2025年ショウ雑感(その8)
ヴァイタヴォックスのfacebookを見たら、インターナショナルオーディオショウの今井商事のブースで、
CN191を鳴らす、と告知されていた。
(その7)で触れた是枝重治氏の今井商事での講演は、このことなのか。
CN191と是枝重治氏だとしたら、今回のインターナショナルオーディオショウでのいちばんの楽しみとなる。
ヴァイタヴォックスのfacebookを見たら、インターナショナルオーディオショウの今井商事のブースで、
CN191を鳴らす、と告知されていた。
(その7)で触れた是枝重治氏の今井商事での講演は、このことなのか。
CN191と是枝重治氏だとしたら、今回のインターナショナルオーディオショウでのいちばんの楽しみとなる。
11月のaudio wednesdayでは、ヴァイタヴォックスのCN191を鳴らす予定でいる。
CN191は、五味先生の書かれたものを熱心に読んできた者にとっては、
タンノイのオートグラフと肩を並べる存在のはずだ。少なくとも私にとって、CN191はそういう存在のスピーカーである。
CN191はコーナー型ということもあって、熊本に住んでいた頃は聴く機会も、実物を見る機会もなかった。
オーディオ店にポンと置かれてうまく鳴ってくれるスピーカーではないのだから、
オーディオ店で聴けるとは思ってもいなかった。
東京には、昭和の頃、名曲喫茶と呼ばれる店がいくつもあった。
吉祥寺のバロックでは、CN191が聴けることを、何かで知った。
CN191が聴けるのか、とクラシック好きの友人と二人で行った。1982年ごろだった。
その後は、数年前にaudio wednesdayの集まりで三人で行ったのが二回目。
そのバロックが、今年12月末で閉店する。
バロックには、今も通う人がいる。若い人もいる。昔からの常連と思われる人もいた。
そういう人にとって、バロックは、青春のなんらかと結びついているのだろう。
私はそうでなかっただけのこと。
ワーグナーの「パルジファル」を最後までかけ通すというのは、四谷三丁目の喫茶茶会記でやっていたころから、
いつか必ず、と思い続けてきた。
「パルジファル」に限らない。
ワーグナーの作品を最後までかけ通すのは、「トリスタンとイゾルデ」でもやりたいし、
毎月「ニーベルングの指環」を一作品ずつ、四ヵ月続けてかけることも考えている。
実際にやったら、毎回来られる方が減っていきそうなので、今回の反応を見て、今後のことは考えていく。
明日(10月1日)も、何人来られるだろうか。
Speaker System: Siemens Eurodyn + Decca DK30
Control Amplifier: Marantz Model 7
Power Amplifier: Accuphase A20V
CD Transport: Accuphase DP100
D/A Converter: Meridian ULTRA DAC
いつもは開場18時、開始19時だが、それでは最後まで「パルジファル」をかけられないため、開場18時、開始も1終了時間は22時。
開場は18時から。
会場の住所は、東京都狛江市元和泉2-14-3。
最寄り駅は小田急線の狛江駅。
参加費として2,500円いただく。ワンドリンク付き。
大学生以下は無料。
今日は、「3月のライオン」18巻の発売日。
もちろん仕事帰りに買ってきたわけだが、「3月のライオン」だけは買う書店を決めている。
他の本は、たまたま寄った店、乗換駅近くの店などで買うけれど、
「3月のライオン」だけは、武蔵小金井駅北口のくまざわ書店で買うようにしている。
どこで買っても中身は同じだし、わざわざ途中下車することもないだろうに、と思われるだろうが、
「3月のライオン」の発売を楽しみにしている人は、一度、このくまざわ書店に行ってみてほしい。
くまざわ書店武蔵小金井北口店には、絶対「3月のライオン」推しの店員さんがいるはず。勝手にそう思っている。
どの人が、その店員さんなのかはわからないけれど、
少しでも気持よく買いたいから、ここで買っている。
(その14)、(その15)でディープエンドオーディオという言葉を使った。
ふと思い出すのが、ステレオサウンド 59号での、瀬川先生のJBLのパラゴンについて書かれていたことだ。
*
ステレオレコードの市販された1958年以来だから、もう23年も前の製品で、たいていなら多少古めかしくなるはずだが、パラゴンに限っては、外観も音も、決して古くない。さすがはJBLの力作で、少しオーディオ道楽した人が、一度は我家に入れてみたいと考える。目の前に置いて眺めているだけで、惚れ惚れと、しかも豊かな気分になれるという、そのことだけでも素晴らしい。まして、鳴らし込んだ音の良さ、欲しいなあ。
*
この頃の瀬川先生は、ワイドレンジ指向だったし、新しい音に積極的でもあった。新しい音への敏感であった。
JBLの4343から4345へと鳴らされるスピーカーが変ったのとそう変らない時期に、
パラゴンを「欲しいなあ」と書かれている。
どういう心境からだったのか。
深みをめざしての「欲しいなあ」だったのか。
10月1日のaudio wednesdayは、カラヤンの「パルジファル」だけをかける。
ワーグナーの音楽を聴くということは、どういうことなのか。
その一つとして私が挙げたいのは、最初から最後まで通して聴くということだ。
ワーグナーのために時間を割く。今日は通して聴こう、と聴き始める。
もう四十年ほど前のことなのだが、カルロス・クライバーの「トリスタンとイゾルデ」を通して聴こうと思い聴き始めると、
なぜか決まった人からの電話がかかってくるということが数回続いた。
偶然でしかないのだが、数回(それも毎回)続くと、
現代においてワーグナーを通して聴くことの難しさを実感するしかない。
半ば強制的に聴くしかないのが、ワーグナーの音楽だともいえよう。
カラヤンの「パルジファル」の演奏時間は四時間と十五分ほど。
いつもと同じ19時開始だとかけ終らない。
なので今回は18時、開場と同時に開始する。
今回は休憩時間も設けずに、カラヤンの「パルジファル」をかけていく。
退屈なテーマといえば、確かにそうだ。
それでも四時間ちょっと、ワーグナーの音楽に触れ続ける。得られるものが、きっとあるはずだ。
それは人それぞれであっても、何かひとつは、ある。
音と風土の関係性は、確かにあった。
あった、と過去形で書いてしまうほど、いまはどうなのだろうか、と私でも思うわけだが、
少なくとも私がオーディオを始めたころは、あった。
だから、あれこれおもっていた。
バルバラを聴くならばフランスのスピーカー、
ケイト・ブッシュを聴くならばイギリスのスピーカー、
それもバルバラならばフランス盤でフランスのカートリッジ(その頃、日本には輸入されていなかったが、あったのだろうか)、
ケイト・ブッシュならばイギリス盤でイギリスのカートリッジ。そんなふうにして聴いてみたいと妄想していた。
そこで私の場合、グラシェラ・スサーナは? となる。
グラシェラ・スサーナの日本語の歌は、日本のスピーカーなのか。
グラシェラ・スサーナはアルゼンチン人。
アルゼンチンには、オーディオメーカーはどんなのがあるのか、アルゼンチンのスピーカーは、どういうモノなのか──、
これらをすごく知りたかった時期があった。
1970年代、調べる術を持っていなかったし、知りもしなかった。
アルゼンチンのスピーカーで聴いてみたい、と思いながらも、アルゼンチンはスペイン語。
グラシェラ・スサーナも、タンゴ、フォルクローレはスペイン語で歌っている。
ならばスペインのスピーカーは? となる。
Rotel Domusというメーカーのスピーカーシステムが、輸入されていた。
Model 175、Model 400、Model 600、Model 800というラインナップだった。
いずれも密閉型のブックシェルフ型、Model 175が2ウェイ、ほか三機種は3ウェイ。
ちなみに輸入元は、ローテル。
どんな音だったのか。何の情報も当時は得られなかった。
何の変哲もないスピーカーのように、モノクロの小さな写真を見て、そんなふうに感じていた。
輸入品としては安価な製品だった。それでも、あの頃、グラシェラ・スサーナのタンゴ、フォルクローレを、
このブランドのスピーカーで聴いてみたかった。
そのおもいを、いまも引き摺っているのだろうし、
スペインの音楽家、パブロ・カザルス、パコ・デ・ルシア、
この二人の演奏に惹かれている人ならば、
スペインのオーディオ、音を聴いてみたいと思うのではないだろうか。
若い世代のオーディオマニアにとって、音と風土の関係性については、あまり関心がないのかもしれないが、
私がオーディオに興味を持ち始めたころは、
音と風土について語られることが多かった。
ステレオサウンドも創刊15周年を記念して、
60号ではアメリカンサウンド、61号ではヨーロピアンサウンド、
63号ではジャパニーズサウンドを特集している。
私と同世代、上の世代であっても、この音と風土の関係について、そんなものはない、と否定する人もいる。
そんなことよりもブランドによる音の違いが大きいのだから、と。
このことは以前別項でも触れている。
音と風土の関係について気がついた人は、当時のオーディオ評論家だった。
このころのステレオサウンドのオーディオ評論家は、総テストで、
アンプやスピーカーシステムを何十機種も聴く。
この総テストが、音と風土の関係の発見につながっている。
音と風土の関係について否定する人は、総テストのような試聴を経験していない。
これはしかたないことであって、オーディオを仕事としている人でも総テストをみな経験できるわけではないのだから。
音と風土の関係ということでは、それが最もはっきり出るのは、やはりスピーカーである。
当時はCDがまだ登場していなかったから、カートリッジも、スピーカーに次ぐ、音と風土の関係を色濃く出してくれる。
しかもアナログディスクもそうであり、一度は、アナログディスクのプレスと同じ国のカートリッジで聴いてみたほうがいい。
アメリカ盤ならアメリカのカートリッジ、イギリス盤ならイギリスのカートリッジ、ドイツ盤ならばドイツのカートリッジというふうにである。
音と風土の関係について否定する前に、こういうふうに聴いていっていれば、ずいぶんと違ってきたはずだ。
そういう時代を、私は経ている。
これまで、ステレオサウンドのオーディオ評論家は、あれだけ高い評価をしていながら、誰もB&Wの800シリーズを使わないのか、と書いてきた。
B&Wのスピーカーシステムとしなかったのは、傅 信幸氏がNautilusを鳴らされていたからだ。
長いこと鳴らされている。
このままずっとNautilusなのか、それとも──があるのか。
あってもおかしくないな、とは思っていた。
Nautilusが登場して三十年ほどが経つ。
ついさっきFacebookを眺めていたら、あるリンク先が表示された。
そこには、こうあった。
*
オーディオ評論家・傅信幸先生が28年間愛用されたオリジナル・ノーチラス。純正チャンネルディバイダーと愛用のJEFF ROWLAND Model 304パワーアンプ×2台をセット販売します。
*
ハイファイ堂へのリンクだった。
Nautilusは登場以降、何度か値上がりしている。
傅 信幸氏が購入された三十年ほど前は300万円ほどだったのが、一千万円を超えている。
ハイファイ堂の値付けは強気だ。ジェフ・ロゥランドのパワーアンプと一緒とはいえ、なかなかの値付けだ。
買う人がいるだろうからの値付けなのだろう。
すでにハイファイ堂のウェブサイトに出ているということは、
傅 信幸氏のリスニングルームには、新しいスピーカーが導入されているわけだ。
12月発売のステレオサウンドの目玉記事は、これだろう。
もしかすると表紙も、そのスピーカーなのかもしれない。
二十年ほど前に、ある輸入元の社長に、
これからはスペインの時代だ、と言ったことがある。
スペインですか……、とまともに取り合ってくれなかったし、
事実、そのころは、このブランド、どうですか、と言えるだけのメーカーもなかった。
いまはどうかというと、WADAXがある。
WADAXというブランドを知るきっかけは、MQA対応ということからだった。
数年前に、だからブランド名義だけは目にしていた。その時は、WADAXのウェブサイトを見ることはしなかった。
なんとなくブランド名に、ピンとくるものがなかったから、というどうでもいい理由だった。
昨晩、ふとWADAXのこと、というよりブランド名だけを思い出した。
どんなMQA対応の機器を作っているのか、そのことだけを確かめよう、
それにもしかすると、もうMQA対応をやめているかもしれないから、そのことを確かめておこう──、
この程度の関心しか持ってなかった。
WADAXのウェブサイトを見た。
かなり個性的なメーカーだな、と製品の写真を見てまず思った。
それから目に入ってきたのは、Spainの単語だった。
そうなると関心のボルテージがあがってくる。
Studio • Player CollectionというCDプレーヤーがある。
SACDにも対応している。そして私がいちばん関心のあるMQAに対してだが、フルデコードである。
メリディアンのUltra DAC推しの私だけれど、CDプレーヤーは一体型を好ましく思う方だ。
音を聴いてしまうとUltra DACが単体D/Aコンバーターであることを認めるしかないわけだが、
それでもUltra DACの音のまま、一体型CDプレーヤー、
しかもSACD対応のモノがあれば、というおもいも持ち続けている。
もちろんMQA対応でなければならない。
Studio • Player Collectionが、どの程度の実力なのか。私は何も知らない。
それでもStudio • Player Collectionは、聴いたみたい。
決して安くない(かなり高価だが)、くり返すが聴いてみたい。
残念なことに、いまのところ日本に代理店はない。
10月1日のaudio wednesdayは、シーメンスのオイロダインでワーグナーを聴くが、テーマとなる。
ワーグナーのみをかける。
9月の会と同じくデッカのリボン型トゥイーターとの組合せ。
アンプ類は変らないが、10月はデジタルでD/Aコンバーターは、やはりメリディアンのUltra DACである。
デッカを鳴らすまでは、クナッパーツブッシュの「パルジファル」をかけるつもりでいたが、
9月の会の音を聴いていて、カラヤンの「パルジファル」に心が傾いている。
カラヤンの「パルジファル」が、Ultra DACの三種のフィルターによって、どんなふうに音が、表情が変るのか。
これ以外はない、と言えるほどぴったりくるフィルターは、三つの中にあるのか。
それによっては、たっぷりとカラヤンの「パルジファル」を鳴らす。
ステレオサウンド 64号から菅野先生の「ベスト・オーディオファイル訪問」が始まった。
十四年間続いた。
いまステレオサウンドには、黛 健司氏の「ベスト・オーディオファイルAGIN」が載っている。
菅野先生の「ベスト・オーディオファイル」はモノクロだった。
黛氏の「ベスト・オーディオファイルAGIN」はカラー。
「ベスト・オーディオファイル」のころは、「スーパマニア」があった。こちらもオーディオマニア訪問記事で、カラーの扱いだった。
「スーパーマニア」と「ベスト・オーディオファイル」は同じ訪問記事ではあっても、記事の色合いが違っていたから、
カラーとモノクロの違いがあって当然だった。
「ベスト・オーディオファイル」はその後、「レコード演奏家訪問」へと移行していく。
その「レコード演奏家訪問」も終り、「ベスト・オーディオファイルAGIN」が、その後を継いでいる。
そういう経緯があるから、昔の「ベスト・オーディオファイル」とは、色合いが違う。
昔の「ベスト・オーディオファイル」には、さまざまな人が登場している。
年齢の幅も広かった。二十代の人もごく普通に登場していた。
ちなみに早瀬文雄さんも、「ベスト・オーディオファイル」に登場されていた。本名の舘一男で載っている。
管球王国の休刊についてあれこれ思っていて思い出すのは、
Vol.98掲載記事の「魅惑の音像定位──最新・同軸スピーカーの真価」である。
この記事については、別項「二つの記事にみるオーディオ評論家の変遷」でも書いている。
「魅惑の音像定位──最新・同軸スピーカーの真価」の筆者は、傅 信幸氏。
傅 信幸氏はステレオサウンド 94号、150ページに、こう書かれている。
《よくコアキシャルは定位がいいとはいうが、それは設計図から想像したまぼろしだとぼくは思う。》
同軸型ユニットの特徴である音像定位のよさをまぼろしと思うのは、
人それぞれなのだから、傅 信幸氏と同じ意見の人もいることだろう。
同軸型ユニットにもいいモノがあればそうでないモノもあるし、
別項で触れているように同軸型ユニットの定位のよさは近距離の試聴で活きるものだ。
このことについて書いていると脱線してしまうので、これくらいにしておくが、
私が管球王国の編集者だったら、傅 信幸氏に94号のことについて訊く。
これをやるかやらないかで、「魅惑の音像定位──最新・同軸スピーカーの真価」の面白さは大きく変る。
ステレオサウンド 94号から管球王国 Vol.98までは三十年ある。
この間に傅 信幸氏にどんな変化があったのか、なかったのか。
そういったことを含めて担当編集者が記事を作っていれば──、と残念に思うわけだが、
結局のところ、掲載された記事にとどまっている。
「魅惑の音像定位──最新・同軸スピーカーの真価」は、一例であるが、一例にとどまっているわけではない。
管球王国が休刊になるのは、紙媒体のみでオンラインでは継続という指摘があった。
オンラインで継続ということは(その1)を書いた時点で知っていた。
でも、オンラインで、ということ以上のことはわからない。
いまkindle unlimitedでは、紙媒体の管球王国の電子版であり、
管球王国という雑誌そのものと変らぬものが読めるわけだが、
紙媒体の管球王国が休刊になった後でも、そうだとは思えない。
どんなふうに継続されるのかは、わからないが、
ステレオサウンド・オンラインで、管球王国編集部名義での投稿が中心となるのか、
管球王国に書かれてきた人たちの記事が、オンラインでこれからも読めるのか。
それともYouTubeでの動画を積極的に公開していくのか。
これまでの紙媒体と同じつくりのオンライン継続は、可能性は低そうだから、
私は「管球王国の休刊」とした。
オンラインに移り、紙媒体の管球王国よりも面白くなれば、創刊当時の姿勢を取り戻してくれれば、
「管球王国の復刊」というタイトルで書いてみたい。