瀬川冬樹氏のこと(UREI Model 813の登場・その3)
瀬川先生が、サンスイのショールームでかけられた二枚のシェフィールドのダイレクトカッティング盤は、
《ザ・キング・ジェームズ・バージョン》と《デイブ・グルーシン/ディスカバード・アゲイン》。
記事には、《ザ・キング・ジェームズ・バージョン》を聴き終ったところで拍手がおこった、とある。
しかも、誰かが「おみごと!」と口走ったとも書いてある。
シェフィールドのダイレクトカッティング盤をきちんと鳴らした音を一度でも聴いたことのある人ならば、
どういう音が、この時鳴っていたのかが伝わってくる。
シェフィールドのダイレクトカッティング盤の音は、
604-8Gを平面バッフルに取りつけた音を最高に活かしてくれる(発揮してくれる)。
良質のダイレクトカッティング盤のもつ爽快さは、
他ではなかなかというよりも、まず得られない良さである。
いまアナログディスク・ブームといわれているし、
もうブームではない、完全な復活だ、ともいわれているが、
ダイレクトカッティング盤の音を聴いたことのない人たちが、いまでは多いように思う。
私は、アナログディスク・ブーム、アナログディスクの復活には異論があるが、
それでもこれから先、ダイレクトカッティング盤全盛時代の、
シェフィールドやその他のレーベルから登場した良質のダイレクトカッティング盤に匹敵する、
そういうレベルのダイレクトカッティング盤が登場してくるのであれば、
アナログディスクの復活はホンモノだといえよう。
サンスイのショールームで、
2.1m×2.1mの平面バッフルに取りつけられた604-8Gで、
シェフィールドのダイレクトカッティング盤を聴けた人たちは幸運といえる。
HIGH-TECHNIC SERIES 4の「大型プレーンバッフルの魅力をさぐる」は、
当日に参加された50数名の人たち全員に感想をきいて、その一部が記事になっている。
それを読んでも、604-8Gの音が圧倒的であったことがうかがえる。
記事にもアルテックに《よほど強い印象を受けられたのだろう》とある。