素材考(カートリッジのダンパー・さらに補足)
カートリッジとは直接関係のないことだが、ひとつ思い出したことがある。
マークレビンソンのアンプ、LNP2、JC2のモジュールはピッチで固めてあった。
それからしばらくして、日本でもコンデンサーをエポキシ樹脂で固める、という記事が出てくるようになった。
固めれば音が良くなる──、
ということで、ある海外製のコントロールアンプの内部をエポキシ樹脂で固めてしまった人がいる。
結果は、というと、故障してしまい修理に出してしまうことに。
しかも、そのアンプは正規輸入品ではなく並行輸入品であった、ということも、
そのアンプの輸入代理店の人から聞いている。
いまはどうなのか知らないが、
そのころは並行輸入品でも修理の依頼を正規代理店はことわれないように定められていた。
ただ修理代金は正規輸入品よりも高く請求してもよかったようだが。
そのアンプはマークレビンソンとはずいぶんと性格の違うンプである。
エポキシ樹脂で内部を固めて使うようなアンプではない。
それでも、すこしでも音が良くなる可能性があるのなら、試してみることを止めはしない。
けれど慎重にやってならなければならない。
このことは絶対に忘れてはならない。
私もオーディオ機器には手を加えることがある。
スチューダーのCDプレーヤーA727にも手を加えた。
当時40万円をこえていたから、安易に手を加えて故障させてしまうわけにはいかない。
だからA727と同じピックアップメカニズム、デジタルフィルター、D/Aコンバーターを搭載している、
他社製のCDプレーヤーを中古で手に入れて、これであれこれ試したあとでA727にとりかかった。
ステレオサウンド 61号で長島先生もいわれているように、
慎重のうえにも慎重にやっていかなければならないことがある、ということ。
ただあまりにも慎重になりすぎてしまい、
以前書いているように、着脱式の電源ケーブルがきちんと挿っていなかったという例もある。
この辺の力の兼ね合いは言葉で完全に説明できるものではない。
ややつきはなすようだが、自分であれこれやって身につけるしかない。