瀬川冬樹氏のこと(UREI Model 813の登場・その5)
「SOUND SPACE 音のある住空間をめぐる52の提案」での瀬川先生の提案が印象につよく残っている理由は、
ひとつではない。
四畳半という狭い空間でも、広い空間で味わえるスケール感のある堂々とした響きを、
なんとか再現したい、という瀬川先生の意図、
押入れを利用した平面バッフル、
それに取りつけられるアルテックの604-8Gと515B。
このふたつだけでも非常に興味深い記事である。
けれど、瀬川先生の提案はそれで終っているわけではない。
組合せも提示されている。
アルテック604-8Gを平面バッフルに取りつけ、
それを鳴らすアンプはコントロールアンプがアキュフェーズのC240、
パワーアンプはルボックスのA740である。
アナログプレーヤーはリンのLP12にSMRのトーンアーム3009 SeriesIIIにオルトフォンのMC30。
このアンプとアナログプレーヤーの選択は、ジャズを604-8G+平面バッフルで聴くためのモノではなく、
明らかにクラシックを聴くための選択である。
記事中では音楽についてはまったく触れられていない。
それでも、瀬川先生の組合せをつぶさにみてきた者には、
書かれてなくともクラシックを、四畳半でスケール感のある堂々とした響きで聴くためのモノであることは、
すぐにわかる。
そうか、クラシックを聴くための組合せなのか……、とおもう。
HIGH-TECHNIC SERIES 4での604-8Gの試聴記では、こう語られている。
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このような大きなプレーンバッフルに付けて抑え込まないで鳴らしてみると、明るさがいい意味で生きてきて朗々と鳴り響き、大変に心地よいサウンドとして聴けるわけですね。ただ、クラシックに関しては、ぼくにはどうしてもスペクタクルサウンド風に聴こえてしまって、一種の気持ちよさはあるんだけれども、自己主張が強すぎるという感じもします。
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同じことはUREIのModel 813についても書かれている。
にも関わらず、ここでのこの組合せである。