続・再生音とは……(その10)
アトムは人型ロボットである。
それも少年をモデルとしたロボットである。
ロビタは、レオナの記憶をコピーする前のベースとなったロボット、チヒロは、まだ人型といえた。
けれど記憶容量が大きくなり過ぎたために、もとのチヒロのボディとはかけ離れた姿になってしまう。
だからといって、アトムは人に近いのか。そういえるのだろうか。
結局、どちらも異形のモノであることには変わりない、とそう考えられる。
むしろなまじ人型ロボットであり、
大量生産のロボットであるロビタとは異り、世界にただ一体のアトムとでは、
そのつくりにおいて比較の対象にはならない。
アトムは天馬博士にしかつくれなかった。
多少の故障であればお茶の水博士がなおせても、
深刻な故障となると、天馬博士にしかなおせない設定になっていた。
ロビタは大量にコピーされていったのだから、
アトムとロビタの時代には500年の開きがあるとはいえ、
アトムとロビタには、ロボット(工業製品)という同じ言葉では括り得ない違いがある。
アトムもロビタもロボットだから、成長はしない。
少なくとも外観的・体格的な成長はない。
けれどロビタは、完全なるコピーが無数にうみだされていく、
アトムはアトムただひとりである。