Archive for 6月, 2013

Date: 6月 24th, 2013
Cate: 「ネットワーク」

オーディオと「ネットワーク」(facebookにて・その8)

「元原を見たい、元原で確認したい」──、
そう思うのは私だけでなく、今回「オーディオ彷徨」に携われた人も、まったくそうだったと思う。
もちろん、これは私の憶測にすぎないといえばそうなのだが、でも確実にそうだといいきれる。

だからこそ、facebookページ「岩崎千明/ジャズ・オーディオ」に「いいね!」をしてくれていた、
ステレオサウンドの関係者(Nさん、としておく)が、
非公開のfacebookグループ「audio sharing」に参加されたのだ、と思っている。

参加しなければ、岩崎先生の原稿を見ることができない。
見なければ確認できない。
逆の立場だとしても、私も同じ行動をとる。

それでも、audio sharinbへの参加希望の知らせが来て、
誰なのかを目にした時は、やはり驚いていたけれど。
でも、驚きは、すぐに納得に変る。

岩崎先生が亡くなられてすでに36年が経つ。
岩崎先生の手書きの原稿で確認しようと、どんなに思っても願っても、
ほとんどかなわないことである。まずかなわない、といいかえてもいい。

そこに一本ではあっても、手書きの原稿を見える機会があれば、
ためらうことなく、そこが非公開で、ステレオサウンドに対して、
少なからぬ人が批判的だと思うことを書いている人間がやっているところへでも行く。

それは、完璧な一冊の本をつくるのは困難だとわかっているけれど、
それでも少しでもそこに近づけたいと常日頃から思っている編集者にとっては、
ためらう理由にはならない。

同じステレオサウンド関係者であっても、
立場の違いはあっても、私が管理していることがわかってすぐに「いいね!」を取り消した人と、
取り消すことなく、さらに非公開の「場」に参加してくる人、
このふたりの違いは、どこに起因しているのだろうか。

Date: 6月 24th, 2013
Cate: 型番

型番について(その15)

オルトフォンのSPUは、ほんとうにながいことつくられ続けている。
いまも現役のカートリッジである。

SPUの構造が少し変化していることは、時期によって漆器、中期、後期とあることはすでに書いた通り。
こういう、外からは目に見えない内部に関することだけでなく、
SPUには、変化していることがある。針圧に関することである。

現在オルトフォン・ジャパンから販売されているSPU-Classicはカタログには適性針圧:4gとなっている。
1970年代、SPUの針圧は2〜3gである。
すこし意外に思われる人もいるかもしれないほど、軽めの値である。
これはオーディオニックス時代だけでなく、
ハーマンインターナショナル時代になっても2〜3gと表記されている。

それが3.0〜4.5gと重めにシフトしたのは、ハーマンになってからしばらくした1978年ごろからである。

何がどう変って、この針圧の変化なのだろうか。
ちなみにコンプライアンスは、オーディオニックスの時代もハーマンインターナショナルの時代でも、
5×10の-6乗cm/dyneであり、変更はない。

カートリッジの針圧の表記はメーカー、輸入商社によって微妙に異る。
針圧範囲を2〜3gと、こんなふうに表示するところもあれば、
2.5g±1gという表記もある。

中には標準針圧:2.5gという表記もあるし、
さらには最適針圧という表記を使うところもあった。

どの表記でも問題ないといえばそうなのだが、
それでも最適針圧という表記は、ユーザーに誤解を与えることにもなりかねない。

Date: 6月 23rd, 2013
Cate: 型番

型番について(その14)

人よりいいモノを手に入れたい──、
この気持は、人よりもいい音を出したい、という気持に、どこかでつながっている。

いい音で音楽を聴きたいから、いい音を出したい、
そんな気持がいつしか、どこかで、人よりもいい音を出したい、という気持が変っていくことがある。

そんな気持を、これまでのオーディオ人生の中でひとかけらも持ったことがない、という人がいるだろうか。
私も、人よりいいモノを手に入れたい、そんな衝動に突き動かされたことが幾度となくある。

そのために細かい情報を集める。
同じモノとして流通していても、何が違うのか。
もっとも音がいいのは、どれなのか。
同じ型番のモノの見分け方を身につけようとしていた。

ロングランのモデルならば、製造時期による違いは、
海外製品においてはけっして小さくない。音も違ってくる。

でもそれでもSPUはやはりSPUであることを思い出したい。
どのSPUがいいのか、そのことに血眼になっているときは、
SPUにこんなにもこだわっているという、一種の陶酔感がある、といえる。

そのことに一喜一憂した経験は持っていた方がいい。
でも、いつまでもそこにいてどうなるというのだろうか、
いまはそういう気持の方が強い。

もう、そういうことに夢中になれる時期はとっくにすぎてしまった。

Date: 6月 23rd, 2013
Cate: 型番

型番について(その13)

MC型カートリッジとMM型カートリッジは、
どちらが優れているのか、どちらが音がいいのか。

ずっと以前はそんなことがオーディオ雑誌の記事となっていたこともある。

それぞれに技術的メリットはある。デメリットもある。
けれどひとついえることは、オルトフォンのSPUのサスペンション構造は、
基本的にはMM型カートリッジでは実現できない、ということである。
その一方で、MM型カートリッジは針交換ができるという、大きなメリットがあるのだが。

そのSPUのメリットを、もっとも理想的に実現できているのは、やはり初期型ということになる。
つまり支点の明確化がMM型カートリッジでは実現が困難だし、
このことを追求すれば、SPUの初期型がよく、その次に後期、中期と並ぶことになる。

となると音も初期型のSPUがもっとも優れているのか。
そういうことになる、といえば、なる。

私も初期、中期、後期のSPUを比較試聴したことはない。
なのではっきりしたことはいえないけれど、初期であろうと中期であろうと、SPUはやはりSPUである。

AシェとGシェルの違い、丸針か楕円針かという違い、製造時期の違い(構造の違い)、
これらは当然のことなのだが、すべてSPUという範囲での違いである。
それぞれを比較試聴すれば、音の違いはあっても、
どれもオルトフォンのSPUであることには違いがない。

SPU同士の比較よりも、オルトフォンの他のカートリッジとの比較、
さらには他社製のカートリッジの比較では、さらに大きな音の違いがそこにあわけだから。

Date: 6月 23rd, 2013
Cate: 型番

型番について(その12)

SPUはStereo Pick Upの頭文字をとった型番であり、
これほどわかりやすく、しかもこのカートリッジのことをあらわしている型番は、そう多くはない。

SPUには、これもよく知られているようにGシェルとAシェルが用意されていて、
Aシェル・タイプはプロ用とされている。
ヘッドシェルの形状により、SPU-A、SPU-Gがある。

そして針先の形状が丸なのか楕円なのかによって、
型番の末尾に楕円針ならばEがつく。
SPU-A/E、SPU-G/Eというふうにである。

それからGシェルだけはAシェルにはないヴァージョンとして
昇圧トランスをシェル内におさめたSPU-GTがある。
これも丸針と楕円針があり、後者の型番はSPU-GT/Eとなる。

SPUには、だから6つのヴァリエーションがあったわけだが、
型番の分け方もわかりやすい。

AシェルかGシェルかによって、音は違ってくる。
丸針か楕円針かでも、もちろん違う。
トランス内蔵型であれば、そのトランス込みの音となる。

このことに製造時期による初期、中期、後期という構造の違いがあることになる。

Date: 6月 23rd, 2013
Cate: audio wednesday

第30回audio sharing例会のお知らせ

7月のaudio sharing例会は、3日(水曜日)です。

テーマはいまのところまだ決めていませんが、
この日の4日前には、「終のスピーカー」がやって来ているはずですので、
そのことについて語るかもしれません。

時間はこれまでと同じ、夜7時からです。
場所もいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

Date: 6月 22nd, 2013
Cate: 終のスピーカー

終のスピーカー(その9)

それは、一週間後にやってくる「Harkness」には、D130が収まっているからである。

別項「異相の木」の(その6)で書いている。
私にとってJBLのD130というスピーカーユニットは、はっきりと「異相の木」である。

Harknessのスタイルは美しい。
だから、たとえばこの外観だけをそっくりまねてバスレフ型エンクロージュアにしよう、という考えを、
実は私は持っていた。
そのころは、まだD130を異相の木として認識していなかったから、
このHarknessそっくりのバスレフ型エンクロージュアには、
JBLのユニットを使ったとしても、D130以外のユニットを選択しただろうし、
JBLではないメーカーのユニットを選んだかもしれない。

世の中には同じことを考える人が、やはりいるもので、
小林貢さんもレイオーディオのモニタースピーカーを導入される前は、
Harknessを大型化したエンクロージュア(ダブルウーファー用)を使われていた。

小林さんもまたHarknessを使われていた人だ。
1982年夏、無線と実験での企画でJBLの2445Jを聴かれたことが、
Harknessを追放することになった──、と、
ステレオサウンド 66号から連載が始まった「果てしなき変遷」で書かれている。

でもHarknessのかっこよさだけは捨てられなかったのだろう、
Harknessのスタイルを模倣したエンクロージュアを、あえて導入されたのだから。

Date: 6月 22nd, 2013
Cate: 型番

型番について(その12)

ここで使っている、SPUの初期、中期、後期は、
あくまでもステレオサウンド 48号が出た時点での分け方である。

では、いったいもっとも理想的といわれている初期のSPUは、いったいいつごろのものなのか。
これについてのヒントも、やはりステレオサウンド 48号の井上先生の発言にある。
     *
井上 日本のカートリッジの原型とはいっても、当時のSPUのサスペンション機構だけはまねしていませんね。細いくびれを中心に、完璧に理想的な振動をする。だから、シリアルナンバー何番までというのは、神様みたいに大事にしたわけです。もっとクリアーで、すばらしい音がした。実は台湾から密輸したんだけど(笑)。昭和30年代後半ですよ。それでもマージンなしで、2万5千円とか3万円でしょう。普通のサラリーマンの給料の5割増しくらいだから、なかなか買えなかったですよ。
     *
いちばん知りたい、シリアルナンバーがいくつまでなのかについては触れられていないけれど、
昭和30年代後半のものが初期のSPUということになる。

SPUは1962年に発表されている。昭和37年のことである。
これも井上先生が語られていることだが、
このころはダイレクトではなく東南アジア経由のものがずいぶんあった、とのことだ。

オルトフォンは以前はソニーや日本楽器も扱っていた。
1968年の日本楽器の広告にはオルトフォンが載っている。
オーディオニックスは、日本楽器の販売代理店だったはず。

1968年は昭和43年である。昭和30年代後半とは、とてもいえない。
ということはオーディオニックスが扱いはじめたころのSPUは、
すでに中期のモノである可能性が高い。

Date: 6月 22nd, 2013
Cate: 終のスピーカー

終のスピーカー(その8)

4343のコンシューマー用モデルに当たるL400は試作品がつくられていたことは確認できている。
にも関わらず製品化されなかった。
なぜなのか? いろいろ考えてみるとおもしろいし、
そのためにはJBLの製品構成を辿っていくことも必要となるし、
こんなことをやっていると、それまで気がつかなかった、見過していた事実に気づいたり、
それまで関連のないことだと思っていた事柄が結びついたりすることもある。

L400ではなくL250だったことに対する私の考えは、別のところで書こうと思っている。
ここで書いていくと、「終のスピーカー」というテーマから離れ過ぎてしまうから。

とにかくL300を境に、
JBLのコンシューマー用スピーカーはサランネットをつけて使うのが、
必ずしも前提条件ではなくなっていったと思える。
現在のJBLのフラッグシップであるDD67000(DD66000)にしても、
サランネットをつけた姿よりも外した姿のほうがインパクトとして強く、
見た者の記憶に残る(ただそれが必ずしもいい印象とは言い難いのだが……)

サランネットをつけて聴くのか、つけずに聴くのかは使い手・聴き手の自由である。
それでもL200でサランネットをつけずに聴く人は少数ではなかろうか。
オリンパスにも同じことはいえる。
Harknessもそうだ。

JBLのユニットは面構えもいい。
いい表情をしているユニットが、実に多い。
オーディオマニアの心境としては、そういうユニットの表情も味わいながら……、という気持はある。
そのくらいにオーディオマニアである私でも、
Harknessはサランネットをつけたスタイルこそが、Harknessである。

そのことは田中一光氏のHarknessの使い方から、
ステレオサウンド 45号に載った写真を何度も飽きずに見続けたことから学べたことである。

ここにおいて、4343への憧れとHarknessへの憧れは、違う。

そしてHarknessは、私にとって、もうひとつの意味をもつ。

Date: 6月 21st, 2013
Cate: 型番

型番について(その11)

もう少し正確に書いていこう。

オルトフォンがハーマングループの傘下にはいったのがいつなのかはっきりとしないが、
オルトフォンの輸入元がオーディオニックスから
ハーマンインターナショナルインダストリーズアジアインクに変ったのは1977年の中ごろである。
ということは少なくともこのときにはすでにハーマン傘下だったわけだし、
それ以前にハーマン傘下になっていたと見ることもできる。

とにかく1977年前後であろう。

ステレオサウンド 48号で、菅野先生は、
「最近、アメリカのコングロマリットの傘下に入ったオルトフォンは,経営が合理化されたようですが」
と語られている。
それでもSPUを作り続けているわけだから、たいしたものだと思いながらも、
この合理化はMC20のストリングホルダーとSPU後期のそれとが同じ形状ということと関係しいてるように思える。
ストリングホルダーが共通化されている可能性は高いだろう。

だとすればSPUの後期というのは、MC20登場以降、
つまり1976年以降あたりから、と推測できる。
もしそうであればオーディオニックスが輸入していた最後のほうのSPUも後期といえるであろう。
ほぼ間違いないはずだ。

なぜ、そういえるのか。
それはステレオサウンド 48号にSPUのサスペンション機構の変遷の図が掲載されているからである。
48号(1978年9月)の時点ですでにハーマンインターナショナル扱いになっている。
だからこそ、こういうことが記事になり、図が掲載された──、
と編集に携わったあとだから、そういえるのである。

Date: 6月 21st, 2013
Cate: トランス

トランスからみるオーディオ(その7)

ステレオサウンド編集部に富士通のワープロ、OASYS100Fが導入されたのは1984年ごろだった。
プリンターも同時だった。
まだドット式の大型の機械で、基本的には文字だけ(簡単な図も印刷できた)。
その文字も、いまのプリンターのように滑らかではなかった。
もちろん黒一色で、印刷中の動作音がうるさく、
編集部のNさんが木製の防音箱を作ったくらいのうるささだった。
印刷にかかる時間も長かった。

それがいつの間にか、家庭でもフルカラー印刷が可能になり、
写真に近いクォリティまでになっていっている。
しかも小型になり、動作音もあまりしなくなり、価格だってずっと安価になっている。
(インクは高いけれども……)

この間のプリンターの進歩は、ある意味すごい。
あのころ家庭で、いまのプリンターがやっていることを想像できなかった、
というよりも想像することさえしなかった。

プリント技術は進歩している。
なのに30年前に可能だったプリントコイルがいまはできないというのは、やはり釈然としないものがある。
なぜ、できないのかと思うし、同時に従来の方法ではできなくとも、
新しい方法でプリントコイルが作れるようになるのかもしれない、そうもおもう。

いま3Dプリントという言葉を目にすることが急に増えてきた。
いまや出力センターでも3D出力を受けつけてくれる時代になっている。

私はまだ3Dプリンターに触れたことがないから、どこまで可能なのか、はっきりとわからないところもあるけれど、
それでも期待しているのは3Dプリンターによるコイルの出力(製造)である。

Date: 6月 21st, 2013
Cate: 再生音

続・再生音とは……(その10)

アトムは人型ロボットである。
それも少年をモデルとしたロボットである。

ロビタは、レオナの記憶をコピーする前のベースとなったロボット、チヒロは、まだ人型といえた。
けれど記憶容量が大きくなり過ぎたために、もとのチヒロのボディとはかけ離れた姿になってしまう。

だからといって、アトムは人に近いのか。そういえるのだろうか。
結局、どちらも異形のモノであることには変わりない、とそう考えられる。
むしろなまじ人型ロボットであり、
大量生産のロボットであるロビタとは異り、世界にただ一体のアトムとでは、
そのつくりにおいて比較の対象にはならない。

アトムは天馬博士にしかつくれなかった。
多少の故障であればお茶の水博士がなおせても、
深刻な故障となると、天馬博士にしかなおせない設定になっていた。

ロビタは大量にコピーされていったのだから、
アトムとロビタの時代には500年の開きがあるとはいえ、
アトムとロビタには、ロボット(工業製品)という同じ言葉では括り得ない違いがある。

アトムもロビタもロボットだから、成長はしない。
少なくとも外観的・体格的な成長はない。
けれどロビタは、完全なるコピーが無数にうみだされていく、
アトムはアトムただひとりである。

Date: 6月 21st, 2013
Cate: トランス

トランスからみるオーディオ(その6)

ビクターのダイレクトカップル方式のMC型カートリッジに採用されたプリントコイルは、
MC101Eでは三層構造にすることで、出力電圧を1.3mVまで引き上げている。
最終モデルとなったMC-L1000ではさらにコイルを小型・軽量化し、
それに伴う出力電圧の低下に対しては両面コイルとすることで、0.22mVの出力を得ている。

そして、このMC-L1000で、はじめて、ほんとうに「ダイレクトカップル」方式と呼べる構造になっている。
MC-L1000では発電コイルが針先のダイアモンドの上端に直接取り付けあるからだ。

それまでの、ビクターのこの一連のカートリッジでは針先のすぐ近くにコイルを取り付けていたものの、
あくまでもすぐ近くであり、針先そのものに取り付けてあったわけではない。
その意味では、ダイレクトとは呼びにくい面があったわけだ。

それはビクターの技術陣がいちばんわかっていたことだろう。
だからこそプリントコイルに改良を重ね、堂々とダイレクトカップル方式と呼べる域に達している。

MC-L1000は、当時86000円という高価なカートリッジだったにも関わらず、
けっこうな数が売れたときいている。

MC1の登場から8年かけて、ダイレクトカップル方式をここまで高めてきたわけで、
それが評価されての結果であった、と思う。

これも6月5日の「岩崎千明と瀬川冬樹がいた時代」をテーマにしたaudio sharing例会で、
西松さんからきいた話なのだが、
このプリントコイルが、いまは作れない、とのことだった。
少し意外な感じもする。

ICというかLSIの集積密度は非常に高くなっているし、
こういうプリントコイルはいまでは簡単に作れるものとばかり思っていたからである。

技術とは、そういう性質をもつものなのかもしれない。

Date: 6月 21st, 2013
Cate: 型番

型番について(その10)

オルトフォンのSPUの構造変化におもなう支点の移動についての語られたステレオサウンド 48号は、
1978年9月に出ている。この48号の少し後にHIGH-TECHNIC SERIES 2が出た。

このHIGH-TECHNIC SERIES 2は長島先生によるMC型カートリッジの本であり、
各社の代表カートリッジを分解して内部構造図が掲載されている。
この内部構造図だけでも、このHIGH-TECHNIC SERIES 2の価値は大きい。

この内部構造図を描かれたのは神部(かんべ)さんである。
このとき、ひとつひとつカートリッジを分解して寸法を測り描いていった、と神部さんから直接聞いている。
たいへんな作業だった、ともいわれていた。

このHIGH-TECHNIC SERIES 2にオルトフォンのカートリッジは、
SPU-A/EとMC20が載っている。

SPUとMC20は基本構造は同じといっても、
細部を比較していくと違いがいくつもある。
それについては省略するが、HIGH-TECHNIC SERIES 2に載った構造図で注目したいのは、
MC20の後方のストリングホルダーの形状は、SPU後期のそれと同じということである。

SPU-A/Eはどうかというと、
HIGH-TECHNIC SERIES 2の111ページに載っている構造図は中期のSPUの構造そのものである。
だからといって、1978年ごろのSPUが中期の構造とはいえない。
おそらく、これはたまたま分解したSPUが中期のモノだった可能性のほうが高い。

ではいったいいつごろのSPUが初期であり、中期であり、後期であるのか。
ステレオサウンド 48号の記事からは正確なところまではわからない。

けれどおそらく中期のSPUとはオーディオニックスが輸入していたころのモノだと思われる。
初期のSPUとはそれ以前のモノであり、
後期とはハーマンインターナショナルに取扱いが移行してからのモノと推測できる。
(おおざっぱなことは承知している。)

Date: 6月 21st, 2013
Cate: 「介在」

オーディオの「介在」こそ(その11)

オーディオは複合体・複合系であり、
そのことがオーディオをやっかいな存在にしていることへつながっているとともに、
だからこそ音楽と聴き手の間に介在することで、
オーディオは聴き手に、そこにあたかも「意思」が存在しているかのように受け取るのかもしれない。