日本のオーディオ、日本の音(その18)
マークレビンソンのML2の登場は1977年。
このころから1990年代のはじめあたりのアメリカのパワーアンプには共通する外観の特徴があった。
フロントパネルの横幅は19インチで、立派なハンドルがフロントパネルについていた。
ML2にもついていた。No.20にも、形状の変更はあったものの、ついていた。
マークレビンソンだけでなく、クレルのパワーアンプにもジェフ・ロゥランドのパワーアンプにも、
他のアメリカ製のパワーアンプの、けっこうな数に、金属製のそれぞれに立派なハンドルがついていた時期があった。
このハンドル、
割と簡単に取り外せるモノが多かった。
はずしてみるとわかるが、けっこうな重量である。
叩いてみてもわかるように、パイプのものはほとんどなかった、と記憶している。
金属のムクである。
そして、このハンドルがついているフロントパネルが、
筐体の中で板厚がもっとも厚みをもたせてあった。
何機種かではあったが、ハンドルをはずした状態の音を聴いたことがある。
音の変化としては、かなり大きい。
外した方が、全体的な傾向として素直な音になる、といえる。
聴感上のS/N比が若干良くなり、なめらかなになっていく。
たしかによくなっている、といえる。
いえるのだが、何か物足りなさも同時に感じてしまう。
ハンドルをふたたび取り付けた音を聴くと、納得できるものを感じる。
海外製のこのころのパワーアンプは、
あくまでもフロントパネルに、わりとごつい感じのハンドルを付けた状態で、
音を決めていっている、ということだ。
だから安易に外してしまうと、そのバランスが崩れてしまい、しっくりこなくなる。
つまりハンドルもまた、ヒートシンクと同様に筐体ならぬ響体であることがわかる。