Date: 9月 4th, 2014
Cate: 素材
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素材考(カートリッジのダンパー・その2)

ステレオサウンド 61号で、長島先生が次のように語られている。
     *
長島 SPUのAタイプを使って低域がモゴモゴするというひとが多いんですが、これは当然なんですね。というのは、買ってきてそのまま使っている。そうすればみんなモゴモゴしますよ。そして古くさい音がするというのね。
 SPU−A/Eがいちばんいい状態になるのは、非常に残念なことに、針が減って、使えなくなる寸前なんですね。これはみんなが知っていることだけど、そうすると、あまりにもはかないでしょう。やっと、よくなってきた、針が減って替えなければならない……。それの繰りかえしじゃね。だから、それを、もう少し早く、人工熟成させているわけです。こうすると、いい状態になってから、針が減るまで、かなり楽しめます。
(中略)
──それは、われわれでもできるんですか?
長島 できますよ。要するに、あたためるんです。そうすると(ダンパーの)ゴムが軟らかくなるでしょ。その状態で使っていると、ゴムの分子間の結合が切れて、半分ヤレたゴムになってくる。一種の老化ですね。エイジングというのはそういうことなんだけれど、それを早めてやるということです。だから、あたためては使い、あたためては使い、とそうやっていると、ひじょうに早くエイジングが進みます。
     *
具体的なやり方として長島先生は60W程度の電球の下にSPUを置き、温度にして40度ぐらいまであたためられる。
この40度くらいは、触って、あたたかいかな、というぐらいである。
熱く感じるようでは、あたためすぎ、ということになる。

そうやってあたためたカートリッジでレコードを再生する。
これをくり返すわけである。

その結果、SPUのダンパーは軟らかくなる。
これに関するやりとりも61号にはある。
     *
長島 S君、針先をちょっとさわってざらん。
──いいんですか? 指でさわっちゃって?
長島 いいよ、かまわない。
── アレッ? エッ!?
長島 ワッハッハッハ……。
── ナニッ!? こんなになります?
長島 なる。だって現になっているじゃない!
     *
これを読み、ダンパーの素材(ゴム)に対する認識が変化していった。

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