Archive for category テーマ

Date: 10月 14th, 2017
Cate: アンチテーゼ

アンチテーゼとしての「音」(audio wednesdayでの音・その8)

グッドマンのDLM2については、ほとんど知らない。
スイングジャーナルに載っていた1967年のシュリロ貿易の広告には、
AXIOM 80とともにDLM2も載っている。

広告には能率が高く、5kHzから使える、とある。
価格は一本8,500円、参考までにAXIOM 80は一本26,500円だった。

DLM2はホーン型ながら、ドーム型トゥイーターのように薄い。
しかも5kHzのカットオフ周波数のローカットフィルターを内蔵して、である。
おそらくローカットフィルターは12dB/oct.のスロープ特性だろうから、
コイルとコンデンサーがひとつずつハウジング内に収まっているはず。

DLM2は少なくとも1967年以前からあったわけだ。
JBLの075は1956年に登場している。

1950年代のアメリカのトゥイーターと1960年代のイギリスのトゥイーター。
周波数特性の高域の伸びということでは、どれだけの差があるだろうか。

喫茶茶会記では、中高域を受け持つドライバー806Aの端子に並列に接続されていた。
5kHz以上からDLM2も鳴っていた。
806Aはローカットはしているが、高域に関してはハイカットフィルターは通していない。

私がDLM2のことを、サブトゥイーターと呼ぶ理由は、このへんにある。
しかもDLM2は正面には向けずに、ほぼ上向きにしている。

このDLM2を今回、075にしてみたわけだ。
交換するにあたって、あれこれ考える。

自分のシステムならば、常にいじれるけれど、
喫茶茶会記のスピーカーなので、月に一回。
それも調整だけに時間をさけるわけでもない。

基本的にアルテックの2ウェイシステムに075というJBLのトゥイーターを追加する、
DLM2と交換するという考えではなく、そう考えていた。

クロスオーバー周波数をどのくらいにするか、
806Aの上の帯域をカットするのか、そのままにしておくのか、
スロープ特性は……、レベル設定は……、
置き場所、置き方は……、
これらをひとつひとつ音を聴いていってセッティングをつめていければいいけれど、
そうもいかない。

とにかく今回は075をアルテックの2ウェイに追加することで、
どんな変化が得られるのか、その様子見といったほうがいい。

結局、2016年8月のaudio wednesday「新月に聴くマーラー(Heart of Darkness)」では、
2405を鳴らしている。このときコンデンサーでローカットしている。
今回も、そのコンデンサーをそのまま使用した。

容量は0.47μFと0.22μFのコンデンサーを並列に接続だから0.69μF。
075のインピーダンスは16Ωだから、単純計算では14.4kHzのカットオフ周波数となる。

Date: 10月 13th, 2017
Cate: ケーブル

ケーブル考(銀線のこと・その12)

B&Wは、Silver Signature 25の開発時、アンプはどうしていたのだろうか。
銀線使用のアンプで鳴らしていたのか、
それともそんなことは関係なく、
Silver Signature 25以外のスピーカーの開発に使われるアンプだったのか。

Silver Signature 25のころ、日本の輸入元はマランツになっていた。
B&Wの輸入元は、1970年代はラックスだった。
1980年ごろ今井商事にかわり、1983年ごろにナカミチ、その後がマランツである。

1983年に出たステレオサウンド別冊THE BRITISH SOUNDをみても、
当時のB&Wがどんなアンプを使っていたのかは載っていない。
ちなみに当時のKEFはナカミチのセパレートアンプで、
プレーヤーはテクニクスのSP10MK2である。

おそらく銀線使用のアンプではなさそうである。
ならば、なぜB&Wは銀線の徹底使用を実現しようとしたのだろうか。

無線と実験2017年6月号の柴崎功氏の記事には、
《結婚25周年の銀婚にちなんで、創立25周年記念モデルとして開発された銀づくし》とある。

一方CDジャーナル別冊「オーディオ名機読本」で小原由夫氏は、次のように書かれている。
     *
 テクノロジーや新材料の発展に対して常にアンテナを張っていたバウワースが、後に全力を傾けて取り組んだのが『銀』である。
(中略)
 銀は、地球上のすべての金属の中で、もっとも電気抵抗が低い。つまり、もっとも電気が通りやすい金属である。バウワースにそこに目をつけた。ただし、オーディオに銀を持ち込んだのは、何もバウワースが史上初というわけではない。それこそオーディオの草創期から、銀は電気を伝える導体として様々な形で応用されてきた。しかし、銀が主流となり得ないのは、コストや耐久性、実用性などの点で、とても銅にかなわないからである。さらに、銀固有の音質的クセがあると一部は指摘されていた。
 バウワースは、ここでも意地と信念、こだわりを大いに発揮する。オーディオの先達が決して十全に使いこなしたとは言い難い銀を徹底的に分析し、それをスピーカーを構成するあらゆる伝送路に使ってみよう、と……。バウワースは、寝食を忘れ、夢中になって銀の可能性に取り組んだ。
 しかしバウワースは、自身の手でその思いを全うすることはできなかった。1988年1月、志半ばにして、その65年の生涯に静かに幕を降ろしてしまったのである。
 彼の意地と信念とこだわりは、成就することなくそこで途絶えてしまうかのように見えたが、B&Wの後継者たちによって、彼のイズムは後に見事に花開くことになる。
     *
B&Wは1966年に創立されている。
創立25年は1991年。その三年前にバウワースは亡くなっているわけだ。

バウワースは、いつごろから銀の可能性に取り組みはじめたのかは、
小原由夫氏の文章のどこにも書いてない。

志し半ば、とまで書いてあるから、一年程度はないように思える。
少なくとも数年間は取り組んでいたのだろうか。

Date: 10月 12th, 2017
Cate: 「オーディオ」考

豊かになっているのか(その9)

トロフィーワイフという言葉を、数ヵ月前に知った。
数年前からあったらしい。

トロフィーワイフ。
すぐには意味がわからなかった。
そこにはトロフィーワイフについての説明もあった。

すごい世の中になっているのだ、と思ってしまった。
これが資本主義というものなのか、とも思ってしまう。

トロフィーワイフ。
ならばトロフィースピーカー、トロフィーアンプ……、
といったモノも存在しても不思議ではない。

いまオソロシイ価格のオーディオ機器が存在している。
そういったモノは、トロフィースピーカーであったり、トロフィーアンプであったりするのか。

確かにそういう買い方をする人たちがいる、という話は、
十数年前ぐらいから、ぽちぽちあった。

ずっとオーディオをやってきた人たちが買うわけではない、と聞いている。
ポンと即金で、システム一式(そうとうな価格である)を買っていく人たちが、
日本にもいる(いても不思議ではない)。

トロフィーオーディオ。
豊かさの象徴といえるのか。

Date: 10月 12th, 2017
Cate: アンチテーゼ

アンチテーゼとしての「音」(audio wednesdayでの音・その7)

JBLのトゥイーターといえば、075か2405が、まず浮ぶ。
075を使ったシステムは、これまでいくつかのところで聴いてきている。
とはいえ、自分で鳴らしたことはないユニットである。

ステレオサウンド別冊HIGH-TECHNIC SERIESの三冊目、
「世界のトゥイーター55機種の試聴とその選び方使い方」、
ここでの075の評価は、絶賛といえるものではなかった。

075はその時点でも古いトゥイーターといわれていた。
瀬川先生は《ハイエンドの伸びが圧倒的に足りない》と発言されている。
事実、実測データも掲載されていて、15kHzあたりまでだし、
実測指向性パターンをみても、
2405は5kHz、1kHz、15kHz、いずれの周波数においてもきれいなパターンを描いているが、
075は5kHzでも広いパターンとはいえず、15kHzにおいてはかなり悪い,としかいいようがない。

たしかに設計の古いトゥイーターである。

瀬川先生は《地がかなりジャジャ馬》で、
《使いこなしをめんどうくさがる人には、なかなかよさを出すことがむずかしい》ともいわれている。

黒田先生は、《華やかで美しい》とまずいわれているが、
ここにはネガティブな意味も含まれている、とつけ加えられている。
そして《ちょっと騒がしい》とも。

井上先生は《古いタイプの音》、《聴感上のSN比に問題》があり、
《シリシリという音がすべての楽器の音に重なって》くるため、
《音全体が騒々しい》という評価だ。

その075をアルテックの2ウェイ・システムに加える。
それまでのトゥイーター、グッドマンのDLM2も古い設計だ。
周波数特性を比較しても優劣はないかもしれない。

けれど手に持った感触は、DLM2と075はまったく違う。

Date: 10月 11th, 2017
Cate: ジャーナリズム

オーディオの想像力の欠如が生むもの(その31)

オーディオの想像力の欠如した耳には、スピーカーの音は聞こえても、
スピーカーの「声」は聴こえないのかもしれない。

Date: 10月 11th, 2017
Cate: アンチテーゼ

アンチテーゼとしての「音」(audio wednesdayでの音・その6)

今回喫茶茶会記のアルテックのダイアフラムをダメにした人は、
自分のした行為をどう思っているのだろうか。

なんとも思っていないのか。
それとも、ダイアフラムをダメにするほどの音量を出した、ということを誇りに思っているのだろうか。

ダメにした人がどういう人なのかは知らない。
ただ、その人の大音量再生(ほんとうはそう呼びたくないが)と、
私の大音量再生は、同じ喫茶茶会記のシステムを使って鳴らしていても、
まったく別ものである、ということだけはいえる。

話がそれてしまったので元にもどそう。
左チャンネルが807Aに換装されていた今回のaudio wednesday。

同じ音量設定ながら、前回とは違う鳴り方に驚きながらも、
やはりドライバーが違うということは、気になる。
聴いていて、良さはあるけれども、
なんとなくではあっても、それこそ「フツーにいい音」的な面も感じられた。

私自身の気合いが、この時点でいまひとつ入りきれていないのも関係していたはずだ。
同時に、ネットワークの配線を今回も変えたことで、
サブトゥイーターとして鳴らしているグッドマンのDLM2がそぐわなくなってきた感が強くなった。

ネットワークの配線の変更が直接関係してくるのはウーファーとドライバーに対してであって、
サブトゥイーターのDLM2にも直接関係しているわけではない。

そのためであろう、ウーファーとドライバーの鳴り方がはっきりと変化したことに対して、
DLM2はついてこれなくなった──、
そんなふうにも解釈できる鳴り方だった。

こうなるとトゥイーターを交換してみるしかない。
早々とDLM2から075に変えることになった。

Date: 10月 11th, 2017
Cate: ケーブル

ケーブル考(銀線のこと・その11)

マークレビンソンML6のように内部配線をすべて銀線にしたところで、
アンプを構成する部品全体からすれば、それは一部にすぎない。

それでも銀線の音は、アンプの音として反映されるとはいえ、
Silver Signature 25ほどの徹底した銀使用とはいえない。

アンプも抵抗、コンデンサー、トランジスターを銀リードにしたものを部品メーカーに発注する、
電源トランスの巻線を銀線にする、
どれだけのお金がかかるかは検討がつかないが、
ここまでは可能だとしても、プリント基板のパターンを銀にするとなると、
さらに大変なことになろう。

部品点数の極端に少ないアンプ、
具体例としてはFirst WattのSIT1、SIT2ならば、
信号経路を徹底して銀線化していくことはできなくもないだろうが、
一般的な部品点数のアンプでは、まず無理といってもいい。

だから考えるのは、パワーアンプを真空管式として、
出力トランスの二次側コイルを銀線にする、ということだ。

両端に銀によるコイルを持つ閉じた回路(ループ)内は、
スピーカーがSilver Signature 25ならば、ほぼ銀線といえる。

同様にアナログプレーヤーならば、昇圧トランスの一次側巻線を銀線にする。
そうすれば、こちらも両端に銀によるコイルをもつ閉じた回路ができる。

つまり音の入口と出口に、それぞれ閉じた回路をもつシステム、
それもどちらの閉じた回路も銀線によって構成されている。

システムの銀線化は、このあたりが現実的といえる。

Date: 10月 11th, 2017
Cate: ケーブル

ケーブル考(銀線のこと・その10)

瀬川先生がステレオサウンド 52号に書かれたマークレビンソンのML6の音のこと。
     *
 ともかくML6の音は、いままで聴きえたどのプリアンプよりも自然な感じで、それだけに一聴したときの第一印象は、プログラムソースによってはどこか頼りないほど柔らかく聴こえることさえある。ML6からLNPに戻すと、LNPの音にはけっこう硬さのあったことがわかる。よく言えば輪郭鮮明。しかしそれだけに音の中味よりも輪郭のほうが目立ってしまうような傾向もいくらか持っている。
     *
《どこか頼りないほど柔らかく》、
当時の私にとって、この音の表現が、銀線のイメージとすぐさま結びついてしまった。
なにかの広告で読んだのだと記憶しているが、
銀線の音のイメージとして、ML6の《どこか頼りないほど柔らかく》というのが、
ほとんどそのままあったからだ。

当時、高校生だったし、銀線の音は聴いたこともなかった。
文字と銀という金属の色からのイメージだけで、なんとなく銀線の音を想像していた時期であった。

それはどこか女性的な音のイメージでもあった。
銀線の音のイメージがそうであったから、
銅線の音は対照的に、私のなかでは男性的な音のイメージを、なんとなく持っていた。

もちろん、銅線、銀線の音は、そう単純なものではないのだが、
それでもどこか銀には、優雅というイメージがついてくるし、
それだけでなくいぶし銀という音の表現からは、
決して前へ前へ、と出しゃばってこない音のイメージとも結びついていた。

Silver Signature 25は、どんな音なのだろうか。
Silver Signature 25も単体で音が鳴るわけではない。

アンプ、プレーヤーと組み合わせなければ音は鳴ってこない。
アナログプレーヤーならば、発電コイルが銀線のモノはあるし、
トーンアームのパイプ内配線も銀線のモノがあるだろうし、
銀線に交換することもできないわけではない。
出力ケーブルも銀線で揃えられる。

音の入口と出口は、銀線で固められる。
けれどアンプとなると、そう簡単にはいかない。

Date: 10月 11th, 2017
Cate: ケーブル

ケーブル考(銀線のこと・その9)

Silver Signature 25は2ウェイのスピーカーシステムで、
砲弾型のトゥイーターがエンクロージュアの上に乗っかるスタイルだ。

このスタイルのB&Wのスピーカーシステムは、
ユニットはインライン配置になっているが、Silver Signature 25はトゥイーターがオフセットしている。

このことはトゥイーターの逆相接続とも関係しているように思える。
銀リードのコンデンサーの容量が3.3μFだけということで、
ネットワークの設計にそうとうに苦労していることが、
トゥイーターのオフセットとも関係しているのではないだろうか。

他の値の容量の銀リードのコンデンサーが用意できていれば、
ネットワークの定数も違ってきたはずだし、
トゥイーターも正相接続で、インライン配置になっていたであろう。

そこまでして銀の使用に徹底的にこだわっているのがSilver Signature 25であり、
銀は導体抵抗の低い金属であるが、そのことだけが、
ここまで銀にこだわらせた理由ではないはずだ。

音的にあきらかなメリットを感じていたからこそ、の、
Silver Signature 25の誕生であったはずである。
(ハンダもやはり銀入りなのだろう)

銀銭の音については、メリットもデメリットもいわれてきている。
それが事実なのかどうかは、ケーブルの音は、それ単体で評できるわけでもなく、
はっきりとしたことは誰にもいえないのだが、
一部否定的な意見としては、本来あるべき音の力がわずかとはいえ損われる──、
そんなふうにいわれている。

もっともこのことさえも、
当時から、銀の純度があまり高くないからだ、という説もあったし、
銅があたりまえのシステムに銀をわずかに持ち込むからであって、
銀線化を徹底していけば、そういう面もなくなる──、
そんなこともいわれていた。

Date: 10月 10th, 2017
Cate: ケーブル

ケーブル考(銀線のこと・その8)

久しぶりに買っていた無線と実験の6月号に、
B&Wのスピーカーシステムの記事(柴崎功氏による連載)が載っていたことに気づいた。
Silver Signature 25のネットワークの回路図も載っていたはず、と、
ひっぱり出して開いてみると、載っていた。

ネットワークを構成する部品は、
コンデンサーが三個、コイルが二個、抵抗が一個である。
コンデンサーは三個とも3.3μFである。

これは銀線リードのポリプロピレンコンデンサーが高価なため、
3.3μF一種類しか確保できなかったため、と記事にはある。

そのためネットワークの設計には苦労があったようだ。

ウーファーは28mHのコイルが直列に入るだけの、スロープ特性6dBの構成、
ウーファーに対し、1Ωの抵抗と3.3μFのコンデンサーを直列にしたものが並列に接続されている。

記事には抵抗については触れられていないが、
抵抗は並列接続されていること、
ローパスフィルターを形成しているわけでなく、
ダンピング抵抗として作用することもあってだろう、
どうも銀線リードではないようにも受け取れる。

Silver Signature 25のカタログのスペック欄にも、純銀ワイヤー・インダクター、
純銀リードポリプロピレン・キャパシターとはあるが、
純銀リード・レジスターの記載はない。

トゥイーター用のハイパスフィルターは、
3.3μFのコンデンサーが二個直列に挿入されている。
ふたつのコンデンサーの中点に0.12mHのコイルが並列に接続されている。

トゥイーターは逆相接続となっている。

Date: 10月 10th, 2017
Cate: 表現する

音を表現するということ(間違っている音・その9)

間違っている音を出していた男は、
オーディオの使いこなしに自信をもっている。

何故、彼が自信をもつに至ったかについては書かないが、
その自信は、本当の実力に裏打ちされたものだったのか。

本人はナルシシストであるから、きっと、そう思っているはずだ。
だがオーディオは、その場で、スピーカーから鳴ってくる音だけ、である。
肝心の音が、実力に裏打ちされていなければ、
彼がどんなに使いこなしに自信をもっていようと、
それは自己満足の技術でしかない。

数年前の私だったら、これがオーディオの罠だ、と書くところだが、
結局は本人の未熟さゆえである。

何故未熟なのか。
自己満足の技術しか持たないからである。

何故自己満足の技術から脱することができないのか。
ナルシシストだから──、だけがその理由ではないと思う。

Date: 10月 9th, 2017
Cate: ケーブル

ケーブル考(銀線のこと・その7)

(その6)で書いているように、
オルトフォンのSPU-Gold、SMEの3012-R Proを組み合わせて、
出力ケーブルも3012-R Pro付属のモノを使えば、
カートリッジの発電コイルからトーンアーム内配線、出力ケーブルまで、
すべて銀線ということになる。

マークレビンソンのML6は、銀線使用ということでも話題になったが、
それはあくまでも内部配線材だけであって、プリント基板のパターンまで銀になっていたわけではない。

マークレビンソンのラインケーブルも銀線のモノもあった。
それらを使ったとしても銀以外の金属が存在しているし、
銀以外の金属の方が割合としても多い。

徹底的に銀を採用したオーディオ機器といえば、
B&Wの創立25周年記念モデルとして登場したSilver Signature 25がある。
(Silver Signature 25も、KEFのModel 107と同じで25周年モデルなのか、と思う)

スピーカーシステムで銀線使用と謳われていれば、
せいぜいが内部配線材が銀線になったくらいだと思いがちだ。
もう少し徹底した場合であれば、ボイスコイルも銀線にするかもしれない。

それ以上となると、かなり実現は困難といえよう。
スピーカーシステムを構成する部品で、信号が通過するところうすべて銀にするには、
接点を含めて、コンデンサーや抵抗のリード線までも銀線とする必要がある。
B&WはSilver Signature 25において、それを実現している(はずである)。

少し曖昧な書き方になったのは、
実物を見たことはあるけれど、その内部まで見たわけではないからだ。
それでも、これ以上、銀ということに徹底したオーディオ機器は、いまのところないはずだ。

Date: 10月 9th, 2017
Cate: アンチテーゼ

アンチテーゼとしての「音」(audio wednesdayでの音・その5)

スピーカーのボイスコイルは、数Ωという直流抵抗を持つ。
この直流抵抗によって、ボイスコイルは熱を持つことになる。

熱を持てば、直流抵抗の値は高くなる。
高くなれば、その分さらにパワーのロスが生じる。
ということは、そこでまた熱が発生する。

ボイスコイルの温度がさらに上れば、直流抵抗はさらに高くなる……。
つまりリニアリティの低下である。

JBLの4343から4344へのモデルチェンジにおいて、
ウーファーが2231から2235へと変更されている。

JBLの発表によれば、
約30Hzの低音での1W入力時と100W入力時の出力音圧レベルは、
ボイスコイルの温度上昇とそれによる直流抵抗の増加、
それ以外にもダンパーなとのサスペンションの影響により、
2231では100Wの入力に対してリニアに音圧レベルが上昇するわけでなく、
3〜4dB程度の低下が見られる。

2235での低下分は約1dB程度に抑えられている。
2235は確かボイスコイルボビンがアルミ製になっている。
ボビンの強度が増すとともに、放熱効果もそうとうに良くなっているはずだ。
このことが、100W入力時の音圧の低下を抑えている、といえよう。

1970年代後半に登場したガウスのユニットは、
磁気回路のカバーがヒートシンク状になっていた。
これは放熱効果を高めるためである。

大入力も瞬間的であれば、さほどボイスコイルの温度の上昇も気にすることはないだろうが、
連続して大入力がユニットに加われば、ボイスコイルの熱の問題は顕在化してくる。

ラウドネス・ウォーといわれるような録音を、大音量で鳴らしていれば、
ボイスコイルの温度は高くなっていくばかりだろう。
その状態でさらなる音量を求めてボリュウムをまわしていっても、
悪循環に陥ってしまうだけで、頭打ちになってしまう。

こうなってしまっては、もう大音量再生とはいえないし、
スピーカー破損への道まっしぐらであり、
喫茶茶会記のアルテックの806Aは、ダイアフラムがダメになってしまった。

Date: 10月 8th, 2017
Cate: アンチテーゼ

アンチテーゼとしての「音」(audio wednesdayでの音・その4)

音質を音量の大きさでごまかす、
こんなことがずっと以前からいわれてきている。

音を大きくしさえすれば、いい音に聴こえる、と、
こんなことを言っている人は、本気でそう思っている(信じている)のだろうか。

世の中には、大音量で聴く人を蔑む人がいる。
それは知的ではない、とか、野蛮だ、とか、そんなことをいう。

大音量で聴くことは、ほんとうに知的でない行為なのか。
これは大音量再生を真剣にやったことのない人のいいそうなことだ。

大音量再生は、大音量再生ならではの知的な行為である。
ただただボリュウムのツマミを時計方向にまわしていけば、
それで済むような行為ではない。

私は、大音量再生は、知的でスリリングな行為だ、と考えている。
どこまでボリュウムをあげていけるのか、
音が破綻してしまったら、それは大音量再生とは、もういえない。

破綻させず、そしてスピーカーを破損させずに、
どこまで音をあげていけるのか。
そのぎりぎりのところを見定める。

一度やってみると、これぞオーディオだ、と心で叫びたい気持になる。
それにハマってしまう。

今回、喫茶茶会記のアルテックのドライバーを壊した人は、
大音量再生を知的な行為とは、少しも思っていないのだろう。
ボリュウムを時計方向にまわしていけば、でかい音が出る、くらいの認識であり、
自分のスピーカーではない、という気持がどこかにあったはずだ。

Date: 10月 8th, 2017
Cate: アンチテーゼ

アンチテーゼとしての「音」(audio wednesdayでの音・その3)

朝沼予史宏氏は、つまりはダイヤトーンのスピーカーの力量を見誤った。
だからスピーカーを破損することになった。

こう書くと、反論できない故人のことを悪くいうのか、と思われる人がいるが、
私は反対に、ダイヤトーンのトゥイーターを破損してしまったことを、
凄いこと、伝説のように語ることの方が、
朝沼予史宏氏のことを貶めている、とすら思う。

朝沼予史宏氏はプロフェッショナルであることを、強く意識している人だった。
その人が、スピーカーを破損してしまったということは、
そのときはプロフェッショナルではなかった、ということでもある。

オーディオ評論家というオーディオのプロフェッショナルではなく、
オーディオのアマチュアであったと──、
だからダイヤトーンのスピーカーを破損したことを持て囃す人たちこそ、
プロフェッショナルであろうとしていた朝沼予史宏氏を貶めている、と考える。

朝沼予史宏はペンネームであることは知られている。
本名でやっている人もいればペンネームを使う人もいる。

ペンネームを使う人みながそうではないだろうが、
少なくとも朝沼予史宏氏は、
オーディオのプロフェッショナルであろうとしてのペンネームのような気がする。

十年以上前だったか、インターナショナルオーディオショウのあるブースで、
ある人がプレゼンテーションをやったときに、スピーカーをとばした、と聞いた。
その話を私にしてくれた人は、すごい音で鳴っていた、と興奮気味だった。

かもしれない。
けれどスピーカーをとばしてしまうのは、オーディオのプロフェッショナルならば、
特にインターナショナルオーディオショウという場では絶対にやってはいけないことではないのか。

もっともスピーカーをとばした人は、オーディオ評論家でも、
オーディオのプロフェッショナルでもない人だから、
どのブースだったのか、どのスピーカーだったのか、誰なのかは書かない。