MQAのこと、MQA-CDのこと(その10)
2月下旬に発売になったポリーニのベートーヴェンのピアノ・ソナタ。
MQA-CDは176.4kHzであり、e-onkyoでの配信は、MQA-CDの発売よりも先に始まっていて、
こちらは96kHzである。
ならばMQA-CDの方が音がいいのか、というと、そうともいえないところがある。
MQA-CDを買ってリッピングして、e-onkyoからも96kHzのファイルを購入して、
同条件で比較して、どうなのかを書くべきなのだが、
MQA-CDの発売日にタワーレコードに行き、試聴して結局買わなかった。
いい演奏かどうか以前に、音があまい、と感じたからだ。
試聴機の音なんてあてになるものか──、
そういわれればそうともいえるが、第一印象はけっこう鋭いもので、
こういうところの試聴機で聴いても、自分にとって大事な演奏のディスクは、はっきりとわかる。
そういうわけでポリーニのベートーヴェンは買わなかった。
なので比較もできない。
ただCDの説明文には、96kHzを176.4kHzにしている、とあった。
e-onkyoが96kHzということは、録音は96kHz、24ビットで行われたのだろう。
MQA-CDは、あくまでもCDである。
つまりMQA-CDのサンプリング周波数は、CDの44.1kHzの整数倍でなければならない。
この技術的制約をどう捉えるか。
ネガティヴに捉える人もいよう。
それでも、この制約があるおかげで、
MQA非対応のCDプレーヤーでも、CDとして聴くことができる。
それにデジタル出力をもつCDプレーヤーがあれば、
どんなに古い機種であっても、MQA対応のD/Aコンバーターを用意すれば、
簡単にMQA再生が可能になる。
このことは頭で理解している以上に、実際に体験すると、すごいと実感できる。
これを可能にするためにも、44.1kHzの整数倍でなければならない。