の一つは、LNP2Lを通すと音がやや細い、シャープな感じになるんですが、このパワーアンプは音を少しふくらまして出すという性格をもっているからです。それを嫌う方がいらっしゃることは知っています。しかし私の貧しい経験でいえば、欧米のコンサートホールでクラシック音楽を聴いて、日本でいわれてきた、また信じてきたクラシック音楽の音のバランスよりも、低域がもっと豊かで、柔らかくて、厚みがある音がするということに気がつきました。そこでこのMARK2600というパワーアンプの音は、一般にいわれるような、低域がゆるんでいるとかふくらみすぎているのではなく、少なくともこれくらい豊かに低域が鳴るべきなんだと思うんですね。
     *
低音の量感の豊かさがあってこその音楽の美しさがある。
なのに量感豊かな低音というと、どちらかというと、ネガティヴに捉えている人がいる。

ピラミッド型のバランスと昔からいわれているが、
これも受けとり方が、人によってそうとうに違っていることを、これまで体験している。

ほんとうのピラミッド型のバランスと、もっと低音を豊かに出てこそ、と私は思っているが、
そうでない音を、ピラミッド型のバランスという人がいる。

ピラミッド型のバランスを三角形にたとえれば、
正三角形こそピラミッド型とすれば、
上の頂角が鋭角の二等辺三角形をピラミッド型としている人がいる。
つまり底辺が短い三角形である。

そういう人からすると、私がピラミッド型(正三角形)と関しているバランスは、
直角二等辺三角形くらいのイメージなのだろう。

SAEのMark 2500、2600の低音は豊かだが、ゆるいのか。
私はそんなふうに感じたことはない。

熊本のオーディオ店に瀬川先生が定期的に来られていたころ、
菅野先生録音の「THE DIALOGUE」に驚いたのは、
4343をMark 2500か2600で鳴らした音だったことが、
いまも強烈な印象として残っているからだ。

Date: 6月 18th, 2021
Cate: 戻っていく感覚

SAE Mark 2500がやって来る(その6)

SAEのMark 2500は、中学、高校時代、憧れのアンプだった。
だから、どういうアンプなのかを、できるかぎり知ろうとしていた。

当時はインターネットで回路図を検索する、なんてことはできなかったから、
たいした情報を得られたわけではなかった。

Mark 2500について、いくつかのことを知るようになったのは、
インターネットが普及して、Googleが登場してからである。

いまでは回路図も簡単に入手できる。
サービスマニュアル(といっても日本のメーカーのそれとは違って簡単なもの)も、そうだ。

内部の写真、プリント基板の写真も検索していけば、けっこう見つかる。

それらの資料をみながら、もしMark 2500を手に入れたら──、なんてことを想像していた。
今回、それが現実になる。

Mark 2500(2600も含めて)のことだが、
一部のオーディオマニアは、ジェームズ・ボンジョルノの設計だと信じきっている人が、
少なからずいるし、ヤフオク!に出品する際にも、ボンジョルノ設計としている人(店)がいる。

ボンジョルノの設計が、完全な間違いではない。
けれどボンジョルノがすべてを設計しているわけではなく、
あくまでも基本回路設計がボンジョルノによる、というべきだ。

このことも、(その4)でふれた知人もそうだった。
ボンジョルノの設計でしょ、と私に言ってきた。

思い込みはこわいもので、こまかく説明したけれど、なぜだか伝わらない。
この人には、何をいっても伝わらない、と思うようにした。

確かにMark 2500とGASのAMPZiLLAの回路図を比較してみると、
ボンジョルノということをまったく知らなくても、同じ人の設計か、と思うほどには似ている。

特に出力段の回路構成は、ボンジョルノの設計だ、といわれれば、
うっかり信じてしまうほどに、同じであり、特徴的でもある。

Ampzilla 2000のウェブサイトに以前、こう書いてあった。

SAE(Scientific Audio Electronics)
The following products continued to use my circuit topology:
2200, 2300, 2400,2500,2600

ボンジョルノがSAEで設計したといっているのは、これらより以前のアンプである。

こうやって書いていっても、
Mark 2500の設計はボンジョルノと言っている人たちは、変らない。