型番について(その13)
MC型カートリッジとMM型カートリッジは、
どちらが優れているのか、どちらが音がいいのか。
ずっと以前はそんなことがオーディオ雑誌の記事となっていたこともある。
それぞれに技術的メリットはある。デメリットもある。
けれどひとついえることは、オルトフォンのSPUのサスペンション構造は、
基本的にはMM型カートリッジでは実現できない、ということである。
その一方で、MM型カートリッジは針交換ができるという、大きなメリットがあるのだが。
そのSPUのメリットを、もっとも理想的に実現できているのは、やはり初期型ということになる。
つまり支点の明確化がMM型カートリッジでは実現が困難だし、
このことを追求すれば、SPUの初期型がよく、その次に後期、中期と並ぶことになる。
となると音も初期型のSPUがもっとも優れているのか。
そういうことになる、といえば、なる。
私も初期、中期、後期のSPUを比較試聴したことはない。
なのではっきりしたことはいえないけれど、初期であろうと中期であろうと、SPUはやはりSPUである。
AシェとGシェルの違い、丸針か楕円針かという違い、製造時期の違い(構造の違い)、
これらは当然のことなのだが、すべてSPUという範囲での違いである。
それぞれを比較試聴すれば、音の違いはあっても、
どれもオルトフォンのSPUであることには違いがない。
SPU同士の比較よりも、オルトフォンの他のカートリッジとの比較、
さらには他社製のカートリッジの比較では、さらに大きな音の違いがそこにあわけだから。