オリジナルとは(続々続・チャートウェルのLS3/5A)
これから先はどうなるのかは自分でもわからないけれど、
すくなくともいまのところ、BBCモニタースピーカーのオーディオ的音色の世界から完全には抜け出きれていない。
片足の小指くらいではなくて、片足の膝下くらいまではまだまだ浸かっていることを意識させられる。
ロジャースのLS3/5AとPM510、スペンドールのBCII、BCIII、ハーベスのMonitor HL、
そしてKEFのLS5/1Aと、いまだ聴いたことはないけれどModel 5/1ACも気になってしょうがない。
ロジャース、スペンドール、ハーベス、KEF、
これらのメーカーはBBCとも深い関係をもつイギリスのスピーカーメーカーなのだが、
だからといって、これらのメーカーのすべてのスピーカーシステムに対して、
そのオーディオ的音色に惹かれているわけではない。
たとえばロジャースのPM510。
チャートウェルのPM450という原型をもつこのスピーカーシステムに、
20(ハタチ)になったばかりの私は、惚れ込んだ。
瀬川先生の影響だけではなくて、このPM510の音色にはほんとうにまいってしまった。
でも、このスピーカーシステムの世間的な評価はそれほど高くはない。
ステレオサウンドで働きはじめたばかりのころ、
先輩編集者のSさんに、「このぶかぶかの低音じゃ、ジャズのベースはまったく聴けない」といわれた。
いわれるように、ジャズのベースは、得意としていないスピーカーだった。
けれどアクースティックな楽器のもつ、心地よさに通じるブーミングに関しては、
うまいこと表現してくれる(つまりは騙してくれる)ところのあるスピーカーだ、と思っていたから、
Sさんの聴き方とは違う、熱心でないジャズの聴き手であった私にとっては、
PM510のベースの音も、そう悪くはない、と実は思っていた。
でも、やはり不満な人は世の中には実に多かったようで、
PM510は私が購入したあとにPM510SIIへとモデルチェンジした。