STUDER A101 + Pass DIY BA-3(その4)
GASのThaedraは、アイドリング電流をたっぷりと流している。
それだけでなく、ラインアンプの出力はトランジスターのエミッターからではなく、
コレクターから取り出している。
エミッターから取り出す方が一般的だし、
出力インピーダンスも、コレクターからよりも低くなる。
それでもボンジョルノはコレクターからの出力を選んでいる。
FETならばソースからではなく、ドレインからの出力ということになる。
たっぷりのアイドリング電流と、
コレクター(またはドレイン)からの出力の取り出し。
この二つの条件にぴったりなのが、BA3(Burning Amp Number Three)である。
出力のFETには45mA流している。
抵抗の値を変えれば、もっと増やすこともできる。
トランジスター、FETにしても電流を大きく流すことはノイズ的には不利になる。
ジョン・カールが設計したディネッセンのJC80は、
ラインアンプの残留ノイズが多かった。
音楽を鳴り始めると気にならなくなるというものの、
ラインアンプの出力段から発生しているノイズなだけにボリュウムを絞った状態でも出る。
出力段に使っているFETとアイドリング電流の多さが原因とのことで、
アイドリング電流を減らした改良モデルも出た。
確かにノイズは減っている。天板の熱さも減っている。
けれど、あれほど魅力に感じたJC80の音は、稀薄になっていた。
BA3も、その点でノイズ的にはやや不利となるだろう。
それでもBA3のアイドリング電流を減らすようなことは、おそらくしない。