Date: 6月 26th, 2015
Cate: 瀬川冬樹, 瀬川冬樹氏のこと
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瀬川冬樹氏のこと(UREI Model 813の登場・その2)

ステレオサウンド別冊「コンポーネントステレオの世界 ’80」でのアルテック620Bの組合せ。
そこで、瀬川先生は述べられている。
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(UREIの♯813は)アメリカのプロ用のモニターのひとつで、たいへん優秀なスピーカーです。このUREI♯813の成功に刺激されて、アルテックは620Bモニターを製作したのではないか、と思えるふしがあるくらいなのです。
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瀬川先生の、この推測がどの程度確度が高いのか、はっきりしたことはわからない。
でもたしかに、620Bを見て聴けば、そう思えるところがあるのも確かだ。

たったこれだけの発言だが、私にとっていくつものことを結びつけてくれる。

「続コンポーネントステレオのすすめ」で、UREI 813のことを、こう書かれている。
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 このスピーカーの基本はアルテックの604-8Gというモニター用のユニットだが、UREIの技術によって、アルテックの音がなんと現代ふうに蘇ったことかと思う。同じ604-8Gを収めた620Aシステムでは、こういう鳴り方はしない。この813に匹敵しあるいはこれを凌ぐのは、604-8Gを超特大の平面(プレイン)バッフルにとりつけたとき、ぐらいのものだろう。
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813の評価としてこれ以上のものはない。
少なくとも私にとってはそうであるし、HIGH-TECHNIC SERIES 4を熱心に読み、
超特大の平面(プレイン)バッフルに憧れた者、なんとか部屋に押し込めないかと考えた者も同じはずだ。

HIGH-TECHNIC SERIES 4での604-8Gの試聴記もそうだが、
それ以上に巻末にある「大型プレーンバッフルの魅力をさぐる」での瀬川先生の発言が強く印象に残っている。

この記事はHIGH-TECHNIC SERIES 4の試聴で使用した2.1m×2.1mの平面バッフルを、
当時、西新宿にあったサンスイのショールームに持ち込んだ様子をリポートしたものだ。
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瀬川 わたし自身は正直いってアルテックの音はあまり好きではないのですが、この音を聴いたら考え方が変わりましたね。しびれました。近頃忘れていた音だと思います。
(中略、瀬川先生はアルテックと同じカリフォルニアのシェフィールドのダイレクトカッティング盤を二枚かけられている)
こういう音を聴くと、新しいアメリカのサウンドの魅力が実感できるでしょう。あまり素晴らしい音なのでまだまだ聴きたいところですが、タンノイも控えていますのでこの辺にしましょう。
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2.1m×2.1mの平面バッフルに604-8Gを取りつけた音に匹敵する音を、UREIの813は聴かせてくれる──、
813は家庭での設置がやや難しいスピーカーではあるが、
2.1m×2.1mの平面バッフルの導入に較べれば、その難易度はずっと低い。

昂奮せずにいられようか。

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