Archive for category テーマ

Date: 10月 15th, 2024
Cate: High Resolution

e-onkyo のこと

明日(10月16日)の正午で、e-onkyoは終る。
メリディアンの218の導入がきっかけとなって、
2019年の12月あたりから積極的に利用するようになった。

あれもこれもMQAで聴ける、ということで、ずいぶん購入した。
毎日、日付が変るとともにe-onkyoのサイトは更新されるから、
毎日、配信が始まるアルバムのチェックが本当に楽しみだった。

TIDALを使うようになって、e-onkyoでの購入は大きく減った。
それでもe-onkyoでのみMQAだったアルバムがある。
愛聴盤のMQAがe-onkyoにのみあるのだから、
この時期、日本人は恵まれていた。

e-onkyoがMQAの配信をやめてからは、
毎日のチェックが週三ぐらいに減り、週一になり、
いまでは月一くらいになってしまったのだから、
e-onkyoがなくなることが、特にさびしいわけではない。

消えるべくして消えていく──、
それでもMQAをダウンロードしていた時期は、
いま思い出しても本当に楽しかったし、
もっとダウンロード(購入)しておけばと後悔もある。

Date: 10月 14th, 2024
Cate: 表現する

自己表現と仏像(その14)

この項のテーマについて深く考えるようになったきっかけとして、
audio wednesdayで音を鳴らすようになったことが、一つある。

四谷三丁目の喫茶茶会記で五年、主にアルテックのスピーカーを鳴らした。
今年になって、場所を狛江で音を鳴らすようになった。

このことと、もう一つ。
iPhoneで音楽をよく聴くようになったことが挙げられる。

iPhoneに指先サイズのD/Aコンバーター兼ヘッドフォンアンプをつけて、
ヘッドフォンで聴く。
そのヘッドフォンも普及クラスのモノ。

リケーブルできるタイプだが、ついてきたケーブルのまま聴いている。
これについては別項で触れているように、
これ以上ミニマルにはできないシステムであり、
私にとってはラジカセ的でもある。

iPhoneによるシステム(というほど大げさなものではない)と、
メインのシステムで音楽を聴く行為における違いは、何なのか。

前者は、私にとって、誰かの手による仏像を鑑賞している、
そんな感じであるし、
メインのシステムで聴く、そしてaudio wednesdayでの音は、
自ら仏像を彫る行為のように、いまは感じている。

Date: 10月 13th, 2024
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(番外)

アメリカ・ビクターの蓄音器、ビクトローラ・クレデンザは、
手巻きゼンマイ型と電動モーター、二つのタイプがある。

どちらのクレデンザを選ぶか。
いまならば手巻きの方だが、ずっと以前ならば、
SP盤をかけるたびにゼンマイを巻くのが億劫という理由で、
電動モーターのクレデンザを選んだ人もけっこういたと思う。

クレデンザに搭載されているモーターは、
二極インダクション型で、
2.00 AMPERES 105 TO 120 VOLTSという表記がある。
電源周波数は40Hzから60Hzまで、となっている。

この時代のモーターの寿命がどの程度なのかは知らないが、
トルクが不足するようになった──、
そんな話を聞いていたので、今日、その方のところに、
試しで、アンカーのPowerHouse 90を持ち込んでみた。

カタログスペック的には容量不足になるが、
60Hzがうまく効くかもしれないし、なんとか使えるかもしれない。
まずは試してみて、そこでの結果から次の検討ができる。

結果は、うまく使えた。
容量的にはダメかな、と思いもしたが、やってみるものである。
ただしバッテリーの減りは早い。
電動モーターのクレデンザの消費電力は、けっこう大きい。

音も変った。いい方向へと変った。

Date: 10月 12th, 2024
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その24)

前回、アンカーの521 Portable Power Station (PowerHouse 256Wh)を聴いてきた、
と書いたが、スピーカーでもアンプでもない製品だけに、
その音を聴いたというよりも、その効果(変化)を聴いてきた。

521のサイズは、あらかじめチェックしていたが、
実物は幾分小さく見える。いいことだ。

バッテリーからAC電源を作り出す製品は、他にもあるし、
オーディオ専用と謳っている、かなり高価で大型のモノもある。

そういう製品からすると、アンカーの521は小さく軽いし、安価であり、
もうそれだけでオーディオに使えるシロモノじゃない──、
そんな判断もされるだろう。

それでも音だけは聴いてみるしかない。
聴いたうえで、あれこれいうのはかまわないが、
価格や大きさ、重さ、それにブランドだけで判断して聴かずじまいで、
あれこれ言ったところで何も始まらない。

今回はメリディアンのDSP3200を中心としたシステムで聴いた。
聴きながら、この音は、来年のaudio wednesdayで聴いてもらいたい、
そう思っていた。

Date: 10月 11th, 2024
Cate: 「ルードウィヒ・B」

ミュジコフィリア

10月のaudio wednesdayのテーマ、
「現代音楽をBOSE 901で聴く」は、12月に延期なのだが、
現代音楽について考えるうえでも、
現代音楽について関心はあるけれども……、
という人は、12月まだに「ミュジコフィリア」を読んでもらいたい。

「ミュジコフィリア」は、さそうあきら氏の作品。
二年前に映画が公開されている。

Kindle Unlimitedで全巻読める。

Date: 10月 10th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – radio sessionを終えて(その4)

結線を終えて鳴ってきた音は、前回のチェック時の音とは、
当然のことながらずいぶん違っていた。

とはいってもチェック時に少し鳴らしただけで、
それ以前は、かなり久しいこと鳴らしていなかっただけに、
気にならないところがないわけでもなかった。

だからといってスピーカーそのものは置き場所をかえたり、
振りを調整したりはできない。

それにそんな細かな調整をせずに、
鳴ってくる音をそのまま受けとめたいという気持もあった。

とにかくしばらく鳴らして、その後にネットワークの高域のレベルを一段上げ、
マランツのModel 7のトーンコントロールで高域を一段下げる。
片方は上げて、もう一方では下げるのであれば、
どちらもフラットでもいいのでは? と思われるかもしれないが、
実際あれこれやってみると、このポジションが良かった。
とはいえ、アンプがかわり、さらに鳴らし込んでいくと、
この辺はまた変ってくるだろうが、
今回は今回である。

10月は陽が落ちるのが早い。
音が落ち着いたところで、いくつかのアルバムを聴いているうちに、
周りは暗くなっていた。

この部屋からは庭が見える。
暗くなっていくなかで聴くフルニエのバッハの無伴奏のチェロ組曲は良かった。

MQAで聴いていた。

Date: 10月 9th, 2024
Cate: きく

野口晴哉氏とWestern Electric 594A(その1)

別項で触れているように、野口晴哉氏の594A用の電源は、規定の電圧の六割程度まで落ちている。
原因はセレン整流器の劣化であろう。

励磁型スピーカーは、電源によって音が変化する。
バッテリーが一番というわけではない。
私が聴いた限りでは、タンガーバルブによる電源が圧倒的に凄かった。

けれど、あの音は家庭に収まるのか。
そんな疑問すらわいてくるほどに、すごい。

野口晴哉氏のリスニングルームならば、タンガーバルブの電源であっても、
無理なく置けるけれど、それを維持するのは──、
そのことを考えると、タンガーバルブの電源は、
魅力的であっても候補から外れていく。

私が考えている本命は、定電流電源である。
回路は定まっていても、すぐに手をつけられるわけではない。

特に今回は今月20日までに間に合わせる必要があるから、
窒化ガリウムのスイッチング電源を使うことにした。

今日、その電源を594Aに接いできた。

三人で聴いていた。
最初の音を聴いて、皆驚くしかなかった。

三十年以上前に594Aの音は何度か聴いている。
それが基準になっているから、昨年5月の音を聴いた時に、
まず電源を疑ったわけだ。

今回のスイッチング電源は、間に合わせのモノだ。
それでも凄い、という表現がこれほどぴったりの音は他にない──、
そう断言できるほどの「凄さ」だ。

今日は規定の電圧による594Aの凄さを確認しただけだが、
来週はきちんと鳴らしていく。

それでも年内に594Aの本領発揮とまではいかないだろう。
2026年、野口晴哉氏没後五十年を最初のゴールと決めている。

Date: 10月 9th, 2024
Cate: High Resolution

TIDALという書店(その31)

いまもTIDALでMQA音源が聴ける、と少し前に書いている。
確かに、いまもMQAで聴けるアルバムがけっこうある。

先日、イギリスのTIDALのアカウントを使っている人のところに行った。
roonで検索しても、その前日、MQAで聴けたアルバムが、
MQAではなくなっていた。

他のいくつかも確認したけど、MQAではなかった。
帰宅して確認した。
私はアメリカのアカウントである。

こちらは、MQAのままだった。
いつまでMQAで聴けるのかはわからないのが、
どの国のアカウントかによっても、MQAがそうではないかが違ってくる。

Date: 10月 8th, 2024
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その23)

五年前に、ホンダからLiB-AID E500 for Musicが発表された。

リチウムイオンバッテリーを搭載したポータブル電源で、
AC 100Vをオーディオ機器に供給するというモノ。

関心を持った人もけっこういたと思う。
私もそうだったけれど、三十万円近い価格に、
二百台という限定発売ということで、関心を持つだけで終ってしまった。

実際のところ、どうだったのだろうか。

同種のポータブル電源は、いまではけっこうな数が市場に出ている。
この項で取り上げているアンカーのPowerHouse 90も、
そういう製品の一つである。

アンカーからも同種の製品はいくつかある。
今日、あるところでアンカーの521 Portable Power Station (PowerHouse 256Wh)を聴いてきた。

PowerHouse 256Whとついていることからもわかるように、
PowerHouse 90の上級機だ。
といってもそれほど高価ではなく、三万円もしない。

PowerHouse 90ではパワーアンプへの供給は無理があるが、
PowerHouse 256Whならば、出力(消費電力)次第では、
パワーアンプでも使えたりする。

アクティヴ型スピーカーシステム搭載のパワーアンプは、
放熱の関係とあって、アイドリング電流をたっぷり流すモノはほぼない。
ならばPowerHouse 256Whでアクティヴ型スピーカーへの電源の供給は可能だし、
60Hzにもなる。効果は期待できる。

Date: 10月 7th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十夜(43年目の4343・その2)

あの時代、JBLの4343はスターだった。
スーパースターといってもいい。

こんなことを書くと、あんなスピーカーが、という人がいる。
あの時代の空気を知らなければ、そんなことも言いたくなるだろう。

あの時代を経てきた人でも、同じことをいう人がいるのも知っている。

それはそれでいい。
そういう人たちを説得しようなんて、まったく思っていない。

映画俳優でも歌手でも、スーパースターと呼ばれていた人たちが、
すべての人からそう思われていたわけではないし、
アンチの人たちもいた。

むしろアンチがいることが、それだけ注目されていたことになるし、
アンチがまったくいないスターは、たぶんいないはず。

とにかく4343は、カッコよかった。

1976年に登場した4343は、
1974年に登場した4341の後継器である。

4343は4341よりも、ずっとカッコよかった。
もし4343が4341と同じデザインのままだったら、
あれほどの人気は獲得できなかっただろう。

そして4343には、瀬川先生の存在もあった。

Date: 10月 6th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – radio sessionを終えて(その3)

ラックスのMQ60は不調になったものの、
タンノイのユニットが生きていることは確認できた。
ネットワークも万全とはいえないまでも、使える状態にはある。

チェックで鳴らしたのはここまでで、当日。
アンプは真空管にするつもりだった。

今回の意図は、ラジオが高級品、贅沢品だったころ、
そんな時代を、少しでも味わいたい──である。

かなり贅沢な真空管ラジオの再現。
だからソースは、ストリーミングだけに絞る。

ラインナップは自然と決まってくる。
パワーアンプは、マッキントッシュのMC275、
それから今回はステレオ音源をモノーラルにするために、
コントロールアンプを使う。

ステレオをモノーラルにするだけなら簡単な加算回路を作れば、
コントロールアンプは不要となるが、
トーンコントロールも使うだろうと考えて、マランツのModel 7。

ストリーマーとD/Aコンバーターは、
メリディアンの210と218の組合せも考えはしたが、
あえてiPhone 14 ProとLotooのPAW S1。

ChordのMojoも用意して会の前に試聴もしたが、
TIDALでまだMQAが聴けるということもあって、前者を選択。

Date: 10月 5th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – radio sessionを終えて(その2)

野口晴哉氏は、このタンノイのモノーラルのシステムを、
どういう組合せで鳴らされていたんだろうか。

高めの床の間のようになっているところには、扉がある。
ここを開けると、おそらくだが、野口晴哉氏が使われていたであろうシュアーの箱がある。
あとレコード・クリーナーもある。

シュアーのカートリッジは、この部屋だけでなく、
リスニングルームにも、何個かある。

野口晴哉氏が使われていたオーディオ機器は、大半が保管されている。
まだ全てを把握しているわけではないが、
デュアルの1219が、このタンノイがある部屋では使われたいなのでないのか。
カートリッジはシュアーで、だ。

ここに関しては自信があるが、まったくわからないのが、
アンプに関してだ。

野口晴哉氏のリスニングルームは、いくつかのオーディオ雑誌に紹介されているが、
この部屋については、私が知っている限りではない。

一枚でも写真があれば、ずいぶん助かるのだが、
今のところ手がかりはない。

先月、リスニングルームからアンプを運んできて、二回目のチェックを行った。
コントロールアンプはラックスのCL36uとマッキントッシュのC22。
パワーアンプは、ラックスのMQ60。

元々はCL35のはずなのに、
野口晴哉氏が亡くなられたあとに登場したCL36uがある。

C22とMQ60で鳴らした音は柔らかく甘く、
井上先生が言われていたように、日本での真空管アンプの音のイメージは、
ラックスのSQ38シリーズによって作られていった、
このことを証明するかのような音だった。

MQ60はSQ38シリーズのパワー部を独立させたモノ。

ただし、この時の音はMQ60が不調になり、十分ほどしか聴けなかった。

Date: 10月 4th, 2024
Cate: High Resolution

TIDALという書店(その30)

Qobuzのサービスが実際に始まってみないことには、
はっきりしたことは言えないのだが、
それでもひとつだけ、どうなるんだろうか、と、思っているのは、
DSD音源の扱いだ。

海外のアカウントでQobuzを使っている人によれば、
QobuzはDSDのストリーミングもダウンロードも提供していない、とのことだから、
日本でも同じ扱いになる可能性は十部ある。

でも昨年、2023年のサービス開始を発表しながら、
ほぼ一年経ってのようやくのプレオープンになってしまったのは、
DSDに対応するためだったのでないか──、
そんなふうにも受け止められなくもない。

実際、DSD音源に関しては不透明と思っていた方がいい。
なのでe-onkyoでしか入手できないDSD音源は、
早めに購入した方が、少なくとも安心だ。

ここまで書いて公開した後、
PhileWebの記事をみたら、DSD、DXD音源のダウンロードは展開するとのこと。
いま購入できるDSD音源は、そのまま移行すると思われるけど、
気になっているモノは、今のうちに購入するつもり。

Date: 10月 4th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – radio sessionを終えて(その1)

10月2日の会は、予想していた以上に楽しかった。

鳴らしたスピーカーは、タンノイのMonitor Redの15インチ口径。
このユニットが、部屋のコーナーの天井に下向けに取り付けてある。
ただし天井裏をバックキャビティとするのではなく、
天井よりも1mほどの位置にあり、そこがバックキャビティとなっている。

スピーカーの対面となる床も、その部分だけ高めの床の間のようになっている。

そして、その間には拡散用の角錐状の木がある。
コーナーに木で作られた裾広がりの急斜面がある感じともいえる。

ここに反射した音を主に聴くことになる。

このタンノイも、かなり長いこと鳴らされてなかった。
昨年だったか、最初のチェックの時には鳴らなかった。
アンプは、中国製と思われるD級アンプが接続されていたが、
これが故障しているようだった。

野口晴哉氏が、このタンノイをどんなシステムで鳴らされていたのか、
まったく手がかりがない。

中国製アンプは、野口晴哉氏が亡くなられた後に用意されたモノ。

別項でも書いているように、野口晴哉氏のシステムは、氏が亡くなられたあと、
何人かの人によって手が加えられている。

このシステムもそうで、アンプだけでなくネットワークも、
Monitor Redのモノではなく、
1980年ごろに登場したSuper Red Monitorのそれになっていた。

Date: 10月 4th, 2024
Cate: High Resolution

TIDALという書店(その29)

e-onkyoからのメールが、先ほど届いた。
サービス終了のメールであり、Qobuzサービス開始のメールでもある。

メールには、こうある。
     *
2024年10月16日(水)正午
e-onkyo musicでの楽曲の販売、新規会員登録、登録情報変更の停止

2024年10月23日(水)
Qobuzプレオープン
※e-onkyo musicの会員の皆様限定のお知らせとなります。グランドオープンまで、会員の皆様は優先的にお楽しみください。

2024年11月30日(土)23:59
e-onkyo musicでの、購入済み楽曲の再ダウンロード終了
     *
10月23日に、ようやくプレオープン。
本格的サービス開始は、12月1日になるのか。

とにかくQobuzが日本でも始まる。