Date: 1月 14th, 2016
Cate: 瀬川冬樹, 瀬川冬樹氏のこと
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瀬川冬樹氏のこと(UREI Model 813の登場・その8)

アルテックの604-8Gのクロスオーバー周波数は1.5kHzとなっている。
軽量のストレートコーンと強力な磁気回路によるウーファーであっても、
15インチという口径を考えると、ここまで受け持たせるのはかなり苦しい。

604-8Gのトゥイーターのホーンはマルチセルラホーン。
このホーンのサイズは、それほど大きくはない。
むしろクロスオーバー周波数を考慮すると小さいか、ぎりぎりのサイズでしかない。

この点に関しては、
ウーファーの振動板をホーンの延長としてみなしているタンノイのほうが有利といえる。

だからといって604-8Gのホーンを大きくしてしまうと、別の問題が発生してくる。
あのサイズは、ぎりぎりの選択によって決ったものといえよう。

ウーファーの口径もホーンのサイズも、どうにかできることではない。
そういう同軸型ユニットである604-8Gの欠点をうまく補い、
同軸型ユニットならではの長所を活かすにはどうするのか。

その答のひとつとして、UREIのネットワークが挙げられる。
813のネットワークは、ウーファー側に対して、
奥に位置するトゥイーターとの時間差を補正するためにベッセル型のハイカットフィルターを採用している。

このことは813のカタログに載っている応答波形をみても、ベッセル型であることははっきりとわかる。
ベッセル型にすることで、ウーファーに対して群遅延(Group Delay)をかけている。

ベッセル型ネットワークの次数によって、ディレイ時間を設定できる。
けれど、このベッセル型ネットワークをトゥイーター側にも採用してしまっては、
意味がなくなる。
ベッセル型にしてしまうと、次数の分だけのディレイ時間が発生してしまい、
その状態でウーファーとトゥイーターのタイムアライメントをとるには、
より次数の高いハイカットフィルターをウーファー側につけなくてはならない。

このことが、(その6)で書いた813のウーファーの周波数特性と関係してくる。

813のトゥイーター側のネットワークにはコイルが使われていない。
その後の改良モデルではコイルも使われているが、オリジナルのModel 813や811にはコイルはない。
コンデンサーと抵抗とアッテネーターだけで構成されている。

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