世代とオーディオ(若い世代とバックナンバー・その8)
オーディオ雑誌のバックナンバーを、ある程度まとめて揃えることには、
基本的に賛成である。
それでもいくつかいいたいことはあって、それはすでに書いてきた。
今回、また書いているのは、
SAEのMark 2500を手に入れたから、である。
これも、ある意味、バックナンバーを手に入れたようなものだ、と感じているからだ。
Mark 2500は、五万円を切る価格で落札できた。
ストアだったので、それに10%の消費税がつき、送料を含めても五万三千円ほどだった。
これだけ安価に手に入れられると、しかも程度もなかなかよかったこともあって、
オーディオ雑誌のバックナンバーをまとめて入手するのに必要な金額と、
たいして変らないのでは──、そんなふうに思う。
雑誌のバックナンバーの相場も変動する。
高い時もあればそうでない時もあるから、簡単な価格の比較はできないだろうが、
それでも1970年代のステレオサウンドを十冊程度集めるとなると、数万円は必要だろう。
しかもバックナンバーがまとめて手に入ればまだいいが、実際は一冊ずつだったりして、
そこにかかる手間も換算すれば、安くはない。
バックナンバーから伝わってくる時代の空気がある、
同時に、その時代のオーディオ機器から伝わってくる時代の空気というものもある。
Mark 2500が届いて、細部の造り、質感などをしげしげ眺めていると、
1970年代後半のパワーアンプの雰囲気がつかみ取れる。
音を聴けば、それがわかるかというと、必ずしもそうではない。
Mark 2500にしても四十年以上前のアンプなのだから、
その時代の音をそのまま伝えてきている、とは言い難い。
それでも、といいたいのは、たとえ故障していて音が出ないオーディオ機器であっても、
実際に手にして、じっくりと眺めてみる。
外観だけでなく、内部までしっかりと。
そうすれば雑誌のバックナンバーではわからなかったことがあるのに気づくはずだし、
バックナンバーの理解にもつながっていくはずだ。
つながっていく、と書きたいところだが、
ここに関しては、人それぞれだから、どうやってもつながっていかない人もいるからだ。