Archive for 4月, 2020

Date: 4月 18th, 2020
Cate: ステレオサウンド

月刊ステレオサウンドという妄想(というか提案・その7)

ステレオサウンド 214号には、
小野寺弘滋氏による柳沢功力氏の「再生悦楽」の書評が載っている。
といっても、読んでいない。

どんなことが書かれているのはよくは知らないが、
前回の(その6)のあとに、
「小野寺氏は柳沢氏の連載を楽しみに読んでいた、そうだよ」という連絡が友人からあった。

書評にそう書いてある、とのこと。
私のように、「ぼくのオーディオ回想」はつまらないと思う者もいれば、
小野寺弘滋氏のように、連載を毎号楽しみに待って読んでいた人もいるわけだ。

類は友を呼ぶ、という。
ほんとうにそうなんだ、と最近思うことが多い。

前々回の(その5)で、
私は、「ぼくのオーディオ回想」はつまらない、と感じていた。
私だけではなく、周りの友人、オーディオ仲間で、
誰一人として「ぼくのオーディオ回想」をおもしろい、といっていた者はいない──、
そんなことを書いたが、
これは私がそうだから、私の周りの人も「類は友を呼ぶ」でそうなのだろうか。

おそらく小野寺弘滋氏の周りの人たちは、
小野寺氏と同じように「ぼくのオーディオ回想」を毎号楽しみにしていたのだろうし、
「再生悦楽」も買って読むんだろう。

そのことを否定する気はないけれど、
でもいまのステレオサウンドも「類は友を呼ぶ」的に偏りすぎているのか……、
そんな見方もできなくはない。

八年ほど前に別項で、
「同じ部屋の空気を吸うのもイヤ!! そういう相手と一緒につくっていかないと面白い本はつくれない」
気の合う者同士で本をつくっていても、それでは絶対におもしろいものはつくれっこない、
ということを、当時の編集顧問のKさんにいわれたことを書いている。

そういうことだな、と思っている。

Date: 4月 18th, 2020
Cate: ディスク/ブック

Solo

菅野先生の録音によるセシル・テイラーの「Solo」。
amazonでは中古盤が、そこそこの値段で出品されている。

5月20日に、リマスター盤が出る。
amazonの中古盤の約半分の値段である。

「Solo」に関しては、菅野先生からおもしろいエピソードをきいている。
いつか書こうと思っている。

Date: 4月 18th, 2020
Cate: High Resolution,

MQAで聴けるバルバラ(その6)

ステレオサウンドから出ている「ボビノ座のバルバラ」で、
九曲目の「孤独のスケッチ」を、SACDで聴く。
それからCDで聴く。

そしてユニバーサルミュージックから出ている「バルバラ〜ベスト・セレクション」
その十三曲目の「孤独のスケッチ」を聴く。

SACD、CD、MQA-CDと聴く。
いうまでもなく MQA-CDの「孤独のスケッチ」はスタジオ録音で、
「ボビノ座のバルバラ」におさめられているそれはライヴ録音である。

MQA-CDの「孤独のスケッチ」を聴いていて、歌詞のことが頭に浮んだ。
「孤独のスケッチ」はフランス語で歌われている。
なので、そのまま聴いているだけではまったく意味は解さない。

「孤独のスケッチ」の対訳を読みながら聴いていたのは、
ずっとずっと遠い昔のことである。
どんな歌詞だったのか、もう朧げでしかなかった。

それでもMQA-CDで「孤独のスケッチ」を聴いていたら、
その朧げでしかないけれど、もう断片でしかないけれど、思い出した。

歌詞カードを取り出した。
ああ、こういう歌詞だった、と三十数年ぶりに、胸にくるものがあった。

歳をとったから、というよりも、「孤独のスケッチ」の歌詞を知っている人ならば、
この状況下に聴くことで、感じるところがきっとあるはず。

心に近い音で鳴る、とは、こういうことでもある。

Date: 4月 17th, 2020
Cate: High Resolution,

MQAで聴けるバルバラ(その5)

昨年12月にステレオサウンドから「ボビノ座のバルバラ」のSACDが出た。

シングルレイヤーのSACDで、通常のCDとの二枚組である。
SACDとCDとの音は、けっこう違う。

けっこう違う理由の一つが、私のシステムの場合、
SACDは対応のCDプレーヤーのアナログ出力をアンプに接続している。
CD、それからMQA-CDを聴くときは、同じCDプレーヤーのデジタル出力を、
メリディアンの218に接続して、というわけで、
条件が同じとはいえないゆえの音の違いも加わっている。

SACDのほうが、誰の耳にも明らかなくらい情報量は多い。
ライヴ録音ゆえの会場の雑音は、SACDならでは、といいたくなるところもある。

でも肝心のバルバラの声となると、
SACDが圧倒的にいいとはいえなかったりする。

ここで書いてきているように、
私にとってバルバラの声(歌)は、
瀬川先生が熊本のオーディオ店に来られていたときの音によってつくられている。

その後、フランス盤(LP)で、何枚か聴いているのがベースになっている。

そういう耳には、MQA-CDでのバルバラが、もっともしんみりと聴ける。
SACDの「ボビノ座のバルバラ」は、耳に近く、心に遠いと感じなくもない。

218を通したバルバラのほうが、心には近くなる。
そんな心情的なところをのぞいてしまえれば、
SACDだよ、と言い切れる。
でも、私は、そういうバルバラの聴き手ではない。

もっと心に近くなるバルバラを聴きたい。
MQA-CDでのバルバラは、もっと心に近くなる。

「ボビノ座のバルバラ」がMQAで出てくるのかどうかはわからない。
出てきてほしい、と思う。

Date: 4月 17th, 2020
Cate: フルレンジユニット

シングルボイスコイル型フルレンジユニットのいまにおける魅力(その20)

今年1月に、メールをもらっていた。
グッドマンのAXIOM 22 mkIIを、
平面バッフルに取り付けて鳴らされているKさんとうい方からだった。

メールのタイトルには、
「疑似平面バッフル+後面開放箱」仕様のAXIOM22について、とあった。

AXIOM22を最初はバスレフ型エンクロージュアに入れて鳴らされていた。
その後の試行錯誤の末、
エンクロージュアは後面開放型になり、
さらにエンクロージュアのフロントバッフルを延長するかたちで、
サーロジックの音響パネル(高さ180cm)を左右にとりつけられている。

エンクロージュアの上部には平面のバッフルが設けられていて、
そこにトゥイーターが取り付けられている。

QRDの拡散型音響パネルを、裏表反対に平面バッフルに使ってみたい──、
そんなことをQRDが登場したころから考えていた。

考えていただけで、九年前にもそのことを書いていながらも、
実行には移していない。

でも同じようなことを考える人は世の中に何人かいるわけで、
Kさんはサーロジックの音響パネルという違いはあるし、
裏表の使い方も反対なのだが、考え方としては同じといえる。

マンガーのユニットを平面バッフルに取り付けて、三段スタック。
ここでの平面バッフルは、QRDの拡散型パネルと同様の音響パネル、
どちらを表にするのかは、実際に試してみないことにはなんともいえないが、
おもしろいモノになりそうな感じがしてきている。

Date: 4月 17th, 2020
Cate: 「本」

オーディオの「本」(読まれるからこそ「本」・その6)

いましがた近所のコンビニエンスストアから帰ってきたところ。
このコンビニエンスストアに行くのは二週間ぶりぐらい。

なにが大きく変っていたかというと、雑誌コーナーに、
「新型コロナ感染防止のため立ち読みしないでください」と、
大きく、何枚も注意書きが貼られていたことだ。

その4)で書いたことを、神経質すぎると思った人もいるかもしれないが、
現実は、そうである、としかいえない。

外出は極力控えているから、書店にも行っていない。
もしかすると近所の書店にも、同じような貼り紙があるのかもしれない。

もっと大きくの人が集まる店舗だと、そうかもしれない。

Date: 4月 17th, 2020
Cate: 楽しみ方

STUDER A101 + Pass DIY BA-3(その5)

メリディアンの218にバッファーをつけたいだけならば、
BA3だけでいいし、
スチューダーのA101を手に入れたのであれば、
スチューダーのA80のラインアンプの回路をコピーするのもおもしろい、とも思う。

A101とBA3を組み合わせて、一つのアンプにすることは、
私の個人的な興味からでしかない。

それに今回考えているアンプは、
218用のバッファーとしてだけでなく、
ヘッドフォンアンプとしての実験機でもある。

その場合、ボリュウムをどこに設ける。
一般的には入力の位置になる。

ボリュウムがあってラインアンプという構成である。
けれどA101とBA3のあいだにボリュウムをもってきたい。
なのでNFBはA101+BA3といったオーバーオールではかけないことになる。

どこにボリュウムをもってくるかは、
ボリュウムからの信号のリターンの引き回しに多く関係してくる。

富田嘉和氏が、
オーディオクラフトのラインアンプPL1000でやられていることを見習いたい。

Date: 4月 17th, 2020
Cate: 楽しみ方

STUDER A101 + Pass DIY BA-3(その4)

GASのThaedraは、アイドリング電流をたっぷりと流している。
それだけでなく、ラインアンプの出力はトランジスターのエミッターからではなく、
コレクターから取り出している。

エミッターから取り出す方が一般的だし、
出力インピーダンスも、コレクターからよりも低くなる。
それでもボンジョルノはコレクターからの出力を選んでいる。

FETならばソースからではなく、ドレインからの出力ということになる。

たっぷりのアイドリング電流と、
コレクター(またはドレイン)からの出力の取り出し。

この二つの条件にぴったりなのが、BA3(Burning Amp Number Three)である。
出力のFETには45mA流している。
抵抗の値を変えれば、もっと増やすこともできる。

トランジスター、FETにしても電流を大きく流すことはノイズ的には不利になる。
ジョン・カールが設計したディネッセンのJC80は、
ラインアンプの残留ノイズが多かった。

音楽を鳴り始めると気にならなくなるというものの、
ラインアンプの出力段から発生しているノイズなだけにボリュウムを絞った状態でも出る。

出力段に使っているFETとアイドリング電流の多さが原因とのことで、
アイドリング電流を減らした改良モデルも出た。

確かにノイズは減っている。天板の熱さも減っている。
けれど、あれほど魅力に感じたJC80の音は、稀薄になっていた。

BA3も、その点でノイズ的にはやや不利となるだろう。
それでもBA3のアイドリング電流を減らすようなことは、おそらくしない。

Date: 4月 16th, 2020
Cate: フルレンジユニット

シングルボイスコイル型フルレンジユニットのいまにおける魅力(その19)

フルレンジユニットを三本といえば、
シーメンスのWide Angleもそうである。

縦一列にコアキシャルユニットを三本、と一見するとそうなのだが、
それぞれにわずかに角度をつけてとりつけてある。

そして、もうひとつフルレンジユニット三本という発想の元になっているのは、
私の場合、長島先生がスイングジャーナル別冊「モダン・ジャズ読本 ’77」での組合せ、
QUADのESLの三段スタックも、確実にそうである。

この音は、いまでも聴いてみたい、と思う。
長島先生に直接訊いたこともある。
「あれはすごかった」と、数年経ってからでも、やや興奮気味に語られていたくらいだ。

ESlを縦にまっすぐに三段スタックしているのではなく、
上下のESLが「く」の字になるようにスタックされている。

三枚のESLの中心が、聴き手の耳に等距離になるように角度をつけてのスタックである。
詳しいことは「モダン・ジャズ読本 ’77」を参照してほしい。
図面も掲載されている。

ESLの三段スタック。
これを思い出していると、フルレンジ三本に関しても、別の配置を考えつく。
ESLの三段スタックと同じ配置である。

しかも、この三段スタックは、小口径のフルレンジユニットではなく、
中口径のフルレンジユニット、もっと具体的にいえばマンガーのユニットを使ってみたい。

ベンディングウェーヴのマンガーのユニットを、
それぞれ中程度の大きさの平面バッフルに取り付けて、
それをESLの三段スタックのように角度をつけて重ねていく。

マンガーのユニットは、構造上背圧をかけて鳴らすユニットではない。
最初マンガーのユニットの存在を知った時は、Wide Angle的な構想を考えていた。

それもいいと思うが、ESLの三段スタック的構想がおもしろく感じている。

Date: 4月 16th, 2020
Cate: High Resolution

MQAのこと、MQA-CDのこと(その10)

2月下旬に発売になったポリーニのベートーヴェンのピアノ・ソナタ。
MQA-CDは176.4kHzであり、e-onkyoでの配信は、MQA-CDの発売よりも先に始まっていて、
こちらは96kHzである。

ならばMQA-CDの方が音がいいのか、というと、そうともいえないところがある。
MQA-CDを買ってリッピングして、e-onkyoからも96kHzのファイルを購入して、
同条件で比較して、どうなのかを書くべきなのだが、
MQA-CDの発売日にタワーレコードに行き、試聴して結局買わなかった。

いい演奏かどうか以前に、音があまい、と感じたからだ。
試聴機の音なんてあてになるものか──、
そういわれればそうともいえるが、第一印象はけっこう鋭いもので、
こういうところの試聴機で聴いても、自分にとって大事な演奏のディスクは、はっきりとわかる。

そういうわけでポリーニのベートーヴェンは買わなかった。
なので比較もできない。

ただCDの説明文には、96kHzを176.4kHzにしている、とあった。
e-onkyoが96kHzということは、録音は96kHz、24ビットで行われたのだろう。

MQA-CDは、あくまでもCDである。
つまりMQA-CDのサンプリング周波数は、CDの44.1kHzの整数倍でなければならない。

この技術的制約をどう捉えるか。
ネガティヴに捉える人もいよう。
それでも、この制約があるおかげで、
MQA非対応のCDプレーヤーでも、CDとして聴くことができる。

それにデジタル出力をもつCDプレーヤーがあれば、
どんなに古い機種であっても、MQA対応のD/Aコンバーターを用意すれば、
簡単にMQA再生が可能になる。

このことは頭で理解している以上に、実際に体験すると、すごいと実感できる。
これを可能にするためにも、44.1kHzの整数倍でなければならない。

Date: 4月 16th, 2020
Cate: ディスク/ブック

バッハ 平均律クラヴィーア曲集(その6)

リヒテル、グールド、グルダがあればいい──、
というのは私の本音だ。

それでもマルタ・アルゲリッチ、内田光子の平均律クラヴィーア曲集が、
今後出ることがあれば、ぜひ聴きたい──、
というのも本音である。

この二人の、ピアノによる平均律クラヴィーア曲集が聴ける日は、来るのだろうか。

Date: 4月 16th, 2020
Cate: 楽しみ方

STUDER A101 + Pass DIY BA-3(その3)

GASのThaedraを使ったことのある人ならば、
かなり発熱するコントロールアンプだとわかっている。

Thaedraのラインアンプの出力段は、
パワーアンプのドライバー段のみのアイドリング電流を流している。
8Ω負荷で、3W程度の出力だった、と記憶している。

実際にロジャースのLS3/5A(15Ω仕様)を鳴らしたことがある。
いまでもLS3/5Aの最上の音として記憶に残っているほどだ。
どんなパワーアンプでも聴けなかったほどの緻密な音だった。

これだけのラインアンプが、ほんとうに必要だろうか。
くり返すが、理屈からいえば、不必要といえる。
特にThe Goldのような入力インピーダンスが極端に高い場合は、そうである。

にも関らず、そんな理屈を吹っ飛ばすかのような音だった。
よく鮮度の高い音を求めるために、コントロールアンプを省略する、ということがある。

そういう鮮度の高さとは違う、鮮度のよさである。
音がとにかくヴィヴィッドである。
そして表情豊かである。

こういう音の得られるアンプを、218の後にもってきたい──、
218を使うようになってから、そう考えていた。

GASのThaerdaをもってくるのが、手っ取り早い。
けれどThaedraの程度のいいモノは、もう極端に少なくなってきている。
それに、ここを読まれている方の参考にならない。

多少なりとも参考になれば……、と考えると、
やる気のある人ならば追試可能なことにしたい。

入手困難なモノ、パーツは使わない。

スチューダーのA101は、入手困難ではないか。
そういわれそうだが、オリジナルのA101は、時々ヤフオク!に出てくる。
さほど高いわけではない。

私は送料込みで数千円程度で入手した。
eBayにも出ている。

それにGoogleで”studer a101″と検索した人ならば、
A101のキットが出ていることに気づかれているはず。
こちらも高価ではない。

それに回路図も公開されているから、キットに頼らずとも自作も難しくはない。
BA3(Burning Amp Number Three)も、プリント基板がアメリカから入手できる。

Date: 4月 16th, 2020
Cate: 楽しみ方

STUDER A101 + Pass DIY BA-3(その2)

こんなアンプを考えるようになったのは、
audio wednesdayで試したいことができたからである。

いまメリディアンの218を使っている。
アンプはマッキントッシュのプリメインアンプMA7900だが、
218を使うようになってからは、パワーアンプ部のみを使っている。

MA7900のコントロールアンプ部はスルーしている。
MA7900にはリアパネルに、コントロールアンプ出力、パワーアンプ入力端子がある。
通常はジャンパーで、この端子が結ばれていて、プリメインアンプとして動作している。

こういう使い方をするようになってから、
MA7900の置き方・場所を変えてみたい、と考えるようになった。
そうなると、218とMA7900との距離がいまの数倍になる。

この間のラインケーブルが、いまは2m弱だが、6m以上は必要になる。
そうなると、218のアナログ段に使われているOPアンプで十分なのだろうか、と思えてくる。

実際のところ試してみないことにはなんともいかないが、
ラインケーブルが長くなれば、それだけケーブルの静電容量は増え、アンプの負担は大きくなる。

とはいえアンプの入力インピーダンスと信号レベルからすれば、
さほど大きな電流が流れているわけではない。
理屈からすれば、負荷として重たいとはいえない。

それでも理屈は理屈であって、これまでの経験からいえば、
それで十分とはなかなか思えない。

以前GASのThaedraを使っていた。
パワーアンプはSUMOのThe Goldである。
どちらもジェームズ・ボンジョルノの設計である。

The Goldのアンバランス入力のインピーダンスは1MΩである。
これだけハイインピーダンスなのだから、ラインケーブルに流れる電流は微々たるものである。

それでもThaedraにした途端に、The Goldが活き活きと鳴り出した。
水を得た魚のようとは、まさにこんな感じの音の変化をいうのかと思えるほどだった。

Date: 4月 15th, 2020
Cate: 楽しみ方

STUDER A101 + Pass DIY BA-3(その1)

スチューダーのA101といっても、どんなモデルだっけ? という人のほうが多いだろう。
オープンリールデッキの型番でも、CDプレーヤー、アンプの型番でもない。

アンプモジュールの型番である。
Googleで”studer a101″で検索してみれば、どういうアンプモジュールなのか、
どういう回路なのかすぐにわかる。

初段はFET、出力段はトランジスター、計四石のアンプである。
オープンリールデッキのA80に使われているのが、A101である。

A80ではA101の出力にバッファーアンプをつけている。
A101の回路からいっても、なんらかのバッファーはつけたくなる。

では、どんなバッファーにしようか。
ここで公開しなければ、あれこれ考えてみるのが楽しいが、
あえて公開するのであれば、読まれている方が追試できるほうがいい、とも考える。

ただ一つこだわりがある。
出力は、エミッターから取り出したくない、ということだ。
FETを出力段に使うのであれば、ソースから取り出したくない。

そういう条件で、追試が可能な(容易な)回路となると、
BA3(Burning Amp Number Three)を選ぶ。

FET四石によるバッファーである。

Date: 4月 15th, 2020
Cate: ディスク/ブック

バッハ 平均律クラヴィーア曲集(その5)

ピアノで弾かれた平均律クラヴィーア曲集ならば、
私はリヒテル、グールド、グルダがあれば、いい。

他にもいくつかのディスクは聴いている。
といっても、市販されたディスクの半分も聴いていないはずだ。

リヒテル、グールド、グルダの演奏よりも、もっと素晴らしい演奏がすでにあるかもしれないし、
いまはなくとも今後登場してこないとは言い切れない。

それでも、私は、もうこの三組の平均律クラヴィーア曲集で充分である。

クラシック、ジャズ好きの人に多いように感じているが、
グールド一番だ、とか、コルトレーンは金メダル、とか、
そんな表現をしがちな人がいる。

演奏は競技ではないのに、なぜ、一番とか金メダルとか、
そんな表現をするのだろうか。

グールドは素晴らしい、コルトレーンは素晴らしい、でいいではないか。
なぜ、そこに順位をつけるようなことをいうのだろうか。

結局、これは、自分は一番いいものを知っている、
その良さを理解している──、
そんなふうに主張したいだけなのか。

そんな人は、平均律クラヴィーア曲集に関しても、
私なんかよりももっともっも多くの録音を聴いて、
これが一番! というのだろう。
そこには、自分はこれだけの枚数を聴き込んできた、という自慢も含まれているのか。

満たされる、ということはないのか。
満たされる、ということがないまま音楽を聴き続けていくのだろうか。