オリジナルとは(続・チャートウェルのLS3/5A)
LS3/5AもPM510も、ある時期使っていた。
どちらも好きなスピーカーでることは、いまでも変りはしない。
このふたつのイギリスのスピーカーシステムが、いまも優秀なスピーカーシステムであるかどうかは、
いまいちど自分で鳴らしてみて判断したいところだし、
このふたつのスピーカーシステムは、あくまでも、好きなスピーカー、
もっといえば私の好きな音色を出してくれたスピーカーシステムであった。
オーディオ機器には固有の音色が、どの製品にも、いつの時代の製品にもある。
技術が進めば、いわゆる癖と呼ばれる、分類される固有の音色は稀薄になってくるものの、
そう簡単にオーディオ機器から固有の音色が消えてなくなることはない。
この固有の音色は、オーディオ機器の欠点でもあるけれど、
欠点であるがゆえの魅力にもなっていて、
10代、20代の前半ぐらいまでは、この固有の音色の魅力に強く惹かれる傾向が、私にはあった。
オーディオ機器固有の音色は、オーディオ的音色にも連なっている。
楽器固有の特質となっている音色とはまた少し違った意味と魅力をもつ、
このオーディオ的音色の魅力から抜け出すのは、
もしくは捕らわれないようにするのは、難しいところがある、と感じている。
だから、黒田先生の音楽の聴き方を傍でみていると、
黒田先生は、そういう意味でも強い聴き手だな、と感じていた。
黒田先生は、そういうオーディオ的音色の魅力に、ころっと参ってしまう、ということがなかった。
だからこそ、1980年ごろ、ソニーのスピーカーシステムAPM8をシカゴ交響楽団とたとえられ、
高く評価されていたのは、そうだからだと思っている。
黒田先生も、そのへんはあとになって変化があったように私はおもっているけれど、
そのことについては、ここで書いていくと、話がそれてしまうので、いずれ別項にて書く予定だ。