MQAで聴けるバルバラ(その5)
昨年12月にステレオサウンドから「ボビノ座のバルバラ」のSACDが出た。
シングルレイヤーのSACDで、通常のCDとの二枚組である。
SACDとCDとの音は、けっこう違う。
けっこう違う理由の一つが、私のシステムの場合、
SACDは対応のCDプレーヤーのアナログ出力をアンプに接続している。
CD、それからMQA-CDを聴くときは、同じCDプレーヤーのデジタル出力を、
メリディアンの218に接続して、というわけで、
条件が同じとはいえないゆえの音の違いも加わっている。
SACDのほうが、誰の耳にも明らかなくらい情報量は多い。
ライヴ録音ゆえの会場の雑音は、SACDならでは、といいたくなるところもある。
でも肝心のバルバラの声となると、
SACDが圧倒的にいいとはいえなかったりする。
ここで書いてきているように、
私にとってバルバラの声(歌)は、
瀬川先生が熊本のオーディオ店に来られていたときの音によってつくられている。
その後、フランス盤(LP)で、何枚か聴いているのがベースになっている。
そういう耳には、MQA-CDでのバルバラが、もっともしんみりと聴ける。
SACDの「ボビノ座のバルバラ」は、耳に近く、心に遠いと感じなくもない。
218を通したバルバラのほうが、心には近くなる。
そんな心情的なところをのぞいてしまえれば、
SACDだよ、と言い切れる。
でも、私は、そういうバルバラの聴き手ではない。
もっと心に近くなるバルバラを聴きたい。
MQA-CDでのバルバラは、もっと心に近くなる。
「ボビノ座のバルバラ」がMQAで出てくるのかどうかはわからない。
出てきてほしい、と思う。