終のスピーカー(その8)
4343のコンシューマー用モデルに当たるL400は試作品がつくられていたことは確認できている。
にも関わらず製品化されなかった。
なぜなのか? いろいろ考えてみるとおもしろいし、
そのためにはJBLの製品構成を辿っていくことも必要となるし、
こんなことをやっていると、それまで気がつかなかった、見過していた事実に気づいたり、
それまで関連のないことだと思っていた事柄が結びついたりすることもある。
L400ではなくL250だったことに対する私の考えは、別のところで書こうと思っている。
ここで書いていくと、「終のスピーカー」というテーマから離れ過ぎてしまうから。
とにかくL300を境に、
JBLのコンシューマー用スピーカーはサランネットをつけて使うのが、
必ずしも前提条件ではなくなっていったと思える。
現在のJBLのフラッグシップであるDD67000(DD66000)にしても、
サランネットをつけた姿よりも外した姿のほうがインパクトとして強く、
見た者の記憶に残る(ただそれが必ずしもいい印象とは言い難いのだが……)
サランネットをつけて聴くのか、つけずに聴くのかは使い手・聴き手の自由である。
それでもL200でサランネットをつけずに聴く人は少数ではなかろうか。
オリンパスにも同じことはいえる。
Harknessもそうだ。
JBLのユニットは面構えもいい。
いい表情をしているユニットが、実に多い。
オーディオマニアの心境としては、そういうユニットの表情も味わいながら……、という気持はある。
そのくらいにオーディオマニアである私でも、
Harknessはサランネットをつけたスタイルこそが、Harknessである。
そのことは田中一光氏のHarknessの使い方から、
ステレオサウンド 45号に載った写真を何度も飽きずに見続けたことから学べたことである。
ここにおいて、4343への憧れとHarknessへの憧れは、違う。
そしてHarknessは、私にとって、もうひとつの意味をもつ。