Archive for 9月, 2014

Date: 9月 6th, 2014
Cate: 名器

名器、その解釈(その7)

(その6)で書いた「スケール」とは、どういうことなのか。

吉田秀和氏がカルロ・マリア・ジュリーニのことを、
大指揮者ではないが名指揮者であった、と書かれたのか語られたのかを読んだ記憶がある。

なるほど、と思った。
カルロ・マリア・ジュリーニは素晴らしい指揮者であり、個人的に好きな指揮者である。
シカゴ交響楽団とのマーラーの交響曲第九番、ベルリンフィルハーモニーとのベートーヴェンの交響曲第九番、
愛聴盤である。
なぜかベートーヴェンの第九はあまり評価は高くないように感じてしまうが、そんなことはない。

他にも挙げたいディスクはいくつもあるが、話を先に進めるために控えておく。

吉田秀和氏のいわれるように、ジュリーニは名指揮者である、
けれど大指揮者とはすんなりいえるかというと、ジュリーニ好きの私でも、少し考えてしまう。

では大指揮者とすんなりいえるのは誰か。
まずフルトヴェングラーがいて、クナッパーツブッシュが、私の場合、すぐに浮ぶ。
他にも何人か挙げられる。

そういう大指揮者と名指揮者を、私のなかで分けてしまうのはなんなのか。

先頃亡くなったフランス・ブリュッヘンも好きな指揮者のひとりであり、
彼もまた大指揮者ではないが名指揮者ということになる。

Date: 9月 6th, 2014
Cate: audio wednesday

第45回audio sharing例会のお知らせ

10月のaudio sharing例会は、1日(水曜日)です。

テーマについて、インターナショナルオーディオショウにする予定です。
今年のインターナショナルオーディオショウは9月23、24、25日ですから、
その感想について、あれこれ語ろうと思っています。

いまのところインターナショナルオーディオショウに行く予定ですが、
何かの都合で行けなかった場合には、当然ですが、他のテーマに変更します。
その際はまたお知らせします。

時間はこれまでと同じ、夜7時です。

場所もいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

Date: 9月 6th, 2014
Cate: 素材

素材考(カートリッジのダンパー・余談)

オーディオでは、慎重のうえにも慎重にやっていかなければならないことがある一方で、
慎重になりすぎてしまうと、逆にダメなこともある。

そのひとつがカートリッジのレコード盤面への降し方である。
これについては、「私にとってアナログディスク再生とは(補足)」で、一度書いている。

三年前のことだし、読んでいない人がいたこともつい最近知ったので、
あえてここでもう一度書いておく。

レコードとカートリッジを大事にするあまり、
ゆっくりとカートリッジをレコード盤面に降ろす人がいる。
けれど、これがレコードを傷つけることになる。

カートリッジは針先が、あとすこしで盤面というところまでもってきたら、
ヘッドウェルの指かけから指を離して、あとは自然落下にまかせるものである。

溝に針先がリードインするまで指を離さないということが、
どういうことになるのか一度想像してみてほしい。

指かけから最後まで指を離さずに降ろす人は、ほとんどがリードインの音を聴いていないことが多い。
針先がリードインしてからボリュウムをあげるわけで、これはけっこうなことなのだが、
一度はリードインの音を聴いて、自分の操作がどのレベルにあるのかを確認した方がいい。

気になっている(その5)

「趣味は?」ときかれたら、オーディオと答えることは、まずない。
オーディオ以外の、いくつかのことを答える。
自転車と答えることも多い。

ロードバイクに興味を持つようになって20年以上。
自転車に関する知識は、けっこうあるほうだと思っている。
でも、自転車の玄人だとはまったく思っていないし、自転車の玄人でいよう、とも思っていない。

自転車に関しては、はっきりと素人である。

自転車について話せば、詳しいですね、といわれることもある。
それでもオーディオと比べれば、これは私のなかでの比較として、詳しいとは到底言えない。

少なくとも私のなかでは、オーディオと同レベルになれば、自転車の玄人かな、と思うけれど、
これから先どんなに自転車のことに詳しくなろうとも、オーディオと同じレベルになることはない。

だから、素人でいる。
素人でいるからこそ、オーディオとは違う楽しみ・接し方があり(でき)、
それゆえに趣味なのである。

素人のまま、自転車とつき合っていきたい。

Date: 9月 5th, 2014
Cate: 素材

素材考(カートリッジのダンパー・その3)

カートリッジの針先がレコードの外周方向にふれる。
もしダンパーに使われているゴムの反発力が強ければ、
すぐさま反対方向(レコードの内周側)に戻そうとする力が生じる。

これはカートリッジのダンパーとして、望ましいのだろうか。

ステレオサウンド 61号の長島先生の記事を読んで、そう考えるようになった。
実を言うと、それまではダンパーはカンチレバーを中央につねに戻すための機構だと考えていた。
ゴムが使われているのだから、そうだと思い込んでいた。

だがよくよく考えてみると、勝手にカンチレバーを中央に戻されては、
カートリッジの針先(つまりカンチレバーの先端)が溝を追従するのを邪魔することになる。
カンチレバーは、つねに溝に対して自由な動きをできるようになっていなければならないし、
ダンパーがその動きを妨げてはならない。

長島先生は「ゴムの分子間の結合が切れて、半分ヤレたゴム」という表現をされている。
こういうゴムの反発力は、新品のときよりもずっと低下している。

つまり長島先生がいわれる、オルトフォンのSPUがいい音がしてくる時期のダンパーは、
なかば反発力が低下している状態である。
一般的なゴムのイメージからすると、ゴムらしくない、ともいえる。

ここまで考えて、ダンパーとは、いったい何のためにあるものか、と考えるようになり、
そのためのダンパーとして求められる性質とは、どういうものなのか、に考えがいたるようになった。

Date: 9月 5th, 2014
Cate: 素材

素材考(カートリッジのダンパー・さらに補足)

カートリッジとは直接関係のないことだが、ひとつ思い出したことがある。

マークレビンソンのアンプ、LNP2、JC2のモジュールはピッチで固めてあった。
それからしばらくして、日本でもコンデンサーをエポキシ樹脂で固める、という記事が出てくるようになった。

固めれば音が良くなる──、
ということで、ある海外製のコントロールアンプの内部をエポキシ樹脂で固めてしまった人がいる。
結果は、というと、故障してしまい修理に出してしまうことに。
しかも、そのアンプは正規輸入品ではなく並行輸入品であった、ということも、
そのアンプの輸入代理店の人から聞いている。

いまはどうなのか知らないが、
そのころは並行輸入品でも修理の依頼を正規代理店はことわれないように定められていた。
ただ修理代金は正規輸入品よりも高く請求してもよかったようだが。

そのアンプはマークレビンソンとはずいぶんと性格の違うンプである。
エポキシ樹脂で内部を固めて使うようなアンプではない。

それでも、すこしでも音が良くなる可能性があるのなら、試してみることを止めはしない。
けれど慎重にやってならなければならない。
このことは絶対に忘れてはならない。

私もオーディオ機器には手を加えることがある。
スチューダーのCDプレーヤーA727にも手を加えた。
当時40万円をこえていたから、安易に手を加えて故障させてしまうわけにはいかない。

だからA727と同じピックアップメカニズム、デジタルフィルター、D/Aコンバーターを搭載している、
他社製のCDプレーヤーを中古で手に入れて、これであれこれ試したあとでA727にとりかかった。

ステレオサウンド 61号で長島先生もいわれているように、
慎重のうえにも慎重にやっていかなければならないことがある、ということ。

ただあまりにも慎重になりすぎてしまい、
以前書いているように、着脱式の電源ケーブルがきちんと挿っていなかったという例もある。

この辺の力の兼ね合いは言葉で完全に説明できるものではない。
ややつきはなすようだが、自分であれこれやって身につけるしかない。

Date: 9月 4th, 2014
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(モノづくり・その2)

IT企業のITは、いうまでもなくInformation Technologyの略である。
だが、日本のIT企業の中には、Information Technologyを持っていないのではないか、と感じる企業もある。

そういう企業もInformation Technologyということになっている。
そういう企業が考えるTechnologyと私が考えるTechnologyが違うのかもしれない。

そういう企業トップが、「日本のモノづくりには……」と発言する。
そういうIT企業の「ような」会社のトップのいうことだから──、と私はおもう。

今回のテクニクス・ブランドの復活は、オーディオ機器というモノづくりを、
パナソニックが復活させた、ということである。

今回発表されたアンプやスピーカーシステムの出来がどの程度なのかについては、
まだ写真を見ただけだから、あれこれ書くのは控えておく。
だが、パナソニックは、先のIT企業の「ような」会社ではない。

それに技術者がいないのでは……、ということは、必ずしもネガティヴなことではない。
テクニクスの製品でいえば、オープンリールデッキのRS1500U。
このモデルの開発には、新しい感覚、新しい考え方を盛り込むために、
あえて半数以上がテープデッキの開発に携わったことのない技術者で編成されたグループが行っている。

RS1500Uの開発に関する記事は、ステレオサウンド別冊「世界のオーディオ」のテクニクス号で読める。
テクニクス号はすでに絶版だが、電子書籍となっている。

Date: 9月 4th, 2014
Cate: Technics, 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(モノづくり・その1)

昨夜、ドイツでのIFAでテクニクスの発表があった。
現地時間の15:00〜16:00時におこなわれたカンファレンスの内容は、
インターネットのおかげでその日のうちに知ることができた。

それに大手新聞のウェブサイトでも伝えられていた。
そしてブログやSNSに、発表された製品についての意見が出て来ている。
あえて検索しないでも、facebook、twitterをやっていれば目に入る。

いろいろな意見、感想がある。
その中に、もうオーディオの技術者がいなんじゃないのか、
もしかするとアウトソーシングなのではないか、という書き込みも目にした。

今回のテクニクスのように、開発をストップしてからの復活の場合、
技術者はどうなのか、ということは、つねにいわれる。
私だって、20代のころならば、おそらく同じことを言っていた、であろう。

「何年オーディオの開発から遠ざかっているんだよ」

モノづくりとは、こう言い切れるものだろうか。
つい最近も、日本のモノづくりについて、あるIT企業のトップが発言していたことを目にした。
日本がモノづくりで競争力をとり戻せる日は来ない、というものだった。
これに同調したライターの記事も目にした。

Date: 9月 4th, 2014
Cate: 素材

素材考(カートリッジのダンパー・補足)

ステレオサウンド 61号の長島先生のSPUのエージング方法を読んで、
当時実際にやった人はいる。
私もSPUを使っていたわけではないが、同じオルトフォンのMC20MKIIでやってみた。

この時、注意しなければならないのは、記事中にもあるようにあたためすぎないことである。
うっかりしていると、周囲の温度によるがすぐにあたたまる。
あたためすぎの状態が続くと、ダンパーのエージングが進むのではなく、カートリッジそのものをダメにする。

実際にダメにしてしまった、という話をいくつか聞いている。
あたためすぎが原因である。

あたためればいい、ということで、あたためすぎる。
あたためすぎはダメだと書いてあっても、
その部分は読んでいるはずなのに、記憶になかった、ということが意外にもある。

しかも、そういう人に限って、あの記事でせいでカートリッジをダメにしてしまった、という。

くり返し書いておくが、あたためすぎはダメだ、と記事にはある。
この部分を読み落しているのは誰なのか、ということだ。

Date: 9月 4th, 2014
Cate: 素材

素材考(カートリッジのダンパー・その2)

ステレオサウンド 61号で、長島先生が次のように語られている。
     *
長島 SPUのAタイプを使って低域がモゴモゴするというひとが多いんですが、これは当然なんですね。というのは、買ってきてそのまま使っている。そうすればみんなモゴモゴしますよ。そして古くさい音がするというのね。
 SPU−A/Eがいちばんいい状態になるのは、非常に残念なことに、針が減って、使えなくなる寸前なんですね。これはみんなが知っていることだけど、そうすると、あまりにもはかないでしょう。やっと、よくなってきた、針が減って替えなければならない……。それの繰りかえしじゃね。だから、それを、もう少し早く、人工熟成させているわけです。こうすると、いい状態になってから、針が減るまで、かなり楽しめます。
(中略)
──それは、われわれでもできるんですか?
長島 できますよ。要するに、あたためるんです。そうすると(ダンパーの)ゴムが軟らかくなるでしょ。その状態で使っていると、ゴムの分子間の結合が切れて、半分ヤレたゴムになってくる。一種の老化ですね。エイジングというのはそういうことなんだけれど、それを早めてやるということです。だから、あたためては使い、あたためては使い、とそうやっていると、ひじょうに早くエイジングが進みます。
     *
具体的なやり方として長島先生は60W程度の電球の下にSPUを置き、温度にして40度ぐらいまであたためられる。
この40度くらいは、触って、あたたかいかな、というぐらいである。
熱く感じるようでは、あたためすぎ、ということになる。

そうやってあたためたカートリッジでレコードを再生する。
これをくり返すわけである。

その結果、SPUのダンパーは軟らかくなる。
これに関するやりとりも61号にはある。
     *
長島 S君、針先をちょっとさわってざらん。
──いいんですか? 指でさわっちゃって?
長島 いいよ、かまわない。
── アレッ? エッ!?
長島 ワッハッハッハ……。
── ナニッ!? こんなになります?
長島 なる。だって現になっているじゃない!
     *
これを読み、ダンパーの素材(ゴム)に対する認識が変化していった。

Date: 9月 4th, 2014
Cate: Technics, チューナー・デザイン

チューナー・デザイン考(テクニクスの型番)

テクニクスのオーディオ機器の型番にはルールがあった。
スピーカーシステムはSBから始まる。
プリメインアンプとコントロールアンプはSU、パワーアンプはSE、レシーバーにはSAが頭につく。
チューナーはST、グラフィックイコライザーはSH、カセットデッキ、オープンリールデッキはRSで始まる。

アナログディスク関連の機器はプレーヤーシステムがSL(CDプレーヤーもSL)、ターンテーブル単体はSP、
カートリッジはEPC(省略されることが多く、型番末尾にCがつく)、トーンアームはEPA、といった具合にだ。

昨晩、ドイツ・ベルリンで開催されているIFAで、テクニクスの製品が発表になった。
R1シリーズとC700シリーズがあり、
R1シリーズのスピーカーシステムがSB-R1、コントロールアンプがSU-R1、パワーアンプがSE-R1、
C700シリーズのスピーカーシステムがSB-C700、プリメインアンプがSU-C700、CDプレーヤーがSL-C700、
ネットワークプレーヤーと呼ばれる新ジャンルの機器がST-C700となっている。

ほぼ従来通りの型番のつけ方であるわけだが、ST-C700だけが少しだけ違う。
STの型番は、これまではチューナーの型番だった。

今回のラインナップにチューナーはない。
おそらく今後もチューナーが出ることはないだろう。

そのチューナーの型番(ST)が、ネットワークプレーヤーに使われている。
アルファベットは26文字あるから、ネットワークプレーヤーSTではなく、他の型番をつけることもできる。
にも関わらず、今回テクニクスはネットワークプレーヤーにSTとつけている。

個人的に、ここに注目している。

この項(チューナー・デザイン考)を書いているだけに、
わが意を得たり、の感があるからだ。

Date: 9月 3rd, 2014
Cate: 素材

素材考(カートリッジのダンパー・その1)

カートリッジにはダンパーと呼ばれる部分がある。
このダンパーには、たいていゴム系の素材が使われている。

ごく一部のカートリッジにはゴムのダンパーが使われていないモノもあるが、
ほぼすべてといっていいほど、ほとんどカートリッジにはゴムのダンパーが使われている。

ゴムときくと、反発する素材というイメージがある。
ゴムのボールを壁や床にぶつけると跳ね返ってくる。
輪ゴムを伸ばしていた指を離すと、即座に元の大きさに戻る。

そういうイメージが、ゴムにはある。

カートリッジにゴムのダンパーが使われている、と知って、
まずそういうゴムのイメージでカートリッジのダンパーをとらえていた。

けれどカートリッジの動作を考えると、そういうゴムの性質はダンパーとして理想化というと、
そうでもないことに気づく。

最初のきっかけはステレオサウンド 61号の「プロが明かす音づくりの秘訣」だった。
60号からはじまった、この企画、一回目は菅野先生、二回目は長島先生だった。

ここで長島先生はオルトフォンのSPU-Aのエージング方法を紹介されている。
これがきっかけである。

Date: 9月 2nd, 2014
Cate: モーツァルト

続・モーツァルトの言葉(その3)

50をこえて、これから先どこまで執拗になれるのか、と考えるようになってきた。
齢を重ねることで淡泊になる、枯れてくるかと思っていたら、
どうも執拗になっていくようだ。

だから、そういう音を望むようになってきている。

20代前半、ステレオサウンドで働いていたころ、
菅野先生がよくいわれていた──、
「ネクラ(根暗)重厚ではなく、ネアカ(根明)重厚でなければ」と。

菅野先生は1932年生れだから、そのころの菅野先生の年齢にほとんど同じぐらいになっている。

どこまで執拗になれるのか、と思うようになり、
菅野先生の、この「ネアカ重厚」を思い出している。

ネクラ執拗ではなく、ネアカ執拗でありたい。

Date: 9月 1st, 2014
Cate: サイズ

サイズ考(大口径ウーファーのこと・その7)

昔からいわれつづけていることで、いまもそうであることのひとつにウーファーの口径の比較がある。
15インチ(38cm)口径ウーファーと8インチ(20cm)口径ウーファー4本の振動板の面積はほぼ同じである──、
といったことである。

20cm口径1本と10cm口径4本も振動板の面積はほほ同じになり、
38cm口径1本と10cm口径16本もそういうことになる。

このことから小口径ウーファーを複数使用することで、大口径ウーファーと同じことになる、ということだ。

ウーファーの振動板が平面であれば、この理屈もある程度は成り立つ。
だが実際にはウーファーの振動板はコーン(cone、円錐)であるから、そう単純な比較とはならない。

ウーファーの振動板を手桶としてみた場合、
38cm口径のコーン状の手桶が一回ですくえる水の量、
20cm口径のコーン状の手桶が四回ですくえる水の量、
このふたつが同じになるには20cm口径のコーン状の手桶はかなり深いものでなければならない。

つまり一回の振幅で動かせる空気の量は、
38cm口径1本と20cm口径4本とでは同じにならない。38cm口径のほうが多い。

こう書いていくと、次には振幅でカバーすればいい、ということになる。
昔のユニットでは難しかった大振幅がいまのユニットでは可能になっている。
だから小口径、中口径のウーファーに足りない部分は、振幅を大きくとることで補える、という考えだ。

だが、これはスピーカーの相手が空気ということを無視している、としか思えない考えである。

Date: 9月 1st, 2014
Cate: Technics, 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(テクニクス・ブランドの復活・その11)

1976年10月にテクニクスのオープンリールデッキRS1500Uは登場した。
この年の4月にエルカセットが発表になっている。

1976年秋は、ちょうど私が五味先生の「五味オーディオ教室」とであい、
急速にオーディオへの関心が高まっていった時期でもある。

このとき電波科学を読んでいた。
いまはなくなってしまった電波科学はおもしろかったし、勉強になった。
毎号、メーカーの技術者による新製品の解説記事が載っていた。
ページ数も10ページほどあったように記憶している。
かなり詳細に、その新製品に盛り込まれている技術についての解説だった。

テクニクスのRS1500Uについての、その記事もあった、と思う。
詳しい内容はほとんど憶えていないが、
RS1500Uに投入されたアイソレートループ技術は、
それまでのオープンリールデッキの走行メカニズムとは違うことが、
視覚的にはっきりと、わかりやすく提示されていて、
そのころはオーディオ初心者だった私にも、それがいかに独創的であるかが伝わってきていた。

この点に関して、オープンリールデッキとスピーカーシステムは共通する、といえることをこのとき感じていた。