シングルボイスコイル型フルレンジユニットのいまにおける魅力(その19)
フルレンジユニットを三本といえば、
シーメンスのWide Angleもそうである。
縦一列にコアキシャルユニットを三本、と一見するとそうなのだが、
それぞれにわずかに角度をつけてとりつけてある。
そして、もうひとつフルレンジユニット三本という発想の元になっているのは、
私の場合、長島先生がスイングジャーナル別冊「モダン・ジャズ読本 ’77」での組合せ、
QUADのESLの三段スタックも、確実にそうである。
この音は、いまでも聴いてみたい、と思う。
長島先生に直接訊いたこともある。
「あれはすごかった」と、数年経ってからでも、やや興奮気味に語られていたくらいだ。
ESlを縦にまっすぐに三段スタックしているのではなく、
上下のESLが「く」の字になるようにスタックされている。
三枚のESLの中心が、聴き手の耳に等距離になるように角度をつけてのスタックである。
詳しいことは「モダン・ジャズ読本 ’77」を参照してほしい。
図面も掲載されている。
ESLの三段スタック。
これを思い出していると、フルレンジ三本に関しても、別の配置を考えつく。
ESLの三段スタックと同じ配置である。
しかも、この三段スタックは、小口径のフルレンジユニットではなく、
中口径のフルレンジユニット、もっと具体的にいえばマンガーのユニットを使ってみたい。
ベンディングウェーヴのマンガーのユニットを、
それぞれ中程度の大きさの平面バッフルに取り付けて、
それをESLの三段スタックのように角度をつけて重ねていく。
マンガーのユニットは、構造上背圧をかけて鳴らすユニットではない。
最初マンガーのユニットの存在を知った時は、Wide Angle的な構想を考えていた。
それもいいと思うが、ESLの三段スタック的構想がおもしろく感じている。