トランスからみるオーディオ(その7)
ステレオサウンド編集部に富士通のワープロ、OASYS100Fが導入されたのは1984年ごろだった。
プリンターも同時だった。
まだドット式の大型の機械で、基本的には文字だけ(簡単な図も印刷できた)。
その文字も、いまのプリンターのように滑らかではなかった。
もちろん黒一色で、印刷中の動作音がうるさく、
編集部のNさんが木製の防音箱を作ったくらいのうるささだった。
印刷にかかる時間も長かった。
それがいつの間にか、家庭でもフルカラー印刷が可能になり、
写真に近いクォリティまでになっていっている。
しかも小型になり、動作音もあまりしなくなり、価格だってずっと安価になっている。
(インクは高いけれども……)
この間のプリンターの進歩は、ある意味すごい。
あのころ家庭で、いまのプリンターがやっていることを想像できなかった、
というよりも想像することさえしなかった。
プリント技術は進歩している。
なのに30年前に可能だったプリントコイルがいまはできないというのは、やはり釈然としないものがある。
なぜ、できないのかと思うし、同時に従来の方法ではできなくとも、
新しい方法でプリントコイルが作れるようになるのかもしれない、そうもおもう。
いま3Dプリントという言葉を目にすることが急に増えてきた。
いまや出力センターでも3D出力を受けつけてくれる時代になっている。
私はまだ3Dプリンターに触れたことがないから、どこまで可能なのか、はっきりとわからないところもあるけれど、
それでも期待しているのは3Dプリンターによるコイルの出力(製造)である。