audio wednesday (next decade) –第十夜(43年目の4343・その3)
ながいことオーディオという趣味に熱中してきたのであれば、
特別な存在のスピーカーというものが、一つはあるはずだ。
それは世代によっても、どういうオーディオ機器に出合ってきたのか、
さまざまなことが関係しているから、
特別なスピーカーが、みな同じわけではない。
JBLの4343。
1970年代後半におけるオーディオ界のスーパースターだった。
そこでの憧れがあった。
けれど、それだけでなく、
4343は私にとっての「特別なスピーカー」だ。
なぜ特別なのかについて、
すべて書いていくと、どれだけでも書けてしまう。
なぜ特別なのか、
それは瀬川冬樹というひとりのオーディオ評論家と、
私の中では分かち難く結びついているからだ。
瀬川先生がいたからこそ──、そういえる。