Archive for category テーマ

Date: 8月 19th, 2020
Cate: 老い

老いとオーディオ(若さとは・その5)

むき出しの才能、
むき出しの情熱、
むき出しの感情、
これらをひとつにしたむき出しの勢いがあってこそ、スピーカーからの音と徹底的に向きあえる。

むき出しをよしとしない人がいる。
それはそれでいいけれど、そういう人はオーディオマニアではない。

音に関心があっても、オーディオマニアとは呼べない人のことだ。

老成ぶるオーディオマニアがいる。
私は、そんな人が嫌いだ。

老成ぶることで、人とは違うのだ、とアピールしたいのか。
老成ぶる人に、むき出しの勢いを感じることはない。

むき出しの才能、
むき出しの情熱、
むき出しの感情、
これらがないわけだ。

むき出しになっていないだけだろうか。
もとから才能も、情熱も感情もないのだろう。

《オーディオでしか伝えられない》ことを持っていない人たちなのだから。
《オーディオでしか伝えられない》ことを持っている人ならば、
なにかがむき出しになっていくものだ。

Date: 8月 18th, 2020
Cate: ディスク/ブック

THE JIMMY GIUFFRE IN QUARTET PERSON

Jimmy Giuffreをどう呼ぶのかも、昨晩まで知らなかった。
“THE JIMMY GIUFFRE IN QUARTET PERSON”というレコードのことも、もちろん知らなかった。

昨晩は、新宿・歌舞伎町にあるジャズ喫茶ナルシスに行ってきた。
10月7日のaudio wednesdayで、DJをやってくれる野上眞宏さんと赤塚りえ子さんの三人で、
夕食のあとの雑談で、ナルシスに行こう、ということになった。

こういう状況下なので、ナルシスが営業しているのかどうかもはっきりしなかった。
最悪の場合、閉店しているかも……、そんなことも心配しながらも、
ナルシスの入っているビルの前につくと、
ブラインドのすきまからぼんやりとあかりが灯っていた。

「やっている!」
喜びの声をあげながら、階段をあがる。
ドアには、いくつかの貼り紙があった。
営業時間も、8月中は22時まで、である。

ドアを開けて入れば、変らぬナルシスである。

世の中は大きく変化していっているけれど、
ここは切り離されているかのような雰囲気さえある。

“THE JIMMY GIUFFRE IN QUARTET PERSON”は、何枚目かにかけてくれたレコードだ。
「今度はちょっと地味なのをかけるね」ということで、
ジミー・ジェフリーのレコードである。

ジミーと地味をかけて、オヤジギャグを言おうか、どうしようか迷っていたら、
野上さんに、先にいわれてしまった。

ナルシスのママが、われわれ三人にジャケットを渡しながら、
写真の真ん中あたりをみてごらん、と。

“THE JIMMY GIUFFRE IN QUARTET PERSON”のジャケット写真は、
ファイブスポットでのライヴ風景である。

ミュージシャンの後の壁には、さまざまなチラシが貼ってある。
そのなかの一枚。
ほら、このへん、といわれながら渡されたから気づいたのだが、
そこには“YAYOI KUSAMA”の文字があった。

“THE JIMMY GIUFFRE IN QUARTET PERSON”は、
“Jimmy Giuffre Live in 1960”というタイトルでCDが出ている。

1960年のライヴ録音であり、その時代のファイブスポットの壁であり、チラシである。

“THE JIMMY GIUFFRE IN QUARTET PERSON”とほかの場所で出会っていても、
そこには気づかないだろう。

ナルシスに行ったからこそ、であえて気づけたわけだ。

Date: 8月 18th, 2020
Cate:

オーディオと青の関係(その25)

単売されているユニットの場合なら、
コーン紙に、特徴となる色をつける理由はなんとなくわかる。

けれどBOSEの901IIIにしても、マランツの1970年代前半ごろのスピーカーシステムにしても、
そのころのスピーカーシステムというのは、サランネットを外して聴くことは珍しかった。

901シリーズは、ステレオサウンドの試聴室で何度も聴いているけれど、
一度もサランネットを外してユニットが見える状態で聴いたことはない。

BOSEもサランネット外して音を聴いてほしい、とは考えてなかったはずだ。
マランツのスピーカーにしてもそうだし、
このころの海外のスピーカーシステムで、
サランネットなしで聴くことを前提としているモデルは、どれだけあっただろうか。

スピーカーユニットではなく、スピーカーシステムを買う人にとって、
搭載されているユニットのコーン紙の色は、ほとんどの場合、どうでもいいことかもしれない。

そんなことはBOSEの開発者もわかっていたように思う。
なのに青色のコーン紙である。

特性的にも、音質的にも優れていたのだろうか。
そうとは思えない。

となると、青色のコーン紙は、服装でいうところの下着のおしゃれに近いことなのか。

Date: 8月 17th, 2020
Cate: 世代

世代とオーディオ(実際の購入・その15)

オーディオ機器は、工業製品である。
好感度な工業製品について考えると、iMacが挙げられるだろう。
現行製品のiMacではなく、1998年に登場した、いわゆる初代iMacである。

1998年5月に、AppleからiMacが発表になった。
翌日には、個人のウェブサイトでも、あちこちで取りあげられていた。
まだSNSはなかった時代だったが、SNSがあれば、その盛り上りはさらにすごかっただろう。
私がみたかぎりでは、すべて絶賛といってもよかった。

G3プロセッサーを搭載して、USBの、はじめての採用と同時に、SCSIやADBなどを廃止。
内容のわりには、価格は抑えられていた。

このことも高く評価されていた(反対の意見もあった)が、
それ以上に、絶賛されていたのはiMacのデザインについてだった。

私は、発表された写真をみてもピンとこなかった。
360度回転して見ることができるQuickTime VRのファイルをダウンロードして、
いろんな角度からどう見ても、変なデザインにしか見えなかった。
なぜ、多くの人が、これを褒めるのか、まったく理解できなかった。

実物を見れば、印象も変るのかもと思い、8月の発売前に、新宿の高島屋に、実物が展示されたを見に行った。
ガラスケースに収められたiMacを見て、やっぱり変なデザインと確信した私は、
iMacの発売日前日に、PowerBook 2400Cを購入した。

私が行った日がたまたまだったのか、それとも毎日そうだったのかはわからないが、
iMacを見に来ていた人は、けっこう多かった。

注目を集めているから、展示するだけで人を呼べるからこそなのだろう。

iMacの登場のころから、
工業製品にたいしても「かわいい」ということばが使われはじめたような気もする。

そして、この「かわいい」が工業製品での好感度と関係しているように思える。

初代iMacは、売れた。
パソコンの専門家ほど、iMacなんて、売れるはずがない、という意見をもっていたと記憶している。
けれど、そんな専門家は「かわいい」と表現されることに無関心だったではないのか。

好感度ということについても、そうだったのだろう。

Date: 8月 16th, 2020
Cate: audio wednesday

第116回audio wednesdayのお知らせ(music wednesday)

9月のaudio wednesdayの告知ではなく、10月のaudio wednesdayの告知である。
10月のaudio wednesdayは、7日。

テーマは、music wednesday。
2019年12月のaudio wednesdayは、写真家の野上眞宏さんにDJをやってもらった。
その時に、またやりましょう、ということになった。

というわけで、10月は野上眞宏さんに、またDJをお願いする。
今回は、野上さんだけでなく、赤塚りえ子さんにもお願いしている。

野上さん、赤塚さんのダブルDJとなる。
野上さんの前回のDJのプレイリストは、公開している。
今回も、こういう感じになるはずだ。

赤塚さんが好きな音楽は、また違う。
どういう音楽を聴かれるのかは、ele-kingというサイトを見てもらえればわかる。

当日終ってみると、かなり多彩なプレイリストができあがるはずだ。

場所はいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

19時開始です。

Date: 8月 16th, 2020
Cate: 老い

老いとオーディオ(齢を実感するとき・続番外)

20年前の、いまごろの時間にaudio sharingを公開した。

20年経ったという実感があるのか、といえば、
あるといえるし、そうでもない、と曖昧な感じだ。

5月には公開できるようになっていた。
けれど、お金が文字通り尽きてしまって、8月になってしまった。

1999年暮に仕事をやめて、audio sharingづくりにとりかかった。
ずっとひきこもって作業をやっていた。
傍から見れば、バカなことをしている──、だったろう。

なんとかなるさ、という甘えは考えは持たない方がいい、とそれだけはいえる。

その10年後に、瀬川先生の電子書籍をつくりたくて、
また仕事をやめて数ヵ月ひきこもっていた。

この時も、なんとかなるさ、とちょっと思っていた。
現実は、なんともならないだけである。

それからまた10年。
なんともならないのは、はっきりとわかっているけど……。

Date: 8月 15th, 2020
Cate: 境界線

境界線(その15)

別項で書いていることを、ひさびさに試そうと考えている。

池田圭氏の「盤塵集」にあったことの追試である。
     *
このところ、アンプの方ではCR結合回路の全盛時代である。結合トランスとかリアクター・チョークなどは、振り返っても見られなくなった。けれども、測定上の周波数特性とかひずみ率などの問題よりも音の味を大切にする者にとっては、Lの魅力は絶大である。
 たとえば、テレコ・アンプのライン出力がCR結合アウトの場合、そこへ試みにLをパラってみると、よく判る。ただ、それだけのことで音は落着き、プロ用のテレコの悠揚迫らざる音になる。
     *
メリディアンの218の出力に、ライントランスの一次側巻線を並列に接続する。
トランスの一般的な使い方ではない。

トランスの二次側巻線から出力を取り出すわけではない。
あくまでも一側側巻線が218の出力に並列になるだけのことだ。

ここで考えているのは、トランスの設置場所である。
これまで、この項で書いてきているように、
例えばメリディアンの218をアンプに接続する場合、
私はアンプまでのラインケーブルを含めて、218の領域と考える。

その場合、トランスは218の出力に近い位置にもってくるべきか、
それとも後続のアンプの入力に近い位置もってくるべきか。

どちらにしても、アンプまでのラインケーブルを218の領域と考えているのだから、
トランスの位置は、218領域内ということになる。

それでも、1.5mほどのラインケーブルのどちら側に持っていったらいいのか。
結果は両方試して音を聴いて判断するしかないのだが、
それでも音を出すためには、最初どちら側に決めて配線する必要がある。

最終的に音で判断するのだから、そんなことで悩まずにまずは音を出せばいいじゃないか──。
たしかにそのとおりである。

それでも性格的に、理屈的にはどちら側なのかを考えてから試してみたい。

Date: 8月 14th, 2020
Cate: 憶音

憶音という、ひとつの仮説(その9)

水は循環している。

音はどうだろうか。
音も循環しているのだろうか。

循環している、と仮定しよう。
そのうえで、循環から外れてしまった音があるように、思う。

なにか根拠があって、そうおもうのではなく、憶音について考えていると、
そうおもえてならない。

Date: 8月 14th, 2020
Cate: ジャーナリズム, ステレオサウンド

編集者の悪意とは(その23)

編集者も人の子であるから、好き嫌いはあって当然。
しかもオーディオという趣味の世界の編集者なのだから、
すべてのブランド、すべてのモデルに公平な意識をもっていられる人は、いるのだろうか。

もちろん試聴においては、公平に扱う。
これはオーディオ雑誌の編集者として、絶対なことだ。

たとえばアンプの試聴で、
好きなブランド、好きなモデルの場合は、ACの極性を合せ、接点もきちんとクリーニングする。
嫌いなブランド、モデルの場合には、ACの極性をわざと反対にする、接点もクリーニングしない。
そんなことは、絶対にしない。

どちらであっても、ACの極性は合せ、接点もクリーニングしておく。
試聴条件は公平でなければならない。

ステレオサウンド 87号のスピーカーシステムの総テストは、
その意味で公平であったのだろうか。

マッキントッシュのXRT18のヴォイシングのことはすでに書いている。
ここでのヴォイシングは、編集見習いのKHさん立会いのもと、
エレクトリのスタッフの方に来てもらい、午前中じっくりと時間をかけてやってもらった。

このヴォイシング、そのことを公平でない、と考えない。
XRTシリーズのスピーカーの形態上、必要なことである。
けれど、もう少し突っ込んで考えると、
KHさんは、マッキントッシュへの思い入れが、そうとうに強い。

それは別にかまわないのだが、
KHさんの心の中には、XRT18だけが特別にうまく鳴ってくれればいい──、
という気持があったのかもしれない。

それは、ほかのスピーカーシステムに対しての間接的な悪意といえる。
そう考えることもできるし、そうでないとしても、
その時点で、KHさんの心の中では公平のバランスが大きく崩れてしまったようにも思う。

ほかのスピーカーシステムを悪く鳴らそうとは、KHさんも考えていなかったはずだ。
けれど、XRT18だけが特別に鳴ってくれれば、という気持は多少なりともあった、と私はみている。

Date: 8月 14th, 2020
Cate: 真空管アンプ

真空管アンプの存在(KT88プッシュプルとタンノイ・その7)

その1)を書いたのは、二年前。
そのころはタンノイを買うことになるとは、ほとんど思っていなかった。

なので、ここでのサブタイトル、「KT88プッシュプルとタンノイ」は、
タンノイの特定のモデルではなく、あくまでもタンノイの同軸型スピーカー全般のことだった。

それが今年6月にコーネッタを手に入れた。
そうなってくると、「KT88プッシュプルとタンノイ」のタンノイとは、
コーネッタということに、意識しなくてもそうなりつつある。

最初のころのKT88プッシュプルとは、KT88のプッシュプルのパワーアンプのことを想定していた。
それがコーネッタ以降、プリメインアンプも含めてのことになってきている。

KT88プッシュプルのパワーアンプということならば、
コントロールアンプは別個に考えればいいわけで、
トーンコントロールのことは考えていなかった。

コーネッタとの組合せを、この項でも意識する。
そうなるとプリメインアンプ、それもトーンコントロール付きかどうかが気になる。

コーネッタを鳴らしてみたいプリメインアンプとして、イギリスのCHORDのモデルがある。
ソリッドステートアンプなので、この項とは直接関係ないわけだが、
それでもコーネッタとの組合せは、かなりいいように想像している。

そのCHORDのプリメインアンプは、
輸入元タイムロードでは、現在プリメインアンプは取り扱っていない。

CHORDのサイトをみると、製造中止になったわけではなく、
現行製品であることがわかる。

CHORDのプリメインアンプは日本ではあまり人気がないようだが、
私はけっこう気に入っているが、トーンコントロールに関しては、不満がある。

トーンコントロールがついていないだけでなく、
テープ入出力端子をもたないから、そのへんの拡張性はまったくない。

このことはCHORDのプリメインアンプに限ったことではなく、
ほかのブランドのプリメインアンプでもそうなのだ。

Date: 8月 13th, 2020
Cate: 真空管アンプ

真空管アンプの存在(KT88プッシュプルとタンノイ・その6)

ステレオサウンド 55号と59号の中間、57号の特集はプリメインアンプだった。
ケンウッドのL01Aも取り上げられている。

瀬川先生の、57号での評価は高いものだった。
音の躍動感に、やや不足するものがあるのは読みとれるが、
《音の質の高さは相当なものだと思った》とある。

しかも、瀬川先生が熊本のオーディオ店に来られたときに、
サンスイのAU-D907 Limitedを買ったことを話した。
瀬川先生は、L01Aのほうがあなたの好みだよ、といわれた。

L01Aは聴いたことがなかった。
それでも気になっているプリメインアンプだった。

それでもAU-D907 Limitedは175,000円、
L01Aは270,000円だった。

当時高校生だった私に、この価格差はそうとうに大きく、手の届かない製品であった。
でも、その時の口ぶりからもL01Aを高く評価されていることは伝わってきた。

なのに59号での結果である。
当時も、なぜだろう? とおもったものだ。
答はわからなかった。

いま、その理由を考えると、L01Aにはラウドネスコントロールはついていても、
トーンコントロールはなかった。

しかも57号に、
《ファンクションにはややトリオ独自の部分があり、例えば、テープ端子のアウト/イン間にイコライザーその他のアダプター類を接続できない回路構成》
とある。

瀬川先生は、59号でサンスイのAU-X11には1点をいれられている。
AU-X11にもトーンコントロールはついていない。
けれどテープ入出力端子に、トーンコントロール、イコライザーなどの周辺機器を接続できる。

このあたりに、L01Aへの0点の理由が隠れているような気がしてならないし、
AU-X11にトーンコントロールがついていたら、2点以上になっていたであろう。

Date: 8月 13th, 2020
Cate: 真空管アンプ

真空管アンプの存在(KT88プッシュプルとタンノイ・その5)

聴いてみたかったKT88のプッシュプルアンプといえば、
ユニゾンリサーチのプリメインアンプP70である。

でもエレクトリはユニゾンリサーチの取り扱いをやめてしまっている。
しかもユニゾンリサーチも、P70、P40(EL34のプッシュプル)の製造をやめている。

P70を聴く機会はなかった。
エレクトリがとりあつかいをやめた理由も、ウワサではきいている。

どんな音だったのか。
周りに聴いている人もいない。

でも、P70のアピアランスは、気に入っている。
優れたデザインとは言い難い。
それでも、コーネッタを接いで鳴らすには、いい感じじゃないだろうか。

そう思いながらも、P70にはトーンコントロールがなかったなぁ……、となる。
1970年代後半ごろから、トーンコントロールをパスするスイッチが、
プリメインアンプにつくようになってきた。

さらにはトーンコントロールを省く製品も出てくるようになった。
いまではトーンコントロールがついている製品のほうが、
高額な価格帯になるほどに少数となってくる。

プリメインアンプにはトーンコントロールは要らないのか。

ステレオサウンド 55号の特集ベストバイで、
瀬川先生はケンウッドのL01Aを、プリメインアンプのMy Best 3の一つにされている。

55号のベストバイでは、誰がどの機種にどれだけ点数を入れたのかまったくわからない。
51号もそうだったのを反省してなのか、55号では各製品ジャンルのMy Best 3が載っている。

瀬川先生のプリメインアンプのMy Best 3は、L01Aの他に、
サンスイのAU-D607とラックスのL58Aである。

ところが59号のベストバイで、瀬川先生はL01Aには一点も入れられていない。

Date: 8月 12th, 2020
Cate: 新製品

新製品(JBL 4349)

“JBL’s Next Great Studio Monitor is Here”

JBL SYNTHESISのウェブサイトに、いまアクセスすると、
このフレーズとともに、新製品4349が表示される。

昨年からウワサになっていたJBLのスタジオモニターの新製品である。
4349という型番から、4343に憧れてきた人ならば、
4343の後継機4348のニューヴァージョンか? と思うかもしれない。

私も、一瞬そう思った。
4349が発表されたのは7月末だった。
日本で正式に発表されるのを待つつもりだったが、まだである。

いまのJBLの開発ポリシーからいえば、4ウェイのシステムを出してくる可能性は低い。
それでも4349という型番に期待してしまった。

結果は、というと、2ウェイの中型システムである。
別項でJBL PROFESSIONALのM2について書いている。

この製品からいえるのは、JBLのスタジオモニターがこれから目指す方向である。
M2の4300シリーズ版といえるのが、4367だが、4349は、さらにM2に近くなっている。

外観的には、M2のウーファーより下の部分を取り払ったかのようなプロポーションである。
けれどウーファーの口径は15インチから12インチになっている。

M2の完全なるコンシューマー用を期待している者にとって、
いささか期待外れの感はあるものの、聴いてみたいスピーカーではある。

でもこれ以上に興味のわくスピーカーも、
JBL SYNTHESISのサイトをみているとあった。
SCL4である。
壁埋めこみ型の2ウェイである。

ウーファーは7インチ、トゥイーターはホーン型の2ウェイ。
音がどうなのかはなんともいえないが、見た目がシーメンスのオイロダインっぽいのだ。
もうこれだけで、おもしろそうに思えてくる。

Date: 8月 12th, 2020
Cate:

オーディオと青の関係(その24)

twitterで、(その23)へのコメントがあった。
マランツの1970年代前半のスピーカーユニットのコーン紙も青色だった、というものだった。

マランツのスピーカーシステムといえば、
エド・メイが手がけた一連のシリーズが、私の場合、すぐに浮ぶが、
それ以前にもスピーカーシステムを出していたのは知っていた。

マッキントッシュ、ボザークといった東海岸のメーカーらしく、
ユニットを多数使うところは同じだった。
とはいえ実物を見たことはないし、写真もモノクロのものばかりだった。

いまの時代、便利だな、と感心するのは、
インターネットですぐに検索できるだけでなく、
当時はモノクロ写真しか見ることのできなかったモノ、
内部を見たことのない製品、
それらがカラー写真で見れたり、内部の写真があったりする。

確かにマランツのスピーカーのコーン紙は青色だった。
しかも、写真で見る限り、BOSEのコーン紙の青色とよく似ている。

BOSEも東海岸のメーカーである。
もしかするとコーン紙の製造メーカーは、マランツとBOSEは、そのころ同じだったのか。
そうだとすれば、他にも青色のコーン紙のスピーカーはあった可能性がある。

Date: 8月 11th, 2020
Cate:

オーディオと青の関係(その23)

アメリカのオーディオは青を好むのだろうか。
「青なんだ」と最初に思ったオーディオ機器の最初は、BOSEの901IIIだった。

901搭載のユニットのコーン紙は青色だった。
901も最初モデルは違っていたはずだ。
II型からなのか、III型からなのかは知らないが、
少なくともIII型は、すでに青色のコーン紙だった。

同口径で、見た目は似ているユニットであっても、
101MMのそれは黒色だった。
BOSEの他のスピーカーで青色のコーン紙のモデルは、301MMIIぐらいしか思い浮ばない。

901IIIのころ(1976年ごろ)、
スピーカーのコーン紙といえば、黒色がほとんどだった。
黒色といっても、真黒なわけではなく、濃淡の違いはあったし、
それ以外の違いもあったけれど、おおまかに黒だった。

黒以外の場合は、白色はあった。
よく知られるところではヤマハのNS10Mのウーファーがそうだったし、
はっきり白色でなくとも、乳白色のコーン紙のユニットは、いくつかあった。
JBLのLE8T、ローサーのユニット、フォステクス、コーラルにもあった。

振動板の材質が紙ではなく金属の場合も黒ではなかった。
紙の振動板で、黒、白色以外で、
はっきりと色をつけたユニットとなると、901IIIの青が最初ではないだろうか。

他にもあったのかもしれないが、
ちょうどオーディオに興味を持ち始めたころの901IIIの青色のコーン紙は、
私にとっては鮮烈な印象であった。

とはいえ、当時は、なぜ青色なのか、ということについては考えもしなかった。
ただ青色ということだけが、記憶にはっきりと残っている。